都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達…… Part13

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/05/28(日) 10:15:48.42 ID:R3nPpPvp0
「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」とは
  2ちゃんねる - ニュー速VIPで生まれた
  都市伝説と契約して他の都市伝説と戦ってみたりそんな事は気にせず都市伝説とまったりしたりきゃっうふふしたり
  まぁそんな感じで色々やってるSSを書いてみたり妄想してみたりアイディア出してみたりと色々活動しているスレです。
  基本的に世界観は作者それぞれ、何でもあり。
  なお「都市伝説と…」の設定を使って、各作者たちによる【シェアード・ワールド・ノベル】やクロス企画などの活動も行っています。
  舞台の一例としては下記のまとめwikiを参照してください。


まとめwiki
  http://www29.atwiki.jp/legends/
まとめ(途中まで)
  http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html
避難所
  http://jbbs.livedoor.jp/otaku/13199/


■注意
  スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
  本スレとはあまりにもかけ離れた雑談は「避難所」を利用して下さい。
  作品によっては微エロ又は微グロ表現がなされています。

■書き手の皆さんへ
  書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップ推奨(どちらも非強制)
  物語の続きを投下する場合は最後に投下したレスへアンカー(>>xxx-xxx)をつけると読み易くなります。
  他作品と関わる作品を書く場合には、キャラ使用の許可をスレで呼びかけるといいかもしれません。
  ネタバレが嫌な方は「避難所」の雑談スレを利用する手もあります。どちらにせよ相手方の作品には十分配慮してあげて下さい。
  これから書こうとする人は、設定を気にせず書いちゃって下さい。

※重要事項
  この板では、一部の単語にフィルターがかかっています。  メール欄に半角で『saga』の入力推奨。
  「書き込めません」と出た時は一度リロードして本当に書き込めなかったかどうか確かめてから改めて書き込みましょう。
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/05/28(日) 10:17:12.67 ID:R3nPpPvp0
◆用語集

 【都市伝説】→超常現象から伝説・神話、それにUMAや妖怪のたぐいまで含んでしまう“不思議な存在”の総称。厳密な意味の都市伝説ではありません。スレ設立当初は違ったんだけど忘れた
 【契約】→都市伝説に心の力を与える代わりにすげえパワーを手に入れた人たち
 【契約者】→都市伝説と契約を交わした人
 【組織】→都市伝説を用いて犯罪を犯したり、人を襲う都市伝説をコロコロしちゃう都市伝説集団
 【黒服】→組織の構成員のこと、色々な集団に分けられている。元人間も居れば純粋培養の黒服も居る
 【No.0】→黒服集団の長、つおい。その気になれば世界を破壊するくらい楽勝な奴らばかり
 【心の器】→人間が都市伝説と契約できる範囲。強大な都市伝説と契約したり、多重契約したりすると容量を喰う。器の大きさは人それぞれである。器から少しでも零れると…
 【都市伝説に飲まれる】→器の限界を迎えた場合に起こる現象。消滅したり、人間を辞めて都市伝説や黒服になったりする。不老になることもある
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/05/28(日) 10:19:58.98 ID:R3nPpPvp0
◆歴代過去ログ

Part 1 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1306/13068/1306854629.html
Part 2 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1310/13107/1310721571.html
Part 3 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1316/13160/1316003174.html
Part 4 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1318/13186/1318689302.html
Part 5 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1324/13246/1324651745.html
Part 6 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1328/13281/1328185735.html
Part 7 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1330/13305/1330588813.html
Part 8 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1341/13417/1341731297.html
Part 9 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1361/13613/1361373676.html
Part10 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382952233/
Part11 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440331914/
Part12 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1483444899/
4 :単発  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2017/06/05(月) 11:13:55.33 ID:fQci9Mfz0
ここはとある料理教室
女子高生から主婦、嫁入り前からお婆ちゃんまで、殆ど女性だが老若は様々
包丁の音や煮えた音、幾つもの音が飛び交う中、練り歩くのは美しい黒髪の女性
どうやら、この料理教室の先生のようだ

「はい、繰り返しますね皆さん
 今日のテーマは“夏”です
 冷たいもの、逆に熱いものでも構いません
 夏の食卓を彩る素晴らしい料理を考えてください」
「せ、先生! 出来ました!」
「えーホントにこれで良いの?」
「良いから良いから」

そう言って手を挙げたのは、学校帰りだろうか、女子高生2人組
片方は自信満々だが、もう片方はやや自身がなさそう、というよりげんなりしているようだった

「あらあら、元気ですね。どんな料理ですか?」
「はい! カキ氷にかき揚げを乗せてみました!」
「……えっと先生、この子ちょっとおバカなんです」
「ちょっとそれどういう意味!?」
「うふふ、発想は凄く素敵ですね
 シロップの代わりに天つゆをかけてるのも芸が細かいです」
「ほら見て、評価されちゃったよ!」
「でもこれだと“食べ合わせ”が悪いですね」
「「え?」」
「温かい天ぷら、体を冷やすカキ氷
 一緒に食べると胃がビックリしてあまり良くないんですよ」
「そ、そんなぁ」
「凄くクールに否定されてる…」
「その盛り付けは面白いので、氷の代わりに何か使ってみると良いと思います
 大根おろしなんて、カキ氷っぽいと思いませんか?」
「なるほど、天ぷらにも合う! 大根おろし作る!」
「うふふ、頑張って下さい」
「あ、あの…」

恥ずかし気に手を挙げるのは、若い女性だった
左手の薬指に輝く指輪を見るに、結婚したての新妻といったところか

「あらごめんなさい、そちらも出来ましたか?」
「は、はい…トマトやキュウリ、オクラを使った夏野菜のサラダなんですけど…」
「ん、すごく綺麗ですね、とてもいい盛り付け方です!
 それにトマトとキュウリは、どちらも体を冷やす作用があるので夏にはピッタリなんです」
「あ…ありがとうございます」
「でも、これも覚えておいて下さい
 トマトとキュウリ、よく見る組み合わせですが、そのままだと意外に相性が悪いんです」
「えっ…それも、さっきの“食べ合わせ”?」
「「トマトとキュウリも!?」」

“食べ合わせ”というワードを耳に挟んだ女子高生2人が、大根を片手に割り込んできた
うふふ、と“先生”と呼ばれる女性は笑う

「トマトはビタミンCが多く含まれてます
 ビタミンCは癌や脳卒中、心臓疾患など、様々な重い病気を抑えてくれる重要な栄養分です
 しかし、キュウリにアスコルピナーゼは、この大事なビタミンCを壊してしまいます
 その大根も、ビタミンCが多いからキュウリとは相性が悪いですね
 ちなみに、人参もキュウリと同じアスコルピナーゼを含んでいます
 死んでしまうような重大なことではないけれど、折角ならちゃんと摂っておきたいですよね」
「う、うーん……キュウリではなく、何かに変えた方が良いんでしょうか」
「いえ、実は一手間加えるだけで良いんです
 アスコルピナーゼは熱と酸に弱い」

ひょいひょい、と“先生”はお酢とオリーブオイルを取り、
簡単なドレッシングを作り上げ、そのサラダに振りまいた

「こうすれば、ビタミンCも効率よく摂れますし、美味しく頂けるかと思いますよ?」
「「「……お、美味しい」」」
「あら、これでは私が作ったみたいですね;」
「でも、“食べ合わせ”が悪いものって結構あるんですね」
「そうですね、中には一生出会わない組み合わせもありますけど
 一番気をつけた方が良いのは、ドリアンとビールですね」
「ドリアン…テレビでしか見たことない」
「私達はまだビール飲めないけど…どうなっちゃうんですか?」
「ふふ、死にます♪」
「「「えー!?」」」
「まぁ、そうやって色んな“食べ合わせ”を知って気をつけていけば、
 料理はますます面白く、そして美味しくなっていきますよ
 さて、他の皆さんは出来ましたか?」
5 :単発  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2017/06/05(月) 11:14:33.39 ID:fQci9Mfz0


―――――――――――――






――――――





――









数時間後
料理教室が終わり、女性は帰路についていた

「うふふ、皆さん今日も美味くできていましたね……あら?」

ふと目の前に注目する
いつの間にいたのだろうか、それともふっと突然現れたのだろうか
黒く長い乱れ髪、赤いコート、大きなマスク
そして、目元しか分からないが、それは美しい顔立ちに見えた

「……私って、綺麗?」
「そうですね、綺麗だと思いますよ」
「…これでもぉ?」

マスクを剥ぎ取れば露になる、耳まで裂けた口の醜い顔
学校町恒例の「口裂け女」である

「あらあら、随分久しぶりに出会ってしまいましたね」
「お前の顔も同じにしてやる!!」
「まぁ慌てないで下さい、何かお食事なさいませんか?」
「は?」
「ちょっと待ってて下さいね、えっとお鍋と包丁、ザルとガスコンロ、テーブル」
「ちょっと待てそれどこから出してんの」
「はい、お待たせしました♪ 糸こんにゃくとキュウリの酢の物です
 持ち合わせがなくてこれくらいしか作れませんでしたが…どうぞ、お召し上がりください」

「口裂け女」は盛り付けられた小鉢と箸を押し付けられ、
しぶしぶ、箸をつけ、口に運ぶ

「……ん、美味い」
「うふふ、喜んでいただけて何よりです」
「なんかこう、さっぱり、し、て……」

からん、から、
小鉢と箸が「口裂け女」の手を離れて落ちる
喉を、胸を抑え、崩れ落ちる「口裂け女」
何が起こったのか分からない
まさか

「……こんにゃくとキュウリは、古くより“食べ合わせ”が悪いとされていました」

毒を……盛られた……!?

「でも、何故そう伝えられていたのか、根拠が分からないんです
 昔からあったんですね…そういう都市伝説が」
「ぐ……ぁ……く、そ…女ぁ………」
「うふふ、こう見えて私、男なんですよ」



   ...end
6 :影  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2017/06/05(月) 11:25:11.57 ID:fQci9Mfz0
新スレあげてから全くこれなかったという
そして料理できないのに料理教室の先生を書いてみたテスト

前スレの方々乙です
スレタイなんて気にしない! 最近スレタイ無視してる変態がいるからな!(俺
次世代ーズの人も一バトル起きそうだぜヒャッハー! 戦闘最高!(←戦闘に飢えてる
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/06/06(火) 18:01:29.53 ID:hKdQmaM6o
影の人乙です♪
お上品なお料理教室の先生だと思ってたら
当然というか契約者だと思っていたら
最後の最後でやられましたにゃー
食べ合わせから毒…、花子さんとこの先生と気が合うかな?
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/06/06(火) 18:06:06.78 ID:hKdQmaM6o
作者全員に質問です♪

【アクマの書き手の人へ】
1 前のスレで学校町の七不思議が話題になってましたが学校ごとにも七不思議ってあるんですか?
2 よく昔話とかで水神様が美少女に化けて村人の前に現れるお約束がありますがそういう展開ってワンチャンありますか?
3 瑞樹さんの学生時代と次世代編のスリーサイズについて詳しく教えてください
4 ヒーローズカフェの従業員と神社組が今日履いてる下着の色を教えてください

【罪深い赤薔薇の花子さんとかの人へ】
1 今後憐きゅんが女装する可能性ってありますか?
2 中央高校の七不思議について教えてください
3 咲夜とかなえの好きなタイプ(男子)を教えてください
4 咲夜とかなえのお気に入りの下着について教えてください
5 咲夜とかなえは友達同士で下着を買いに行ったりしますか?
6 咲夜とかなえが今日着けてる下着の柄を教えてください
7 岩融さんの今日の下着の柄を教えてください

【はないちもんめの人へ】
1 望さん夫婦円満の秘訣ってなんですか?
2 神子のスリーサイズについて教えてください
3 神子は勝負下着を持ってますか?
4 今後愛人が美亜さん相手に勝てる確率はどれくらいですか?

【やの人へ】
1 サキュバスってパンツ履かないって聞きましたが実際はどうなんですか?
2 風俗の仕事は正式には受け付けてないって言ってましたが非公式にはやってるってことですか?
3 葉さんのお気に入りのパンツって何色ですか?

【大王の人へ】
1 沖縄編で水着サービスシーンがありそうな気がしますが実際は出ますか?
2 同じく沖縄編で正義と大王のサービスシーンはありますか?
3 正義と大王の今日の下着は何色か教えてください
4 これからホラー展開ってありますか?(前に聞いた)

【次世代ーズの人へ】
1 ピエロって学校町に何しに来たんですか?
2 早渡含めたキャラの今日履いてる下着について教えてください
3 早渡のお気に入りの下着ってどんな感じですか?

【鳥居の人へ】
1 ノイお母さんの趣味を教えてください
2 澪とキラの今日の下着について教えてください
3 今後澪とキラのお色気シーンはワンチャンありますか?
4 澪の隠れた性癖について教えてください

【シャドーマンの人へ】
1 れっきゅんの子供たちも全員決闘者ですか?
2 子世代が活躍する話ってワンチャンありますか?
3 れっきゅんの今日履いてる下着を教えてください
4 ラブラブですか?

【チキン野郎の人へ】
1 雀きゅんのスリーサイズを教えてください
2 雀きゅんのクラスの女子で雀きゅんのことが好きな泥棒猫っていますか?教えてください
3 雀きゅんの話に今後六本足が登場する可能性はありますか?
4 雀きゅんの下着って緋色さんや姉のと一緒に洗濯してるんですか?教えてください
5 雀きゅんのお色気シーンってワンチャンありますか?

