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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その14 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/27(火) 15:25:42.22 ID:VPzndKMo
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
    幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

〜前回までのあらすじ〜

コカトリスをクリト…と間違えて呼んでしまったダメ召喚士は、
パーティー仲間の頼れる戦士、どうみても処女な魔道士(戦士談)
スタイルいいが無口な盗賊(戦士談)と力を合わせて冒険を重ね、
数々の出会い…そして別れを経験し困難を乗り越えて行く。
大規模な北伐の中、四人の歩む新たな道とは一体何か…!?

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆前スレ(その13)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/

◆過去ログ
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
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【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 @ 2024/04/27(土) 14:14:26.69 ID:Wh98iXQp0
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/27(火) 15:57:15.02 ID:w1gb9bQ0
>>1乙
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/27(火) 16:14:01.18 ID:hzOqWxQ0
いてぃおつ
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 18:09:03.52 ID:8gW8sm60
>>1
やっと追い付いた・・・
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 18:11:00.04 ID:9zO4l6DO
一乙っす
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 18:15:38.43 ID:b9yS3ADO
>>1
新スレおめー

ここまでの国軍及びワーカーの布陣

◆北方司令部
皇太子 エリート(オークと交戦中)
左翼長 騎士長(弓部隊で司令部から援護)
参謀
天才 女侍一行(城内に入り込んだヴァンパイアを無限プチプチ中)

・拠点間移動中
青年兵(エリートの頼みで魔道士ちゃんの元へ向かってる)

◆北関
副司令官 大軍師 マジシャン(フンババと交戦中)
占い師

・拠点間移動中
無し

◆海峡
将軍

召喚士 戦士 魔道士 眼鏡 魔法剣士 盗賊(バフォメットさんのいる森で進軍中)

白虎長(ルー・ガルーさんの奇襲にあい潰走)
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 18:22:39.00 ID:b9yS3ADO
記憶を頼りに書いたので間違ってたらすまんこ

後で兵士の規模や結界石の有無なんかも含めてちゃんと書き直そうかな
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/04/27(火) 18:33:47.12 ID:VPzndKMo
もう埋まってたwありがとうございます!

>>6-7
おおお!!ありがとうございます!!素晴らしいです!
十分大助かりですよ。感謝です!

もうすぐGW&半年ですね!一気に進められたら…と思います!
それでは失礼致します!ノシ
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/27(火) 18:48:03.29 ID:HjD36n.o
今度、地図も書いてくれたらウレシイなぁ。
テキトーに書いても、ココの職人がカッコよく書いてくれると思うしww
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/27(火) 23:49:32.67 ID:XnICzcAO
言い出しっぺがやる法則
大いに期待しているよ>>9
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 00:08:16.41 ID:ijYEvMs0
追いついたー
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 00:34:39.64 ID:ijggZwAO
地球で想像してるんだが、それだとちっちゃい地球だな…
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:45:33.05 ID:HVYTi2DO
北方司令部

皇太子 エリート
親衛隊 エリート隊を率いて司令部北方に広がる平野の北東にてオーク、トロル、オーガ隊と交戦中(青龍召喚隊もここにいる?)

左翼長
弓騎兵と魔導兵を従えて平野の防衛拠点から北進中。

参謀
結界石輸送任務担当。8本の巨大な結界石を持って平野の防衛拠点にて待機中

騎士長
司令部防衛部隊
平野の防衛拠点にて待機中。
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:47:29.87 ID:HVYTi2DO
北関

副司令 大軍師 マジシャン
国軍本体を率いて結界石と共に北上中
盗賊からの報告を受け敵の奇襲に備えて関の防衛を増やした為本来の予定の7割程度の兵力になってしまっている。

占い師
お留守番 戦闘能力もあるはずだけど戦闘してるの見たことない

女侍一行
北関にお宝を求めて侵入したところ、関に魔王軍の奇襲が来たため成り行きで戦闘に参加。
義賊だからね!

