【オリジナル】「治療完了、目をさますよ」2【長編小説】
1- 20
243:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 18:57:18.30 ID:vhS4jR9Y0


「先生? 先生!」

呼びかける声が聞こえた。
以下略 AAS



244:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 18:57:52.62 ID:vhS4jR9Y0
「二時間後の十五時からです。診察は空いてらっしゃるとお聞きしましたので……」
「今日は、別の先生が担当してくださるの。大丈夫、時間になったら会議室に行きます」

二十代前半程の彼女……汀は、眼鏡の奥の左目を細めて、小さく首を傾げた。

以下略 AAS



245:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 18:58:20.85 ID:vhS4jR9Y0


関東赤十字病院の中庭に車椅子を進め、汀は街路樹が並んでいる隅のベンチ、その脇に停止させた。
彼女の眼鏡の奥の右目は白濁していた。
視力は完全にない。
以下略 AAS



246:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 18:58:49.54 ID:vhS4jR9Y0
「元気そうだな」

そこで汀は声をかけられ、顔を上げた。
彼女の前に、スーツ姿の初老の男が立っていた。
彼は堀りが深い顔で汀を見下ろして、言った。
以下略 AAS



247:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 18:59:25.06 ID:vhS4jR9Y0
軽口を叩いてきた汀に笑いかけ、彼はタバコに火をつけ、フーッと息を吐いた。
煙の匂いをかぎながら、汀はパックの野菜ジュースのストローを口にくわえた。
彼女の膝の上に置いてある、動かない左手の薬指には、プラチナの指輪がはまっていた。
それをしばらく見つめてから、男性は視線を青い空へと向けた。

以下略 AAS



248:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 18:59:52.61 ID:vhS4jR9Y0
そして小さく、ポツリと言う。

「網原……いや、大河内君。私は、君に謝らなければいけないことがある」
「それはそれは。会議までに終わるかしら」

以下略 AAS



249:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 19:00:23.28 ID:vhS4jR9Y0
「そうだ」

汀は少しの間沈黙していた。
そして、動く右手で、白濁した右目をなでた。

以下略 AAS



250:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 19:00:49.42 ID:vhS4jR9Y0
「消えることはない。私は、一生そのカルマを背負い続け、一生苦しまなければいけないんです」
「…………」
「それはいつか、私の心を蝕み、体は朽ちて、死へと誘っていくでしょう。私は、やはり苦しみの中で死ぬのかもしれません」

汀は、しかし男の方を向いて、屈託なく笑ってみせた。
以下略 AAS



251:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 19:01:25.94 ID:vhS4jR9Y0
「ドクター大河内!」

そこで背後から声をかけられ、汀は振り返った。
少し離れたところで、金髪の背が小さな女医が、パタパタと走ってくるところだった。

以下略 AAS



252:天音 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2017/05/25(木) 19:01:55.72 ID:vhS4jR9Y0
「さっきよ。っていうか、私昨日飛行機の中からあなたにメールしたわよ。見てないの?」
「あら……ごめんなさいね。忘れてた」

屈託なく言われ、ソフィーは肩をすくめて汀の車椅子、その取っ手を掴んだ。

以下略 AAS



281Res/203.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice