22: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 00:39:49.89 ID:vxIFxQsM0
P「星でも見ていたんだろ? 邪魔して悪かったよ」
そう言って彼女の隣を通り過ぎる。
23: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 00:40:51.07 ID:vxIFxQsM0
ぼうっと橙の照明が一つ灯る外観の建物の、無骨な木製の扉を引くと、店内も橙の光に満ちていた。
最初に彼女がカウンターに腰掛けて、遅れて俺がその隣に腰掛ける。
店には、客はおろか、店員すらいないようだった。
24: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 00:44:53.74 ID:vxIFxQsM0
どうして彼女は、俺をここに連れてきたのか。
P「なあ」
海の底のような心地よさに沈む店で、二人。
25: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 00:49:20.97 ID:vxIFxQsM0
P「……アイドルの、プロデューサーをしているんだ、俺」
それは、俺が傷つけたアイドルの話だった。
26: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 00:50:54.19 ID:vxIFxQsM0
P「……担当しているアイドルをトップアイドルにするために、無理を強い続けてしまった」
なんとかそれは、声になった。
27: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 00:56:09.66 ID:vxIFxQsM0
のあ「……その彼女は、アイドルになることを自ら選んだのでしょう?」
のあ「彼女自身、トップアイドルになりたいとも思っていたはず」
グラスの中の氷を指でつつきながら、彼女は言った。
28: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 00:57:47.57 ID:vxIFxQsM0
トップアイドル。
文字通り、すべてのアイドルの最前線で輝く、大きな存在。
最高の水準のパフォーマンスを維持し続け、ろくに休むことすらできない身。
29: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 00:59:15.15 ID:vxIFxQsM0
P「こんな下らない話を聞かせてしまって、すまない」
グラスの残りを飲み干して、立ち上がる。
P「会計は俺が持つよ」
30: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 00:59:47.27 ID:vxIFxQsM0
のあ「私を、トップアイドルにしてみせて」
31: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 01:01:46.84 ID:vxIFxQsM0
P「……いま、なんて言った?」
のあ「貴方の手で、私をトップアイドルにしてみせて、と言ったわ」
32: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 01:04:15.05 ID:vxIFxQsM0
のあ「そのためには、トップアイドルになる必要があるの」
彼女が俺の瞳の奥を覗き込みながら、淡々と呟く。
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