天才
海峡と北関の間で盗賊を助けてルー・ガルーを全滅させた後、空を飛ぶ気配を老いかけて北関へ移動しヴァンパイアを撃退。夜明けまでヴァンパイアをブチのめし続ける予定。
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:52:11.46 ID:HVYTi2DO
海峡

召喚士パーティー 眼鏡 魔法剣士
橋を渡って北の平野を北上し森の前で敵の殲滅にあたる。

黒の三騎士
森で敵を撹乱していたがバフォメットにアッサリ殺されてしまった。
「俺を踏み台にしたぁ!?」

将軍 海峡兵(北方既存勢力) ワーカー隊

北の平野を北上し敵と遭遇した後は西へと追い込む。
敵を西へ押し込んでいる隙に別動隊が一気に北上し結界石を打ち込む予定
現在は橋の拠点から閃光弾の合図を受けて北進を開始したくらい?

百虎長 先遣隊
海峡で将軍と合流し北上する予定だったが、関から海峡への移動中にルー・ガルーの奇襲にあい潰走
海峡の砦にて療養中

青年兵
精鋭騎兵50騎を従え召喚士パーティーの元へ向かっている。
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 02:54:22.08 ID:HVYTi2DO
>>6
天才と女侍は北方司令部ではなく北関でした。
すみません。
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/04/28(水) 17:14:54.91 ID:7VELRRMo
>>13-16
魔道士「細かくまとめて頂いて…ありがとうございます!エヘヘ!」
盗賊「…凄く分かり易くて…助かる!あ…あり、ありがとっ!」

ななばつ様も更新ありがとうございます。
実は部ごとの長さの目安になるので大変ありがたいです!

↓続き
18 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/28(水) 17:15:22.57 ID:7VELRRMo
国軍兵「す…すげぇ……」

深い闇の中へ落ちて行くフンババを呆然と眺め、一人の兵が呟く。

マジシャン「ボサっとしてんじゃねぇ!次来るぞっ!!」

副司令官「側面を固めよ!登りきらせるな!」

魔道兵「ってえぇ!!」

ドドンッ!!…ドドオォンッ!!

絶壁の岩場をよじ登る巨大な二つの影。

その恐怖を振り払うかのように、魔道兵達は次々と魔法を放つ。

大軍師「慌てるでないっ。魔力を増幅して確実に捉えよ!」

魔道兵「くそぉ!来るなぁ!!」

ドドォンッ!!

マジシャン「おいっ、粗過ぎるぞ!何とかしろ!」

大軍師「…分かっております」

ザッザッザ…

大軍師「慌ててはなりません。落ち着くのです」
19 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/28(水) 17:18:12.67 ID:7VELRRMo
大軍師は崖縁に並ぶ兵士達へ、背後から声をかける。

魔道兵「しかし…どんどんと近づいて……」

大軍師「闇雲に攻撃しても意味はありません」

大軍師の声に、一同はやや落ち着きを取り戻す。

大軍師「良いですか?諸兄らは右の魔物を攻撃しなさい」

魔道兵「……か、かしまりました」

国軍兵「も…もう一匹は…!?」

大軍師「私達がなんとか…食い止めましょう」

大軍師は羽扇を口元へ寄せ、マジシャンをチラリと見る。

マジシャン「………っ!?」

大軍師「……」

マジシャン「…ちっ!今日は厄日だぜ…!!」

マジシャンは頭を掻きながら、舌打ち交じりにぼやく。

大軍師「やれやれ…この戦、高くついてしまいましたねぇ…」

それに応えるかのように、大軍師も小さな声でぼやいてみせた。
20 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/28(水) 17:18:39.68 ID:7VELRRMo
ザザッ…