【ソニータイマーの人へ】
1 七つの大罪って何者ですか?
2 堂寺と疾風の履いてる下着を教えてください
3 堂寺と疾風はどういう関係ですか?お互い好きですか?

【Tさんの人へ】
1 Tさんはマヨヒガの裏で家庭菜園やってるイメージがありますが実際はどうなんですか?
2 Tさんと舞はどっちがドスケベですか?教えてください
3 リカちゃんのお婿さん候補は見つかりましたか?

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 18:18:29.11 ID:4Cxvgtg7o
迸る業の深さがヤバいwwwwwwww
10 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/06(火) 19:28:44.80 ID:vGbnNWGAO
改めてスレ建て乙&前スレの方々乙です
次世代ーズの方は盛り上がってそうですなぁ……追いかけないと

>>8
>1 沖縄編で水着サービスシーンがありそうな気がしますが実際は出ますか?
たぶん……ありません? 割とシリアスがメインです
余裕があったら、大王との日常シリーズで補完しますが、描写は小学生編の夏休みレベルが限度です

>2 同じく沖縄編で正義と大王のサービスシーンはありますか?
正義は無いと思いますが、大王の衣服が破れるシーンはあります

>3 正義と大王の今日の下着は何色か教えてください
正義は、基本的にトランクス派で、黒〜紺色系を好みます。靴下は学校指定のものを愛用。
大王は、沖縄編なら靴下以外穿いてません。今は、下着も全部黒系です

>4 これからホラー展開ってありますか?(前に聞いた)
マヤの予言編のアレコレと比べるなら、ちょっとしたアクシデントはあります。死ぬよりはマシです


>>4-6
兄者乙。食べ合わせねぇ、面白い。料理系だと、フグの卵巣の毒抜きとかもある意味使えるかね?

>戦闘最高!(←戦闘に飢えてる
ほう……俺でよければ、ひとつ書き上げたぜ?(食後に上げますの意
11 :罪深い赤薔薇の花子さんとかの人  ◆7JHcQOyXBMim [sage]:2017/06/06(火) 19:44:41.34 ID:BVs8/pgko
スレ立て及び投下した皆様乙でーす
色々投下できてなくてマジすまぬ……orz

>>7
どうだろうな。あの「先生」色々とアレだし

>>8
はいはい、順番に答えていくよー

>1 今後憐きゅんが女装する可能性ってありますか?
予定にないです

>2 中央高校の七不思議について教えてください
どうなってるだろうねー、七不思議
相変わらず理科室では踊る人体模型の噂があるんじゃないですかね

>3 咲夜とかなえの好きなタイプ(男子)を教えてください
咲夜:お金いっぱい持ってて自分に対してだけ優しい人
かなえ:年上で落ち着いていて適度に冗談も言って白髪で赤い目で白衣と眼鏡が似合う人

>4 咲夜とかなえのお気に入りの下着について教えてください
咲夜:黒のレース
かなえ:当人真っ赤になって返答拒否

>5 咲夜とかなえは友達同士で下着を買いに行ったりしますか?
咲夜はともかく、かなえは恥ずかしがりそうなんでやりませんね

>6 咲夜とかなえが今日着けてる下着の柄を教えてください
知らぬ

>7 岩融さんの今日の下着の柄を教えてください
柄なしのふんどしじゃね?
12 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/06(火) 20:28:45.45 ID:vGbnNWGAO
けふっ。予告通り、上げますよ〜

●前回
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1483444899/992-995
このスレの、「「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」という設定をシェア」した作品。
都市伝説に関する様々な設定を引き継ぎながら、学校町とは異なる発展を遂げた世界。

前回は、異形たる存在に襲われ、その同類である異形【メリーさん】と契約を交わした男の物語。
彼らは名乗る、人間と契約して仕える『伝説使徒(アーバント)』と。その存在とは、いったい?

今回は、伝説使徒【こっくりさん】と契約したサッカー少年の物語。
はたして、少年はどのような運命を紡ぐのか……。
13 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/06(火) 20:30:39.03 ID:vGbnNWGAO


 人は噂した、「硬貨と五十音表を使った降霊術により現れる、【こっくりさん】がいる」と。

 人は噂した、「人を襲うため風と共に現れる、【鎌鼬】がいる」と。


 『Meme(ミーム)』。それは人類が進化の過程で獲得した遺伝情報の一種。
 ミームは『文化』『技術』『情報』として人類の生存のために繁栄し、時に姿かたちを変えた。

 そのミームのひとつに、『幽霊』というものがあった。
 それらは未知の現象・事件……情報を理解するために生まれ、情報としての生存能力に長けていた。

 だが、幽霊も『科学』の進歩により不要となった。
 科学が、あらゆる未知の情報を解析してしまったのだ。


「へへへ、今日のテストも100点満点だね。」


 さて、質問である。
 もし仮に……「ミームが意思を持っていたら」、彼らはどのような行動に出るだろうか?

 例えば……『科学のミーム』でも解析できない現象を『幽霊のミーム』が起こす……かもしれない。


「分かってるよ、これもお前のおかげだ。」


 『妖怪のミーム』は、進化の時を迎えていたのだ。


「な、こっくりさん。」


 下校中、ぶつぶつと呟きながら少年が振り向くと、そこには半透明の子どもが居た。
 【こっくりさん】と呼ばれた子どもは、少年に言葉を返す。

「ボクの力を、チャチな事に使わないでほしいな。主様。」
「『あるじさま』なんてカタ苦しい呼び方、やめてよ」

 煙たがる少年に対し、【こっくりさん】は肩をすくめた。

「わざとだよ。たまには『契約者』だって事、思い出してほしいからね。」
「だって、分からないんだもん。けーやくとか、アーバントとか。」

 【こっくりさん】は『伝説使徒(アーバント)』の一種である。

 『伝説使徒』とは、情報によって生まれた生命体である。
 物理的な肉体を持たず、自らの素となる情報と謎の根拠でそこに存在する。
 そのため、人間によっては視認困難な場合もある。

 しかし、媒体も無しにその体と精神を保つのは困難である。
 情報は、時間と人間の手で常に変化し、それは伝説使徒にも影響を与える。
 外見だけでなく、性格や能力さえも、ミームの加減で変化してしまうのだ。

 安定を求める伝説使徒は、人間に契約を持ちかける。
 『人間の脳を、自らのミームを保存する媒体として扱う』契約だ。
14 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/06(火) 20:32:38.52 ID:vGbnNWGAO
「主は、ボクのミーム……つまり記憶を覚えていてくれる。それだけで良いんだ。
 キミが生きている限り、ボクはボクのまま生きていけるからね。」

 媒体があれば、体と精神は安定する。
 ただし、媒体である人間―契約者―の死は自らの破滅に繋がる。
 契約者の吟味は『伝説使徒』の死活を別ける問題である。

 【こっくりさん】は、自分の運命を少年に託した。
 人間であれば、小学生レベルの知能でも契約できるらしい。

「そう言われても……忘れる方が、難しいし。
 オレだって、こっくりさんが居て、うれしいし。」

 少年にとって、契約は苦痛でも負担でもなかった。
 人間の脳はかくも複雑で、1体程度の伝説使徒なら保存できてしまうようだ。
 当然ながら個人差はある。脳の状態や伝説使徒の情報量によっては、命の危険すら考えられる。
 だが、リスクを冒す価値が『契約』にはある。

 伝説使徒を保存した人間の脳は、進化する。
 全ての伝説使徒を知覚しやすくなり、超感覚を獲得する例もある。
 また、契約した伝説使徒の力を多少コントロールしたり、時間をかけてミームを書き換える事もできる。
 そもそもとして、伝説使徒の命を預かるものとして、従者のように使役できるのだ。

 もっとも、少年にとって【こっくりさん】は『友達』でしかない。
 少し不思議な存在であるが、自分と変わりない友として、ただ受け入れていた。

「……ありがとう。」
「じゃあ、帰るとするか―――」
「おーい!」

 ふと、遠くから少年を呼ぶ声が聞こえた。
 声の方からクラスメイトの姿が見えると、【こっくりさん】はその姿を消した。

「なぁ、今から、裏山に行かないか?」
「なんだ? ヤブから棒に。」

 少年のクラスメイトが提案したのは、裏山の探索だった。
 クラスメイトが言うには、裏山には『遭難者の霊』が今も彷徨っているらしい。
 それが最近になって、裏山で遊ぶ子ども達を襲っている……そんな噂が流れているのだ。

「そのウワサが本当か、確かめに行こうぜ?」
「……ふーん。」

 きっと遊びのつもりだったのだろう。だが、少年は知っている。
 【幽霊】というものが実在し、時に、人を襲う事を。

「悪いけど、今日は用事があるからパス。明日にしようぜ。」
「じゃあ、帰って退治するための、準備でもするか。またなー!」

 そう言ってクラスメイトを帰らせたが、少年はひとり呟く。

「悪い、こっくりさん。今日は用事ができた。」
15 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/06(火) 20:33:19.50 ID:vGbnNWGAO






―――裏山


 ある程度整備された道に従えば、ハイキングコースとして利用できる場所である。
 だが少し外れると、獣道ぐらいしかない迷路と化す。
 子ども達にとっては、探検ごっこや秘密基地造りといった、有名な遊び場にもなっている。

 そんな場所に、人を襲う【幽霊】がいる。
 誰かが退治するなら良いが、きっと大人は信じない。
 ……なら、退治できるのは自分だけだ。

「ここら辺かな?」
「うん。気を付けてね。」

 少年と【こっくりさん】は、獣道を進んでいた。
 噂となっている【遭難者の幽霊】がいる場所を目指して。

 しかし、見当はついていた。【こっくりさん】の能力である。
 【こっくりさん】は、十円玉を介して質問することで、あらゆる質問に答える事が可能となる。
 その能力で、事前に居場所を突き止めていたのだ。

「よっと……ふぅ。」
「あっ、危ない!」

 少年を【こっくりさん】が突き飛ばすと、その真上を何かが通過した。
 生き物ではない……『伝説使徒』だ。

《ククク……ボウヤ、コンナ所で、何シテル?》

 ボロ切れを纏った大人の女性に見えたが、その姿はうっすら透けている。
 その声も、少年の頭に直接響くように聞こえた。
 間違いない、彼女が【遭難者の幽霊】だ。

 少年は、思わず手に取った木の棒を投げつける。しかし、木の棒は幽霊をすり抜けてしまった。

「あっ!?」
《オヤオヤ……オイタが、スギルわ……》

 慌てる少年の元へと、ゆっくり、ふわりと、【遭難者の幽霊】は向かって行く。

「主! 実体がない伝説使徒に、そんなのは効かないよ!」

 【こっくりさん】の叫びを聞き、少年は冷静になった。
 すぐさまポケットから手袋を取り出し、両手に取り付ける。

「こっくりさん、こっくりさん……鳥居へ!」

 少年がそう呟くと、【こっくりさん】は吸い込まれるように、手袋の中に入った。
16 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/06(火) 20:34:04.12 ID:vGbnNWGAO
《ボウヤ、アタシが……躾けて、アゲル!》

 【遭難者の幽霊】が、少年に向けてその腕を振り上げる。
 しかし少年はわずかな動きで避け、カウンターの拳を振るう。

「たぁ!」
《ゴフゥ!? ナ、何故……? タダの、パンチで……。》

 その拳は、実体がないはずの幽霊に当たった。

「ふふん、ただのパンチじゃない……『ボク』のパンチ、だよ。」

 少年の口から、【こっくりさん】の声が響いた。

「憑依さ。実体を持つ人間に、ミームであるボクが憑依したら……。
 より強いミームを持つ、伝説使徒のように戦える!」
《ソ、ソンナ……》

 少年が付けている手袋には、十円玉が仕込まれている。
 その十円玉により、【こっくりさん】の第2の能力、『十円玉に触れている者に憑依』が可能となったのだ。
 憑依された人間は、伝説使徒と一心同体となり、より強い力を振るえるようになる。

 少年に憑依した【こっくりさん】は、殴る・蹴るを繰り返す。
 女性の幽霊は、その殴打に圧倒されていた。

《コ、コドモ、如き……。》
「に、圧倒されているのは、誰?」

 そう嘲笑して殴りつけた時、【遭難者の幽霊】は怯まなかった。
 そのまま少年の首を掴み、押し倒す。

《コドモ如きが、アーバントを、ナメルなァッ……!》
「ぐっ、しまっ……!」

 【遭難者の幽霊】は、ギリギリと少年の首を絞める。これは、憑依の弊害ではない。
 幽霊タイプの伝説使徒は、物理的には触れないが、一方的に人間を攻撃できるのだ。
 むしろ憑依のおかげで、少しは丈夫になっているが……。

「(このままでは、主が……)」
《クカカ……サァ、ヒトリで、何が、デキル!》

 抵抗する【こっくりさん】に構わず、女性の幽霊はその力を強めた。
 【こっくりさん】に、なす術はなかった。



「(つまり、『オレ』の番だな。)」



「こっ、くり、さん……こっくり、さん……。」
《ホザけッ……!》

 少年に憑依した【こっくりさん】は、女性の幽霊に抵抗しながら、何かを呟く。

「チェックマークへ……!」
《ナッ、グワァ!?》

 そう呟いた瞬間、手袋から飛び出した【こっくりさん】が、女性の幽霊を頭突きで突き飛ばす。
 そしてそのまま靴の方へを入っていくと、少年は立ち上がった。
17 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/06(火) 20:34:43.72 ID:vGbnNWGAO
《コザカ、シイ……》
「いいか、『ひとり』じゃない……『オレたち』だ!」

