過去ログ - オフィーリア「心からお慕いしておりました」
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102: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 16:57:03.81 ID:qnHSELB4O
王「具合はどうだな、オフィーリア?」

オフィーリア「元気よ、お陰さまで!」

それはもう憎たらしいくらいに、とは流石に口には出しませんでした。
以下略



103: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 16:58:32.55 ID:qnHSELB4O
泣いてしまってはここまでのお芝居が台無しです。

オフィーリア「でも、どういう意味って聞かれたら、こう言って…」

オフィーリア「明日は聖ヴァレンタイン様の吉日よ。夜明けを待って早々に、あなたの窓辺に立ちましょう。ヴァレンタイン様に願掛けて」
以下略



104: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 16:59:39.49 ID:qnHSELB4O
王「…いつからこうなのだ」

王様は呆れ返っている様子です。
最早この場の誰もが、私から視線をそらします。見てはいけない、見たくないと言う雰囲気がひしひしと伝わってきます。

以下略



105: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:00:43.73 ID:qnHSELB4O
オフィーリア「でも私、冷たい土の中に埋められた人の事を思うと、泣けて泣けて仕方がないの」

そう、そうだったの。これは亡くなった方に向けた歌だったのね。
だから綺麗に三日月が出ている今日は、歌が湧いて出るのだわ。

以下略



106: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:01:41.00 ID:qnHSELB4O
再び中庭に来ました。
私にはあの部屋に居た時間は、無限より長く感じましたが、存外に時間は進んでいなかったようで、まだ日は落ちていませんでした。
気付くと、手に握っていたはずのリュートは無く、何故か代わりに花束を抱えていました。
でもこれ、よく見るとパンジーばかりで物足りないですね。
辺りの花も適当に摘んでいきましょう。どうせお家に帰ったところで、誰も帰ってこないし、訪ねてこないんですもの。
以下略



107: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:02:54.82 ID:qnHSELB4O
民衆「レアティーズを国王に!レアティーズを国王に!」

と、そんな事を考えている場合では無いようです。あっという間に戸を破ると、民衆が雪崩れ込んでいきます。
もしあの場にお兄様がいらっしゃるならば、陛下を殺しかねません。
もしそれは免れたとしても、その場合、陛下に言いくるめられたお兄様はハムレット様を憎む形になるでしょう。
以下略



108: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:03:47.99 ID:qnHSELB4O
民衆「おぉい、通してやってくれ!」

相手にしたく無い、と考えたのでしょうか。
一人の掛け声とともに前へ前へと伝達されていき、出エジプト記の紅海かの如く私に道を開けてくださいました。

以下略



109: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:04:35.50 ID:qnHSELB4O
レアティーズ「お前の狂気の恨み、存分に晴らさずにおくべきか。いかに冷酷無惨な仕返しになろうとも」

私は、側に居てくれるだけで良かったのに。
それなのに、お兄様も、あのお方と同じなんですね。
そして恐らく、あの方と同じ様に、復讐の果てに、私を置いていかれるのね。
以下略



110: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:05:40.32 ID:qnHSELB4O
オフィーリア「死顔に被いもせずに、棺架にのせて、ヘイ、ノン、ノニ、ノニ、ヘイ、ノニー。墓に降る、降る、涙雨____さよなら、愛しい人よ!」

最早自分でも何が言いたいのか解らなくなってきました。
私は、気狂いを演じているの?被り続けたペルソナに乗っ取られてしまったの?

以下略



111: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:06:42.66 ID:qnHSELB4O
オフィーリア「はい、これがローズマリー、忘れるなっていう徴____私を忘れちゃいやよ、いいわね」

お兄様にお花を渡します。復讐に駆られ、私を忘れないでね。

オフィーリア「それからこれはパンジー、物思いの徴」
以下略



112: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:07:54.29 ID:qnHSELB4O
オフィーリア「貴女にはヘンルーダ、私にも少しとっときましょう」

意外そうな顔をされてます。私が彼女と同じ花をとったからでしょうか。

オフィーリア「これは安息日には恵みの花って呼ばれるの____あら?同じ花でも私と貴女ではつける意味が違うわね」
以下略



113: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:08:55.52 ID:qnHSELB4O
レアティーズ「憂いも苦しみも悩みも、地獄そのものさえ、妹は魅力的な楽しいものへ変えてしまう」

そう、お兄様は何も知らないのね。今のやり取りが楽しいものに見えるなんて。
お二人とも汗をだらだら流して喜んでいるものね。
それにしても、王妃様はまだしも国王陛下も花言葉が解るなんて意外だわ。
以下略



114: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:09:51.18 ID:qnHSELB4O
余った花束を抱えて飛び出しました。
未だ鳥頭さん達がワーワー喚いてますけど、お兄様に王となる意志はもうないですよ。
色々聞かれるのも面倒でしたので、歌いながら駆け抜けました。
お家まで歩いて帰ろうか、と考えながらしばらく歩いて行くと、小川が見えてきました。
その辺で、リュートを弾く女性がいました。
以下略



115: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:10:51.75 ID:qnHSELB4O
楽師「えぇ、ちゃんと返してもらいましたよ」

いつ?どうやって?と言う疑問は浮かびませんでした。
何故か、そういうものなんだ、と納得できてしまったのです。

以下略



116: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:11:42.28 ID:qnHSELB4O
オフィーリア「何か見えるのかしら」

彼女は私の話を聞いていない様でしたので、独りごちてみます。
するとやや間があってから、彼女は口を開きました。

以下略



117: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:13:14.43 ID:qnHSELB4O
楽師「そして私はその舟の水先案内人」

オフィーリア「どうりで不思議な事ばかり起きるわけね」

という事は、私は死ぬのでしょうか。
以下略



118: ◆d/8j7bKhKM[sagesaga]
2016/11/09(水) 17:14:33.70 ID:qnHSELB4O
オフィーリア「…〜♪」

先ほど彼女に弾いてもらった曲をメロディだけ口ずさんでみました。
お父様やハムレット様に届くかしら。
生きるか死ぬか____それはいつだったかハムレット様が仰っていた事でした。
以下略



119: ◆d/8j7bKhKM[sage]
2016/11/09(水) 17:18:53.08 ID:qnHSELB4O
以上で完結です
長い間お付き合い頂き有難うございました
因みに引用部分は岩波文庫のハムレットから
個人的に一番好きな訳し方なので興味があれば読んでみてください


120:名無しNIPPER[sage]
2016/11/10(木) 10:14:24.26 ID:+GA6Owwxo


ここでスレタイ回収するとは
ちゃんと完結して偉い


121:名無しNIPPER[sage]
2016/11/11(金) 21:40:28.19 ID:p4N2Ad7kO



122:名無しNIPPER
2016/11/22(火) 08:09:56.93 ID:rjRGeq6IO
完結乙
よかったよ


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