96:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:06:28.43 ID:D33bbYIF0
残っていた洗濯物をねえちゃんと二人で畳んで、タンスにしまうのをお願いしたところで、棚の前に落ちている写真立てに気づいた。
拾い上げてみると、今より少し幼いねえちゃんと、小学生くらいの女の子が笑顔で写っていた。二、三年前くらい?
背景には山が広がっている。田舎の風景。
97:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:11:03.36 ID:D33bbYIF0
翌朝、目が覚めた時、やけに長い夢を見ていたように感じた。が、内容は一切覚えていない。たまにあるよね、こういうこと。
少し起きるのが遅れたので、急ぎめに制服に着替える。
玄関を出た時、やけに軽いカバンに違和感を覚えた。
98:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:12:14.96 ID:D33bbYIF0
「今日そんなにいるもんある?」
「いや、部活の道具とかさ」
99:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:13:39.09 ID:D33bbYIF0
「じゃあね、皆さんもね、夏休みに怪我とか事故とかすることなくね、勉強もしっかりするように。
夏休みが明けた頃にね、またここに全員が揃うことを、楽しみしてますからね」
じゃあ、私からは以上です。
100:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:14:35.48 ID:D33bbYIF0
「夏休みですね」
生徒会長は生徒会長で、短いわけではないが、決して退屈な話をする人ではなかった。
「そういえば去年、高校生の花火の音がうるさい、って、近所の方から苦情が来たんですよ」
101:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:16:19.33 ID:D33bbYIF0
自販機の前で、ナナコを見かける。
今部長に言われたことを伝えようと思ったが、こちらに気づいてないのか、下を向いて早足で文系棟の中に入っていってしまった。
他に特に用があるわけでもないし、まあ後でもいいか。
102:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:17:36.22 ID:D33bbYIF0
夏休みに入ったその日の、学校の雰囲気。
透明感があるというか、すっきりしているというか。
みんなの目に輝きが見えた。
103:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:20:04.95 ID:D33bbYIF0
「ちーちゃん見てない?」
「進学講座だって」
104:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:22:51.75 ID:D33bbYIF0
「あっつーい」
イチが胸元をパタパタと仰ぐ。
「暑いですねぇ」
105:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:24:25.08 ID:D33bbYIF0
「どうかしたんですか?」
「いや、こっちの話」
そうですか、と返事をすると、ナナコは興味なさそうに前を向いた。
106:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:26:06.40 ID:D33bbYIF0
少し歩調が遅くなったので、それとなく合わせると、いつもより景色がゆったりと流れて見えた。
昼前の日差しを、川がしつこいほど反射する。
土手沿いに並ぶ桜の木から、耳をつんざくようなセミの鳴き声が響いた。
329Res/334.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。