過去ログ - 響「ロス:タイム:ライフ」
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1:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 19:53:24.90 ID:eROB17h/0
  サッカーはミスのスポーツ。
  プレーヤーが完璧なプレーをしたら点は入らない。
  永遠に0対0です。

  ――欧州サッカー連盟会長(元フランス代表) ミシェル・プラティニ


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2:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 19:56:21.22 ID:eROB17h/0
「じゃじゃーん! 自分お手製のサーターアンダギーだぞー!」

 昼下がり――事務所の給湯室で、いつものお茶会。
 満を持して自分が懐から出したのは、特製のサーターアンダギーさー。

以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 19:59:34.28 ID:eROB17h/0
「うーん、良い匂い! あっ、今日いない人の分、ちゃんと取っておこうね」

 そう言うと春香は、食器棚から別のお皿を出して、手際良く取り分けた。
 さすが、気ぃ遣いだなぁ。

以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:02:46.19 ID:eROB17h/0
「あ、あの――四条さん。私のを一個、あげちゃいますぅ」

 結構多めに作ってきたつもりだったのに、もうお皿の上は空っぽさー。
 自分の分を食べきって、物足りなさそうに指をくわえる貴音に、雪歩が一個あげた。

以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:07:09.83 ID:eROB17h/0
「水瀬伊織、それは真、良き考えです!」

 貴音が勢いよく立ち上がって、椅子が危うく倒れそうになった。
 雪歩が慌ててそれを受け止める。

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:09:16.66 ID:eROB17h/0


  人生の無駄を精算する、生涯最後の一時
  ――それが、ロス:タイム:ライフ

以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:12:22.02 ID:eROB17h/0
 うーん――今日の収録はちょっと不安さー。
 ずっとレギュラーだったハム蔵といぬ美が、この回だけ急遽降板になっちゃったんだ。

 新たな可能性を追求する、っていう番組プロデューサーさんの意向だって。
 で、代わりに連れてこられたのが、ブラック、えぇと――何だっけ。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:14:49.14 ID:eROB17h/0
「ちょっと様子を見てくる。くれぐれも用心するんだぞ」

 そう言ってプロデューサーは、車の音がした方に走っていった。

 とりあえず、自分はプロデューサーがくれたさんぴん茶を飲んで一息――。
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:18:33.90 ID:eROB17h/0
 自分を乗せたADさんの車は、どんどん山の奥深くまで入っていく。

 たまに話しかけても、ADさんはぎこちない愛想笑いをするだけだ。
 昨日の資料を何度か見直してみるけど、池に近づいているようには思えないぞ。

以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:21:36.32 ID:eROB17h/0
「うぇっ!? わっ――」

 足元を見下ろすと、ずぅっと下の方にうっそうと生い茂る林――。

 う、ウソでしょ――?
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:25:46.39 ID:eROB17h/0
 何で落ちないんだ――?


 良く見ると、自分の体を誰かが支えていて――えっ、黒子!?

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:30:13.26 ID:eROB17h/0
「えっ、えっ――!?」

 突然目の前に現れたのは、数人の男の人。
 黄色い、サッカーの審判っぽい服を着て、一人は笛を、他の二人は旗を持ってる。

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:33:25.19 ID:eROB17h/0
 困ったような顔をして、必死に身振り手振りをする審判――っぽい人。
 うー面倒だなー、直接話せばいいじゃんか!
 えぇーっと――?

 自分? ――うんうん、自分が?
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:37:37.10 ID:eROB17h/0
「どういうこと? 何で死んでないんさー!?」

 審判の人に突っかかると、その人は笛を小さく鳴らして電光掲示板を指差した。

 赤く光る数字――4時間、28分?
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:40:54.62 ID:eROB17h/0
『あぁっと、我那覇選手、今自分の死を誰かに伝えようとしましたね?』

『いけませんよ、一発レッドもあり得る禁止行為です。
 ここはファールを予見し、未然に防いだ主審の好プレーと言って良いと思います』

以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:44:31.38 ID:eROB17h/0
『おぉっとぉ? これはまさか、走って麓まで降りるつもりなのかぁ!?』

『選択肢が限られているので仕方が無いのですが、破れかぶれのようにも見えますね。
 冷静に、携帯でプロデューサーに迎えを頼むとかすれば、まだロスは少ないのではと』

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:49:05.05 ID:eROB17h/0
「このADが妙に不審な動きをしていたから、捕まえて問いただしたんだ」

 あ、さっきのADの人――。

「す、すみません!! 俺、仕事辞めさせられたいのか、って、脅されて――!」
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:52:22.95 ID:eROB17h/0
『これは大チャンスです、我那覇選手!』

『普通こんなことはあり得ないですよ。
 プロデューサーが原因を突き止めて迎えに来て、何も言わずアイドルのワガママを飲む。
 盲信とも紙一重の、両者の信頼が無ければ成し得ないミラクルプレーです』
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 20:56:20.71 ID:eROB17h/0
「何だか、ブレーキの利きが悪いなぁ。妙に車体が重いような――」

 首を傾げながら車を運転するプロデューサー。
 そりゃあ、後ろにはADさん以外に黄色い審判さんが三人。
 しかも、荷台には電光掲示板を持った黒い審判さんが乗ってるんだもんな。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 21:00:00.01 ID:eROB17h/0
「――ごめんなさい、プロデューサー」

「もういいから、くよくよするな。お前らしくないぞ」

 それから、いつものように、あまり中身の無い会話をして――。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 21:03:09.59 ID:eROB17h/0
「――皆、帰ったぞー!!」

 なるべくいつも通りに、皆にただいまの挨拶をする自分。
 これを言うのも、もう最後なんだ。

以下略



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