過去ログ - 【ミリマス】午前五時よりの使者(なおしほ)
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18: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:59:49.71 ID:IfE//nEu0
再び訪れた沈黙の時間。
時刻はまだ朝の六時前。
当然だが、楽屋に二人以外の誰かが現れる気配はない。
志保は暇つぶしの道具をスマホから本へと変え、その正面で奈緒は今日披露する曲を音楽プレイヤーで聞いていた。
互いに干渉することなく各々の時間を過ごしていた。
以下略



19: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:00:38.07 ID:IfE//nEu0
ほとんど眠れていないことと、食事を入れたこと、そして志保と話して心が落ち着いたことが原因だろう。
突然の眠気は、まるでせき止められていた川の水が堤防の決壊で一気に流れ始めてきたかのようだ。

「まだ集合時間もリハも何時間も先ですし、寝ていたらどうですか? 今のうちに少しでも休んでおかないと体力もたないと思います」
「せやなぁ……」
以下略



20: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:01:38.65 ID:IfE//nEu0
「……奈緒、さん? あっ、ソファのほうが寝やすいですよね。すいません、至らなくて」

楽屋のソファは驚くほどフカフカで座り心地がいい。
机に伏すよりもソファなら気持ち良く眠れるかもしれない。
志保はすぐにソファを明け渡そうと立ち上がろうとしたが、すぐに奈緒に制された。
以下略



21: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:03:28.07 ID:IfE//nEu0
「にひひ、やっぱりぴったりや。それに気持ちええなぁ」
「変なことを言わないで下さい! それと私まだいいとは言って……!」
「お願いやー。寝させてー今ならスッキリ眠れる気がすんねん。あとで何でもするからー」

その言葉はズルい。そう志保は思った。口には出さないけれど。
以下略



22: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:04:27.43 ID:IfE//nEu0
奈緒の要望に応えて志保はカバンの中から一冊の本を取り出した。
常にカバンに入れてあるお気に入りの一冊の絵本だ。
この絵本の朗読をするのは志保の弟が小さいころに読み聞かせて以来だった。
表紙をめくり、一呼吸入れてから最初の一文を口に出し始めた。

以下略



23: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:05:29.90 ID:IfE//nEu0
「さっき何でもするって言っていましたよね。……考えておきますから」

絵本を閉じ、ソファの脇に置いた。
空いた両手をどうしようかと思ったが、それを察知したかのように奈緒が左手を握ってきた。

以下略



24: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:06:27.21 ID:IfE//nEu0
そうは言うものの、志保も繋がれた手を積極的にほどこうとはしなかった。
奈緒の手は暖かく、まるで子供が眠いときに体温が上がっていくようだった。
志保は小さいころの弟も眠くなるとそうだったなと思い出す。
奈緒と同じく、弟が志保の手を離そうとしなかったことも。

以下略



25: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:07:28.61 ID:IfE//nEu0
「……んぅ」

再び目を覚ました志保の膝にいたのは奈緒だ。
眠る前と変わらずそこに彼女はいた。
時計を確認すると四時間ほど経過していた。奈緒の集合時間まであと一時間ほど。
以下略



26: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:08:47.18 ID:IfE//nEu0
再び奈緒の寝息を聞きながら時計が進むのを待っていたが、楽屋の外から明らかに自分たちではない何者かの声と足音が聞こえて来たのだ。

「おはようございます! ちょっと早めに来ちゃいまし……」
「あっ」

以下略



27: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:09:46.70 ID:IfE//nEu0
「百合子ちゃん、大声出してどうしたんでしょう? 亜利沙ビックリしちゃいました」
「何か中にいたのかしら。嬉しそうな顔していたのが気になるけど」

続々とやってくるアイドル達。
徐々に近づく声と比例して志保の焦りは高まっていた。
以下略



28: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:10:29.49 ID:IfE//nEu0
「……あぁーなるほど。だから百合子ちゃん」
「か、勝手に納得しないで下さい!」
「むふふ、これはスクープの匂いですね!」
「亜利沙さんやめて下さい! 誤解です!」

以下略



29: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:11:30.30 ID:IfE//nEu0


『今日はホンマありがとな』

家に帰って来てすぐに奈緒から志保へメッセージが届いた。
以下略



30: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:12:22.66 ID:IfE//nEu0
『そうですね。私は来月が新ユニット公演なので、その時奈緒さんも早朝に来てもらいましょうか?』

半分皮肉で冗談、もう半分は表現できない感情の言葉。
奈緒は何て返してくるだろうか。送ってから志保は不安になってきた。だから急いで『冗談です』と入力し、送ろうとした。

以下略



31:名無しNIPPER[sage]
2017/02/13(月) 22:16:55.29 ID:7IBfbWnr0
乙乙。最高でした。
なおしほいいものだ…


32: ◆Jnlik0MEGA[sage]
2017/02/13(月) 22:17:58.80 ID:ecxJ8/1v0
おつです

>>3
横山奈緒(17) Da
i.imgur.com
以下略



33: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 23:44:13.33 ID:8DvqH+lnO
書き忘れてましたが、今作は以前某合同誌に寄稿したものです。
2年近く前ですが、いい機会なので公開しました。


34:名無しNIPPER[sage]
2017/02/14(火) 08:38:04.56 ID:sEc559Ldo
なおしほキテる…


35:名無しNIPPER
2017/02/15(水) 02:34:16.90 ID:Y8r8jZC70
素敵。ええ感じ。


36:名無しNIPPER[sage]
2017/02/15(水) 13:07:27.90 ID:pKR9zOoDo
乙やで


37:名無しNIPPER[sage]
2017/02/15(水) 20:42:14.86 ID:W/GjIEZ5O
なおしほはパンツだけじゃ無かったのか!


38:名無しNIPPER[sage]
2017/03/12(日) 21:18:23.08 ID:Qp6kuaJQO
乙乙

お前なおしほの人だな?
今回もたまらん買ったです


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