857:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:26:23.43 ID:ha7ZcpN9o
一撃必殺技、“つのドリル”は命中率が三割ほどとされている。
ツノへと螺旋回転するエネルギーを纏わせ、全力で猛進して相手へと叩き込むのだ、倒せないはずがない。
ただし、命中に関しては全力での突撃がネックとなる。
なにしろツノを相手に向けた状態での疾駆、視界がまるで確保できないのだ。
858:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:26:53.05 ID:ha7ZcpN9o
絵里「……」
無言。足元を掬われ、悔しさを滲ませている。
静かにパルシェンを回収し、ボールへと小さく労いの声を。
859:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:27:37.39 ID:ha7ZcpN9o
ふらつきながら、それでも瞳には力強さを残したままにダイヤが現れる。
左腕の全体が氷に覆われていて、他にも細かな傷に満身創痍。
だがその表情は、一局の勝利を鞠莉へと雄弁に知らせている。
傍らにはエンペルトとディアンシー。
860:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:28:13.45 ID:ha7ZcpN9o
鞠莉「…Wha、t…?」
息が冷たい。指先がかじかむ。
鞠莉の全身から力が抜け始めている。
861:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:29:00.34 ID:ha7ZcpN9o
絵里が切り札、メガユキノオーを出し渋ったのには理由がある。
氷使いである絵里にとって、戦況は凄まじい逆境からのスタートだった。
鞠莉の戦略、大量の炎ポケモンで取り囲まれるという完全なる対策。
862:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:29:30.16 ID:ha7ZcpN9o
絵里「小原鞠莉、厄介だったわ。本当に」
ダイヤ(……く、っ…私も…!)
絵里「眠くなってきたかしら。そのまま目を閉じなさい、氷の揺り籠は万人に等しく優しいわ」
863:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:29:57.79 ID:ha7ZcpN9o
鞠莉のギャロップ、ダイヤのガラガラまでもが意識を薄れさせていっている。
火勢は緩み、炎が氷に屈しようとしている。理が捻じ曲げられている。
エンペルトに、伝説のポケモンであるディアンシーまでもが同様に。
ダイヤは気が付く、肺腑が奥まで凍り始めている事に。
864:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:30:24.37 ID:ha7ZcpN9o
ダイヤ「……絵里、さん、貴女は今、私を殺そうと…?」
絵里「そうね。苦痛を少なく死ねるように、調整はしているけれど」
865:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:30:55.41 ID:ha7ZcpN9o
ダイヤ「関係、ない…っ!」
絵里「無茶よ」
ダイヤ「断じて!!断じて絵里さんは、罪なき人々を殺めるような方ではありません…」
866:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:31:27.47 ID:ha7ZcpN9o
絵里、メガユキノオーは、厳冬をダイヤへと集めていく。
これは死地。両親の、そしてルビィの顔が脳裏によぎる。
だが今のダイヤは、安心してそれを横に置くことができる。
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