2: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 00:22:51.69 ID:g6bPWNIPO
チク、タクと時計の秒針が自己主張を止める様子はない。
現在時刻は午後5時、場所は346プロダクション第5芸能課の事務室。
今日の仕事は終わったっていうのに、会議があるからと帰宅は許されなかった。
3: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 00:29:32.35 ID:g6bPWNIPO
「…………」
部屋の中央のテーブルを挟んで置かれているソファ、その片方に俺と飛鳥は並んで座っていた。
「…無視は良くないと思うんだが……それと、その、それ、やめてくれないか」
4: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 00:34:25.51 ID:g6bPWNIPO
事の顛末としてはこうだ。
仕事を終え、手持ち無沙汰になったところにソファで雑誌を読む彼女が目につき、隣に座り、その髪に手を伸ばした。
たったそれだけのことだった。
「…確かにエクステじゃない、けど」
5: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 00:43:20.60 ID:g6bPWNIPO
彼女が何を言っているか聞き取れなかった。
俺は疲れているんだろうか、そんなはずはない。
嫌なことには慣れているはずだ。
6: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 00:50:58.19 ID:g6bPWNIPO
「嫌だったら言え」
「……えっ…と…」
彼女はやはり困惑した後、曖昧な表情で返した。
7: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 00:55:45.52 ID:g6bPWNIPO
「仕事、辞めたいな」
ぽつりと、口から溢れた。
目の前の少女に聞こえるようにわざと言った。
8: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 01:04:26.85 ID:g6bPWNIPO
「それで、今日はそんな思い詰めた顔をしていたのかい?」
彼女からの返事は、結論ではなかった。
その質問に意味はあるのか。
9: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 01:11:06.39 ID:g6bPWNIPO
孤独だ。
誰も、俺のことなんて分かってはくれない。
理解してほしい、共感してほしいなんてことは言わない。
10: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 01:20:03.17 ID:g6bPWNIPO
頭の中では、そんな小芝居ががった独白まで展開され始めた。
少しも笑えはしなかった。
「ボクが死んだら、どう思う?」
11: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/04/27(木) 01:27:43.08 ID:g6bPWNIPO
彼女の髪に伸ばしていた手を掴まれ、ぐいと引っ張られた。
身構えていなかったので、座っていながらにバランスを崩し、彼女の方に倒れかかる。
当然、俺の体の倒れる先には彼女がいて。
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