 今度は、少年の声に戻っていた。しかし少年が纏う雰囲気は、先ほどのままだ。

《違いナド、ナイ……! マトメテ……!》
「“フリーキック”。」

 少年が呟くと、その両手の間から、黒い球体が現れた。
 それを使い、少年はリフティングを始める。

《……急ニ、アソビ、始めた……?》
「さっきまでは、こっくりさんの番だったが……選手交代さ。」

 リフティングを重ねる毎に、球体はそのエネルギーを高めていく……。
 【遭難者の幽霊】は、そう感じ取った。
 しかし気づいた次の瞬間、球体は自分へ目掛けて、飛んで来ようとしていた。

「カウント10、シュート!」
《クゥッ!? グヌヌ……!》

 とっさに【遭難者の幽霊】は、その球体を掴んだ。しかし今にも弾き飛ばされそうだ。

《コンナ、モノデ……!》
「“ハンド”ォ!」

 少年がそう叫んだ瞬間、球体が爆発し、【遭難者の幽霊】を吹き飛ばした。

《カ……ハッ……?》
「サッカーだよ。オレはただの人間だから、オレの得意なルールで、戦わせてもらう。」

 これは、契約の履行である。伝説使徒は『契約者に力を貸す』、それは伝説使徒の枷とも言える。
 【こっくりさん】は、少年へ一方的に憑依したままにはなれない。
 少年が、【こっくりさん】の力を使う状態に、いつでもシフトできるのだ。

 そのスイッチは、手袋と靴に仕込まれた、十円玉だ。
 鳥居マークが書かれた手袋へ入った時は、格闘する『少年に憑依した【こっくりさん】』
 チェックマークが刻まれた靴へ入った時は、サッカーで戦う『【こっくりさん】を憑依した少年』となる。

《クゥ、クソォ……!》
「待て、逃げるな!……“キックオフ”!」

 少年は、ポケットから取り出した十円玉を指で弾いて、また黒い球体を作る。
 弾いた十円玉が球体に入ると、球体は地面に落ちた。少年はそのまま、獣道でドリブルを始める。

《クソォ、クソォ……!》
「(くっそ、坂でサッカーするのは、つらいな……。)」
「(主、見失わないようにね。『あそこ』に誘導するよ。)」

 【遭難者の幽霊】は、木々をすり抜けて、ただひたすらに逃げていく。
 【こっくりさん】の能力と、遊び場としての記憶から、少年は追跡しつつドリブルする。



《ハァ……ハァ……。》

 【遭難者の幽霊】が辿り着いたのは、ピクニックができる広場であった。
 見晴らしこそいいが、幸いな事にガキ共はいない。音を頼りに、木のそばへ隠れた。

 ……無駄とも知らずに。
18 :sample02-01 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/06(火) 20:36:36.60 ID:vGbnNWGAO
「(主、あの木の後ろ!)」
「よっしゃあ!」

 【こっくりさん】の誘導により、その場所は分かった。
 あとはこの足場で、あそこへ的確にシュートするのみ。

 ならば……憑依による身体能力向上を利用した、あれを使う。

「オーバーヘッド……シュート!」

 蹴り上げた球体と共に飛び上がり、宙返りして球体を蹴り飛ばす。
 球体は、すさまじいエネルギーを纏いながら高速で飛び―――【遭難者の幽霊】が居る木を通り過ぎた。

《……バーカ。》

「こっくりさん!」


 はたして、彼女はそれに気づいたのだろうか―――


 彼女の後ろを通り過ぎた球体は―――


 【こっくりさん】が受け止め、今にも炸裂せんと光っていた事に―――


「 “サドンデス” 」


 【遭難者の幽霊】は、跡形もなく消え去った。






―――帰路


「へへへ、今日も快勝だったね。」
「快勝じゃないでしょ、何度かピンチだったし。」

 【遭難者の幽霊】を倒し、少年達は帰路に着いていた。

「あれはオレじゃないしー、こっくりさんだしー。」
「うっ……ごめん。主の身体なのに、調子に乗って。」
「あぁ、そうじゃなくてだな。もっと作戦とかレンケイを考えようぜ。サッカーみたいにさ。」

 契約者と従者という関係でありながら、少年は【こっくりさん】を友と見ていた。
 それが、【こっくりさん】にとっては、たまらないほど嬉しかった。

「……うん! でも、主も無茶はしないでね。オーバーヘッドは危険だから。」
「……あはは。やったオレでもヒヤッとしたぜ。」

 特に、誰に言われたでもないが。少年達はこれからも、伝説使徒と戦っていくだろう。
 自分の世界を、守っていくために。

 さぁ、明日は休みだ。『幽霊なんていない裏山』を探検しよう。



 人は噂した、「『伝説使徒』と契約すれば、その力を行使できる」と。

 人は噂した、「『伝説使徒』は、契約者が得たミームによって、時に進化する」と。



 ―――これは、『伝説使徒』と契約し、『伝説使徒』と戦う者達の物語―――
19 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/06(火) 20:43:40.33 ID:vGbnNWGAO
あう、タイトル入れるの忘れてた……
という訳で、サンプル2『サッカー少年とこっくりさん』でした
ほら戦闘シーンだぞ、兄者喜べよ☆

ちなみに、サンプル1『巻き込まれた男』と各2話ずつ、あと計4話だけプロットがあります
むしろ、残りのサンプルが作れない……いや、その前に沖縄編書けよっていう……
どちらが先に上がるかは、明日の俺に聞いてあげてくださいな
20 :次世代ーズ ◆John//PW6. [sage]:2017/06/06(火) 21:52:36.68 ID:gUq3iDXlo
 

改めましてシャドーマンの人と大王の人、お疲れ様です

ミサちゃんが再登場したとなって心が高鳴ったのが私です
もう4年も前かな? 彼女が単発で登場したときは
当時はどういう理由か、岩清水倖子と終音ミサがぶつかると思っていました
「アイドルは排泄しない」の彼女、元気かな……

>>4-6
正直に白状します
てっきりお料理教室の先生は成長した漢クンだとばかり……orz
>>6
頑張ります!
(やばいよやばいよぉぉ……バトルなんて殆ど書けてないよぉぉ……!!)

>>12-18
アーバントという響きが非常に良いですね
人間を媒体として扱うというのも次世代―ズ中の人のイメージと重なる所が多いです
媒体としてはインターネットって打ってつけのものがあるにも関わらず
都市伝説からは未だに人間が選ばれるというのも、そのなんだ、色々考えさせられますね





次世代―ズの方は、【9月】と【11月】のエピソードを不定期不規則に書いており
若干これって混乱しない? 大丈夫? とか考えながらやっています
そして……

>>8
回答します……!!


>1 ピエロって学校町に何しに来たんですか?
 「ピエロ」の真の目的は現時点で【不明】ですが、大雑把に述べると【探しもの】です
 真相は終盤でアンロックします
 早く書かないとだな


>2 早渡含めたキャラの今日履いてる下着について教えてください
 とうとうこれが来ちまった……
 少々お時間くださいませ、再度回答しますわ


>3 早渡のお気に入りの下着ってどんな感じですか?
早渡「えっ? お気に入りの下着?」
早渡「……」 ☜ 考え中
早渡(考えたこともなかった……。こだわりも無く普通に売ってるトランクス履いてるんだけど……)
早渡「あっ! 履き心地なら綿100%のがいいかな!?」

 
21 :次世代ーズ ◆John//PW6. [sage]:2017/06/06(火) 21:54:46.83 ID:gUq3iDXlo
 



○前回の話

前スレ 901-904 次世代ーズ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1483444899/900-904

※この話は作中時間軸で【9月】の出来事です
※この話は前回の話と繋がりはありません



○時系列

●九月
・早渡、「組織」所属契約者と戦闘

・早渡、東中でいよっち先輩と出会う
・花房らと共に三年前の事件の「再現」に立ち会う
・早渡、診療所で「先生」から話を聞く

・ソレイユ、変態クマに捕まる
・「ピエロ」、学校町を目指す

   ※                ☜ 今回はこのあたりの話

・∂ナンバーの「会合」


・いよっち先輩、自分を取り戻す
 その夜の内に居候先を確保する

・∂ナンバー、「肉屋」の侵入を予知



●十月
・「ピエロ」、学校町へ侵入



●十一月

・戦技披露会開催

・診療所で「人狼」イベント
 「人狼」終了後、いよっち先輩が遊びに来る

・バビロンの大淫婦、死亡
・「狐」本戦?



○三行あらすじ

 色々あって東区の中学校で「繰り返す飛び降り」の東ちゃんと出会った
 東ちゃんはいつの間に消えてた
 後日、ちょっと気になったから東中に行ってみた








 
22 :次世代ーズ 23 「不通、不審、不在」 1/3 ◆John//PW6. [sage]:2017/06/06(火) 21:56:43.91 ID:gUq3iDXlo
 



「普通だな……」


 夜の学校町、東区、もう22時前
 中学の校庭に立ち、校舎の方を眺める

 「組織」所属の野郎に追い回された一夜から
 俺は夜中の徘徊を控えていたのだが、今回は特別だ

 此処へ来た理由は一つ、東ちゃんに会うためだ
 さっきまで中学の敷地内を色々見て回って東ちゃんを捜していた
 ひょっとして屋上に居るんじゃないかとも考えたが、その気配も無さそうだ

 あの日、初めて花房君(と「組織」のワイルド野郎)と出会い
 成り行きで三年前の事件について知ることになったあの日、俺は東ちゃんと出会った
 あの事件の犠牲者で、今は都市伝説「繰り返す飛び降り」になった子だ

 結局俺は色々気になって、もう一度東ちゃんに会いに行くことにした
 どうにもあの日の東ちゃんの様子が気に掛かって仕方なかった

 初めて彼女を見たときは虚ろな笑顔、その後に話し掛けられたときの様子は普通だった
 それが事件の再現を見ている途中で東ちゃんの顔は虚ろに戻り
 最後に見たときは泣きそうな顔をしていた
 そして、彼女は唐突に姿を消した

 東ちゃんのあの様子も気になったし
 ついでにあの事件の話を聞きたくて、彼女に会えないかと夜の中学をお邪魔したんだ

 正直、怖くないわけじゃない。いや違う、今は来たことを若干後悔している
 何故って、此処は俺が「組織」所属の刀使い&武者亡霊に襲われた因縁の場所だからだ!
 来る前は東ちゃんの方が心配だし、もう関係ないね! とか考えていたが、甘かった
 思いつきで行動するんじゃなかった、また「組織」の奴とかち合う危険性は大アリなんだから

 仕方ない、もう帰ろう

 結構あちこち捜したが東ちゃんの姿は見えない
 もしかしたら彼女は校舎から抜け出して外出中なのかもしれない
 でもそれも妙だな、自分の“領域”から自由に移動なんて可能だろうか
 東ちゃんがコードから逸脱してるんなら、そういうことも出来るかもしれないけどな

 念のため電話してみるか
 携帯を引っ張り出して、何度も電話した東ちゃんの番号にもう一度掛けてみた

 あの日、彼女から貰った電話番号のメモはそのまま花房君にあげた
 しかーし俺は彼女の電話番号を一切記憶しなかったわけではない
 というわけで俺も東ちゃんの電話番号はバッチリ控えている

 控えているんだが、結果は見えていた
 俺は何度か東ちゃんに電話してみたが彼女に繋がることは無かった


 お掛けになった電話番号は、現在使われておりません


 そう、これだ
 電話しても決まってこのアナウンスが流れる
 俺が番号を記憶し間違えた可能性? 東ちゃんのメモは携帯で撮影しといたのでそれは無い
 というわけで考えられるのは東ちゃんが自分の番号を書き間違えたか
 それとも、この番号は本当に不通か

 花房君も彼女に電話したんじゃないだろうか
 彼に確認した方がいいかもしれない、そっちも繋がらなかったのかどうかを
 今度聞いてみるか、いや今聞こう。電話したいところだが時間も遅いのでメールでいいだろう
 ところで俺はメールを書くのが凄い苦手だ。具体的に言うと携帯で文字をちまちま入力するのが苦手

 とりあえず中学を出てからメールを書いた方がいいかもしれない
 さっきから複数の都市伝説っぽいニオイも感じる、距離はまだ近くないのが幸いだ
 今日はもう立ち去った方がいい、東ちゃん捜しはまた今度にしよう






 
23 :次世代ーズ 23 「不通、不審、不在」 2/3 ◆John//PW6. [sage]:2017/06/06(火) 21:57:24.18 ID:gUq3iDXlo
 



          ●



「アイツ、怪しくない?」
「そんなに怪しくないと思うのー」


 東区の中学から出てきた奴は商業高校の制服を着ている
 その怪しい奴の後ろ姿を電柱の陰から監視している連中がいた

 電柱に体を隠すようにして商業生の背中を睨みつけるのは
 闇夜にあっても人の目を引くであろう、鮮やかな赤い髪をした少女だった
 腰までの丈の羽織り物の下からスクール水着のような衣装を着用している怪しい女だ
 おまけに彼女の肩辺りに乗っている羊のぬいぐるみに小声で話し掛けており、輪を掛けて怪しい

 彼女の名はマジカル☆ソレイユ
 露出魔でも自称魔法少女でも無く、れっきとした都市伝説契約者だ
 彼女が何をしているのかというと、先日襲い掛かってきた変態クマの捜索である


