7:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:01:58.71 ID:630/3Zti0
地上の明かりが一つ、また一つと消え始める
窓から漏れる光が少なくなり、降り注ぐ淡い光が町に充ちてゆく
少年は隣に寄り添うぬくもりを撫でながら大きなあくびをした
8:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:08:02.97 ID:630/3Zti0
花や風、音も眠りにつこうかという時間
少年の手元にはもう数え切れるほどしかキラキラは残っていない
彼が残りの星も空に飾ろうとしたとき、遠く、遠くの丘に一人の少女が立っているのが見えた
9:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:12:53.44 ID:630/3Zti0
こんばんは、この夜空はぼくが飾ってるんだ、どうしてそんなに寂しそうなの?
かけたい言葉は星の数ほどあるのに、二人の距離は悲しいほど遠すぎる
少年には、ただただ、少女を眺めることしかできなかった
10:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:17:28.36 ID:630/3Zti0
これはあの子の真上で、明るく照らしてあげよう
少年はそう思い、釣り竿を思いっきり振って星を作った
大きなそれが頭上に現れたことに驚いたのか、少女は少し目を見開いて……
11:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:22:23.68 ID:630/3Zti0
一通り泣いて、少年は考える
あの子には星に悲しい思い出があるのだろうか
そんな彼女にぼくがしてあげられることはなんだろう
12:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:23:24.19 ID:630/3Zti0
その夜、街ではいくつもの流れ星が、一斉に空をかけた
13:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:29:03.26 ID:630/3Zti0
夜を明るくするほどの数のそれらは、一つは空の彼方へとんで行き、一つは家の屋根に乗り、一つは静かな丘に落っこちた
少女はあっけにとられた顔をしながら、目の前に落ちてきたキラキラに手を伸ばす
それに触れた瞬間、夜空にあった星たちも、たくさんたくさん、彼女のもとに降り注いだ
14:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:34:58.82 ID:630/3Zti0
背中を地面に預けながら、少女は手に持っていたキラキラを胸にあてる
柔らかい、優しい光が心をいっぱいにする
とても遠い丘の上で、同じようなキラキラとした光が瞬いているのが目に入った
15:名無しNIPPER[saga]
2015/11/18(水) 01:44:04.98 ID:630/3Zti0
ある日のこと
太陽は尋ねる
さいきんいつもの少年の隣に、少女がいるのを知っているかい?
16:名無しNIPPER[sage]
2015/11/18(水) 01:47:05.97 ID:1AGrpRYG0
乙
17:名無しNIPPER[sage]
2015/11/18(水) 04:45:46.12 ID:qjikPe8AO
乙
とても素敵だ
胸がじんわりする
24Res/10.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。