3:名無しNIPPER
2015/11/18(水) 00:22:52.29 ID:630/3Zti0
 空に六つめの輝きがのぼったとき、山の合間から優しい光がもれた 
  
 ゆっくりと光を強め、奥から三日月が顔を出す 
  
 少年はそれに気がついて微笑みながら言う 
4:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 00:27:14.47 ID:630/3Zti0
 いくつ星を送り出したのだろう 
  
 しかしまだまだ残っている 
  
 彼の仕事は始まったばかりだ 
5:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 00:31:13.00 ID:630/3Zti0
 そうやって夢中になっていると、誰かが隣に近づいてきた 
  
 少年はそちらに顔を向ける 
  
 そこには一匹の猫がいた 
6:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 00:37:06.72 ID:630/3Zti0
 少年は意図にキラキラをつけながら隣を見る 
  
 猫は彼の手元を興味深そうにのぞき込んでいた 
  
 少年が少し居心地の悪さを感じていると、猫はキラキラをペロッと舐めた 
7:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:01:58.71 ID:630/3Zti0
 地上の明かりが一つ、また一つと消え始める 
  
 窓から漏れる光が少なくなり、降り注ぐ淡い光が町に充ちてゆく 
  
 少年は隣に寄り添うぬくもりを撫でながら大きなあくびをした 
8:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:08:02.97 ID:630/3Zti0
 花や風、音も眠りにつこうかという時間 
  
 少年の手元にはもう数え切れるほどしかキラキラは残っていない 
  
 彼が残りの星も空に飾ろうとしたとき、遠く、遠くの丘に一人の少女が立っているのが見えた 
9:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:12:53.44 ID:630/3Zti0
 こんばんは、この夜空はぼくが飾ってるんだ、どうしてそんなに寂しそうなの? 
  
 かけたい言葉は星の数ほどあるのに、二人の距離は悲しいほど遠すぎる 
  
 少年には、ただただ、少女を眺めることしかできなかった 
10:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:17:28.36 ID:630/3Zti0
 これはあの子の真上で、明るく照らしてあげよう 
  
 少年はそう思い、釣り竿を思いっきり振って星を作った 
  
 大きなそれが頭上に現れたことに驚いたのか、少女は少し目を見開いて…… 
11:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:22:23.68 ID:630/3Zti0
 一通り泣いて、少年は考える 
  
 あの子には星に悲しい思い出があるのだろうか 
  
 そんな彼女にぼくがしてあげられることはなんだろう 
12:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:23:24.19 ID:630/3Zti0
  
  
  
 その夜、街ではいくつもの流れ星が、一斉に空をかけた 
  
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