「大体、夜の中学で何してるのよアイツ、絶対怪しいわ」
「そこは、うーん……、怪しいなのー、でもぉ……」
「アイツ契約者だと思う? メリー、どう? わかる?」
「もっと近づかないとわかんないなのー」


 何やら羊のぬいぐるみと怪しげな会話を交わしている


「アイツ、絶対クマの本体よ」
「ソレイユちゃん、メリーの勘だけどあの人は犯人じゃないと思うのー」
「そう? 私はアイツが怪しい。うん、絶対」
「なんで怪しいと思うのー?」
「……直観よ」
「あ、今間があったなの! 今絶対ちょっと考えてから言ったなの!」


 ソレイユはあの商業生こそ変態クマの本体では無いかと考えているようだ
 仮に商業生が契約者であったとすれば、疑惑はより深まるというものである
 操作系統の能力でぬいぐるみを操り変態行為に及んでいても不思議ではない


「必ず尻尾を掴んでボコボコにしてやるわ……!」


 ソレイユの言葉に恨みが籠る
 卑猥な触手で狼藉に及ぶ不埒な契約者を野放しにしてはならない
 このとき、彼女のなかにある妙な正義感は既に燃えに燃え上がっていた

 ソレイユと羊のぬいぐるみは引き続き怪しい商業生を監視すべく
 電柱の陰から陰へと音もなく移動し始めた

 果たして、かの変態テディベアの本体は
 前方を行くあの商業生こと早渡脩寿であるのか
 それはまだ、不明である








 
24 :次世代ーズ 23 「不通、不審、不在」 3/3 ◆John//PW6. [sage]:2017/06/06(火) 21:57:57.70 ID:gUq3iDXlo
 



「なんでサクリじゃないんだろ」


 早渡脩寿が中学から去った後
 東一葉は独り、校舎の屋上に居た

 返しの付いたフェンスの外側に立ち
 屋上の縁から夜の闇に塗りつぶされた下方を覗き見ている

 靴を脱いで
 しかし、後ろ手にフェンスをしっかり掴みながら


「なんでわたしなんだろ」


 その自問は既に彼女が幾度となく繰り返してきたものだ


「戻ってきたのがサクリだったら、みんな喜んだのに」


 最早自分が何を呟いているのか、自覚しているのかすら覚束ない


「これが全部悪い夢で、わたしが死んだのも全部夢でさ」


 最早自分が誰に呟いているのか、それすら分からずに


「ここから飛び降りたら、目が覚めるかな」




 なんてね
 フェンスを掴む手が震える
 本当は飛び降りてみる勇気なんか無い癖に
 そう、心の中で、誰かが嘲るような口調で、馬鹿にしてくる
 それが他ならぬ自分の声であることに気付いたのは、もう少し経ってからだ




「何やってんだろ、わたし」


 東は漸く
 自分が以前と同じようにして、屋上の縁に立っているのだということを理解した

 怖い
 嫌だ、死にたくない
 戻ろう

 もう既に自分が[ピーーー]でいることを、半ば忘れたままで
 彼女は震える手でフェンスを強く握りしめながら、フェンスの内側へと戻ろうとして


「――ふぇ?」


 どういうわけか、足を滑らせて


「   ぅ、あ」


 校舎の下に広がる闇の中へ、堕ちていった










□□■
25 :次世代ーズ ◆John//PW6. [sage]:2017/06/06(火) 21:58:25.60 ID:gUq3iDXlo
 



 今日はここまで



 
26 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/07(水) 10:54:56.68 ID:AiyP9r31O
>>21-24
次世代ーズさん乙です〜。結構昔のお話?この後どこに繋がるのか……
ところで、メールアドレスにsagaを入れていないのは仕様ですか?

>>20
昨日書かれた謎のメモからレスしますー

>アーバントという響きが非常に良いですね
>人間を媒体として扱うというのも次世代ーズ中の人のイメージと重なる所が多いです
 語感は『ドー○ント』から来ていたり。そして漢字は『徒使伝説』
 情報生命体を維持するためには、媒体が必要ですよねーという認識だったんですが、同じイメージの方が居て嬉しいです

>媒体としてはインターネットって打ってつけのものがあるにも関わらず〜
 メモによると「サンプル3『伝説使徒を追う者』のプロットができたから、今度書け」とありますね
 それが回答になると思われます……っておい、昨日の俺
27 :や[IQ溶解] [sage saga]:2017/06/08(木) 03:21:18.33 ID:7D4IQifV0

アーバントってそのまんまアーバンレジェンドとサーバントを繋げたんじゃないのか
あとGFっぽいとは思った


>>8
まさか質問が来るとは思わなかった
以下はY-No.の設定なので他の人や伝承などとは食い違うかもしれません

1、普通に履いてるんじゃないかな
ただし夢魔に関しては下は履いてても上は着けてない疑いがある
ちなみにY-No.のサキュバスは組織の制服を着ておらずそれぞれバラバラの服装で、色の雰囲気だけ黒服っぽい

2、サキュバスの女の子といいことしたいなら個人的に仲良くなってやりましょう、と言うことです
ただしよほどの事がない限り「かっこいい食料」「優しい食料」程度の認識しかされません
恋人等がいる場合はトラブるの元なのでやりません

サキュバスの主張要約
「一般の人間と比べて行為への抵抗の低さや倫理観の緩さはあるけど、だからと言ってしょっちゅうヤってたり発情しているわけじゃないし、そもそも私たちは痴女じゃない」

しかしまあ個体差はあるか

3、それはシュレディンガーの猫です
観測されない限り存在は確定されません
観測した地点で初めて事象が決定されるのです
しかし可能性としてはシンプルに白か、黒服カラーの黒を常用していると考えられます
28 :影  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2017/06/08(木) 18:59:22.37 ID:w4tusR4R0
ログレスやってる間にいっぱい来てる!
読む前にこれだけ答えよう

>>8
>1 れっきゅんの子供たちも全員決闘者ですか?
上から6人だけ、っていう予定
因みに
●未來:【サイバードラゴン】
●京子:【恐竜族】か【ダイナミスト】
●英哉:【E・HERO】
●琉羽:【サイバーダーク】
●天架:【宝玉獣】
●天美:【A宝玉獣】
みたいな

>2 子世代が活躍する話ってワンチャンありますか?
考えてたら年齢の辺りで訳分からんなったでござる
確かどっかにまとめてた筈なんだが…

>3 れっきゅんの今日履いてる下着を教えてください
あいつの下着は多分黒だわ
あとトランクス派

>4 ラブラブですか?
それはどっちのことだw
裂邪とミナワは相変わらずだけど
俺はかれこれ4年になるなぁ
そういや今月2人で北海道行くんすよ
誰かとニアミスしないかなー
29 :影  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2017/06/08(木) 20:31:11.56 ID:w4tusR4R0
という訳で
大王の乙ですの
戦闘は良い、素晴らしい
最近見た『ウルトラマンサーガ』のバトルシーンは悲しかった
低すぎる空中戦に落とし穴にはまるハイパーゼットン
ゼットンファンを馬鹿にしてるのかと
てか絶対バット星人が憑依するよりゼットン単体で行った方が強かったと思う、『帰マン』の個体は賢かった
じゃなくてあれだな
こっちの世界のキャラがそっちの世界に飛び込んだらどうなるんだろう

次世代ーズの人乙ですの
ぎゃあああ俺の一葉ちゃんが!(
何てタイミングで居なくなったんだ早渡!
しかし繰り返すってぇと…こう、なるのか?(妄想中
30 :西 剣裁 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/08(木) 22:24:41.26 ID:7pf9xDlTO
呼ばれた気がしたから、回答するぞ。
「アーバンレジェンド・サーヴァント」という正式名称は後付け。そもそも「servant」という単語を知らなかったようだ、彼。
戦闘シーンについては、ちょっと変身ヒーローみたいだな。中学生になると、本格的に成長した姿をお見せできるだろう。

>>29
>こっちの世界のキャラがそっちの世界に飛び込んだらどうなるんだろう
 「何も起きない」が正解かね。Test Worldは学校町をモチーフとしているから、高い互換性を持っている。
 『都市伝説=伝説使徒』という点が基本だな。ただ、野良の伝説使徒は人格が不安定だけど、学校町の野良都市伝説が不安定化する訳ではない。
 学校町でのステータスが優先される、と思ってくれていい。【並行世界の住人】という伝説使徒扱いもされるしな。
 ……実はSCPらしき組織のテキストがあるんだが、結構細かい所まで書いてあるぞ。

 ただ、今入ろうとするのは危険だ。Test Worldは未完成。骨組みしかない家でホームパーティはできない。
 そもそもTest Worldは、名前通りの意味しか持たない世界だからなぁ。発展させる時は別の世界を創るかもな。
 入れるようになったら、『あいつ』が歓迎してくれるんじゃないか? 裂邪辺りは特に。

>>28
>そういや今月2人で北海道行くんすよ
 たった今、『そんな暇があるなら親に顔を見せろ』というメモが届いた。
31 :影  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2017/06/08(木) 23:15:36.44 ID:w4tusR4R0
>>30
>「アーバンレジェンド・サーヴァント」という正式名称は後付け。そもそも「servant」という単語を知らなかったようだ、彼。
それでも決闘者か!
『ファラオズ・サーヴァンド(ファラオのしもべ)』とか『D-HEROドレッド・サーヴァンド』とかあったろう!

> 学校町でのステータスが優先される、と思ってくれていい。【並行世界の住人】という伝説使徒扱いもされるしな。
なるほど
『ポケモン赤・緑』に『ポケモンサン・ムーン』のピッピを連れて行ってもフェアリータイプのままだと(意☆味☆不☆明

> 入れるようになったら、『あいつ』が歓迎してくれるんじゃないか? 裂邪辺りは特に。
何故か分からんがそうなのか
今度ちょろっと触れてみてやろう

> たった今、『そんな暇があるなら親に顔を見せろ』というメモが届いた。
だってこんなんだぜ↓

嫁「6月に北海道の叔母ちゃん家行くから」
俺「へぇ、いてら。留守番は任せろ」
嫁「は? お前も行くんだよ」
俺「はい!?」
32 :次世代ーズ ◆John//PW6. [sage]:2017/06/08(木) 23:47:14.23 ID:ph8Ikhu1o
 

>>26
ありがとうございます……!

>>29
いよっち先輩が自分を取り戻すのはもう暫くですね
その暁には早渡の財布が爆発して枯渇するのだと思います


>>26
>次世代ーズさん乙です〜。結構昔のお話?この後どこに繋がるのか……

折角なので次世代の概要をまとめつつ、次世代―ズの言葉で説明したいと思います
花子さんとかの人に「また次世代―ズが思い違いしてる……」と思われたら
中の人は墓穴に飛び込むより他なくなるので、再確認の意味合いもあります



○次世代編
次世代編は学校町を舞台にした諸作者さんのお話(現世代)からおよそ20年後のお話です


>214: 罪深い赤薔薇の花子さんとかの人 ◆nBXmJajMvU :2016/09/19(月) 11:41:44 ID:94yN7BHs
>>>213
>>そういや次世代、何年後ぐらいなんだろう
>大雑把に考えて20年後くらいのイメージで書いてました
>幸太がまだ30代くらいみたいに書いてましたし
(避難所雑談スレ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/13199/1470470539/214 より)


次世代編で起こってるのは、まず「狐」の侵入(花子さんとかの人)
盟主様の異変と水神様の企み(アクマの人)、「凍り付いた碧」の暗躍(鳥居の人)です

次世代のある年の春に「狐」とその配下が学校町に侵入しています
実はその三年前にも「狐」は学校町に侵入して大事件を起こしています
それが花子さんとかの人の連載で度々言及される三年前の事件です
そして次世代編現在、花子さんとかの人の次世代組が「狐」を始末しに行く、というのが本筋です
で、次世代ーズは花子さんとかの人の設定に一部乗っかっていますorz



○次世代ーズ
「次世代ーズ」は一言でいうとバトルものの皮をかぶったラブコメを目指しています(本当)
概要をざっくり述べると「次世代の時間軸で、施設出身の子が死に別れた初恋の幼馴染の消息を辿りつつ
頭おかしい奴とか都市伝説新興宗教の連中とかおばけとかをボコボコにしつつ大切なものと出会い直す」話です(予定)
グロよりはエロを目指したいがどうなるかな? なんか他にも色々あった気がしますが
一応、焦点人物の早渡脩寿とマジカル☆ソレイユだけ追ってても話の本筋は掴める、はずです

「次世代ーズ」は「狐」侵入の年の【9月】から開始しています
一応、「次世代ーズ」の過去部分に、国家ぐるみの陰謀やその発動阻止とか
孤児の急増とか、契約者の適性を持つ子供の増加とかがあります
こんなのとかもあります

>一宮テロ
> 「次世代ーズ」開始のおよそ五年ほど前に発生した大規模な殺傷事件
> この事件は惨劇の場となった地方都市の名を取って呼ばれることとなった
> 表向きは当地方を拠点とした暴力団同士の抗争という形で情報統制が行われたが
> 真相は都市伝説関係勢力、「都遣」と「楽団」との間で発生した“エフェクター”を巡る争奪戦である
>
> その市街戦により勢力双方のみならず無関係の民間人を含む大多数の死傷者が発生し
> 事件の余波で当地方一帯と関東地方の一部が停電に陥り、社会インフラが一時混乱を極める事態となった



>>22-24について
>>22-24は【9月】時点のお話です
ちなみに前スレ最後の998-999は【11月】時点のお話です
概要は>>21の時系列をご覧いただけると……この時系列表、穴がある上にざっくりし過ぎた……



