過去ログ - 子供「ツブアンおじさーん!」 ツブアンおじさん「おう」
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24:名無しNIPPER
2016/08/17(水) 12:10:43.27 ID:DSjhTtMNO
面白い乙


25:名無しNIPPER[sage]
2016/08/17(水) 14:23:26.01 ID:vdP0xVefo
おつおつ楽しみ


26:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/18(木) 16:28:55.40 ID:2QvdetSB0
>>21

ツブアンおじさん「……どうだ、それが“平和”の味だ」

子供「ぺっ、ぺっ!こんなの吸ってたら死んじゃうよ…」
以下略



27:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/18(木) 17:16:59.97 ID:2QvdetSB0
ツブアンおじさん「町の奴等は俺のことを、ヒーローだ、正義のヒーローだと褒め称えた。以前の婆さんなんか、手作りの外套なんかをこさえてきやがって、これを着てまた頑張ってちょうだいね、などと言ってまた俺の手を握った。俺は無性に腹立たしかった。中学の時にやっていたことと何も変わりはしねぇのに、ちやほやされる状況が腹立たしかった。町の奴等は自分のことにしか感心がねぇんだ。自分に害をなす人間が俺によって痛めつけられてる。その状況に嬉々しているんだ。結局のところ、俺は町の便利屋ぐらいにしか思われてなかった」

ツブアンおじさん「町の新聞社は、正義の使者“アンパンマン”またお手柄、という記事をばら撒いていた。“アンパンマン”という名前は、中学の同級生からの取材で得た俺のあだ名をヒントに名づけたらしい。蔑称が敬称になるとはとんだ笑い話だ。なにが正義の使者だ。正義なんてのは結局のところ、暴力を許容するための都合のいい合言葉でしかねぇ」

ツブアンおじさん「その頃から、廃棄からの襲撃はいっそう激しくなった。完全に敵対意識を持たれたらしい。廃棄の奴等は俺を襲う際に、ハヒフヘホーと叫びながらくる。よく聞いてみると、“Hard hit fool  Hate Hope”と言っているらしい。奴等の合言葉だ」
以下略



28:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/18(木) 19:22:03.61 ID:2QvdetSB0
ツブアンおじさん「ヤツとは意外と早く会うことができた」

子供「えっ?」

ツブアンおじさん「ある晩のことだ。俺は一人で公園のベンチでスコッチをちびちびと舐めていた。この公園だ。ベンチは……ほれ、そこの、あの木の下にあるベンチだ。月のない夜だった。なんとなしにあの木を見上げ、視線を戻した時、目の前にヤツが立っていた。黒い肌、特徴的な口元、爛々とした目。間違いねぇ、ヤツだ。ヤツが、よう、と一言。俺も、よう、と一言。ヤツが隣に腰掛ける。ヤツは安い服を着ていたが、決してみすぼらしくはなかった。むしろ、まるで上等なスーツを着ているようにも見えた。自分というものをちゃんと持っている人間は装飾がなくても煌びやかだ。ヤツがそうだ。俺は酷く羨ましかった」
以下略



29:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/18(木) 19:24:02.46 ID:2QvdetSB0
いったんここまでー
夜中にやる気があったら終らせようと思いまー


30:名無しNIPPER[sage]
2016/08/18(木) 20:09:02.08 ID:3CaTWjk/o
おつおつ!


31:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/19(金) 13:10:55.16 ID:Bd8/zZkK0
ツブアンおじさん「帰ってベッドに潜り込むと、久しぶりに良く眠れた。泥のように寝た。夢は見なかった。朝になり起きた後も、俺はまだベッドに片足を突っ込んだようにして、呆けたままでいた。昼になり、親父の淹れたコーヒーを飲んでも呆けたままだ。そのまま久しぶりにテレビを見ながら、もう一度寝た」

子供「…………」

ツブアンおじさん「そんなことをしながら二日程過ごした。久しぶりにずっと工場で過ごした。そして、ヤツの言っていたテロ当日になった」
以下略



32:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/19(金) 13:45:40.98 ID:Bd8/zZkK0
ツブアンおじさん「俺はコーラを飲み干すと、瓶を瓶入れに捨て、ゆっくりと議事堂を目指した。途中、貰ったタバコを箱から一本取り出し、燃える壁から火を拝借して煙を灰に入れた。残りは捨てた。議事堂の中は既に散々な状態で、壁の崩れ落ちる音、あたりの火の燃え盛る音で煩かったんだが、ハヒフヘホー、という咆哮だけはうっすらと、だが俺の耳にははっきりと聞こえた。俺は声のする方向へ歩いた。ゆっくりと歩いた。焦ることはなかった。焦ると碌なことがねぇ」

ツブアンおじさん「議事堂の会議室の扉は既に片方が外れかけていて、中の様子が見れた。中にはヤツが一人でいた。当然だ、俺も一人、ヤツも一人だ、いつだって。まだ形を留めている方の扉を開けると、ヤツがこちらを見て、タバコを一本取り出した。俺が、よう、と言う。ヤツも、よう、と言った。俺達はしばらくタバコを吸った。先に俺が吸い終わる。ヤツも吸い終えた。ゆっくりと近づいて、ヤツの目の前で止まった。黒い肌、特徴的な口元、爛々とした目。俺達は待った。ゴングが鳴るのを待った。俺は、憎いのか、と聞いた。憎い、と一言。お前は、と聞かれたので、解らん、と一言。おそらくあと三秒だ。あと三秒したらゴングが鳴る。三……ニ……一………爆発音。ほらな、解るんだ、俺達は。理由は知らない。理屈も、道理も、愛も、希望も、友情も、勇気も、なにも知らない」

子供「……………」
以下略



33:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/19(金) 14:10:59.94 ID:Bd8/zZkK0
ツブアンおじさん「ヤツは即死だった。爛々とした目だけが虚空を見つめていた。新兵はこちらに駆け寄ってきて、やった、ざまあ見やがれ、この廃棄め、とヤツに唾を吐いて俺を嬉しそうに見つめた。俺はそいつの鼻っ柱にあらん限りの拳を叩き込んだ。一発、二発、三発、四発、倒れる新兵、五発、六発、七発、八発、顔中血まみれになる新兵、九発、十発、十一発、十二発、十三発、十四発、絶命する新兵、十五発、十六発、十七発、十八発………後は数えてない。俺は議事堂を去った」

子供「……それで、それでどうなったの」

ツブアンおじさん「……それで終わりさ。新聞社は新兵がヤツとの相打ちでバイキング・マンが死んだと報じた。相打ちなわけがねぇが、軍の介入だろう。廃棄のテロ組織は鎮圧され、今に至るまで表立った行動はねぇ。政府はようやく落ち着いた。町の奴等にも平穏が訪れた。俺も、暇になった。しばらくして、親父が癌でくたばり、そのしばらく後に俺は工場を売った。そして、今に至るってわけだ」
以下略



34:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/19(金) 14:27:10.18 ID:Bd8/zZkK0
ツブアンおじさん「…………………」



ツブアンおじさん「…………………」
以下略



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