302:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:36:39.65 ID:ilA7zgD60
公園には、誰もいなかった。
夕方。赤トンボ。遠くで聞こえるセミの声。
二人きり。
303:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:37:57.14 ID:ilA7zgD60
「あのさ」
言葉に詰まる。
額が熱くなる。こめかみが激しく脈打っているのが感覚でわかる。
304:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:38:57.18 ID:ilA7zgD60
「あっ、えっ」
イチが俺の目を見て、椅子から跳ねるようにして立ち上がる。
305:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:40:32.05 ID:ilA7zgD60
でも、夕陽のせいか、イチの耳が、少し赤く染まって見える。
少し見えるその顔も、夕陽のせいで赤みを帯びている。
それを見て、また、
しつこいようだけど、また俺の心臓は激しく鼓動を打つ。
306:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:41:54.85 ID:ilA7zgD60
イチが、
深呼吸をしたのを、見て、
ーーあぁ、逃げられるかな、と思って、
307:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:42:49.84 ID:ilA7zgD60
「……もう一回言って」
イチが小さな声でそう呟いた。
「いや」
308:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:44:05.22 ID:ilA7zgD60
次の日は、驚くほど目覚めが良かった。
こんなに清々しい朝があるとは思ってもいなかった。
昨日のことを思い出して、思わずニヤける。
309: ◆1HYehGkP635v[saga]
2016/08/29(月) 00:51:38.78 ID:hWTEXAWe0
そのあとの夏休みは、あっという間に、と言うほどでもなく、そこそこの早さで、淡々と終わっていった。
いつも通り、みんなで集まって、だらだらしたり、騒いだり。
たまにイチと二人きりになることがあったけど、だからと言って何か変わった話をするわけでもないし、何をするわけでもない。
310: ◆1HYehGkP635v[saga]
2016/08/29(月) 00:53:08.02 ID:hWTEXAWe0
夏休み最後の日、ユウキとイケメン君と予定を合わせて、バーベキューをした。
三人で朝からスーパーに繰り出して、安い肉を買い漁った。
調理が面倒くさいので野菜は買わなかった。
311: ◆1HYehGkP635v[saga]
2016/08/29(月) 00:54:13.84 ID:hWTEXAWe0
そういえば、ねえちゃんにアイスを買ってもらったりもした。
「いつかの約束」
「覚えてやがったか」
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