○ちなみに
早渡脩寿は次世代の人材として
秘密裡に契約者を養成したり生体実験を実施していた施設で育ちました
この施設は「七尾」の施設で、次世代ーズ開始の4年前に閉鎖というか解体されました
早渡その同期はそこで教師役の研究者から「七つの都市伝説と契約した能力者」の話を聞いて
みんな彼にあこがれ、彼のようになろうとしました
前スレ568で土下座した「黄昏裂邪さんに憧れている子供達」とは、つまりそういうことです
ありがとうございますorz

 
33 :次世代ーズ 1/2 ◆John//PW6. [sage]:2017/06/08(木) 23:49:11.66 ID:ph8Ikhu1o
 

>>8
>2 早渡含めたキャラの今日履いてる下着について教えてください
はい
「早渡含めたキャラ」という部分で、これはつまり全員分か……?
と気になりだしたので、ひとまず名前というか固有名が出た分+αで行きます
ではどうぞ



○主要人物ーズ

早渡 「はい、早渡です。はい? 今日履いてる俺の下着を教えろ?
     え、いやあの、普通にイオンで買った紺の無地……ってオイ、それ聞いてどうする積りだ!?」

夜先輩「下着、ですか? 濃い色合いの、紫ですが。それがどうか、しましたか?」 ☜ 小首をかしげてる

ソレイユ「なっ……!! バっ、ッッカじゃないのっ!! 何聞いてるのよっ!! 言うワケないでしょ!?
      大体、下は水着だし別に下着なんか……ッッ!! ああっああああああっっわ、忘れて!! 今のは忘れなさい!!」

メリー「メリーはパンツはく必要ないのー。ぬいぐるみだからもふもふしてるのー」 フンスフンス =3

ありす「……」 ☜ 嫌悪と侮蔑の入り混じったえらい形相で睨みつけている

千十 「っっ!? か、回答を拒否します!!!」 ☜ 顔が真っ赤



○一般ーズ

ユキオ「はあ……、ソレイユお姉さん……。えっ、僕? 何? えっ、パンツの色? 白のパンツだけど……?
     ……実は前に赤い髪のお姉さんに会って、あの人のことを考えるとパンツの中がむずむず 【以下、検閲により削除】

コトリー「ちょ、ちょっと、なんでそんなこと聞くのか、私にはよく分かりませんの……」 ☜ 困惑している
てんちょ「やあ! もしかして『ラルム』で働いてみる気になったかい!? えっ? し、下着の色?
      えっ、私の、下着の色、かい? えっ? ……ええ?」 ☜ 困惑している

おばちゃんズ「「「えぇぇぇ!? アタシらのパンツの色が知りたいのぉぉぉ!?!? 【以下、要請により削除】




○都市伝説ーズ

人面犬「よう、俺だ。北海道犬の血を引くクールガイ、と言えばこの人面犬、半井を置いて他にはいねえ
     ところでお前にいいことを教えてやる。都市伝説ってのはだな、パンツを履かないもんだ ☜ ニヤニヤしてる
     聞こえなかったか? もう一度だけ言うぞ? 都市伝説は、パンツ履かない」 ☜ めっちゃニヤニヤしてる

偽警官「助けてくれ!! どこか暗い所に監禁されてんだ!! 助けてくれよっ!! あ゙あ゙!? 下着の色? 知るか!!
     とにかく此処から出してくれ!! 聞こえてんだろ!? クソッ、下校中のJKを襲ったらこんな目に遭うなんて
     割に合わねえんだよ!! おい!! 聞いてねえでとっとと俺を助けに来やがれ!!」


中之条「さて、我々『朱の匪賊』は世に言う『トンカラトン』から成る戦闘衆である
     であるから、我々は紅き包帯を巻いている故、褌などを締める必要は……」

六郎 「我が姓は包! 名は六郎! 『朱の匪賊』、四番隊隊長であるッ!!
     いかにもッ! 己れはムカデの意匠が入った紅き褌を締めておるッ!!」

中之条「隊長殿!!??」 ☜ 狼狽えている

兄者 「我が名は珍宝! 『朱の匪賊』、四番隊副隊長であるッ!!
     俺は無論、魂よりも激しくッ!紅蓮の如く燃えるッ! 紅き褌だッ!!!」

ヤッコ「そしてオレがヤッコ!! 『朱の匪賊』、四番隊副々隊長だぜェ!!
     勿論オレも包帯の下からはカッチョいい褌締めてるに決まってンだぜェェ!!」

中之条「副隊長殿ッ!!?? 副々隊長殿ォッ!?!?」 ☜ 激しく狼狽えだした
中之条(「十六夜の君」、早くお助け下され……!!)

その他「「「「「「包帯がある故、ふんどし締めておらぬ。さあ、トンカラトンと言え」」」」」」

 
34 :次世代ーズ 2/2 ◆John//PW6. [sage]:2017/06/08(木) 23:49:52.92 ID:ph8Ikhu1o
 

○引き続き都市伝説ーズ

ヨグ坂「よ! 『口裂け女』のヨグ坂ルルだ。最近物騒になってきてんなあ、学校町
     ん? 今着てる下着だって? 普通にイオンで売ってたグレーのやつだけど?」

変態クマ「ふっふっふ、クマのパンツについて聞くとは中々良いセンスしてるクマ★
      もっともクマはパンツ履いていないんだクマ! というか私は都市伝説枠ではなく契約者枠なのだが……
      まあいい、いずれこの学校町の女子契約者と都市伝説諸君は我が触手の餌食となって官能の海にゔぼれるのだ……
      ふっふっふ、くっ、くかかかっ、くかかかかかっ、ふはは、はっはっは、アーッハッハッハッハァ!! ア゙ーっは 【以下、削除】



○「組織」ーズ

サスガ「“オサスナ”だ。何? 下着の色? それを知ったところでどうなる」 ☜ 冷静

落武者「ヌゥゥゥゥ……、……」 ☜ もじもじしている

モヒート「“モヒート”です。うん、『組織』所属です
     ……は? 下着、の色……? ……女子に向かっていきなりそれ聞くっていい度胸ね
     上等じゃない……! 『コーラ』で溶かしてやるから覚悟しなさいな!! 逃がさないから!!」 ☜ 能力発動

∂-No.0「はい、∂ナンバーですが……。恐れ入りますが、その質問と我々の任務とにどのような関係があるのか理解しかねますが」
∂-No.0(い、今の下着について教えろ、ですって……!? 何を考えているのこの人は……、い、いやらしいこと考えてるのかしら……) ☜ 内心動揺

∂-秘書「下着の色を教えろ? それセクハラですよね? いいんですか?
      言っとくけど、『組織』の然るべき部署に通報済みですので。覚悟してくださいね?」 ☜ キレてる



○「ピエロ」ーズ

ピエロ「「「オーレーたーちー!! パンツ★履いてませーん!!!」」」
ピエロ「俺は履いてるけど。ショッキングピンクのバタフライ」
ピエロ「ピエロによってマチマチなんじゃね?」
ピエロ「女子ピエロはエロ下着持ってるよなぁ……」
ピエロ「いいよなああいうの、マジ殺した後に犯りたくなる」
ピエロ「の前にお前が殺されてんだろ」

アブラ「やあやあやあ、こんばんは。今宵も元気があっていいねえ
    おや、僕かい? 本体はともかく、義体の方はスタンダードなボクサータイプだが」

海から「俺は花柄のパンツかな。“娘”からの誕生日プレゼントなんだよ。俺のお気に入り



○その他ーズ

東一葉「いよっちだよ。下着の色? 知りたい? 見たいの?」 ☜ 虚ろな笑顔
東一葉(わーばかばか!! 何言ってんのわたし!? あ゙あ゙あ゙!! お嫁に行けなくなっちゃうよぉぉ!!) ☜ 赤面

クル子「オッス、おらクル子。早渡とおんなじで『七尾』出身だよ!
     フルネーム? いいじゃんそんなの。で、なに? ……パンツ、の色?
     え、っと、上も下も白だけど。あ、後さ、 赤 いのと、 青 いの、どっちが 好き ?」 ☜ 顔は笑ってるが眼が笑ってない

まりあ「やあ、まりあだよ。脩寿の幼馴染で親友なの! 元『七尾』でーす
     えっ、今日の下着? えー……。フフン、実はパンツ履いてません」 ☜ ドヤ声

地の文「こんばんわ。地の文おじさんだよ。最近は『こんばんは』と表記するとキレる大人が増えてるようだね
     ダメダメ、そういうことで一々キレないの☆ で、パンツだが。……純白のブリーフを愛用している、と告白したらどうするね? ん?」



最後までお付き合い頂きありがとうございましたorz
こうして見ると主要人物より本編の敵対的なキャラのが律儀に答えてるような気がしなくもない


 
35 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/09(金) 09:39:08.99 ID:K4ia3RsGO
>>31
いやぁ、オレ英語音痴でさぁ(ヨハン並感
あと言い分は分かった。じゃあ別の日に顔見せろよ、とだけ言っておく

>『ポケモン赤・緑』に『ポケモンサン・ムーン』のピッピを連れて行ってもフェアリータイプのままだと(意☆味☆不☆明
 その理屈で言うと、【サン・ムーンのピッピ】という特殊なピッピになるな。未知のタイプに加え、『とくぼう』というステータスを有している
 逆に【赤・緑のピッピ】はノーマルのままで、『とくしゅ』というステータスを持つ。環境に適応したら、変わる場合もあるかね
 あの世界創ったの剣裁だから、詳しい事は知らん(ぁ
36 :次世代ーズ ◆John//PW6. [sage]:2017/06/09(金) 20:28:01.45 ID:tqfVxtvOo
 

昨日のレスでレスし忘れていたのがあったのでレスしますorz

>>26
>ところで、メールアドレスにsagaを入れていないのは仕様ですか?
はい! わざとです!
理由としてはフィルター機能を有効的に使いたいというただ一点だけです
その昔、SS速報VIPのあるスレで「文章力だけで勝負しろこのタコ!」とお叱りを受けたこともありますが
「次世代―ズ」では積極的にフィルターを利用していこうと思っています
今までは投下時にブラウザ都合でsagaが入ったり入ってなかったりすることがありましたが
今後は特に意図がない限りはsagaは入れないつもりです

ですが、フィルターも色々と問題があることは知ってます
特にあの「魔翌力」だの「攻撃翌力」だの「唐翌揚げ」だの
忌々しい置き字が発生するトラップが今期最大の悩みの種でしたが
この度トラップ発生を事前に発見する対策法を入手したのでたぶん大丈夫だと思います

 
37 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/09(金) 22:54:30.09 ID:Ghj+6/nRO
>>36
あぁなるほど。意図的に[ピー!]と入れてるんですねぇ
自分はダイスを使って展開を決めるSSを知ってるので、文章力以外でも勝負できると思いますよ。安価然り
というか、自分も何か組み込もうかしら……
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/06/12(月) 21:50:06.25 ID:uwW7LjRJ0
気づいたらキリ番踏んでましたわ
もう16万か…
http://dl1.getuploader.com/g/tosidennsetu/91/20170612_02.jpg
39 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ :2017/06/13(火) 18:02:48.08 ID:4EpH+duuO
ここまで投下された皆様おつおつー
なかなか来れなくてすんません。
とりあえず、次世代ーズの人の悪役コンビとひかりを会わせればいいのかな?かな?
40 :次世代ーズ ◆John//PW6. [sage]:2017/06/13(火) 21:35:02.62 ID:5kWO6Nbxo
>>39
お疲れ様です……!
鳥居の人が続きを書いて下さるのであれば非常に嬉しいですが
そういった余裕がないということでありましたら、ご一報下さい
その際は、不肖・次世代ーズが続きを書きます!
41 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/14(水) 22:39:58.05 ID:Y/4vEJy8O
では前座・大王の契約者がお時間を頂きます。

>>12-18
『伝説使途』。都市伝説に関する様々な設定を引き継ぎながら、学校町とは異なる発展を遂げた世界。

前回は、伝説使徒【こっくりさん】と契約したサッカー少年の物語。
少年は、自らの周りを守るため、戦う道を選んだ。独りではなく、【こっくりさん】と双りで。

今回は、しかしなおも理解しがたい『伝説使徒』の秘密に迫る。
さぁ、『科学』が牙を剥く時間だ―――
42 :sample03-01 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/14(水) 22:41:03.85 ID:Y/4vEJy8O


 人は噂した、「あらゆる質問に答えてくれる【怪人アンサー】がいる」と。

 人は噂した、「あらゆるものを不足させる【妖怪いちたりない】がいる」と。


 『Meme(ミーム)』。それは人類が進化の過程で獲得した遺伝情報の一種。
 ミームは『文化』『技術』『情報』として人類の生存のために繁栄し、時に姿かたちを変えた。

 そのミームのひとつに、『科学』というものがあった。
 それらは世界の万物を解析し、理解し、良いミームとする能力に長けていた。

 だが、科学も『伝説使徒』の登場により、立場が危うくなった。
 伝説使徒は、科学的には理解できないが、実在しているのだ。


《実験を開始します。10人の被験者は、コールする準備をしてください。》


 さて、質問である。
 もし仮に……「ミームが意思を持っていたら」、彼らはどのような行動に出るだろうか?