マジシャン「……んで、どうすんだ?」

大軍師「火や雷で攻撃しても、それは一時的なもの…」

マジシャン「まぁトドメとまではいかんわな」

大軍師「…ならば、ここは風を吹かせてみましょうか」

マジシャン「風…?」

大軍師「ひとまず舞台から退場して頂きましょう」

マジシャン「風ねぇ……」

大軍師「貴方と私の二人なら…なんとかなるかと…」

マジシャン「他人任せにしやがって。…ったく」

大軍師「私も頑張りますって」

マジシャン「当たり前だ!頑張ってもらわにゃ割に合わん!」

大軍師「ごもっともで…。さぁ、来ますよ」

大軍師の声を合図に、二人は呼吸を整え目を瞑る。

それは両者が互いの魔力を探るような、そういった動作である。
21 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/28(水) 17:19:25.72 ID:7VELRRMo
マジシャン(ほう…!?コイツ……ここまで…)

大軍師「来ますっ!!」

声を発すると同時に、崖よりフンババが飛びあがる。

大軍師は右手で羽扇をかざし、大きく振り下ろす。

大軍師「今ですっ!!」

マジシャン「おう!!」

振り下ろされた扇子からは轟音とともに突風が巻き起こり、

更にマジシャンの放つ風が衝突し、その威力を何倍にも増す。

ドドオオォォンッ!!……ゴアオオオォォッ!!

フンババ「!?」

マジシャン「吹っ飛びやがれぇ!!」

ゴアァッ!!…ググッ…

大軍師「一度浮けば……」

マジシャン「コッチのもんだっ!!」

大軍師は再び羽扇を振りかざし、マジシャンもそれに続き突風を放つ。
22 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/28(水) 17:20:08.26 ID:7VELRRMo
豪風は初撃で宙へと舞い上げられたフンババへまたも吹き付けられる。

ドドオオォォンッ!!……ゴアオオォォ!!

フンババ「うぉ……わ…っ!!」

強烈な風により、巨大な図体は後方へと飛ばされ始めるが、

その重さ故、期待ほどの効果は発揮しない。

大軍師「マジシャン殿っ!!」

マジシャン「分かってるよ!」

だが両者は既に読んでいたかと如く、阿吽の呼吸で次の一手を放つ。

二人の手は地面へと向けられ、瞬時に一本の巨大な土柱がフンババへと迫る。

ドドオオォンッ!!…バキバキイィ!!……ボゴオオォ!!

土柱はフンババの腹部へ直撃し、その反動と先の突風により、

ついには遠く後方へと舞い上げられ、その姿を消した…。

マジシャン「おらっ!一丁上がりだ。ハッハッハ!」

大軍師「魔道兵っ!そちらの戦況を!」

大軍師はすぐさま振り向き、残るフンババの様子を伺う。
23 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/28(水) 17:20:53.36 ID:7VELRRMo
魔道兵「な、なんとか食い止めていますが……!!」

国軍兵「徐々にっ……登ってきて……」

マジシャン「ちっ…。情けねーなぁ」

スッ

大軍師「……」

マジシャン「…おい、通せって……」

大軍師「彼らを甘く見ないで下さい」

大軍師は防戦する魔道兵達をじっと見つめている。

大軍師「それに、貴方にはまだ余力を残して頂かないと」

マジシャン「散々こき使っておいて…全くよぉ…」

大軍師「さぁ!各自三列に配置をっ!!」

魔道兵「…!?……やりますか!!」

防戦中の魔道兵が三列に配置を変える。

ザッ…ザザッ

魔道兵「配置、完了致しました!!」
24 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/28(水) 17:22:10.75 ID:7VELRRMo
大軍師「……三段撃ちっ!!始めよ!!」

大軍師は号令とともに、羽扇を勢いよく突き出す。

合図と同時に最前列の魔道兵が一斉に魔法を解き放つ。

ドドンッ!!…ドオンッ!!…ドドドドッ!!

