819:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:32:22.91 ID:J5LgB8ivo
◇
わたしはページから目を離すと、本を元の位置に戻した。
820:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:32:56.92 ID:J5LgB8ivo
そうだ。お兄ちゃんの部屋は、昔、お母さんが使っていた部屋と、扉で繋がっていた。
その扉はずっと使われていなかったけれど、それでも、たしかに繋がっていたはずだった。
でも、その扉があった場所に、今は本棚が立っている。
821:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:33:44.74 ID:J5LgB8ivo
中身をすべて床の上に吐き出させると、本棚はようやくわたしの腕でも動かせるくらいになった。
ずらすように横に押すと、やはり、そこには扉が隠されていた。
822:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:34:23.71 ID:J5LgB8ivo
ふと、足元を見ると、一枚の写真が落ちていた。
古い、古い写真。
823:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:35:23.13 ID:J5LgB8ivo
そんなことは分からないままだ。
今までだって、ずっと、そうだ。
824:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:35:58.42 ID:J5LgB8ivo
全力で走ってきたつもりだ。
お兄ちゃんに、お祖母ちゃんに、お母さんに、いつか、認めてもらえる。
825:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:36:37.39 ID:J5LgB8ivo
扉の向こうは下り階段になっていた。
埃と黴の匂いの混じった湿った空気が、地下から吹き込んでくる。
風の音が怪物の吠える声のように聞こえる。
826:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:37:25.92 ID:J5LgB8ivo
一歩踏み出すと、冷たい風がわたしの首筋をするりと撫ぜる。
身をすくませるような怖気。
827:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:38:09.29 ID:J5LgB8ivo
「……探した」
息を切らして、彼はそこに立っていた。
828:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:38:58.68 ID:J5LgB8ivo
つづく
821のgは誤入力です。
829:名無しNIPPER[sage]
2017/10/30(月) 08:16:54.68 ID:B4OfXvSe0
おつです
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