 例えば……伝説使徒を理解するため、『科学のミーム』が動き出す……かもしれない。


《カウント終了後、10人同時にコールを行います。》


 『科学のミーム』は、進化の時を迎えていたのだ。


《3……、2……、1。》


 無機質な部屋の中、ガラス越しに観測された10人の男女が、輪になって同時に電話を掛けていた。
 その電話は誰とも繋がる事はなかった。ある1人を除いて。

《……質問に答えよう。どんな質問でも、解答してみせる。》
「繋がりました!……【怪人アンサー】です!」

 電話から聞こえた声に対して、被験者の男性が声を上げた。
 ガラス越しに、観察者達の喜ぶ姿が見えた。

「実験は成功だ! 【怪人アンサー】が誕生した!」
「我々が流布した噂を元に、ミームが伝播・成長し、『伝説使徒』と化したのか……。」
「信じがたいが、事実を認めるしかない。」

 各々が意見を言い合っていると被験者の男が指示を仰いだ。
 【怪人アンサー】は質問を求めていたのだ。

 【怪人アンサー】は、研究者が意図的に作り出した噂だった。
 最初は『所定の儀式を行うと、あらゆる質問に答えてくれる怪人と電話できる』という話だった。
 やがて、『9人の質問に答えると、10人目に無理難題な質問を行う』
 『最後の質問に答えられなかった人間は、体の一部をもぎ取られる』
 『【怪人アンサー】は頭部だけの奇形児で、身体を完成させるためのパーツを集めている』
 ……と肉付けされていき、最後には、伝説使徒と化したのだ。

 研究者の1人が、被験者に撤収するよう指示した。
 被験者達が逃げるように部屋を出ると、その研究者が入れ替わりで入ってきた。
 そして、電話をスピーカーモードにして、【怪人アンサー】に話しかける。

「はじめましてだ、【怪人アンサー】よ。」
《この研究所の所長様か。ご丁寧にどうも、私を生み出した科学者様。》
「何もかも見透かされたか。流石だ、アンサー。」
43 :sample03-01 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/14(水) 22:41:48.21 ID:Y/4vEJy8O

 我が子を愛でるような声で、所長は【怪人アンサー】に語り掛ける。
 身体はどうなのか、視界はどうなっているのか、痛みはあるか……と。
 まだ頭だけだ、携帯電話越しに見ている、痛みはあるが『欲求』の方が強い……と【怪人アンサー】は答える。

「まだ誰にも召喚されていない【怪人アンサー】だったのか。」
「視界についてどうなっているのか、よく分かりませんね。機械のハッキング?」
「『ミームを維持する』という生存欲求は高いのか。痛みすら感じている……?」

 【怪人アンサー】の答えは、1つ1つが研究者を刺激した。
 伝説使徒を『科学』する上で、重要な情報ばかりだった。

「さて、最後に……。」
《おっと、残念ながら質問タイムは終了だ。次は……私の質問に答えてもらおう。》

 それは都市伝説に倣うなら、死刑宣告に近かった。
 思わず、研究員の女性が叫んだ。

「所長! 今すぐ逃げてください!」
「構わない! その代わり、僕が勝ったら……協力してくれ、アンサー。」
《……ふむ、良いだろう。では、所長様なら簡単な問題を出そう。》

 ガラス越しに、研究者達が息を呑む。



《『伝説使徒』を構成する、主な要素を答えよ。》



 無理難題だった。
 それを調べるために、我々は研究しているのだ。逆に聞きたいくらいだ、と研究者達は思う。
 それは、科学への挑戦か―――嘲笑だった。

 だが、それに屈することなく、所長は答える。

「……お前達、『伝説使徒』を構成するには、既存の物理学では不可能だ。
 よって、異なる物理現象を定義する必要がある。」
《ほう……?》
「それを可能にするのは、『集合意識』と『情報エネルギー』だ。」

 所長は説明する。
 『集合意識』とは、全人類の意識が、無意識にリンクし、ひとつのネットワークを形成しているという仮説だ。
 伝説使徒は、その集合意識ネットワークでシミュレートされた世界に生きている。

 『情報エネルギー』とは、情報自体がエネルギーに変換できるという仮説だ。
 この仮説と、集合意識ネットワークを利用すれば、伝説使徒は自らのミームを消費して、物理エネルギーに変換できる。
 そうやって、伝説使徒は現実世界に干渉しているのだ。

「……人間の脳はかくも複雑で、理解しきれない。伝説使徒は、その脳に間借りする事で、自分達を維持している。」
「お、お言葉ですが所長! 人間の脳なんて、いつ・どこが書き変わるか不明では!?」

 研究者の男性が叫ぶが、所長は流暢に答える。

「だから『契約』するんだ。常に書き換わる恐れがある集合意識ネットワークを漂流するより、
 特定の脳で自分の領域を確保した方が良い。そのための契約なんだ。」

 そして集合意識ネットワークを利用するメリットは、まだある。
 人間の脳によるネットワークなら、あらゆる計算・情報にアクセス可能なのだ。
 集合意識を利用すれば、あらゆる質問に、瞬時に解答できる。

「キミのようにね。アンサー。」
《……。》

 ガラスの向こう側で、拍手が鳴り響いた。科学の勝利を確信したのだ。
44 :sample03-01 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/14(水) 22:42:32.26 ID:Y/4vEJy8O






《あと、1つは?》






「なに?」
《最後の1つは、なんだ?》

 拍手は沈黙に変わった。
 伝説使徒を構成するためには、あと1つピースが欠けている。
 誰ひとり、助言できるものは居なかった

「そんな……。」

 ある女性研究員は、違う視点で事を見ていた。
 実は、先の推論は半ばハッタリだったのだ。

 所長の身体には、いくつかの発信機が取り付けられている。
 それで【怪人アンサー】の居場所を暴く、それが今回の目的だったのだ。
 ……だが、そのハッタリが『当たってしまった』。それは大きな問題を生んでしまうのだ。

「所長! そいつは嘘つきです!」
「な、何かね急に! 【怪人アンサー】を疑うのか!?」

 女性研究員の叫びに驚き、他の研究員達がざわめく。
 だが、構わず女性研究員は叫び続けた。

「だってあり得ないじゃないですか……! 伝説使徒を構成するものが、
 【集合意識】と【情報エネルギー】という伝説使徒なんて!」

 それは、完全な矛盾だった。【集合意識】も【情報エネルギー】も、伝説使徒として観測されているのだ。
 それらを構成するのが『集合意識』と『情報エネルギー』、どちらが先に存在したのだろうか?

「そんなの……『伝説使徒』が先に存在しないとあり得ない……!」

 しばしの沈黙を経て、所長は口を開いた。

「今、何と言った?」
「え?」

 所長は、彼女の言葉を聞いて、ある解答を閃いた。


「お前は……【伝説使徒】という『伝説使徒』が存在する……そう言うのか?」


―――彼女に返事の間も与えず、所長は言葉を続けた。


「答えろ、アンサー!」


.
45 :sample03-01 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/14(水) 22:43:34.32 ID:Y/4vEJy8O






―――静寂の中、カチカチと歯を鳴らす音が、電話越しに聞こえた。






《流石だ、科学者様。正解だよ。【伝説使徒】、それこそが我々の生みの親。いわば、神。》
「神……だと?」

 またもや研究者達がざわめき出すが、構うことなく【怪人アンサー】は続ける。

《神と言っても、【付喪神】や【八百万の神】のような超人的な存在ではない。
 もっと上! もはや概念として、我々の世界に君臨する存在……!》
「それが……【伝説使徒】。」
「そんなものを……信じろって言うんですかッ……?!」

 【怪人アンサー】は笑いながら答える。
 時間が流れるように、空間が広がるように、命が鼓動するように、伝説使途という概念は『あった』と。
 その概念に従って生まれるものこそが、自分のような『伝説使徒』だと。
 そして、それを食い止める手段は、時を止めるように、空間を押し潰すように、あり得ない……と。

《だが、おそらく【伝説使徒】は、『集合意識ネットワーク』と『情報エネルギー』を利用している。
 それだけは正しいと教えておいてやろう。》
「そんな……集合意識や情報エネルギーという概念ごと、【伝説使徒】は存在『していた』……?」
《尤も、【伝説使徒】の全貌を知る者はいない。私さえも、その存在を信仰しているに等しいのだ。》

 彼女は、床に膝をついて失意した。

《どうした、所長様? 正解なのだから、喜ぶがいい。》

 所長はギリリと歯を鳴らした。
 科学的に『伝説使徒』を解明するはずが、非科学的かつ超常的な存在である事を突き止めてしまった。
 まるで、敗北するために科学してきたようだった。
46 :sample03-01 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/14(水) 22:44:46.26 ID:Y/4vEJy8O

 だが、やがてニヤリと笑い、口を開く。

「ありがとう、アンサー。良ければ、次の実験にも協力してくれ。」
《……約束だ。多少は協力してやろう。》

 返事を聞いた所長は……ポケットからスイッチを取り出し、ボタンを押す。

《ッ!?な、何ィ!?》
「【集合意識】と【情報エネルギー】……その伝説使徒は研究済みだ!
 僕は今、集合意識ネットワークに参加していない……特殊な装置を使ってね。
 だからこの機械をお前は知らない……僕から君への、誕生日プレゼントだ。」

 【怪人アンサー】は身体が吸い取られるような感覚に襲われた。
 いや事実、携帯電話から飛び出し、謎の機械へと吸われているのだ。

「特製の『電脳契約機』だ! スーパーコンピュータの中でミームを維持し続けるがいい。
 ……僕達に解析可能なコンピュータの世界で、生き続けろ。」
《……きィさまァァァ!》



―――【怪人アンサー】は、機械の中へと封印された―――



「実験は成功だ。各員、伝説使途の解析を始めろ。」
「「 ……は、はいっ! 」」



 科学は、常に進化するミームである。
 非常識だと言われ、笑われた事も、いつしか常識となっていた。それが科学。
 ならば。【伝説使徒】という概念さえも、科学の限りを尽くすしかない。



 伝説使徒を滅ぼす、その時まで。





 人は噂した、「『伝説使徒』を研究する、組織がある」と。

 人は噂した、「『伝説使徒』を利用し、何かを企む者もいる」と。




 ―――これは、『伝説使徒』と契約し、『伝説使徒』と戦う者達の物語―――
47 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/14(水) 22:55:30.70 ID:Y/4vEJy8O
という訳で、科学サイドのお話でした。
はたして、電脳の牢獄に囚われた【怪人アンサー】はどうなるのか……。

そして、人間の脳を利用するワケのアンサーです。
集合意識ネットワークで造られた、もうひとつの世界で生き、
情報エネルギーを変換し、光や音、物理衝撃に変えて現実世界に干渉する生命体。それが伝説使徒。
機械よりもはるか昔に、機械以上のものが存在していたのです。この世界には。

次回以降は、巻き込まれてメリーさんと契約した男を進めようかなと。
あの男もまた、次々と妙な事件に巻き込まれるので、期待してくださいな。
48 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 08:59:35.54 ID:WHoOvRUQO
だ、誰も来ないならスレを乗っ取るまでよー!(泣

●あらすじ
 その日まで、男は普通の日常を送っていた。
 しかし、都市伝説でしかないはずの【口裂け女】に襲われ、彼の日常は崩壊した。
 窮地の末、男は【メリーさん】と契約し、難を逃れる。
 しかし『伝説使徒』と呼ばれる彼らは、まだまだ無数に存在する。

 さて彼は、その後どのような人生を歩むのか……。
49 :sample01-02 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 09:00:11.92 ID:WHoOvRUQO



「私、メリー。今ね、あなたの後ろに居るの。」



 俺の後ろから、確かにそう聞こえた。

「あぁ、知っている。」

 そう言いつつ振り返ると、不機嫌そうに頬を膨らませた【メリーさん】が、こちらをじっと見つめていた。

「……ひーまー! 暇ひまヒマ、ひぃ〜まぁ〜!」

 絶叫しつつゴロゴロを床を転がる【メリーさん】。
 放っておくと近所迷惑……になるかは分からないが、なだめるとしよう。

 この子は、俺の妹や養子ではない。そもそも、『人間』ですらない。
 俺が契約している、『伝説使徒』だ。

 伝説使徒とは、この世界に存在する不思議な生命体。
 人を襲ったり、逆に守る事で生命を維持する、奇妙な生態を持つ。
 そして、普通の人間には見えず、声も聞こえない等の特徴もある。

 こんな幼い女の子だが、いざ戦おうとすると、俺なんかでは比較にもならない。
 伝説使徒は、人間なんかよりも遥かに高い戦闘能力、そして特殊能力を持っている。

「だってマスター! 仕事帰りなのに、ずっと引き籠ってPCばかり触って!
 ちょっとは遊びなさいよ〜!」
「あぁもう、これは今度の仕事を、円滑に進めるための準備なんだ。」

 しかし、契約したての頃はもう少し、清楚というか無口な女の子だったのに、何故こうなったのか。
 【メリーさん】と契約してから、俺のライフスタイルは大きく変わった。
 食費も1人分多くなったし、毎日この子に付きまとわれるし、野良の伝説使徒に襲われるし……。

 だが、ボディガードだと思えば、安い出費だ。あんな化け物から逃げ回りつつ生きるのは困難。
 【メリーさん】と契約した事は、ちょっと賑やかなルームシェア程度の感覚だ。

「どこか遊びに行こうよ〜?」
「もうこんな時間だぞ。飯の支度する。」

 そう言いながら冷蔵庫を開けると、食材を切らしている事に気づいた。
 まだ2人分の食材を把握しきれていないな……と考えつつ、出かける支度をしようとすると。

「あ、じゃあ買い物行ってあげる! その代わり、今度の休みに遊園地ね!」

 と返されてしまった。
50 :sample01-02 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 09:02:10.76 ID:WHoOvRUQO