大軍師「退がれっ!次っ!!」

一列目の魔道兵が魔法を撃ち終えると、後方へ回り、

それと同時に二列目の魔道兵が最前列へと立つ。

大軍師「撃てぇ!!」

魔道兵「食らえぇっ!!」

ドドドンッ!!…ドンッ!!…ドドオォンッ!!

フンババ「…グゥ…!!」

無数に連なる落雷に、フンババは身を屈め、必死に崖へとしがみ付く。

魔道兵「よぉし…!足が止まったぞ!!」

大軍師「さぁ、これからですよっ!」

魔道兵「よし…次は俺達だっ!氷でいくぞっ!!」
25 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/28(水) 17:22:38.90 ID:7VELRRMo
魔法を撃ち終えた二列目の兵達が背後へと周り、

次に三列目の兵が前衛へと回りこむ。

マジシャン「なるほど…!こいつは効率的だな」

大軍師「こういった局地でしか使用できませんけどね」

マジシャン「ハッハ!それでもいいじゃないの…!」

魔道兵「撃て撃てーっ!!」

ドドオォンッ!!…ドドンッ!!…ギキイィィンッ!!

魔道兵達はフンババめがけ、一斉に氷柱を放つ。

その衝撃によりフンババの両手はいわばより離れ、まっ逆さまに地へと落下する。

……オオォォ………ドズウウゥゥン…

激しい衝撃音と共に、三対の魔物は全てその場より姿を消した。

魔道士「やった…!やったぞぉ!!」

騎兵「よっしゃあ!!」

大軍師「喜ぶのはまだ早いですよ」

副司令官「……」
26 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/28(水) 17:23:09.24 ID:7VELRRMo
大軍師「なんとか追いやった、までに過ぎません…」

副司令官「うむ…。魔物は再び襲い掛かってくるであろう…」

マジシャン「…だな」

大軍師「今のうちに進軍を急ぎましょう」

副司令官「…そうであるな」

大軍師「では……荷車の進軍を開始します」

国軍兵「よし、ゆっくりだ。ゆっくりでいいぞ!」

騎兵「魔道兵っ、道を開けろーっ!!」

ゴゴンッ…ギギッ……ゴンッ…ゴウンッ…

荷車が再びゆっくりと車輪を動かし始める。

大軍師「………」

マジシャン「…物影の動きから察するに…まだまだ数はいるな…」

大軍師「通常は森を棲みかにしているフンババまでも…このような地へ…」

マジシャン「敵さんも必死なのかねぇ…ハッハ!」

大軍師「全く……なんとも骨が折れますねぇ。…ふふふ」

大軍師は扇子で衣服の埃を払いのけ、ゆっくりと歩き始めた。
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 18:10:24.19 ID:OHfV9wSO
>>1乙 最近はまとめ読みだが、楽しく読ませて貰ってるよ
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/28(水) 18:11:12.84 ID:Uy6Xw4s0
軍師戦えるとか知らんかた
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/04/28(水) 18:18:16.36 ID:7VELRRMo
それではまた後ほど来ますです!ご支援感謝!ノシ
かい摘んでですがちょっとレスなんぞを…

>>4>>11
ありがとうございます!今なお追いついて頂けるとは感謝です!
知名度低いのに知って頂けるのはありがたい事ですね

>>9
以前にツクールでシコシコやってみたのですが、
スクショ撮ったらいかんせん街とか分からなくて…また頑張ります!

>>27
ありがとうございます!お暇な時にまとめて読んで頂ければ光栄です!
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 18:37:20.97 ID:OmWc/MAO
後の東南の風である
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 20:24:02.03 ID:djxBKGg0
>>30
そして桶屋が儲かった
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 22:02:10.05 ID:1FUH6cAO
信長様の火縄銃隊みたいなの思い出した


マジシャンに追いつけてるようでまだまだ全然追いつけてないんだろうなぁ魔導師ちゃん…
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 01:54:59.94 ID:4Ml1i2AO
諸葛亮と聞いて
34 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/29(木) 02:23:49.53 ID:WNHVsNYo
〜北方司令部、北東の平野〜

