過去ログ - 女「今の君を教えてよ」
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38: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 15:21:29.20 ID:ryABOIXv0
怖いもの見たさでそこに佇む人影を男は見つめた。そして、一歩一歩刻むように距離を縮めていった。
−−おかえり
突然人影が声を発した。男咄嗟に少し身を引いた。何事だろうと思い、様子を伺った。

女「そんなに怖がらなくてもいいんじゃないかな」
以下略



39: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 15:32:06.02 ID:ryABOIXv0
女「君の帰りを待ってたんだよ、男君」

女はなぜだか得意げな顔でにやりと笑った。

男「待ってた、って……。俺が帰る時間なんてわかんないのによく待ってたな。それなら自分の家で待ってればよかったのに」
以下略



40: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 15:44:42.24 ID:ryABOIXv0
暫しの沈黙が続いた。女はかなり緊張しているようだった。男も女が口を開くのを促すわけでもなかった。
−−話せるようになったらでいいよ。と言うと男は空を見上げた。ずっと前しか向けない人間は、この星空を見ることができないんだろうなと思った。冬になれば、もっと綺麗で研ぎ澄まされた満天の星空をみることができる。この道で前ばかり向いていたら、一生涯空の世界に広がる何億以上もの光を拝むことができないのだろう。

女「私ね」

以下略



41:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 16:02:18.25 ID:ryABOIXv0
女「君は私の事を友達と言ってくれたね。ある程度は私に心を開いてくれたのかな、って思った。その時にはもう君を好きだった。友達じゃなくて恋人になれたらな、なんて思ってたよ」

男「なんていったらいいのかわからない……。強いて言うなら、女みたいな容姿的にも内面的にも異性から人気がありそうな奴が、どうしてこんな陰気くさい男を選ぶのかってくらいだ」

女「君は自分に自信がなさすぎるよ」
以下略



42: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 17:01:17.98 ID:ryABOIXv0
男「……いまのお前の言葉には、なんの?いつわりもないんだっけか」

女「うん。そうだよ。私は君のことが好きだから恋人になりたいっていう言葉を素直に伝えたいだけだから」

男「そうか。返事はまた明日でもいいか? 一晩考えさせてほしい」
以下略



43: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/09/01(木) 08:36:04.80 ID:XVWJn+2bO
次の日、男は学校に行くのが少し憂鬱だった。女と顔をあわせるのが少し気まずい、と思った。それに、男Aたちとも会うのが億劫だった。とは言っても、時間とは止まってはくれないもので、そんなことを考えているうちに教室まで足を運んでいた。

男(女、まだ来てないな……。具合悪いのかな)

その日結局女は学校を欠席した。自分せいかもしれない、と男は自分を責めた。
以下略



44: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/09/01(木) 09:48:40.10 ID:miKWXUImO
女の顔をよくみると、目が腫れているのがわかった。

男「そうか。泣いてたのか?」

女「うん……。なんとなくセンチメンタルになっちゃってさ。こんな顔だし学校行きたくなかったのもあるかも」
以下略



45: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/09/01(木) 23:28:23.51 ID:29FmT/vz0
女「私ね、憧れの人を、人生に光をくれた人を探してこっちに戻ってきたの」

男「そうなのか。そいつは見つかったのか」

女「ううん。見つからない。追い求めて生活していくうちに、彼への恩返しをしようとしているうちに、今の君を好きになってた。未完成で不安定な君にたまらなく惹かれてた」
以下略



46: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/09/01(木) 23:39:28.40 ID:29FmT/vz0
黄昏の時間、夕日は水平線の向こうへ姿を消し始め、世界は光と闇の絶妙なバランスを取り始めた。校舎の屋上に三人の影は、次第に景色に溶け込んできている。

男A「……もうさ、腹割ってみんなで話して全部終わらせようぜ」

男B「なんの話かよくわかんない」
以下略



47: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/09/02(金) 00:05:00.49 ID:mKM5ry+W0
男は、自分の過去を振り返りながら、一つ一つ語り始めた。

男「あの頃の俺は、八方美人で誰に対しても同じような態度で接してた。誰とでも仲良くなりたいし、それが楽しいことだと思っていた。それを気に入らなかったのか、中学二年生のとき、クラスメイトの女にはっきり言われた。お前のことが嫌いだと」

女「女Bさんのことだね」
以下略



48: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/09/02(金) 00:09:58.62 ID:mKM5ry+W0
女「だから君は決心した」

男「そうだ。嫌がらせをするなら俺本人にしろ、とあいつに直接話をした。その直後から嫌がらせの対象は俺に変わった。でも、あいつはそれだけじゃ飽き足らず、ついに俺に脅しをかけてきた。卑劣な脅しだ」

女「不良集団を引き連れて、お前が半殺しにされるか、仲間が半殺しにされるのどっちがいい、と。でも君は前者を選んだ。仲間を守ったんだ。結果は両方決行。男の子二人は病院送り、女Aさんはレイプ未遂。君が仲間を売ったことにされて、余計なこと話したら次は殺すとまで脅された」
以下略



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