1:名無しNIPPER[saga]
2015/08/27(木) 21:34:39.38 ID:hxdoE4+A0
街の一角。
我が家の隣に建つ家には、一人の女の子が住んでいる。
「あ、おはよ! えへへ、今日も気持ちいいねぇ」
少しボサボサの黒い髪を掻きながら朗らかに笑う姿は、魔女と呼ぶにはまるでふさわしくない。
研究者然とはしているものの、せいぜい錬金術師か何かと勘違いする人が多いんじゃないだろうか。
「今日もね、頑張ってたんだぁ。疲れちゃうよ」
「君も来る? ううん、魔力が無くても君は特別。幼馴染だもん」
平屋の多いこの辺りで二階建て。しかもベランダもあるのは珍しい。
ただでさえ目を引くその場所に、若くてそこそこ可愛い女の子が立っている。
「ねぇ、どうかなぁ? 君も手伝ってくれたら助かるんだけどなぁ」
「幼馴染を助けると思って。ねぇ、いいでしょ?」
可愛らしい言葉で誘われても、あいにく俺にはコイツと違って仕事がある。
いつも通り固いパンを投げつければ、いつも通りのユルい感謝の声。
それを背中で受けながら、一路仕事場へと向かうのだった。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆.s5ziYqd8k[saga]
2015/08/27(木) 21:44:37.50 ID:hxdoE4+A0
仕事場と言えば聞こえはいいけど、俺みたいな若造にできる仕事なんて要は雑用だ。
特に男でありながら魔物と戦わないのなら、力仕事をするか頭を使うかのどちらかだけ。
「む、食材の搬入か。ご苦労、念のため調べさせてもらうぞ」
3: ◆.s5ziYqd8k[saga]
2015/08/27(木) 21:57:49.21 ID:hxdoE4+A0
いつもの仕事、いつもの食事。終わる時間もいつもと同じ。
夕暮れになれば街も落ち着いて、昼の喧騒は徐々に消えていく。
俺も、多くの中の一人と同じだ。
4: ◆.s5ziYqd8k[saga]
2015/08/27(木) 22:11:38.14 ID:hxdoE4+A0
朝になればまた同じ一日が始まる。嫌だとは思わないけれど、それが良いとも限らない。
今日は特に妙な空気だ。街がどことなく、ざわめいている。
同僚の男は何やら知っているようで、興奮した様子で俺へと話しかけてきた。
5: ◆.s5ziYqd8k[saga]
2015/08/27(木) 22:27:48.11 ID:hxdoE4+A0
仕事も色々あるもので、運ぶ物にしても食糧から武器、雑貨類まで様々だ。
今日の荷物はおそらく塩だろう。海から来た大量の甕となればそう思って間違いない。
「塩は、重いけど、さっ! このっ! へへ、城に入れるのは、楽しみだよなあ……!」
6: ◆.s5ziYqd8k[saga]
2015/08/27(木) 22:38:24.27 ID:hxdoE4+A0
「で、どうなんだよ。今日はいるのか?」
知らん。どうして俺が知っていると思うのやら。
「使えないなあ、ったくよお……あーあ、居ないじゃんか」
7:名無しNIPPER[sage]
2015/08/27(木) 22:55:25.12 ID:zwSvWLuXo
勇者がくっちゃうんだろうな・・・はあ
8:名無しNIPPER[sage]
2015/08/27(木) 22:58:36.68 ID:6AzKOqMX0
スレタイからして胸糞臭がプンプンしてるな
9: ◆.s5ziYqd8k[saga]
2015/08/27(木) 23:01:59.29 ID:hxdoE4+A0
貯蔵庫に甕を積み、戻って運びを繰り返すこと幾数回。
既に陽は頂点から下がりだし、貯蔵庫には夕食の準備をする騎士見習いの出入りも始まっていた。
俺としては相当な時間が経っていることに辟易するが、同僚にとってはまさに至福の時間。このために城に来たと言っても良いだろう。
38Res/24.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。