725: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2018/02/26(月) 02:01:04.23 ID:4Lj0x3aA0
家の中に入り、浜村に突き付けられたその重い事実に、いつもより足取りが重くなるのを放浪者は感じていた。内心、出る前に山中と一言交わしてから飛び出したのだから、そこまで怒ってはいない。と高を括ろうとしたが、自室の中に入り、目に入った相棒の様子は、当然のように怒っていた。
もちろん、デスクに向かって今日の任務について記録を無言で残しているだけだが、彼だけにはわかる怒りを、こちらに向けてきている。ゆっくりと、中に入りドアを閉める。そのまま自分が使っているベッドに腰かけて、彼女の動くのを待とうとした。
だが、思うのより早く、彼女は立ち上がる。ゆっくりとした動作で放浪者の前にたって、膝立ちになり恨めしい顔を彼の顔に近づけた。吐息を感じる。
726: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2018/02/26(月) 02:18:43.54 ID:4Lj0x3aA0
山中の怒りが収まるまで摘ままれた放浪者の両頬は、それなりに赤くなった。
「…オーガ、及び先ほど名付けたカマイタチという上位種は、恐らくバリケード内に潜んでいる。引き続き、大型駅エリアそのものの脅威は変わりない。大型駅確保も、当面の活動に関わる。あのエリアを解放、そして確保してようやっと文明復活の足がかりが整う」
「いよいよの大詰めになりましたね」
727: ◆e6bTV9S.2E[saga sage]
2018/02/26(月) 02:20:24.31 ID:4Lj0x3aA0
>>719
受けました。
>>720
わりと洒落にならないんだけど、否定できない自分が嫌。
728:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 10:13:05.96 ID:C0tRLVF90
乙!
理不尽な怒りをぶつけられるんじゃなければ、落ち着いたもんだなぁ
729: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2018/02/27(火) 00:49:28.86 ID:YMK6GQZv0
井門は火器保管庫にいた。彼もまた、今回の戦いにおいて消耗した弾薬のチェックや、火器のメンテナンスをいつも通り行っている。移動距離としては、彼が最も大立ち回りをしたと言っていい。その事での疲労も十分あるのにこうしているのは、井門の持つバランス感覚が、重大な戦いの後だとしても浮かれられない。ちょっとした損な気質とも言える。
「井門さん、いますかー?」
「あぁ、どうした。一ノ瀬」
730: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2018/02/27(火) 01:09:36.45 ID:YMK6GQZv0
「なんていうか…」
テラスの上から、外を警備しながら三間が呟く。隣にいる蒲谷は、その声に緩く顔を向け、次の言葉を待った。
「すごい戦いがあったはずなのに、何か、昨日と同じになっちゃうんですね」
731: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2018/02/27(火) 01:29:26.79 ID:YMK6GQZv0
「小林…、無事皆で生き延びることができたよ…」
月明かりの中、林道は小林の墓の前で今日のことを報告していた。補給部隊に覚と勝が来ていたことに驚いたこと、同時にそれが自然な流れなのだと納得したこと。この奇跡とさえいえる勝利は、間違いなく放浪者によって得られたことなどを、思い思いに。
「…。勝は、きっと近いうちに独り立ちするだろう。それまでに、教えられる技術は教えておかないと。何かあったでは、遅いのだから」
732: ◆e6bTV9S.2E[saga sage]
2018/02/27(火) 01:54:11.24 ID:YMK6GQZv0
>>728
まぁ、本人怒られてるのもわかってるからね。
何かできました
733:名無しNIPPER[sage]
2018/02/27(火) 07:19:53.22 ID:nOEYRDVG0
乙!
あの時は確か、位置的に言えばチャンスが全く無い訳ではなかった筈なんだけど、気付いたのは、事後の怒りの波動を覚ちゃんが感知してやっとの事だからねぇ。早い事会えなかったのは、俺らとしても悔やまれます
734: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2018/03/01(木) 00:25:45.13 ID:UTKXfdDA0
「ねぇ、勝」
いつも通り優しく、覚は声をかける。あの戦いがあった後だというのに、彼もまた、なんでもなかったように携帯ゲームで遊んでいた。
「もし、ね」
1002Res/657.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。