ドドッドドッドドッ…

親衛隊「トロル隊…動きはありませんね」

皇太子「……」

親衛隊「オーク隊はほぼ壊滅状態…それにしては…」

皇太子「諸君……」

親衛隊「はは!」

皇太子「周囲の警戒を怠るな」

親衛隊「心得まする!」

親衛隊は散開し、潰走するオーク達を倒しながら周囲を警戒する。

皇太子「……左翼が押されているな」

本国兵「はっ、将校様やや苦戦のご様子」

皇太子「このようなオーク如きに苦戦とは…。右翼は?」

本国兵「右翼、エリート様はオーク隊の悉くを撃破!現在こちらへむかっておりまする」

皇太子「よし、左翼へ兵を当たらせろ。態勢を整え直すぞ!」
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 02:25:22.77 ID:4PJxboY0
この時間に更新があるだと!?
うp乙
36 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/29(木) 02:28:30.78 ID:WNHVsNYo
皇太子は手綱を曳き、左翼へと方向転換する。

皇太子「続けっ!!」

親衛隊「はは!」

本国兵「全軍!左翼へあたれーっ!!」

パカラッパカラッパカラッ…

エリート「…殿下は!?」

本国兵「左翼が押され気味につき、布陣を変更致しておりまする!」

エリート「よし…我らも遅れを取るなっ!」

本国兵「ははっ!!」

エリートは皇太子を追うように、左翼へと馬を走らせる。

戦場は左翼…つまりは東方向へと主戦を変え、なおも両軍の攻防が続く。

本国兵「進路を切り開けぇ!!」

オーク「ぬぐぅ!!」

キィンッ!!…ガキィ!!…ザシュッ!!

皇太子「よし…!今だっ!突破せよっ!!」
37 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/29(木) 02:33:14.02 ID:WNHVsNYo
皇太子は歩兵の切り開いた進路を一気に駆け抜ける。

皇太子「将校!!」

将校「…こ、これは殿下!?」

皇太子「無事か?」

将校「申し訳…ありませぬ!」

皇太子「無事ならそれで良い!背後を任せる!」

将校「・・・かしこまりました」

皇太子「このまま西へ抜ける!エリート合流せよっ!」

親衛隊「おぉ!!」

皇太子を先頭に馬を走らせ始めるその時、こうほうより羽音が響き渡る。

バサッ・・・…バサァ・・・バサッ・・・

親衛隊「・・・な、なん・・・だ!?」

本国兵「・・・…!!」

皇太子「どうした!?」

親衛隊「で…殿下!!上空を・・・っ!!」
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/29(木) 02:37:00.21 ID:WrhU83Y0
>>1は何もうpしてないわけだが
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 07:33:24.03 ID:P.XiJUSO
ゴールデンウィークの朝に出勤する電車の中で読むコカトリスは格別やでぇ
(;´д`)
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 07:54:14.67 ID:C/mU5Sk0
>>38
バカッ!ばっちいから見るもんじゃありません!
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 10:35:33.43 ID:nxXVugDO
まぁ文章をネット上うpしてるとも言えなくもないとかなんとか
まぁあれだ、>>1乙!
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 11:17:12.42 ID:yDZu246o
LVうpしてるやないか
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/29(木) 11:18:34.92 ID:irhPHwko
書き込みもうpろーどのひとつだろ
>>1は何もうpしてないわけだが(キリッ
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 14:55:13.56 ID:gQZ5W6so
     _人人人人人人人人人人人人人人人_
     >     わりとどうでもいい      <
      ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^^Y^ ̄

