過去ログ - 八幡「誕生日ってなんだろうな」
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19: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:58:00.63 ID:N6QgKwrI0

今日は誕生日。
例え誰にも祝って貰えなくとも、自分が無価値で、生きる意味のない人間だなんて本音では思いたくない。それはそのまま、人生の否定だ。今までの生き方を全否定する行為だ。生きたいと願って死んだ人間への冒涜だ。

今日は誕生日で。
以下略



20: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:59:18.39 ID:N6QgKwrI0

これはスパムではないと。そんな直感があった。
しかしそうなると、一方的に番号を教えた相手か。はて、誰かいただろうか。でも、まあいいかと、ポケットにしまい込みぐっと脚に力を込める。

終ぞ、それに折り返すことはないだろう。電話の主は怒るだろうか。呆れるだろうか。
以下略



21: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:00:47.91 ID:fe/1sMHr0

外から見ても家の中は暗い。
光が漏れ出ない家には人の気配がせず、寂しい印象を受けた。
あれ、小町がいるはず、だよな?インターホンを鳴らす。それの応答はない。

以下略



22: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:01:53.03 ID:fe/1sMHr0





以下略



23: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:02:58.67 ID:fe/1sMHr0
クラッカーの炸裂音が響くと、反射的に体がびくりと震えた。それは我が家の愛猫も同じで、とっとっとっと軽快な足取りで俺の脚をかすめ、リビングを出ていく。
状況が理解できない。そんな心境で、目の前の3人をただぼうっと見据える。

「ぷっ、あはは! ヒッキー驚きすぎでしょ」

以下略



24: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:04:09.35 ID:fe/1sMHr0
「え? 見てわかるでしょ? ヒッキーの誕生パーティだよ」

「自分の誕生日も覚えてないの?」

「いや、それはわかるが。えー?」
以下略



25: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:05:47.35 ID:fe/1sMHr0
くすくす笑いが止まらない雪ノ下に射るような視線を浴びせても、それを意に介すことはない。それにつられるように由比ヶ浜と小町も笑いだす。何なんだ一体……。

「そうそう、お兄ちゃん。ろうそく買ってきた?」

「買ってきたけど」
以下略



26: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:07:37.54 ID:fe/1sMHr0

「俺18歳なんだけど」

「わかってるよ。だからこれから足すんじゃん」

以下略



27: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:08:55.38 ID:fe/1sMHr0

「やっぱなんか……浮いてるな」

彩どり豊かなろうそく達の中に、飾り気のまったくないろうそくが3本鎮座している。それは客観的に見ても少し変に見えてしまう。

以下略



28: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:10:44.84 ID:fe/1sMHr0

「よーし。どなたか電気消していただけませんか?」

「あたしが行くよ」

以下略



29: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:12:22.80 ID:fe/1sMHr0
小さな火が造る幻想的な光景の中、3人と顔を見合わせる。息を大きく吸い、ふーっと目の前に吹きかけた。1回では消しきれず、同じ動作をもう1回。
最後まで抵抗を見せていたろうそくの灯も完全に消え、リビングは静かに暗闇に包まれた。
どこからともなく、拍手の音が聞こえる。

「お誕生日、おめでとう」
以下略



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