34:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:37:46.18 ID:ha7ZcpN9o
…
夕暮れの港、どこか寂しげな汽笛が遠鳴り、残響を揺らしている。
本来ならまだ港湾労働者たちが残っているはずの時刻なのだが、穂乃果が周囲を見回してみてもまるで気配がない。
35:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:38:19.51 ID:ha7ZcpN9o
威勢良く放った初撃から一転、くるりと踵を返して逃走に転じる。
穂乃果は存外冷静…と言うより、とんでもなく肝が座っているタイプ。
ピンチにも決断力は鈍らない!
36:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:38:45.60 ID:ha7ZcpN9o
鳥に比べて優雅な印象の蝶の羽ばたき。しかし生じる風はまるで小規模な台風。
穂乃果とヒトカゲは風の壁に殴りつけられ、体がふわりと空に浮く。
飛び、転び、叩きつけられて擦れる頬。
ヒトカゲに刻まれたダメージはさらに重い!
37:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:39:16.11 ID:ha7ZcpN9o
あんじゅ「ゆっくりおやすみなさい?あなたのヒトカゲちゃん、私がもらって有効活用してあげる」
穂乃果「そんなの…嫌だ!お願い、キャタピー!」
38:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:39:51.77 ID:ha7ZcpN9o
新たに射出した糸がもう一台のクレーンフックを捉え、穂乃果はターザンめいた、あるいはスパイダーマンめいた挙動で勢いよく空を切る。
水面すれすれ、たとえ水でも激突すれば死にかねない速度で穂乃果の体は海上を滑空。度胸が据わっている。
腕にブレーサーのように装着したキャタピーが全力で踏ん張っている。
小さな体にかなりの負担をかけているはずだが、そこはポケモン。人間よりはよほど頑丈に出来ている。
39:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:40:22.17 ID:ha7ZcpN9o
ヒトカゲが全力で放った炎はキャタピーの糸へと引火する。
火に弱いむしタイプの糸、もちろん可燃性でよく燃える。
火の粉は炎へと姿を変え、張られた虫糸のラインを辿って一直線にあんじゅへと向かっていく!
そう、これは擬似的な“かえんほうしゃ”だ!!
40:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:40:49.66 ID:ha7ZcpN9o
…
英玲奈「キリキザン、“つじぎり”」
41:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:41:22.04 ID:ha7ZcpN9o
ジム戦の経験を経て、ケロマツは技の使い方をさらに上達させている。
波動を球形ではなく楕円形に、ラグビーボールのような形状へと変化させて投じることで、風の抵抗を減らして命中精度を高めているのだ。
しかし。
42:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:41:50.52 ID:ha7ZcpN9o
キリキザンから放たれた黒い波動が、登るケロマツへとめがけて広がっていく。
そして恐るべきことに、技の効果範囲は海未をも含んでいる。
海未は英玲奈の目を目に、その冷めきった光に確信を得る。
偶然の巻き込みではない、意図してトレーナーをも狙った攻撃!
43:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:42:24.16 ID:ha7ZcpN9o
ケロマツの放った水弾は空中で炸裂。
人同士の争いなどどこ吹く風、パタパタと空を舞っていたオニスズメを撃墜したのだ。
あくまで目を回させただけ、落ちても死なないようにクッションになる“あわ”を添えて、ともかくオニスズメを一匹撃破。
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