過去ログ - 海未「私を見つけだして」
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1:ラブライブ!板から転載 ◆tXSQ21DKYs[sage]
2015/12/12(土) 01:13:54.13 ID:QvQsG1d2o
本当に必要としていたのは私の方だった。

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2:名無しNIPPER[sage]
2015/12/12(土) 01:14:20.18 ID:QvQsG1d2o
ex14.vip2ch.com
の続き


3: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:14:51.59 ID:QvQsG1d2o
 大学生というものになっておおよそ半年が過ぎた。季節は秋を通り過ぎ、すでに冬の顔を覗かせはじめている。

「暇、ですね」

 空調の聞いた大学構内。さきほど授業を終え、教室を出たばかり。今日の授業はそれ一つだけ。この後には何も用事がない。
以下略



4: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:15:19.97 ID:QvQsG1d2o
 ふらふらとあてどなく街を歩く。まっすぐ家に帰るのも憚られたためだ。

 時刻は正午を過ぎたころ。空腹感はあるが行動に支障がでるほどではない。

「いけないとはわかっていますが……」
以下略



5: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:15:46.01 ID:QvQsG1d2o
 穂乃果と会うのは久しぶりのことだった。大学に入学してからというもの、高校の時のように毎日顔を会わせるということがなくなったのだ。

 生活リズムが異なればそんなものだろう。家は近いが、わざわざ訪れることもない。それは私と穂乃果に限ったことではなく、ことりもそうだった。

 それで私たちの関係性が変わったかといえば、そんなことは全然ない。
以下略



6: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:16:12.64 ID:QvQsG1d2o
「元気だった?」

「まぁ、そこそこです。穂乃果は……聞くまでもありませんね」

 元気いっぱい。活力に溢れている。それだけはいつだって変わらない。
以下略



7: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:16:38.50 ID:QvQsG1d2o
 一人暮らしを始めたとは聞いているが……大丈夫だろうか。

 穂乃果は料理が下手というわけではないが、作るものが独創的過ぎる。いわゆるアレンジャーで、しかも気分屋。

 まともなものができあがるときもあれば、酷いものを作る時もある。食べられないものを作らないのが救いか。
以下略



8: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:17:40.99 ID:QvQsG1d2o
 スーパーは結構な人で賑わっている。いわゆる主婦と呼ばれる人々が買い物カゴを抱え、あるいはカートを押し品物を見定めている。

「んー、パスタにしよっか」

「パスタ、ですか」
以下略



9: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:18:14.30 ID:QvQsG1d2o
 スーパーを巡りながら適当な話をする。

 成績はどうだとか、早起きがどうだとか。案の定というか、思った通りというか、穂乃果の成績はあまりよくないらしい。

 単位を落としさえしていないらしいが、結構ギリギリなものが多いのだとか。
以下略



10: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:19:22.17 ID:QvQsG1d2o
「美味しい」

「でしょー? 見直した?」

 穂乃果の家。穂乃果は買ってきた食材を手早く調理し、いっていた通りにカルボナーラを作り上げた。
以下略



11: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:19:54.02 ID:QvQsG1d2o
「ご馳走様です」

「お粗末さまです。片付けてくるね」

「何から何まですみません」
以下略



12: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:20:24.75 ID:QvQsG1d2o
 いったいどういうことだろう。

 首を傾げていると、穂乃果が戻ってくる。

「ああ、それ?」
以下略



13: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:20:52.14 ID:QvQsG1d2o
 詳しい話を聞く。

 真姫の家出は、ひとまずのところ解決を見ているらしい。真姫が穂乃果の家にいるのは親元を離れて暮らす練習だとか。

 ……少しだけ、悔しい。
以下略



14: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:21:32.48 ID:QvQsG1d2o
「まぁ、真姫とあなたが納得しているのなら、私からいうことはありませんが……」

 個人的なわだかまりはあるが、それは関係ない。

 話を聞いている限りでは普通の生活をしているようだし、同居という点に目を瞑れば問題はないのだ。
以下略



15: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:22:01.98 ID:QvQsG1d2o
「それでは、そろそろお暇させていただきます」

「えー? もう帰っちゃうの?」

「ええ、その……。やらなければならないことがありますので」
以下略



16: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:22:27.82 ID:QvQsG1d2o
 何事もなく一日が経過する。穂乃果と会ったこと以外はいつもどおり。

 だけどそれは、確実に私に何かを残していった。

「サボってしまいましたねぇ」
以下略



17: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:23:07.53 ID:QvQsG1d2o
「授業中、ですよね?」

 フェンス越しに見る校舎に動く人影は見当たらない。が、屋上に誰かが立っている。

 昼休みはとうに終わっている時間帯。で、あれば何故屋上に人が。
以下略



18: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:23:48.10 ID:QvQsG1d2o
「あなたが大学をサボるなんて、いったいどうしたのよ」

 寂れた喫茶店の一角で、真姫はコーヒーをストローで啜る。よくもまぁ、そんな苦い汁を飲めるものだ。

 あの後、真姫は鞄を持って私のところまでやってきた。体調が悪いと言い張り、早退をしたそうだ。
以下略



19: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:24:32.84 ID:QvQsG1d2o
「昨日、穂乃果に会ったんでしょう?」

「ええ、ばったりと」

「どうだったのよ」
以下略



20: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:25:20.91 ID:QvQsG1d2o
「私、穂乃果と違って優しいから教えてあげましょうか? その居心地の悪さの原因」

「……聞きましょう」

 真姫が指を組み、椅子の背もたれに身体を預ける。わざとらしく足を組み、高圧的な姿勢を取る。
以下略



21: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:25:58.07 ID:QvQsG1d2o
「それが引け目に繋がっていると?」

「まぁ、そうね。例え話になるけれど、あなたと穂乃果が同じ大学を目指していたとして、あなただけ滑ってしまった、みたいな感じよ」

「その通りだとすれば確かに引け目は感じるでしょうが……。ですが私たちは結局、別々の道に進んだ訳ですし」
以下略



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