631: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:41:37.52 ID:rpLvuEADO
「見捨てた……とはどういう意味だ」
ライは棚から書類を取り出し、それを机の上に並べながら尋ねた。
632: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:42:52.80 ID:rpLvuEADO
男子生徒達が信仰対象に危害を加える可能性は低いだろう。それに、カレンの友人や教師連中が騒動を鎮圧させようとしていたのもある。
「あの場面で僕が介入していれば、状況はよりややこしくなっただろう」
633: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:45:04.73 ID:rpLvuEADO
(なんだ、簡単じゃないか)
見事な結論が出たことに安堵したライは仕事に専念した。はかどって仕方がない。カレンが怒っている理由は何一つ判明せず、また解決もされていなかったが、それらは一時的に置いておこうと思った。
634: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:46:01.87 ID:rpLvuEADO
「言うことも聞くし、ちゃんとご飯も食べるし、変なこと言わないし……あと黒いし」
撫でられているアーサーは彼女の膝の上で丸くなりながらごろごろと喉を鳴らしている。カレンの方も笑みを浮かべて瞑目していた。お互いに上機嫌のようだ。
635: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:47:22.91 ID:rpLvuEADO
「ん……どうした」
「それは私が聞いてるの。急に呆けちゃって……何かあった?」
636: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:48:36.23 ID:rpLvuEADO
「そうね。こういう時間って貴重かも」
言うと、アーサーをソファーに寝かせ、カレンがやってくる。椅子に腰掛けてから、彼女が担当している書類を広げた。
637: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:49:50.51 ID:rpLvuEADO
「いつもあなたに任せているんだから、こういう時はちゃんとやります。たまには自分の仕事だけでいいじゃない……ていうか、それ嫌味?」
「だが、もうほとんど片付けてしまった」
638: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:51:00.40 ID:rpLvuEADO
運動能力が高い事は参考にならない。体を動かせる事と体が強い事は別だからだ。
理由は他にある。ライが過ごした三週間、カレンは何度か学園を早退していた。だが、直前の体温や脈拍、呼吸のリズムから判断して、急に──それも何度も体調を崩す事は考えづらい。
639: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:51:54.63 ID:rpLvuEADO
「…………」
そこまで考えて、ライは奪った書類の処理を開始した。
640: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:55:02.15 ID:rpLvuEADO
カレンを拘束しないで良くなる。そうなれば、彼女は自身の目的に専念出来るし、<特派>に加入させて貰えればライの生活も安定する。良いこと尽くめだ。
「そういえば……」
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