過去ログ - ゆき「亜人?」
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441: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/20(水) 23:43:07.09 ID:uByMCkSUO

悠里「ゆき……ちゃん……」


屋上に戻ってきた由紀は、呆然と自分を見る悠里をまっすぐ見つめ返した。その目には決意のようなものが浮かんでいる。
以下略



442: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/20(水) 23:54:45.17 ID:uByMCkSUO

永井「……彼女たちも、運がなかったな」


永井はしばらくは目を細めて、黒煙を見つめていた。その表情に外から読み取れるような明確な感情があらわれるまえに永井は車に戻り、道を引き返し、あらためて警察署に向かおうとした。
以下略



443: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/20(水) 23:56:02.85 ID:uByMCkSUO

ーー駐車場


メラメラメラ...
以下略



444: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/20(水) 23:57:01.44 ID:uByMCkSUO

胡桃は熱さを感じることもなく、ひたすら“かれら”を終わらせる作業に没頭していた。爆発の衝撃で、身体が傷んでいてもおかしくなかったが、胡桃はそれも感じることはなかった。ただ、どうしようなく疲れていた。目の前にひろがっているのは、炎と死者しか存在しない地獄のような光景だった。地獄に終わりはない。死者に刃を振り下ろせば振り下ろすほど、新たな死者たちが列に並ぶ。いい加減歩くのに疲れてしまったから、眠らせてくれよと頼みにきているかのように。死者たちの権利は、生者のそれよりあらゆる面で優先される。

胡桃はまた死者にむけてシャベルを振るう。シャベルの刃先は頬を裂き、顎の左側を切り落とした。だが、死者の歩みはとまらなかった。シャベルを口に入れたまま、胡桃にむかって近づいてくる。かちん、と刃先が骨にあたった音がした。シャベルの刃は、後頭骨の真下に滑りこんでいる。

以下略



445: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/20(水) 23:58:12.91 ID:uByMCkSUO

ーー三階


校舎のなかに煙が充満しつつあった。放送室をあとにした悠里と由紀は、顔の下半分をハンカチで覆い、煙を吸い込まないようにしていた。だが、荒れ果てた校舎の窓から侵入し放題の煙は、容赦なく彼女たちの喉を攻め立てた。
以下略



446: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/20(水) 23:59:17.84 ID:uByMCkSUO


『わたしたち、先に避難してるね』


以下略



447: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:00:19.08 ID:nHMOffOiO

ーー駐車場


胡桃「はっ、はっ、はっ、はっ……」
以下略



448: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:29:30.58 ID:nHMOffOiO

胡桃 (あいつもこんな気持ちになるのかな……?)


穏やかさに包まれた胡桃には、他者について考える余裕もうまれていた。胡桃がまず思ったのは、車の中で気絶している美紀のことでも、校舎に取り残されている悠里と由紀のことでもなく、ここから去っていった永井のことだった。
以下略



449: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:30:17.75 ID:nHMOffOiO

だが一方で、永井は、めぐねえの幻影を見る由紀や現実逃避的な虚構の産物である学園生活部の存在をごくあっさりと受け入れ、順応さえしてみせた。それが合理的な判断のもとでの行動に過ぎないということは胡桃もうすうす感づいていたが、この意外な許容は胡桃を警戒をすこしほぐすこととなった(出会って早々、胡桃が永井を殺害した事実を、気持ちの整理がつくまえに処理されてしまったことも、警戒心を生む遠因となった)。

永井の合理性は、自身の安全を保持するために発揮されるが、属している共同体の人間関係の調整に使われることもある(場合によっては、共同体の安定性に不利益をもたらしかねない者を排除する方向に動きかねないその合理性は、学園生活部との生活のなかにおいて、ぎりぎりのところで回避された)。永井がくだした学園生活部への合理的判断のなかで最良のものは、屋上にあるめぐねえの十字墓に、彼女の遺髪を収めたことだと胡桃は考えていた。

以下略



450: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:32:05.72 ID:nHMOffOiO

胡桃 (しかし、妙な話だよな)


胡桃はうつむきながら考えをつづけた。
以下略



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