過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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628:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:14:12.16 ID:Sv+8YbD5o


結局会議の時間ギリギリまで、俺と葉山の案を基本線にしてプレゼンの資料作りが行われた。

向かうべき場所が見えてからの雪ノ下はまるで水を得た魚のようだった。
以下略



629:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:15:21.36 ID:Sv+8YbD5o
やっぱりだ。そうであれば、俺の知っている雪ノ下は変わらずそこに居る。

決断が苦手だろうと、弱音を吐こうと、迷い悩んでいようと、そんなのは些細なことだ。あいつに自分の意思がないなんて、そんなこと、あるはずがない。


以下略



630:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:17:33.24 ID:Sv+8YbD5o
「あはは。留美ちゃん、そういうとこ変わってないねー」

「あの子は……強いんだな。あの子なら一人で立てるようになる。だから、きっとそのうち誰かと並んで歩くようになるんだろうな」

「うん、そう思う。…………あのさ、会議、ヒッキーもなんか、やるの?」
以下略



631:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:18:59.42 ID:Sv+8YbD5o
嘘は決してつかないように、できるだけ誠実に答えたつもりだ。

「そっか……。ね、あたしにもできること、ないかな?」

「……あるけど、お前は考えなくてもいい。由比ヶ浜なら自然にできるから」
以下略



632:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:19:46.49 ID:Sv+8YbD5o
「わかってる。無理はしない」

会話が途切れ、由比ヶ浜は前を行く三人を追いかけようと体の向きを変える。そこで俺は言おうとしていたことを思い出し、慌てて引き留めた。

「あ、由比ヶ浜」
以下略



633:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:23:45.09 ID:Sv+8YbD5o
「俺から誘っておいてすまん、本当に」

「ううん……。いいの。みんなでこうやって、準備とかできるのも楽しいし。それにね、ちょっとずるいかなって思ってたから」

自らをずるいと評する、その言葉が気に掛かった。由比ヶ浜がずるい?ずるいのは捨てられた子犬のような目線をするときに感じるけど、それとは違う気がする。
以下略



634:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:25:06.68 ID:Sv+8YbD5o
あの約束はまだ生きている。俺はまだそう思っている。だからそんなものを代わりになんてできない。

「俺は、お前がそれでよくても……」

「あたしが最初に誘ったからとか、約束したからとかなら、もういいから」
以下略



635:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:26:47.95 ID:Sv+8YbD5o
とぼとぼと機械的に足を前へと運ぶ。

同情とか、気にして優しくしてんならそんなのはやめろ。これもまた俺の言葉だ。また俺は過去の俺に苦しめられている。自業自得としか言いようがない。

でも、それで学んだこともある。また始めることだってできると教わった。何度でも問い掛け直すことができると知った。
以下略



636:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:29:25.64 ID:Sv+8YbD5o


目の前で概ね予想通りの展開が繰り広げられている。が、海浜高校の玉縄を始めとした連中は予想以上の抵抗を見せた。

こちらで用意した代案の資料、そしてプレゼン。掴みとしては満点だったのではないかと思う。あの短時間でよくここまで仕上げられたものだ。これにはさすが雪ノ下と言わざるを得ない。
以下略



637:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:32:25.69 ID:Sv+8YbD5o
「それはみんなで解決していこうよ。そのための会議なんだから」

もう何度同じようなやり取りを繰り返しただろうか。

ふーっと溜め息をついて横を見ると、由比ヶ浜はハラハラしたような顔で雪ノ下を眺めている。
以下略



638:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:33:16.67 ID:Sv+8YbD5o
そんなことをすれば総武高校生徒会の、ひいては総武高校の悪評に繋がりかねない。

「これはフラッシュアイデアなんだけど二つプログラムを作るのであれば、二つの高校を混ぜて2グループ作るとか、そういうソリューションもあるんじゃないかな……」

「だからそういうのはもう時間が……。…………私たちはもう、演劇を単独でやれるだけの準備ができているの。足りない時間の中で無理矢理足並みを揃えて折衷案を実行したところで、良いものができるとは私は思えないわ」
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