【かぐや様は告らせたい】かぐや様は撮ってみたい
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1:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:08:42.97 ID:NkLupBRF0
かぐや「生徒会のPVですか?」
白銀「ああ。どうやら学校のホームページを新しく作り直すらしくてな、部活やら委員会の紹介ページに生徒会も載せたいという校長の意見で、俺たちもPVを撮る事になった。撮る事になったんだが……。 」
かぐや「どうしたんですか、会長。そんな苦々しい顔して」
白銀「……言いにくいんだが……実はその〆切が明後日なんだ」
かぐや「……それは随分急な話ですね」
白銀「すまん。俺のミスだ。どうやら〆切の期限を間違っていたみたいだ」
かぐや「いえいえ、会長。間違いは誰にでもある事ですからお気になさらず」
2:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:10:07.56 ID:NkLupBRF0
白銀「そう言ってくれるとありがたい。迷惑をかける。早速、映画部から借りてきたこのカメラで撮影しようと思うんだが、石上会計。動画編集とかはできるか?」
石上「簡単なものなら出来ますが、凝ったものは作れませんよ。いいんですか?」
白銀「ああ。生徒会の活動風景を軽くまとめるだけで構わないだろう。あっいや、四宮は映れないんだったよな」
3:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:10:39.79 ID:NkLupBRF0
時は一週間前に遡る。生徒会室に一人先についたかぐやは、会長の机の上の束になったプリントの山を崩してしまう。元通りしようとしたその時、一枚のプリントがかぐやの目に留まったのだった。
かぐや「生徒会のPVですか……。また、酔狂なものをあの校長は…。〆切が近いようなので早く会長に伝えないといけませんね」
と、プリント達を再び積み上げたその時!かぐやに電撃が走る!
4:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:11:38.09 ID:NkLupBRF0
今まで撮りたいものなどなかったかぐやにとって、それは初めての経験。誰彼構わずパシャパシャと写真を撮る人を昔は軽蔑しさえしていた。だが今は違う。撮りたい人、撮りたい風景、撮りたい世界ができて初めてその気持ちを理解できたのだ。
そんなかぐやにとってこの状況は正に天啓!
気兼ねせず撮りまくれる状況はそうは来ないだろう。
5:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:12:12.45 ID:NkLupBRF0
白銀(やべやっちゃたよ。会長が締め切り忘れなんて笑えないわ。生徒会のメンバーに申し訳ないわ)
効果は抜群だ!
白銀という男は、実直、誠実を地でいく男である。そのため、他者に迷惑を掛けることなどあってはならないこと。そう思っているのだった。
6:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:12:48.09 ID:NkLupBRF0
罪悪感である!ここに来て痛恨の失態!ブーメンである!
今、会長のことを困らせているのは、自分の身勝手のせいだという事に気がつき、無意識下に押し留めていた会長に迷惑をかけている事への罪悪感が膨れ上がったのだった。
かぐや(くっ。まさかこんなことで躓くとは。ですが、自分の感情は操作可能です。それよりも恐ろしいのは……)
7:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:13:29.75 ID:NkLupBRF0
かぐや「やっときたのね、藤原さ……って泣いてる!?」
藤原「ぐすっぐすっ。うぇーーーーーん」
藤原は顔を涙でぐしょぐしょにしながら入ってきた。
8:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:14:49.45 ID:NkLupBRF0
石上「はいはい。分かりましたから、仕事しましょう。急ぎの仕事があるんですよ」
藤原「むぅーー、ん?急ぎの仕事ですか?」
白銀「ああ。実は俺が忘れていたせいなんだが、明後日までに生徒会のPVを撮らなきゃならないんだ。四宮は顔を出せないから俺たち3人が映る事になる」
9:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:15:16.66 ID:NkLupBRF0
藤原「うーん。あそこの場面は難しいから、こっちにしたいけど、急に雪なんて降らないですし……かぐやさん?確か、顔を出せないからPVには出ないんですよね」
かぐや「そうですよ」
藤原「なら大丈夫ですね。決まりました!夕陽をバックに会長とかぐやさんを撮ることにします!」
10:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:16:09.83 ID:NkLupBRF0
藤原「ちっちっちっ。分かってないですねー。石上助手」
