過去ログ - 晶葉「どうにも私は、恋をしているらしい」
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◆zefPw5mKfA
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2015/11/27(金) 00:21:01.06 ID:NjB6h2Aj0
「と言っても、ウチが話せるのはおもちつき大会の時の二人ばい。馴れ初めとはちと違うけんね」
「あー…」
以下略
18
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◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:22:25.88 ID:NjB6h2Aj0
当時の私といえば、発明品を思うままに作り続けるだけの、可愛げのない女の子だった。
父が発明家で、私もそれに倣って同じ道に入り、そして敵うだけの才覚を発揮していっただけだ。
父という存在は常に私の手本で、私の道の先に立つ人で、私の壁だった。
だから私はその壁を越える事を、父に認められようと躍起になっていたんだ。
以下略
19
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◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:23:55.10 ID:NjB6h2Aj0
その日は完成したロボットの試運転の為に、近所の公園へと来ていた。
ラジコン式で、従来の物よりもより複雑な動きを可能とするための機構を備えた私謹製の逸品だ。
そこには休日という事もあって大勢の人が来ていたが、私はその中で特に目立った存在とはならなかった。
同世代の他人はその時の流行りの遊びに興じていたし、家族連れも自分達の遊びに夢中で、私の発明になど興味を持つ様子がない。
以下略
20
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◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:24:42.78 ID:NjB6h2Aj0
スーツがよれよれだったんだ。
髪もセットした先からボサボサにしてしまっているのだろうという体たらくだった。
体格は違うんだが、それがどことなく、父に似ているなと思ったんだ。
以下略
21
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◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:25:46.29 ID:NjB6h2Aj0
「この天才少女の手にかかれば物言わぬ機械も生を得る……そう、口にしていたんだ」
「天才ロボ少女、池袋晶葉の爆誕ばい!」
以下略
22
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◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:27:17.03 ID:NjB6h2Aj0
話し相手が出来た事が嬉しくて、私は殊更饒舌にロボットについて語った。
彼は専門的な知識を持ち合わせていないから、そんな彼にも分かり易くどう話そうかと工夫を凝らした。
その時の私は兎に角嬉しくて、彼に話を聞いて欲しくて、慣れない事を一生懸命にしたんだ。
以下略
23
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◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:28:27.02 ID:NjB6h2Aj0
自分はアイドル事務所のプロデューサーで、私をアイドルにしたい。と、そう彼は言った。
正直驚いた。突然すぎて何が何だか分からなかった。
自分と縁遠いなんてものじゃない世界の住人が、目の前にいたんだ。
だけど私はその驚きを口にするよりも先に、顎に手を当て笑みを浮かべていた。
以下略
24
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◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:29:53.97 ID:NjB6h2Aj0
それから私と彼は、アイドルおもちつき大会から始まり沢山の仕事をこなした。
レッスンの内容も、仕事の内容も、私は全部の事を彼に任せた。
私は私。それは絶対に曲げたくないと、彼には何度も言って聞かせた。
以下略
25
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◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:30:40.60 ID:NjB6h2Aj0
「……と、いうわけなんだ」
そこまで話して、私は誰かが用意してくれたコップを手に取り中に入っているジュースを飲む。
あれだけ喋って喉が痛くないのも、アイドルとしての成長の証だろうか。
以下略
26
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◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:32:04.00 ID:NjB6h2Aj0
自宅でロボットを弄っていたんだ。
コレクションの主役として抜擢され、それを勤め上げてからのようやくの連休だった。
今度は発明家としての本分を、更なる躍進に繋げるべく鋭意活動する日だと決めていた。
以下略
27
:
◆zefPw5mKfA
[saga]
2015/11/27(金) 00:34:06.08 ID:NjB6h2Aj0
私はもう孤独ではなくなったのに。
今の私の心はこんなにも衝動的で、彼を求めていて。
この場に彼が居ない事が腹立たしくて、認められなくて。
彼が居ない事が寂しくて、こんなにも、こんなにも……
以下略
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