過去ログ - 片桐早苗「あたしだけの特効薬」
1- 20
15:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:22:13.53 ID:2xfEaWy9O
(熱意に負けたってところかしらね……)

 あの後しばらく早苗は警察という職務に従事していた。不満はなかったが、満足はしていなかった。慣れてしまいルーチンと化してしまったのか。ただただ警察というものに情熱を抱けなくなったのか。わからないが、そう感じた時、早苗は名刺の番号を押していた。
 そこからはトントン拍子だった。もうあのスカウトの時から早苗の心はアイドルというものに傾いていたのだ。最初は不安しかなかった。本当に自分の選択は間違っていなかったのか。年齢も年齢だ。まだ若いという意識はあっても、世間はそう見てくれない可能性の方が高い。
 だけど、そんな不安をプロデューサーが全て吹き飛ばしてくれた。デビュー前、それは二人三脚と言っても過言ではないほどいつも一緒に頑張ってくれた。差し入れやメンタルケア、時にはレッスンの指導までしてくれた。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:22:56.43 ID:2xfEaWy9O
「ふわぁ〜」

 車内に大きな欠伸が響いた。欠伸の主はサイキックアイドル堀裕子だった。

「眠いなら寝ていいぞー」
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:23:32.02 ID:2xfEaWy9O
--
----
--------

「早苗さん、紹介したい二人がいます」
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:24:53.09 ID:2xfEaWy9O
「アー、アー、私は超能力者デース」

「普通に自己紹介しろ!」

「え? あ、はい。コホン……堀裕子、十六歳、特技は超能力です!」
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:25:28.57 ID:2xfEaWy9O
「早苗さんと雫、裕子の三人にはユニットを組んでもらう」

「ええ!!」

 驚きの声を上げたのはサイキック少女裕子だった。というか、裕子は知らなかったのかと早苗はそちらに驚いた。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:25:59.39 ID:2xfEaWy9O
 そこでやっと思い出した。この懐かしさは早苗をスカウトしていた時のプロデューサーの熱と全く一緒なのだ。自然と笑みが漏れてしまう。

「お、どうしました早苗さん。楽しそうじゃないですか」

「そりゃそうよ。こんな楽しそうなことないわよ! 二人とも安心しなさい! お姉さんがビシバシ鍛えて、引っ張ってあげるわ!」
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:26:49.60 ID:2xfEaWy9O
「まあ、職務中の婦警さんをナンパしちゃうような下心持った人の言葉と、熱意溢れるアイドルお姉さんの言葉じゃ、重みが違うってことじゃないかしらねえ」

「え? プロデューサーそんなことしてたんですかー?」

「ちち、違う! ナンパじゃない! スカウトだスカウト!」
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:27:26.87 ID:2xfEaWy9O
 気付いた時にはプロデューサーは早苗相手にもタメ口になっていた。タメ口になってると気付いた時、早苗は嬉しかった。距離が近づいた気がしたから。
 別に異性として好きなわけではない。正直容姿的に言えばアウトオブ眼中というやつだ。プロデューサーとアイドル。その枠組みにおいてはプロデューサーは誰よりも信頼できる人だった。いわば相棒というものか。信頼できる相手というのは本当に居心地がいい。めんどくさくない。早苗はそう考えていた。

「ほら着いたぞー。早苗さん、そいつら起こして」

以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:27:56.30 ID:2xfEaWy9O
「三人ともお疲れ様。だけど、ライブまでもう日がない。しばらくきついレッスンになるが頑張ってくれ」

「うー、頑張りますー」

「ふ、ふふふ、サイキックアイドルユッコに、任せてください!」
以下略



24:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:28:23.60 ID:2xfEaWy9O
 早苗から日報を受け取り、確認する。
 この日報制度だが、実は会社が取り入れているものじゃない。このプロデューサー個人が実施しているものだ。日報からアイドルの状態やレッスン状況、進捗などを確認する目的で始めた。少し負担になるかもしれないが、それ以上にメリットがあると思っているため、プロデューサーはこれを廃止しない。

「はい。ありがとうございます。じゃ、帰っていいよ」

以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2017/03/07(火) 23:28:52.47 ID:2xfEaWy9O
「……あたしがここまで夢中にさせられるとは思わなかったわ」

 早苗さんのその表情からは真剣味が感じ取られたため、プロデューサーは黙って聞くことに徹した。

「最初は変な奴に絡まれたと思ったけど、どんどん心を占める割合が大きくなっていって、気付いたらアイドルになってた。デビューするまでは不安でいっぱいだったけど、デビューして初めて、初めてあんなに楽しいと思えたわ……ほんと、顔に似合わずいい手腕だったわ」
以下略



30Res/26.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice