過去ログ - 【ミリマス】午前五時よりの使者(なおしほ)
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6: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:48:09.51 ID:IfE//nEu0
せめて誰かいたなら雑談でもしてこの気持ちを紛らわせるのに。
みんなきっちり時間通りに来るのだろう。
やっぱり無理矢理でも寝ようかと思って机に顔を伏せようとした。
だがそのとき奈緒の耳に自分のものではない、何者かの音が届いてきたのだ。
誰だろうと奈緒は顔を上げて、その人物の到着を待った。もちろん期待に胸躍らせながら。
以下略



7: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:48:57.31 ID:IfE//nEu0
「志保……?」
楽屋に入って来たのは北沢志保。奈緒と同じ765プロに所属しているアイドルだ。

「なんで志保がおるん?」
「……呆れた」
以下略



8: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:49:55.41 ID:IfE//nEu0
二回目の台詞。それも心底ガッカリしたような顔を志保はしていた。
志保はため息を一つ吐いてから、手に持っていた自分の荷物をテーブルの上に置く。
数時間もすればテーブルの上はメイク道具やらアイドルの荷物やらで一杯になるだろう。
今は志保と奈緒の荷物しかなく、志保の荷物が机上の空白をより強調しているようだ。

以下略



9: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:50:35.50 ID:IfE//nEu0
「……まぁ冗談を本気と受け止めた私も悪いんですけど」

そう言って志保はスマホの画面を奈緒に見せる。
画面に写されているのは奈緒と志保の通話アプリでの会話だ。
それを見てすぐに奈緒は自分の過ちに気付いた。
以下略



10: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:51:11.38 ID:IfE//nEu0
『あーホンマに眠れへん! めっちゃヤバイわー』
『そうですか。私、そろそろ寝ていいですか』
『志保冷たい!』
『冷たくてもいいですから寝て下さい』
『いっそ朝まで起きてたほうがええんちゃうかな』
以下略



11: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:52:48.86 ID:IfE//nEu0
「奈緒さんのことだから結局朝早くから劇場に来るんだろうなぁと薄々思っていました。そうしたら案の定……」

志保の読みは当たった。内心当たって欲しくなかったに違いない。

「あはは……お見通しやったか。あ、でも何で志保来たん? 私が来るのは予想していたとしても志保が来る必要はないやん」
以下略



12: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:53:36.70 ID:IfE//nEu0
「それで、早く来て何をするつもりだったんですか?」
「んー最悪ここで寝ても誰かが起こしてくれるかなって。でもそれ以外はなーんも考えてへんねん」
「本当に考えなしで来たんですね。……それで、寝るんですか? いいですよ、私起きてますから起こしますよ?」

せやなぁ、と奈緒が言おうとすると静かな世界に突然の闖入者があった。
以下略



13: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:54:46.75 ID:IfE//nEu0
「もしかして朝ごはん食べてないんですか?」
「うん。『コンビニのご飯は駄目だよ!』って前に美奈子に怒られてもーてなー。
せやかてこんな朝早くにコンビニ以外開いてへんし、とりあえずケータリング来るまで水で耐えよかな思うてたんやけど」
「あぁ美奈子さん。それは仕方ないですね」

以下略



14: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:55:55.46 ID:IfE//nEu0
奈緒の言葉を聞かないふりをして、志保は自らのカバンから小さな布の袋を取り出した。

「……はい」
「や、志保。『はい』って言われても。それなんなん?」
「自分で確かめて下さい」
以下略



15: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:56:55.59 ID:IfE//nEu0
また視線を逸らした志保を横目に奈緒は早速弁当箱の蓋を開ける。
中身はさらに奈緒を感動させるものだった。

「おおおお! めっちゃ美味そうやん!?」
「ライブ前ですからあまり濃いものは避けましたけど」
以下略



16: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:57:46.57 ID:IfE//nEu0
「なぁなぁ、食べてもええ?」
「はい。そのためにつくっ……持って来たんですから」
「えへへ。ほな、いただきまーす!」

早速ひと口食べた奈緒。すぐに彼女の歓喜の声が聞こえてきた。
以下略



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