2: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:06:25.83 ID:QqWy6NJ20
勇者「ぷふっ……! おい、サキュバスB! いい加減に――――ん……?」
目を凝らして、カーテンの間から差し込む薄明に照らされたそれは、“枕”だったが……
ただし、その高さはまるで違う。
3: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:06:58.31 ID:QqWy6NJ20
勇者「何だ、ここは……」
最初に目に映ったのはあまりに……あまりに広いベッドだ。
見慣れた支柱の象嵌、確かに見覚えのある毛布と天蓋から下がる目隠しの薄絹。
4: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:07:38.06 ID:QqWy6NJ20
勇者(え……? これ、俺の……手、なの……か……?)
伸ばした利き手に宿る小さな爪、細すぎる指、刻まれていたはずの戦傷は跡形もない。
それは伸ばした先にある水差しの背丈と見比べると、ことさらに異様だった。
5: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:08:43.20 ID:QqWy6NJ20
*****
不格好にだぶついたシャツの袖は、三度も折り返してようやく手が出た。
裾はまるで大外套のように腿まで伸びていた。
ズボンの裾もまた同様で――――穴が足りないベルトそのものを結んで留める有り様だ。
6: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:09:42.81 ID:QqWy6NJ20
勇者「……堕女神、正直に答えてくれ。今の俺は……どうなってる?」
堕女神「……本当に、申し上げてもよろしいのでしょうか?」
7: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:10:57.50 ID:QqWy6NJ20
勇者「……何で?」
堕女神「申し訳ありません、私にも……事態が……」
8: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:11:25.99 ID:QqWy6NJ20
堕女神「……流石にこれも、病のせい……とは……」
勇者「いくらなんでも無いだろう。誰かの呪いか? でなきゃ……薬? それとも……」
9: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:11:53.54 ID:QqWy6NJ20
*****
数日前、王都近郊の森の中をナイトメアの背に揺られて散策していた時の事だった。
清澄な空気が満ちて、川のせせらぎが鳥の声とともに耳を楽しませる、時を忘れさせてくれるような一時を過ごした。
10: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:12:32.83 ID:QqWy6NJ20
訥々と、拙い片言で用件だけを手短に言い、刺すような抜き身の言葉で彼女は話す。
馬の姿のままでも発語はできるはずなのに、人の姿をしている時しか話そうとしない。
それどころか馬の時には馬としてしか振る舞わない素っ気のなさが、彼女の特徴だった。
11: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/07(月) 23:12:59.93 ID:QqWy6NJ20
勇者「そう、あの頃はさ……小さい森だったのに、ただ歩いてるだけで楽しかったな。見た事無い虫もいっぱいいて……」
ナイトメア「ふーん……」
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