               ヘ(^o^)ヘ 
                  |∧   
                 /

45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 14:57:41.87 ID:4Ml1i2AO
こうほう!!
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 15:16:58.09 ID:hhfwr.AO
こうほうは!!!!赤く萌えている!!!!!!!
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 19:18:10.31 ID:8GHFWQDO
眼鏡って武器なんだっけ?
つか武器持ってたっけ?なんか犬のイメージしかないんだよね
H×Hに出てきたスクワラみたいな感じで
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 19:39:14.07 ID:lLVL2vQo
>>47
鉱山のときに剣を持っているという描写はある。
どんな剣か分からないけど。
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 19:39:28.03 ID:.7dSpsDO
剣持ってなかったっけ?
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 21:49:32.01 ID:nxXVugDO
>>47
犬を使わない時は魔法剣士だね

↓前スレより

魔法剣士「立て!今のうちに…」

眼鏡「ああ、すまない。…しかし生温い炎だね」

魔法剣士「…同感だ」

二人は両手で剣を構え、その手が光り輝く。

マンティコア「……ウ…ウウウ…ガアア!!」

何かを悟ったようにマンティコアは特攻を仕掛ける。

二人の剣士は左右に分かれ、赤く燃えた剣を大きく振りかぶる。

眼鏡「炎というものは……」

チャキッ

魔法剣士「こういうものだ!!」

ヒュバッ!!……ザンッ!!…バシュウゥッ!!

マンティコア「グギィアアアアアア!!」

ゴオオオォォ……ドズウウゥゥンッ…

首を斬り落とされたマンティコアは間もなく横たわり、

燃えさかる炎の中で灰と化した…。
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 21:56:16.77 ID:0wPC.4E0
眼鏡の炎は黒いイメージだな
そうゆう描写があった気もするが
52 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/29(木) 23:38:36.43 ID:WNHVsNYo
左翼、それはつまり北の空の暗闇から聞こえる物音。

それは巨大な翼を羽ばたかせる魔物の忍び寄る音である。

バサッ・・・バサッ・・・…バサァッ

本国兵「あ・・・あ、あれは……!?」

皇太子「ド…ドラゴン!!」

その巨大な両翼を上下に羽ばたかせ、空飛ぶ魔物達は徐々に近づく。

親衛隊「殿下っ!!背後を!!」

皇太子「…!?」

親衛隊「トロル隊およびオーガ隊が進軍再開致しました!!」

本国兵「空と陸……両方からっ!?」

皇太子「これを……待っていたのか…」

親衛隊「如何致しますか!?」

皇太子「これだけの相手を一度にするのは難しい…。一旦退くぞ

親衛隊「かしこまりました!」

皇太子は退却の合図を出すと、馬を反転させ走らせ、親衛隊もそれに続いた。
53 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/29(木) 23:52:35.83 ID:WNHVsNYo
ドドッドドッ…

エリート「殿下っ!?」

本国兵「エリート様!上空をっ!!」

エリート「上空…?な、なんだ…っ!?」

パカラッパカラッ…

伝令「全軍に告ぐ!退却っ!退却されたしーっ!!」

本国兵「退却!?」

エリート「態勢を一旦立て直すのであろう…」

ザッ…

本国兵「エリート様…?」

エリート「お前は右翼の部隊をまとめ、後方へ退却せよ!」

本国兵「エリート様は如何されるので!?」

エリート「殿下をお守りする!……すぐに戻るっ!!」

エリートは手綱を力強く引き、馬を前進させる。

エリート「……殿下っ!」
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 00:10:47.36 ID:PiRmU.AO
>その巨大な両翼を上下に羽ばたかせ、空飛ぶ魔物達は徐々に近づく。

  ( ゚д゚)  「>魔物達」
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_ 
  \/    /
     ̄ ̄ ̄
 
  ( ゚д゚ )
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_ 
  \/    /
     ̄ ̄ ̄
55 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 00:37:56.38 ID:X17XJNUo
親衛隊「殿下!!殿は我らが…っ」

本国兵「歩兵隊、まもんく退却完了致します!」

皇太子「将校は?」

親衛隊「まだ前線に…!まもなくこちらへ向かわれるかと…」

本国兵「どうやら迎撃の態勢に……っ!!」

皇太子「迎撃っ!?無茶を申せ!……ドラゴンが三匹だぞ!!」

皇太子は槍を腰の脇に引き、馬を駆る。

親衛隊「殿下っ!!」

グイッ…パッカパッカ…パカラッ

皇太子とその親衛隊が馬を走らせた瞬間、左翼方面からは多数の矢が打ち上げられる。

シュシュンッ!!…シュンッ…シュシュシュッ!!

