47:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:39:37.36 ID:6BNWGd8K0
……どこに行くの?
靴を履いていると、後ろから声を掛けられた。
振り返ると、そこにはお母さんの姿が。
普段は、この時間なら家族全員寝てるのに……ドタバタしていて、起こしてしまったようだ。
48:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:40:34.93 ID:6BNWGd8K0
……うん、やっぱり、よく似合うわ。いつかあなたにあげようと思ってたんだけど、つい渡しそびれちゃってて。
鏡の前に立って、自分の髪型を見る。
お母さんの言うとおり、我ながら良く似合っていた。
49:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:41:47.78 ID:6BNWGd8K0
この子、友達とネズミーランドに行くんですって。
お母さんが私の代わりに説明してくれる。
そうか……気をつけて行くんだぞ、お前は超絶に可愛いからな。変な男にナンパされそうになったら、すぐお父さんを呼べ。すっ飛んでく。
50:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:42:55.83 ID:6BNWGd8K0
新幹線に乗って、電車を乗り継いて、タクシーに乗って、彼の住んでいた村の近くへ。
人通りは全くない。
スマホの電波も殆ど入ってこない。
51:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:43:50.97 ID:6BNWGd8K0
……もし、私に出会ったら、彼はどんな顔をするのかな。
私が彼の名前を呼んだら、彼はどんな表情をするのかな。
笑うかな、照れるかな、それとも照れ隠しに、何しにきたこの貧乳女! とでも言うのかな。
52:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:44:37.66 ID:6BNWGd8K0
……もし、彼に出会ったら、私はどんな顔をするのかな。
笑うかな、照れるかな、もしかしたら泣いてしまうかもしれない。
そのまっすぐで大きな瞳に見つめられたら、私はどんな気持ちになるんだろう。
53:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:45:49.78 ID:6BNWGd8K0
こんなに走ったのはいつ以来だろうか。
「はぁはぁはぁ……!!」
走る。走る。ただ走る。
54:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:46:55.09 ID:6BNWGd8K0
そう伝えられた時の感動を、俺は一生忘れないだろう。
「そう、か……そうか……そうかぁぁ……」
俺達の子供。俺たちの赤ちゃん。
55:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:48:08.24 ID:6BNWGd8K0
そう言って、俺は三葉を抱きしめた。
出産直後だから、そんなに強くは抱きしめられなかったけど。
……三葉が妊娠してからというもの、俺はありとあらゆる家事はやれるだけやったし、ともかく三葉が元気にかつ健康に赤ちゃんを産めるように気を使ったつもりだが、それでも出産時の痛み、疲労はどうしても肩代わりできないものだから。
56:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:49:28.04 ID:6BNWGd8K0
そう言って二人で笑ったあと、三葉が愛おしそうに、赤ちゃんの頭を撫でた。
その表情は、穏やかで安らかで……そんな表情の三葉を、俺は見たことがなかった。
……三葉の事は知り尽くしたと思っていた俺だが、まだまだ知らない三葉がいるようだった。
57:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:50:52.38 ID:6BNWGd8K0
「ありがとう瀧君……それでさ、この子の名前、どうしよっか?」
「あー……どうしようか、本当に」
二人で困ったように笑う。
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