「―――良いか、財布はここ、メモはここで……。」
「子どもじゃないんだから、分かるわよ。」

 子どもだろ、という言葉を飲み込んで、鞄を渡す。
 伝説使徒とはいえ、子どもに買い物を任せるなんて、初めてだ。
 ちゃんとできるだろうか……。

「えっと、駅前のスーパーの場所は……。」
「それも分かるわよ。安心しなさいな。」
「そうか? 迷ったら電話するんだぞ。」

 そう言って再びPCの前に座ると、早速【メリーさん】から電話が掛かる。

「なんだよ、まだ玄関すら出て……。」
「私、メリー。今ね、駅前のスーパーに居るの。」

 とっさに振り向くと、【メリーさん】は居なかった。
 おそらく、もう駅前のスーパーに『転移』したんだろう。

 【メリーさん】の特殊能力『転移』は、電話を掛ける事をトリガーとする。
 掛けた対象が知っている場所へ、瞬時にテレポートできるのだ。
 俺に掛けた場合、俺が行ったことのある場所全てへテレポートできる。

 ただし他人に掛けた場合、【メリーさん】から半径・数百m以内の場所しか行けない。
 地球の反対側から『あなたの後ろに居るの』とは言えないわけだ。

「……まったく、さすが伝説使徒だ。」

 さて、うるさいのが出かけたので、さくっと仕事を終わらせる。
 資料作成なんて慣れたもので、プレゼンの台本もすぐ完成した。
 ……では、最近始めた課題を進めていこうか。

 借りてきたDVDを流しつつ、あるアプリの開発に取り組んでいた。
 『伝説使徒の研究』……とでも言うべきだろうか。

 【メリーさん】の能力は、はっきり言って常識外れだ。
 だが、ITの人間としては、だからこそ理解したいという思いがある。
 せめて、その一端だけでも……。

 最初の課題は、『メリーさんの転移能力』だ。
 別に、転移そのものを再現しようという訳ではない。ただ、その前段階に興味がある。
 『電話相手の記憶から、座標を割り出す』という工程を、どのように行っているのだろうか?
 もしも、記憶へのアクセスに携帯電話を利用しているなら……その情報をアプリケーションで取得できる。
 理屈はどうであれ、脳波をインプットに利用できるのだ。

 ……まぁ、簡単に行く訳もなく。【メリーさん】から情報を取得するアプリさえ、完成のめどが付いていない。
 心当たりを元に、KKD法でトライしてみよう。

「……あれ、静かだな。」

 【メリーさん】が帰ってこない、という意味ではなく。
 DVDが再生されていない? そう思ってTV画面を見た。
51 :sample01-02 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 09:04:04.04 ID:WHoOvRUQO
 そこには、井戸から這い上がってくる、白い服の女性が映っていた。
 俺はその光景を知っていた。だが、あり得なかった。



 ホラー映画なんて、俺は借りていない。



「の……【呪いのビデオ】か!?」

 マズい、どうにかしないと。とっさにリモコンのボタンを連打する。反応がない。
 TVに近づき、直接電源や、あらゆるボタンを押す。反応がない。
 こうなったらと電源プラグに手を伸ばそうとした瞬間、何かが服に触れた。

「うわっ!?」

 とっさに飛び退くと、白い服の女性が画面から出てきていた。
 混乱しつつも頭は高速回転する。この状況を打破する方法。【メリーさん】がここに来る方法……。

「そうか……!」

 机の上のスマートフォンを手に取る。手を引くと同時に、刃物が机に刺さった。
 ……もはや、この程度で驚いていたら生きていけない。
 とっさに、女性に背を向けて、あのダイヤルへ電話する。

「……。」
「【メリーさん】ッ!」

 数秒後、金属音が部屋に鳴り響いた。

「私、メリー。今ね、あなたの後ろに居るのッ……!」
「……!」

 契約の履行である。俺は、存在しないはずの【メリーさん】の電話番号を知っている。
 それにより【メリーさん】へ電話が可能なのだ。
 応用すれば、このように瞬時にメリーさんを召喚できる。

 振り返ると、買い物を終えた【メリーさん】が、白い服の女性と刃を交えていた。
 白い服の女性は、さっと飛び退いて距離を取る。

「買い物お疲れと言いたいが、さっそく仕事だ。」
「見れば分かるわよ。まったく、人使いの荒いマスター。」

 【メリーさん】が来てくれた事で、より冷静に状況を分析できる。
 俺の記憶では、【呪いのビデオ】の効果は『視聴した7日後』だったはず。
 視聴してすぐ現れるものだろうか? 【メリーさん】に尋ねてみた。

「伝説使徒はミームを維持するために必死よ。多少は自力で、ミームを書き換えようとするの。
 『彼』だって色々苦労しているのよ。」
「だからって襲われる身にも……『彼』?」

 改めて見ると、【呪いのビデオ】から現れた白い服の人間が震えだす。

「……あぁ。私とて、生きるためには、どんな手でも使おう。」

 野太い声が、部屋に響いた。
52 :sample01-02 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 09:04:49.68 ID:WHoOvRUQO
「お前、……まさか。」
「……そうだ、 男 だ よ ! 」

 冷静になった今、『彼』を観察する。
 確かに髪も長く、女性のような衣服を着ているが……身体つきが男だ。

「……お前達人間のせいで、【呪いのビデオ】と言えば、貞子になってしまった。
 ……そのせいで何をやっても【貞子】のミームが強くなるばかり……。」

 なるほど。伝説使徒はミームを維持するために人間を襲う。
 だが、『襲えばミームを維持できる』とは限らないのか。
 おそらく様々な種類の【呪いのビデオ】があったんだろうが、それが全部【貞子】の手柄になる。
 エサを横取りされ続けているようなものだ。いずれ、【貞子】だけが【呪いのビデオ】となる。

「……ならば、私も【貞子】として生きるしかない! こうやって、女装してでも!」
「―――すーっごい、分かるんですけど!」

 何故か、【メリーさん】が身体を乗り出した。

「私、契約するまでは清楚な女子高生を目指してたのよ。それが今は?!
 どう見ても女児! あいつ、あぁ見えてロリコンよ!」
「……なんと。契約に、そのような弊害があったとは……。」
「人間って本当に、自分勝手にミームを書き換えて!
 きっとさっきも、脳内では『はじめてのおつかい』を妄想していたに違いないわ!」

 ……気が付くと、2人は座り込んで愚痴を言い合い始めた。
 邪魔をする訳にもいかないので、俺は【メリーさん】が買ってくれた物を拾い、台所へ向かう。
 2人の会話をBGMに、慣れた手つきで夕食を作る。作り置き分……と言いたいが、これも無くなるかね。

「おぉい、飯ができたぞー。」

 そう声を掛けた頃には、すっかり意気投合していた。

「あ、はーい。盛り付け手伝うねー。」
「……そうか、ん?」

 食卓に料理を3人分並べると、俺達はいただきますの合図で食べ始めた。……1人を除いて。

「……何を、しているんだ?」
「何って、夕食だよ。」

 【呪いのビデオ】からの質問に、俺は当たり前のように返す。

「アンタも食べなさいよ。せっかく来たんだし。」
「……俺は、お前達を襲おうとしたんだぞ?」

 そういう【呪いのビデオ】が言うので、俺は一旦箸を置く。

「【メリーさん】。こいつ、倒せるか?」
「えっ……。」

 少し迷う素振りを見せたが、【メリーさん】は小さく首を振った。

「だとさ。じゃあ無理だ。」

 俺は再び、箸を進めた。
53 :sample01-02 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 09:05:33.77 ID:WHoOvRUQO
「……何故?」
「【メリーさん】には倒せない。当然、俺にも倒せない。
 誰にも倒せない以上、こうするしかないだろう。食うか、襲うか。自由にしろよ。」

 そう【呪いのビデオ】に伝えて、俺は飯を掻きこむ。
 【メリーさん】も安心したのか、箸の進みが早くなった。

「……俺は、食事ができない伝説使徒だ。だから、要らない。」
「へぇ、低燃費だな。そっちの方がいいな。」
「……いや、食事ができる伝説使徒の方が、保持できるエネルギーが高い。」

 【呪いのビデオ】曰く、自分は『己のミームを消費して活動する』。
 食事するタイプは、『ミームだけでなく、物理エネルギーを消費して活動できる』。
 ミームを消費、という概念が今ひとつ理解できないが、なんとなく理解した。

 【メリーさん】のような伝説使徒は、転移する際に大きなエネルギーを消費している。
 なんせ、自分が買ってきた食材なんかも転送できるのだから。
 そのエネルギーの出所は、情報として格納された食べ物……という訳だ。

 こいつらと付き合い慣れた俺としては、「興味深い」とさえ思えた。
 【メリーさん】の食事シーンをなんとなく見ていたが、俺達とは異なる現象が中で起きているんだ。

 余分に盛ってしまった食事を食べつつ、色々考え込んでしまう。
 伝説使徒は情報の塊であり、他の物質さえも情報化できる。
 ならば、機械と組み合わせると、どのような事ができるだろうか……。

「あ、マスター。また食べながら考えてる。」
「……いつも、こうなのか?」
「うん。仕事の事とかばっか考えて、あまり喋ってくれないの。」

 などという会話を聞き流しつつ、ごちそうさまをして食器を片付ける。

「えっと、申し訳ないが襲われてやれない。元のレンタル屋に帰ってくれ。」
「……いや、こちらこそ済まない……こんな事は初めてだ。」

 だろうな。だが、慣れてしまったものは仕方がないのだ。
 こいつらだって、俺達のように生きている。
 よほど害意がない限り、無暗な殺生は避けたい。

「じゃあ、縁があったらまたね。」
「……あぁ、うっ!?」

 【呪いのビデオ】が、急に頭を抱えだした。
 俺も【メリーさん】も支えようとするが、振り払われる。

「逃げ、……我が名は貞子。汝らを呪うものなり。」
「は?」

 冗談だろ、と言いかけた時、【メリーさん】に突き飛ばされる。
 【呪いのビデオ】は、俺のいた場所に鋭い爪を振るっていた。

「……冗談だろ?」
「ミームが書き換わったわ。もうアイツは【貞子】なのよ。
 契約をしていない伝説使徒だもの。こうなるって……分かり切ってたのに……。」
54 :sample01-02 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 09:06:48.59 ID:WHoOvRUQO
 【メリーさん】が抜刀し、対峙する。
 ……科学とか、常識とかでなく、信じられない。これほど簡単に、伝説使徒は『死ぬ』のか?
 こんなの、あんまりじゃないか。ミームが書き換わっただけで……。



―――人間って本当に、自分勝手にミームを書き換えて―――



「そうだ……。」

 思わず、俺は【貞子】を名乗るものに体当たりした。不意打ちだったのか、奴は転倒した。

「ちょっと?!」
「【メリーさん】は足を抑えていてくれ!」

 もがくソイツに向けて、俺は語り掛ける。

「おい! 俺はお前の本当の姿なんて知らない。だが、俺は知っている!
 生きるために必死だった事、そのために変装までした事、……なのに俺を襲わなかった事!
 お前、本当は優しいんだろ! お前だって、無意味な殺生はしたくないんだ!」

 【呪いのビデオ】が、本当にそうだったのか……それは、願望でしかない。
 だが、俺は人間だ。自分勝手に行かせてもらう。

「お前が、お前のままで居たいなら……俺と契約しろォ!」






.
55 :sample01-02 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 09:07:31.07 ID:WHoOvRUQO






―――長い時の流れを感じる


 気が付くと、【メリーさん】が俺の顔を覗き込んでいた。

「お、よう。俺は……。」
「バカッ! 心配したんだからね!」

 グッと絞められる俺。ちょっと苦しい。
 えっと、確か【呪いのビデオ】が襲い掛かってきて……。

「そうだ、アイツは?」
「……ここだ。」

 TV画面を見ると、ノイズと共に謎の影が映っていた。
 井戸でもなければ、白い服の女性でもない。だが、たぶん本当の姿ですらない。

「えっと……失敗だったか?」
「……いや、成功なんだろう。お望み通り、私は私の人格を維持できた。
 もう、誰も襲う必要はない……。」

 それは良かった。と安堵するも、【メリーさん】に背中を殴られる。

「なんの許可もなく、2体目の伝説使徒と契約するなんて!
 もしも脳がパンクしたら、どうする気だったの!?」
「あ〜……すまない、無我夢中だった。」
「ほんっとうに……心配したんだから……。」

 ……この時まで、俺は全く気付いていなかった。
 【メリーさん】は、俺にとって家族と言える存在になっていた事に。
 人間だとか、伝説使徒だとかの垣根は、そこに無かったんだ。

 そして今日、もうひとり家族が増える。

「無茶をしたが、すまない。これから宜しくな、【呪いのビデオ】。」
「ねぇ、それなら名前が必要じゃない?」

 それもそうだな、と数秒考え、パッと出てきたのは。

「じゃあ、[ビデ男]だ。」
「……えぇ……。」

 ……引かれてしまったので、名前はまた考えるとしよう。
 しかし、【呪いのビデオ】……いざ仲間になると思うと、少し気になる点があるんだ。
 これは、研究しがいがあるぞ……。

「あ、マスターが仕事顔。」
「……何故だ、悪寒がする。」






 ―――これは、『伝説使徒』と契約し、『伝説使徒』と戦う者達の物語―――
56 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 09:11:29.10 ID:WHoOvRUQO
という訳で、今度は【呪いのビデオ】の事情に巻き込まれた男でした。
ミームの書き換え・ミーム汚染とも言うべき現象は、人間以上に伝説使徒を苦しめる……。

