過去ログ - 律子「待ちくたびれたプロデューサーへ」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:03:15.74 ID:O6N65gcso
「今のままで居ても、これ以上の成功は……」
「あ、いや、私も限界は見えた気がする。大丈夫、ちょっとびっくりしただけだから」
私は慌ててプロデューサーの苦そうな言葉を遮った。
以下略
4
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:03:42.15 ID:O6N65gcso
二人でラストコンサートについて話しているうち、
活動停止という事実が私から遠ざかっているような気がした。
活動停止を告げられた時刻が、すでに一時間も流されたように。
けれど、事実は遠くなるどころか、近くへ迫っているのに。変な違和感があった。
5
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:04:39.31 ID:O6N65gcso
打ち合わせを終えたあと、私はいつものように雑務を手伝ってから、プロデューサーより早く事務所を出た。
空模様は無地の赤一色で、赤信号の鉄枠が黄色い人影を透けた腹に押し込めていた。
ポケットに手を入れ、携帯電話を弄くる。そのメモリには空想の部品が一つ、例えば海底に落ちた金貨みたいな。
自分がアイドルを引退したあと、新しいプロダクションを立ち上げる。
以下略
6
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:05:06.95 ID:O6N65gcso
2
レッスンが終わったあと、プロデューサーは必ず私を迎えに来る。
今日もスタジオを出てすぐのところへ車をつけていた。
以下略
7
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:05:45.26 ID:O6N65gcso
「シートベルトしろよ」
プロデューサーは言いつつ、サイドブレーキを下ろした。
シートベルトをかちりと身体に巻きつける。車が動き出して、それから、やっと目をつむった。
以下略
8
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:06:21.83 ID:O6N65gcso
「疲れたか、律子」
声にまぶたを上げて、運転席の方へ目を向ける。
プロデューサーはカーステレオのボリュームを絞っているところだった。
以下略
9
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:06:52.92 ID:O6N65gcso
私が車を降りる頃には、とっくに歌は終わっていた。
プロデューサーは、ゆっくり休めよ、と言い残して車をUターンさせた。
きっと、コンサートの準備を進めるんだろう。
人には休めと言っておいて、自分は頑張って――それは仕事だから?
以下略
10
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:07:25.87 ID:O6N65gcso
3
朝から雨が続いていた。
アスファルトに灰色の根を伸ばすような空はいかにも憂鬱だったけれど、
レッスンへ集中できない理由とするには弱々しい。
以下略
11
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:07:51.82 ID:O6N65gcso
最近、ずっとこんな調子だ。集中しようと必死になるほど、気持ちが離れていく。
結局、今日のレッスンもどこか浮いたような感覚をこそぎ落とせずに終わった。
着替えを済ませてから、荷物と傘を取ってスタジオを出ると、プロデューサーが待っていた。
以下略
12
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/06/23(火) 02:08:19.13 ID:O6N65gcso
「あのぅ、プロデューサー。今日は私、一人で帰ります」
「どっか寄って行くのか?」
「まあ……、そんなところ。せっかく迎えに来てもらって、申し訳ないけど」
以下略
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