過去ログ - 楓「命短しススメよ乙女」
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75:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:27:21.17 ID:49W9hqJ1o
そして、さて、例の商店街である。
今時、サーフェイスWETも不十分な、前時代的な場所にも人は集まるものである。
蘭子はしきりに辺りをキョロキョロしながら美優に手を引かれて歩いていた。
通行人にぶつかってしまいそうで楓も美優もひやひやした。

以下略



76:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:28:46.33 ID:49W9hqJ1o
……この商店街が、古臭いわりに訪れる人が多いのにはいくつか理由があった。
一つには、珍しい店が多いのである。
全国的にもあまり例がない反量子化思想、つまりアナログにこだわる商人たちが集まり組合をここを作ったのだが、そうした偏屈職人気質な人が集まれば当然そこには他にない珍名物が並ぶことになる。
結果、装飾品や機械技術、絵画や書籍、その他様々な珍しいレトロ文化の地として、この商店街はそこそこ有名なのである。

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77:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:29:51.25 ID:49W9hqJ1o
楓「こちらこそごめんなさい、ね?」

さりげなく蘭子にも謝るよう促したが、蘭子はその少女の異様な出で立ちにすっかり怖気づいていた。
確かに、大人から見てもその少女の格好は少し不気味である。
長い前髪で右目を隠し、落ち窪んだように見える目元はそういうメイクをしているのだと思われた。
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78:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:30:57.22 ID:49W9hqJ1o
蘭子「みゆさん、これ……」

美優の袖を引っ張って蘭子が見せたのは、黒い羽ペンだった。

美優「欲しいの?」
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79:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:31:43.17 ID:49W9hqJ1o
それから蘭子は小梅が案内するままに一緒に店のものを見て回った。
蘭子は相変わらず難解な言葉のまま会話していたが、小梅はさほど気にしていない様子だった。
というよりも、すっかり仲良くなってしまったようだった。
何か通じ合うものをお互いに感じ取ったのかもしれない。
美優はようやく安心できた。
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80:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:32:31.48 ID:49W9hqJ1o
美優は、蘭子が欲しがっていた物のうち(と言ってもほとんどの商品に興味を示していたが)、荘厳な装飾が施されたブックカバーを買ってあげた。
蘭子は大いに喜んで「慈悲深き聖母よ!」とはしゃいだ。
ちなみに慈悲深き聖母とは蘭子が名づけた美優のソウルネームである。

貴音「またのお越しをお待ちしております」
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81:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:33:04.36 ID:49W9hqJ1o
美優「蘭子ちゃん! 蘭子ちゃん!」

美優がまるで死んだ人の名前を呼ぶように叫ぶので、通行人が何人か声をかけるほどだった。
「大丈夫ですか?」「何かあったんですか?」「救急車呼びましょうか?」
そのたびに楓は「すみません、なんでもないんです」と言って遠慮した。
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82:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:33:49.02 ID:49W9hqJ1o
商店街の中央に広いフードコートがあるのを見つけたので、楓と美優は空いた席に蘭子を座らせて様子を見た。
しばらくして蘭子がふっと目を開いて起き上がった。

蘭子「あれ?」

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83:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:35:11.63 ID:49W9hqJ1o
お昼が近づき、辺りが混雑してきたので、3人は手早くランチを済ませ移動することにした。
蘭子も含めて相談した結果、寄り道せず先に目的地へ向かってしまおうという事になった。
蘭子は特にそれを残念がったりしなかった。
というのも、サイン会が行われるのはこの商店街で一番大きい書店だったので、本好きの蘭子にとっては夢にまで見た場所なのだ。

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84:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:35:57.99 ID:49W9hqJ1o
楓「いえ、特に本を探しに来たわけではないんですが……」

「ああ、二宮飛鳥先生のイベント参加者ですか」

蘭子「は、はい!」
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85:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:36:40.16 ID:49W9hqJ1o
「困りましたね。今ここに迷い込まれるとかなり面倒なんですが……」

美優は少女の言っている意味が分からず、再び蘭子を探しに行こうとしたが、またしても少女が阻もうとしたので、

美優「もう、どういうことですか? なんで中に入っちゃいけないんですか? そもそもあなた、誰なんですか?」
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