次回は、メリーさんの約束を守るなら遊園地に行くのでしょう。そこで何も起きなければ、いいですね。
57 :次世代ーズ ◆John//PW6. [sage]:2017/06/24(土) 14:18:46.56 ID:ScQ6MTbqo
 
大王の人お疲れ様ですー
アンサーの話もメリーさんの話も大変そそられる内容でした

伝説使徒に先立つ伝説使徒が存在するって話は
卵が先か鶏が先かみたいな内容ですが
まさか神=伝説使徒まで踏み込むとは思わなかった
こっちの世界にも契約書的なモノが存在するんですね……

思うにこのメリーさんはクールビューティーな外見に違いない
途中でまさかの女装野郎に意表を突かれたましたが
個人的に引かれたのは食事の話ですの
伝説使徒にはミーム消費タイプと
ミーム&物理エネルギー消費タイプが居て
後者は食事で物理情報を取り込んでエネルギーにすると
自分の考えるANの食事摂取と少し重なって少しずれるな……
大変刺激的な内容でしたorz

それはそうとこのメリーさんの外見が気になる
メリーさんはいろんな姿のメリーさんがいますからね
やっぱり気になる、すごく気になる
 
58 :大王の契約者 ◆dj8.X64csA [sage saga]:2017/06/24(土) 17:05:03.25 ID:rdKh5sKgO
>>57
レスポンスウレシイ…ウレシイ…じゃない、乙ありです〜

>伝説使徒に先立つ伝説使徒が存在するって話は〜

 神という鶏が先にいたようです。この世界には。
 それが果たして、いかなる存在か、どのような意思を持つか……その答えは怪人アンサーも知りません。
 ただ、伝説使徒も科学されつつあり、そのメカニズムは徐々に理解されつつある……のかも?
 おそらくちゃんとした契約書も、あの組織が造るんじゃないですかね。

>個人的に引かれたのは食事の話ですの

 もうちょっと突っ込んで解説すると、食事タイプは体内で燃焼、あるいは核エネルギーを抽出して、情報エネルギーの代替とします。
 その都合上、当然使い切れない接種物は排泄されます。彼らはアイドルではないのです。
 あと【メリーさん】は、能力使用前後に若干の排熱が発生します。また豊富なエネルギー分、人間のフリをする事に長けていますね。

 もうひとつ、伝説使徒がやっている事は「人間の脳を利用した陣地取りゲーム」でもあるため、
 他の伝説使徒を倒すこともまた、ミーム・エネルギーを補充する手段になりえます。

>思うにこのメリーさんはクールビューティーな外見に違いない

 クールビューティな(「暇ー!」と叫びながらゴロゴロする)女子中学生です。
 JKを目指していた、というのは本人の幼さからくる願望です。
 ただ、契約のせいか明るくなったのは事実です。ちなみに、黒髪ロングです。俺の趣味です。

>途中でまさかの女装野郎に意表を突かれたましたが

 【呪いのビデオ】さんは苦労人。だいたい映画『リング』のせい。
 「ミームの書き換わり」という現象を説明するための配役でした。
 Test Worldですので、設定のサンプルや説明口調が多いんですよねぇ……
59 :シャドーマンの [sage saga]:2017/06/27(火) 15:54:08.26 ID:JZSdmUyDO
皆様乙
北海道旅行楽しかったぜー
ジンギスカンうまー

そして最近書けてなくてごめんなさい
次はまたナユタの話になるんだけど
決闘シーン筋書き書いてたら折角終盤まで書けそうだったのに手札の数が合わなくて再調整しておりまする
しかもLPまで計算ミスってる始末
今月中にはあげたりたい
60 :次世代ーズ ◆John//PW6. [sage]:2017/06/27(火) 22:10:51.46 ID:PvzAKfBpo
 

○前回の話

>>22-24 次世代ーズ
※この話は作中時間軸で【9月】の出来事です



○時系列

●九月
・早渡、人面犬からモスマンの話を聞く
・高奈先輩、偽警官と遭遇し返り討ちに
・早渡、同じ施設出身の千十と再会

・早渡、「組織」所属契約者と戦闘

・早渡、高奈先輩と友達になる

・「怪奇同盟」に挨拶へ

・早渡、東中でいよっち先輩と出会う
 花房らと共に三年前の事件の「再現」に立ち会う
 診療所で「先生」から話を聞く

・ソレイユ、変態クマに捕まる
・「ピエロ」、学校町を目指す

・∂ナンバー、会合
・金曜日、早渡は「ラルム」へ     ☜ 今回の話はここです

・いよっち先輩、自分を取り戻す
 その夜の内に居候先を確保する

・早渡、マジカル☆ソレイユと遭遇

・∂ナンバー、「肉屋」の侵入を予知



●十月
・「ピエロ」、学校町へ侵入



●十一月

・戦技披露会開催

・診療所で「人狼」イベント
 「人狼」終了後、いよっち先輩が遊びに来る

・バビロンの大淫婦、死亡
・「狐」本戦?




 
61 :次世代ーズ 25 「週末のひととき」 1/5 ◆John//PW6. [sage]:2017/06/27(火) 22:11:46.73 ID:PvzAKfBpo
 



 色々あったけど今週もようやく金曜を迎えた
 というわけでこの日の放課後、俺は「ラルム」にやって来ていた


「ねー教えてよーザベ子の彼氏ってアンタでしょー?」


 いや別に毎日「ラルム」に通い詰めてたってわけじゃない
 ただ何というか、自分の中では既に
 金曜の夕方は「ラルム」で過ごそうっていうのが出来上がっていた


「ねーってばー黙ってないで教えろよー、なー」


 そんなわけでこの日の夕食を「ラルム」で、ってわけだ
 注文したのはクロックムッシュ、コトリーちゃんイチオシのメニューだ


「いーじゃんいーじゃん別に恥ずかしがんなくてもさー、聞いてる?」


 確かに美味しい、うん、美味しいんだ
 ただ、それを伝えようにも、今日はコトリーちゃんもお休みらしい
 もっと言うと千十ちゃんも居ない。代わりに居るのはおばちゃん店員さんと


「てかこのお店に独りで入っといてさー恥ずいとか今更じゃんねー」


 この、さっきからやたら俺に絡んできている女子大生のバイトのお姉さんだ
 「ラルム」の制服の上からでも分かる程なかなか豊かなお胸の持ち主のようですが
 どうしてこんなにも心ときめかないんだろうか、我ながら不思議でならない


「あ、聞いてる? どうなの、ホントにザべ子の彼氏?」
「違います、ていうかザベ子って誰っすか」
「ウソウソ、絶対ウソ! そういうのわかっちゃうんだよね。絶対ザベ子の彼氏でしょ!」


 ダメだこの人、全然話を聞いてくれない
 しかも声が大きいので割と店の中に響いてる
 他のお客さんにもバッチリ聞かれてるんじゃないか?

 バイトさんに悟られぬように店内に眼を走らせるが
 聞こえてないのか、それとも知らない振りしてくれてるのか
 こっちを見ているお客さんは皆無だった
 一見すると、前に会ったオバちゃんズの姿は無いものの
 「ラルム」の客層って、全体的に年配の方々が多いようだな


 いや、待て



 
62 :次世代ーズ 25 「週末のひととき」 2/5 ◆John//PW6. [sage]:2017/06/27(火) 22:12:58.02 ID:PvzAKfBpo
 

 女の子と目が合った
 見たところ、学校町東区にある高校の制服だ
 あの「怪奇同盟」本部の墓地の近くにある高校の子らしい


 眼鏡の女の子だ

 目が合うどころでは無かった

 女の子は物凄い形相で俺の方を睨み付けていた


 な、なんで!? なんで睨まれてるんだ!?
 こっちのバイトさんに対して、ってわけじゃないよな?
 すると俺か!? 何かまずいことでもしたのか、俺は?


 「ねー、ウチのバイトのどっち狙いなワケ? ザベ子? それとも千十っち?」
 「すいません、もうそろそろ帰るっす」
 「えーなんで!? 食い終わったらそのまま帰るって、ちょっとねえ、アタシと話しよーよー」


 ちょっと睨み付け方が尋常では無い
 特に恨みを買う覚えは、無い、と断言できない所があれだが
 少なくとも、女子に対して何か失礼なことをしでかした覚えは無い
 これは断言していい
 あ、でも「七尾」出身者だった場合はちょっと話が変わるぞ

 少なくとも、ここは早く退いた方が良さげだ
 俺を睨んでるあの子に直接話を聞くってのも手だが
 あの睨み方じゃ穏やかに話が出来るかどうか、全く自信がない

 しかも今日は千十ちゃんもコトリーちゃんも居ない
 仕方がない、もう今日は帰った方がいいだろう


「この店さー若い子あんまし来ないんよー、もっと話しよー?」
「いやホントすいません、もう帰らないとヤバいんで」
「えー!?」

 ブー垂れてるバイトさんを適当にあしらいつつ
 俺はもう席を立った



 俺を睨んでた子、何だか生真面目そうな雰囲気の子だ
 もしかしたらこういう雰囲気の店に
 俺のような商業男子が居ること自体許せないってクチかもしれない
 そうだとしたらやっぱり早々に店を出るに越したことは無い、また日を改めよう








 
63 :次世代ーズ 25 「週末のひととき」 3/5 ◆John//PW6. [sage]:2017/06/27(火) 22:13:53.76 ID:PvzAKfBpo
 



          ●



「っ違います! そういうんじゃありません!」
「えー違うのー?」


 聞き慣れた声に、日向ありすは顔を上げた
 テーブル席にやって来たのは同じクラスの遠倉千十だ
 急いで来たのか、肩で息している


「ごめんありすちゃん、待った?」
「ううん、全然」


 読みかけの文庫本を閉じて応じる
 時間で言うと日没直後だろうか
 千十がやって来たのは先程の商業男子が店を出て十数分後のことだ


「先生、仕事溜め込んでたみたいでようやく終わったの」
「あー、まあ仕方ないわね、うん」


 親が家を空ける為、ありすは今日の夕食を外で取る積りだった
 すると千十も一緒に行きたいと言うので「ラルム」へ行くことにした、が
 放課後、急に千十が教員に捕まって仕事を手伝わされることになったのだ


「でも千十、今日シフト休みだったんでしょ? いいの?」
「大丈夫だよ、本当は今日お仕事だったんだけど」


 そんなことを口にしながら千十は横目を向ける
 つられてありすが顔を向けると、バイトの女子大生さんがキッチンへ入って行く所だった


「急にシフト交換するように言われちゃって……」
「それで休みになったんだ」
「うん、でも今日はお仕事の方が良かったな」
「へえ。千十、働くの好きなんだ?」


 笑いながらありすはそう尋ねるが
 彼女はむう、と口を曲げてキッチン入口の方を見詰めるだけだ


「それより日も暮れちゃったけど、ありすちゃんは大丈夫なの?」

「平気平気。どうせ母さん、お父さんの所に行ってるし、明日まで帰らないわよ
 愛に飢えてるとかどうとか言ってたし」

「ラブラブっていいね、羨ましいなあ」

「そういうもんでも無いと思うけど。あ、千十はどうなの?
 今日はお姉さん遅いの?」

「うん、上司に居酒屋でお説教されるんだって」

「お説教って……、お姉さんも大変ね」

「お姉ちゃんにはいい薬だよ、ほんとにもう」


 不貞腐れたような表情の千十を見て、思わず笑ってしまう


「あ、千十。帰りは私も一緒に行くからね」
「え、大丈夫だよありすちゃん、心配しないで」
「だーめ、最近は以前より物騒になってるの知ってるでしょ?」
「でも、ありすちゃんのお家と反対側だし、ありすちゃんも危ないよ」


 
64 :次世代ーズ 25 「週末のひととき」 4/5 ◆John//PW6. [sage]:2017/06/27(火) 22:14:43.02 ID:PvzAKfBpo
 

「私にはメリーがいるし、いざってときは大丈夫だから!
 それに今、ちょっとヤバい奴が居るみたいだから尚更警戒しないと」


 恐らく千十は知らない
 このときのありすの言葉に、僅かに怒りが籠ったことを


「千十ちゃんと、ありすちゃんね、いらっしゃい。ゆっくりしてってね」


 女子大生さんでは無く、おばちゃん店員の方がメニューを持ってきた
 お礼と共にメニューを受け取る
 千十と一緒に何度か来ている所為か、もう名前を覚えられている
 先程の会話は、多分聞かれてはいないだろう
 まあ聞かれていたとしても、今の所は特に当たり障りの無い話なのだが


「最近、変態が活気づいちゃってるみたいでね」

「へん、たい?」


 おばちゃんが立ち去るのを確認した後でありすは切り出した
 彼女の言葉に、水の入ったグラスを握ったまま
 千十はきょとんとした表情で聞き返した


「そ。性質悪いことにそいつ、契約者よ
 早く『首塚』に捕縛されてほしいんだけどね
 でなきゃ『組織』に仕事してほしい所なんだけど」

「怖いね……」

「大丈夫よ、目星は付いてる」

「え?」


 このとき、ようやく千十も気づいたようだった
 ありすの言葉に、明確な敵意が滲んでいることに


「この手で始末するわ、必ずね……!」


 静かにそう告げるありすの眼は
 真っ直ぐ、「ラルム」の入口に向けられていた







 
 続く……?
 
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