その音に反応し、一同が上空を見上げる。…が、親衛隊の一人が異変に気付き皇太子へと声をかける。

親衛隊「殿下ぁーっ!!」

打ち上げられた矢の一本が、方向を誤り皇太子の胸目掛け迫っていた。

ドズッ!!………
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/30(金) 01:05:25.34 ID:vgpSsF.0
これで皇太子が死んだら
責任とらされるのは大軍師?参謀?左翼長?
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 01:07:37.33 ID:YOSKd2DO
俺が責任を取ろう
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 01:30:25.62 ID:Xb/mjsAO
責任取るのはいつでもトップじゃね?
トップがいい加減で口達者なら下の者が無理やり責任とらされるかも知らんが
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/30(金) 01:35:08.85 ID:vgpSsF.0
じゃあ国王ってこと?
今回の戦いのトップって誰になるんだ?
いつもは各司令がトップなのはわかるんだが
今回皇太子参加してる癖に前線で戦いに参加しちゃってるし
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 05:19:44.36 ID:QAkm9N.o
魔王軍にとって一番都合が悪い人物が責任取らされるに決まってんだろ
多分大軍師が引き摺り下ろされる
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 14:47:05.20 ID:j7krqVgo
だが待ってほしい
皇太子に矢が迫る描写はあるがまだささっていない
しかも擬音が「ドズッ!!………」 よく漫画ではドスッだがドズッではない
つまり言いたいのは家からスモークチーズのにおいがする
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 16:41:28.71 ID:PUvDVmM0
>>61
俺にもくらはい
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 17:34:00.17 ID:8HnIRADO
>>62
もう食ってんじゃねぇかwwww
64 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:34:11.59 ID:AzgVHRIo
親衛隊「殿下っ!!」

皇太子「……!!」

皇太子は落馬し、自分に覆いかぶさる男とともに、

矢により絶命する馬を見つめる。

エリート「…殿下ご無礼を!お怪我は…!?」

エリートは突き落とした無礼を詫び、皇太子の身体を起こす。

皇太子「構わぬ!それよりも何が起きたのだ!?」

親衛隊「誤射があり、矢がこちらへ何本か…!」

皇太子「迎撃は無理だ!将校を引き上げさせよ!」

親衛隊「はは!」

数騎の親衛隊が馬を走らせ、左翼前線へと向かう。

エリート「……殿下、私の馬へ」

皇太子「お前は…どうするか…?」

エリート「…の、後ほど…合流いたします」

皇太子とエリートはしばし見つめ合い、沈黙する。
65 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:34:51.43 ID:AzgVHRIo
皇太子「……承知した」

エリート「それでは早く馬へ…」

皇太子「…と、でも言うと思ったか?」

エリート「!?」

皇太子「馬もなくどうやってお前は切り抜けるのだ」

エリート「……」

皇太子「ドラゴン相手に徒歩でか?」

エリート「それは…」

皇太子「話にならんな。無謀すぎる」

エリート「……」

皇太子「ははっ、お前に言われたくない…。そんな顔をしているな」

エリート「そんな滅相も…!」

皇太子「助言せよ」

エリート「…!?」

皇太子は肩の埃を払い、上空より迫るドラゴンを見上げる。
66 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:35:52.44 ID:AzgVHRIo
皇太子「…ここに留まり、迎撃する」

