過去ログ - 速水奏「The Dark Side of the Moon」
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1:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:29:08.84 ID:kj4bVlfs0
*地の文です。
*前作「ブルードレス」のサイドストーリーになりますので、そちらを読まないと何のこっちゃです。
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1463967671/
*(NTRじゃ)ないです

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:29:34.87 ID:kj4bVlfs0
風の冷たいある日の夜、私はこの街の真ん中で月を眺めていた。

昨晩から降り続いた雨はすっかり上がり、湿気を含んだ冷たい空気が私の周りを通り過ぎていく。

私は深く深く息を吸い、静かにゆっくり吐き出した。都会の匂いと湿り気が肺の奥までぴったりと染み付いた。
以下略



3:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:30:33.99 ID:kj4bVlfs0
先ほど恋人と別れた。



半年ほどの短い付き合いだったがそれでも最近ではまだ長いほうで、一晩だけの男たちも幾人かいた気がする。
以下略



4:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:31:39.41 ID:kj4bVlfs0
さらに視線を落とす。今度はゆらゆら揺れる水溜りに月が映った。

一緒に映りこむ町の明かりは鮮やかで、月の神秘は削がれている。


以下略



5:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:32:10.14 ID:kj4bVlfs0
なんて、馬鹿な話




以下略



6:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:32:53.56 ID:kj4bVlfs0
ふと、今日来た郵便物を見ていなかったことを思い出す。

今朝郵便受けから取り出したくせに、そのまま放置して家を出てしまったからだ。

私はソファに座り、ワインを置いた。目の前には乱雑に投げ出された郵便物の山が待っている。
以下略



7:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:34:38.23 ID:kj4bVlfs0
********************************




以下略



8:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:35:10.99 ID:kj4bVlfs0
「あら、文香じゃない。久しぶりね」


私は小さな笑顔を浮かべつつ、彼女の隣のロッカーを空けた。

以下略



9:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:35:43.30 ID:kj4bVlfs0
「文香、腕太くなった?」

「!?…そ…そうでしょうか……やはり最近レッスンを怠っていた影響が…」


以下略



10:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:38:52.76 ID:kj4bVlfs0
その時ふと、例の葉書の事を思い出した。

元担当プロデューサーからの招待状。彼女は確か今でも彼のプロデュースを受けていたはずだから結婚の話は知っているだろう。


以下略



11:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:39:40.85 ID:kj4bVlfs0
「そうですか…来れるといいですね…」

「そうね」


以下略



12:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:40:16.21 ID:kj4bVlfs0
「そう、二時間くらい待たせることになっちゃうけどいいかしら?」

「ええ、構いません。待つのは…得意ですから」


以下略



13:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:41:17.81 ID:kj4bVlfs0
*********************************




以下略



14:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:42:10.82 ID:kj4bVlfs0
「どうぞ」


コトリ、という音をたててグラスがテーブルに置かれる。

以下略



15:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:43:10.29 ID:kj4bVlfs0
「そう?でも今の文香ってば、かなり色っぽい顔してたわよ?」


私は意地悪な顔で、彼女をちくりと刺してみる。

以下略



16:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:43:39.99 ID:kj4bVlfs0
「奏さんは…相変わらずですね…」


真っ赤な顔で縮こまる文香がか細い声で恨み節をつぶやく。

以下略



17:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:44:15.90 ID:kj4bVlfs0
「あの…ひとつ、相談があるのですけれど…」


グラスを傾けながらお互いの近況を報告し終えたそんな頃、文香が重々しく口を動かした。

以下略



18:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:44:53.68 ID:kj4bVlfs0
「まぁ業界の人間も多く来るだろうし、おかしな格好ができないって事は分かるわ。それとも…セクシーなドレスでプロデューサーさんを誘惑するつもり?」


私がまた意地悪な顔をして言うと、彼女の目が大きく開かれた。

以下略



19:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:45:34.46 ID:kj4bVlfs0
文香の…初恋の人…?



「…こんな話できる方が他にはいないので…良い機会だと思いまして……その…」
以下略



20:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:46:03.29 ID:kj4bVlfs0
「初恋の人って言うけど、今も好きなの?」

「いえ、そのような事は…決して」

「でしょう?だったら何も問題ないじゃない」
以下略



21:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:46:34.87 ID:kj4bVlfs0
「好きだったと言っても…遠くから見ているだけで…何かを行動に移した事は……殆どありませんでした。私にとってあの人は太陽のように眩しくて、ただただ…遠くから彼の姿を眺めて…たまに会話するだけで満足していました……今思い返しても…子供のような恋愛だったと…恥ずかしくなってしまいます。」


彼女はまるで物語の語り部のような静かな話し方で訥々と話していく。

以下略



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