石上「なんか嫌なんでその指やめて下さい。それに勝手に助手にしないで下さい」
白銀「顔を見せられない四宮をどうやってPVに出すんだ?」
11:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:16:40.57 ID:NkLupBRF0
白銀暫しの塾考。魅力的な提案であった。夕陽に照らされた四宮はさぞ美しいだろう。それを間近で見られるなんて、なかなかないことだと。だが、同時にそんな近くで見たら絶対に動揺を隠せない。
そう考えを巡らせ拒否しようとしたが、まてよと立ち止まる白銀。ここで理由なく拒否すれば四宮の攻撃材料になってしまうのでは。
そう、例えば、
12:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:17:09.36 ID:NkLupBRF0
そう思い、白銀は四宮にパスをした。同じ思考に至ると思ってのことだったのだが。
白銀「そんなの四宮が嫌がるだろ。なぁ、四宮?」
かぐや「いえ、それでいきましょう」
13:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:17:56.26 ID:NkLupBRF0
白銀「まぁ、いい意見だが、肝心の仮面がないと話にならな……ってあるんかーい!!!」
藤原は後ろ手に持っていた仮面を見せる。
藤原「こんなこともあろうかと演劇部から持ってきていました」
14:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:18:22.94 ID:NkLupBRF0
藤原「よーい、スタート!」
黄昏。昼と夜とが重なり合う時間。生徒会室には仮面をつけた少女がいた。ぼおっと窓から夕陽を眺めている。
その姿はあまりに儚く、ともすれば何処かに消えてしまいそうな危うさを孕んでいた。赤い色彩で満ちているその部屋に音は存在せず、ただ鮮やかさだけが居残っているようだった。
15:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:18:48.98 ID:NkLupBRF0
少女は逃げられる。今までも少女の仮面を外そうとする人はいた。親切心からも、嗜虐心からも。
少女はずっと逃げてきた。逃げる事は楽だった。それに、泣いたってこの仮面が全て隠してくれる。辛いことをただ耐えればいいだけなのだ。それが人生だと思っていた。でも、その男の手からは逃げられなかった。今までと手とは違うものを感じたから。
だから、少女は目をゆっくり閉じた。冷たく張り付いた仮面を取ってくれると信じて。
16:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:20:04.46 ID:NkLupBRF0
かぐや「ふふっ。そうですか……」
白銀「それはよかった……」
二人ともぜいぜいと肩で息をしていた。メンタルの消耗が激しすぎたためである。本当ならば今すぐやめたいと思っていた。これ以上は命に関わると。しかし、引くに引けない状況はすでに出来上がっており、逃げ道は存在しない。
17:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:20:32.62 ID:NkLupBRF0
藤原「次は、例のシーンですよ。ついに仮面を外すときがきましたよ!さあ、準備してください!」
藤原「いきますよー。よーいスタート!」
18:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:21:00.48 ID:NkLupBRF0
二人の心臓は破裂せんばかりに鼓動していた。目の前の相手に音が聞こえてしまうかもと心配するほど。目を合わせた二人は暫くの間、彫像のように固まっていた。
頭の中がふわふわして何も考えられない。
随分と長い間見つめあった白銀とかぐやは流石に長すぎる、と藤原の方に視線を向けた。藤原は何やらカンペを持っていて、そこには
19:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:21:36.41 ID:NkLupBRF0
普段ならば灰色の脳細胞が詰まっている彼らの頭の中に今詰まっているのは、幸せのふわふわである!
即ち、思考力ゼロ!
だから
20:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:23:00.76 ID:NkLupBRF0
白銀とかぐやの視線が再び交錯する。
白銀とかぐや((綺麗な瞳))
そして、二人はゆっくりと顔を近づける。夕陽の魔法にかかったような二人。小賢しい策略なんてものからは離れた世界。唇が触れ合わんとしたその時!
21:名無しNIPPER[saga]
2019/02/03(日) 18:23:28.23 ID:NkLupBRF0
柏木「あっ。なんかお取り込み中だったみたいで、ごめんなさい。また今度きます」
そう言って、部屋から出て行った。
刹那の後、我に帰ったのは白銀とかぐや。
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