262:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:05:05.23 ID:qsBzmbI/0
足元には河原特有の大きめの砂利が敷き詰めてあって、まっすぐ歩くのは難しい。ゆっくりと転ばないように歩く。
少し後ろから、はぐれないように、俺の服の裾が、遠慮がちにつままれていた。
弱めの力で、でも離れないような、まるで裾に自分の意識が移ってしまったかのように、鮮明に感覚が伝わってきた。
263:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:07:11.18 ID:qsBzmbI/0
次はアレ見たい、となーちゃん達がはしゃいでいる。
はぐれないように、とチヨが慌ててついていく。
賑やかだった。
264:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:08:22.84 ID:qsBzmbI/0
周囲を見渡すように歩いていると、基本的にどの屋台にも、列が並んでいることに気づく。
列がない屋台は、お面の屋台と、しょぼいクジ引きの屋台くらいだった。
人が少ない道が、自然とわかってくる。
265:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:09:51.64 ID:qsBzmbI/0
「先輩、もうすぐ花火、始まりますよ」
「だな」
266:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:11:26.64 ID:qsBzmbI/0
そうこうしていると、下流の河原の方から歓声が聞こえてくる。
コヨミちゃんにつられて空を見上げると、ちょうど一発目の花火が打ちあがっているところだった。
眩しいくらいの火花が夜空に散って、
267:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:13:53.21 ID:qsBzmbI/0
俺も同じように体を傾けて、ななめ上を見上げると、綺麗に花火が見えた。
「おお」
268:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:17:01.80 ID:qsBzmbI/0
一際大きな花火があがる。
大きな音に、コヨミちゃんが「わっ」と驚いていた。
よく考えてみると、そもそも今年の夏は、かなりアクティブな方だ。
合宿にも行ったし、こうして花火大会にも出かけてる。
269:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:19:16.70 ID:qsBzmbI/0
まず、間違いなく、明日にはムギちゃんはいなくなる。
家に帰る。当たり前のことだ。
そうしてしまうと、ハルとなーちゃんとはどうなのだろうか。それに、チヨも。
270:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:22:26.02 ID:qsBzmbI/0
「その、もし、よければ、付き合って、くれませんか……?」
コヨミちゃんの声は、いつもより明らかに小さかった。敬語もちょっとおかしい。
緊張しているのか、声が震えている。
271:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:24:18.46 ID:qsBzmbI/0
早く返事をしないと。
時間が経てば経つほど、言いづらくなるし、待っている方も辛い。
返事を、二択から選べ、と言われると、答えはすぐに出せる。
272:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:25:29.31 ID:qsBzmbI/0
「……うん、ごめん」
「あやまらないでくださいよ」
コヨミちゃんは笑った。
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