過去ログ - 高森藍子「誰かを笑顔にできるなら」
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10: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:14:27.79 ID:wiTHyHYmO
いつ頃からだろうか、俺はスカウトをしてくると言って事務所を出て、街で時間をつぶすことに慣れてしまった。

断っておくが俺にだって最低限のプライドというか節度というものはある。

勤務時間中はパチンコ屋やマンガ喫茶など見られて言い訳のできない場所には入らないことにしている。
以下略



11: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:16:19.23 ID:wiTHyHYmO
今日もまあ二時間近くは街角で粘ってみた。

何人か綺麗な女の子に声もかけた。

出来るだけの努力はしたのだ、結果が出ないのは時の運というやつだ。
以下略



12: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:18:18.31 ID:wiTHyHYmO
「こんにちは」

ふいに声をかけられた。

花柄のワンピースを着た少女がこちらを見て微笑んでいる。
以下略



13: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:20:13.69 ID:wiTHyHYmO
向こうから声をかけてきたんだ。俺は覚えにないが前に会ったことがあるに違いない。

見た目は派手ではないが、なかなか可愛い。

スカウトで声をかけた覚えもないし、この年代の子で知り合いの可能性があるとすれば学生時代の友人の妹とか…
以下略



14: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:21:46.70 ID:wiTHyHYmO
「ふう、今日はポカポカでいいお天気なんですけど、日差しが強くて…動くとちょっと暑くなっちゃいますね」

「ああ、そうだね」

そう言う彼女の首筋にうっすらと汗が浮かんでいるのが見えた。
以下略



15: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:23:38.66 ID:wiTHyHYmO
「あ、それってもしかして」

しまった。

彼女に見とれていたのを悟られないように誤魔化したつもりだったが、ついさっき隠した缶ビールを手に取っていた。
以下略



16: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:24:48.98 ID:wiTHyHYmO
つくづく日本語というのは難しい言語だと感じる。

もし彼女の口から出た言葉を文字に起こし、国語のテストのようにどういう気持ちでこの発言をしたでしょうか、という設問をこしらえたら答えはきっとこうなるだろう。

『いい若い者が仕事をサボってブラブラして明るいうちから酒を人前で飲むなんて恥ずかしくないのか』
以下略



17: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:26:24.23 ID:wiTHyHYmO
「ああ、お店で買ってからここまで運ぶのにちょっとぬるくなってるけど…こうやって広々とした場所で飲むといつもと違って美味く感じるね」

「あ、分かります。普段食べているようなものでも外で食べると何故か美味しく感じるんですよね。そういえばこの間、家族とピクニックに行ったんですけど…」

彼女はポケットアルバム取り出すとこちらに見せてくる。
以下略



18: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:28:09.46 ID:wiTHyHYmO
ガサガサ

不意に後ろで音がした。

見るといつのまにか現れた黒い猫がコンビニの袋に頭を突っ込んでいる。
以下略



19: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:29:43.87 ID:wiTHyHYmO
パシャリ

音がした方を見ると、少女がいつの間にか取り出したカメラを手にしていた。

「あ、ちょっと」
以下略



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