18: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:34:36.75 ID:7ab73rSh0
私が殺気を放ったせいで、全力が出せなかった?
……思い起こしてみれば、なるほどね、確かにぶるぶると体を震わせていたあれは、緊張じゃなくて私を恐れていただけだったのかもしれないわね。
「はぁー」
19: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:36:24.94 ID:7ab73rSh0
――他人の邪魔、ね。
アイドル活動なんて、他人を押しのけなくちゃやっていけないと思うんだけど、それをこの女に言ってもどうせ通じないわね。
……ここは、甚だ不本意だけど私が折れるしかない。
「ふう」
20: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:38:19.15 ID:7ab73rSh0
――さて。
嵐は去ったことだし、そろそろ豚のところへ行ってやろうかしら。
ここで待っていても現れないようだし。本当に気が利かない――、
「あら」
21: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:40:25.63 ID:7ab73rSh0
帰りの車では会話なし。
豚の言葉が、腹立たしいことに気になって、話の続きをする気になれなかった。
事務所に着き、車を降りると、私は事務所の一室へ、豚は慌てて会議室の方へ向かっていった。
そうして半刻ほどソファで寛いでいると(そして物思いに耽っていると)、法子から声がかかった。
22: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:42:07.07 ID:7ab73rSh0
「時子さん。もしかして、何か悩みとかありますか?」
ふいにそう言って法子は私の隣へと座り、残ったモチモチリングを頬張る。
「何よ急に」
23: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:43:31.14 ID:7ab73rSh0
「――あはは、なんとなく悩み、わかりました」
「そんなものないって言ってるんだけど?」
「時子さん。こういう時は、喋るしかないんです、きっと。プロデューサーさんと。とことん喋りましょう!」
24: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:46:53.13 ID:7ab73rSh0
豚は部署の週間ミーティングを終えたところだった。
会議室の前で待ち伏せし、現れた豚は、私の顔を見ると驚きの表情を浮かべた。
「何よ、豚」
25: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:48:12.97 ID:7ab73rSh0
「た、確かにそうなんですけど、あの、ただ疑問に思っただけなんです、あれは。どうして時子様が向井さんの言われるがままになってるのか」
あぁ、あの女、向井っていうのね。
「質問なら、まぁ答えてやるわ。あの女が面倒になっただけよ」
26: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:49:44.36 ID:7ab73rSh0
「妥協しない? 私が? そう信じてるの、貴方?」
「え、いや、信じてるというか、そうですよね。……あの、あれ、時子様?」
信じている。こいつは信じている。
27: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:51:08.58 ID:7ab73rSh0
「アーッハッハッハ!」
「ええっ!? と、時子様? 突然笑い出してどうされたんですか!?」
不安げに、豚が言葉を発す。
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