エリート「……挟撃により全滅かと」

皇太子「この馬に二人で乗り、退却…」

エリート「…ドラゴンは振り切れぬかと」

皇太子「あえて左翼へ北進し、敵を振り切る」

エリート「……北進…ですか!?」

皇太子「ああ。どうせあちらも退くと踏んでいるのだろう…」

エリート「た、確かに…。しかし、この先は川ですぞ!?」

皇太子「川を背に戦うか…。全く…戦術も何もあったものではないな」

皇太子は腰に手をやり、苦笑する。

ドドッドドッドドッ……

親衛隊「殿下!!」

将校「ご無事でしたかっ!?」

エリート「!?」

皇太子「うむ。なんとか合流出来たな…」
67 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:36:19.53 ID:AzgVHRIo
親衛隊「あとは我々のみです!早急に退却を!」

皇太子「エリート、歩兵の指揮は?」

エリート「先ほど信頼のおける者に委ねております」

皇太子「……」

親衛隊「……ん?あれは…?」

親衛隊の一人が西方向より駆け寄る馬を見つける。

伝令「皆様ご無事で!?」

エリート「伝令か…!」

将校「どうした!?」

伝令「北方司令より伝令!弓騎兵を率い西方面より援護との事です!」

エリート「左翼長殿が!?」

皇太子「…これは朗報だな」

将校「如何…なさるので?」

皇太子「……我らはこれより北へ進路をとる」

親衛隊「北…!?しかし……」
68 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:37:25.27 ID:AzgVHRIo
エリート「北は川…。退路はありません」

将校「…では何故…?」

エリート「もしここで我らが魔王軍の後続を迎撃出来れば…」

皇太子「先程退却した歩兵、そして左翼長の率いる弓騎兵が背後より…」

親衛隊「そうか!挟撃の体勢が…!!」

エリート「あとはドラゴンを振り切れるか…ですね」

将校「歩兵は森へ身を潜めば良いが…我らは…」

皇太子「なんとか逃げ回る以外にないな…」

エリート「あいにくこの暗闇。分散すれば小回りの効く我らに利はあるかと」

皇太子「……おい」

親衛隊「は!」

皇太子「使える馬をかき集めよ」

親衛隊「馬…ですか!?」

皇太子「オークとの交戦で乗り手を失った馬がこの先にいるはずだ」

親衛隊「かしこまりました!行くぞっ!!」
69 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:37:58.99 ID:AzgVHRIo
ドドッ…

皇太子「お前はこのまま北進し、先刻立ち寄った場所で布陣の用意を」

将校「承知しました!おい、行くぞ!」

将校は数名の騎兵を連れ、真っ直ぐ北へと馬を走らせる。

皇太子「伝令、この事を至急左翼長へ伝えよ」

伝令「ははっ!……ご武運を!!」

伝令は再び西方面へ馬首を返し、その場より走り去る。

グイッ…パカラッパカラッ…

皇太子「さて…」

ゴソゴソ…ポイッ

エリート「…!?」

皇太子は懐より傷薬を取り出し、エリートへと投げ渡す。

皇太子「私を庇ったときに負傷したであろう?」

エリート「!?」

エリートは咄嗟に左腕を掴む。
70 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:38:50.21 ID:AzgVHRIo
皇太子「隠しても分かるよ。無理をするな」

エリート「……申し訳ありません」

ドドッドドッ…

親衛隊「殿下!」

親衛隊の一騎が馬を連れ、二人の元へと駆け寄る。

親衛隊「とりあえずは一頭、ご用意を!」

皇太子「よくやった!引き続き馬をまとめ上げ北進せよ!」

エリート「密集しては空から迎撃される。極力四散して向かえ!」

親衛隊「かしこまりました!」

皇太子「トロル隊とオーガ隊の動きにも注意を計れよ」

皇太子は馬に跨り、兜のバイザーを深く下げる。

皇太子「さあ正念場だ…。もうひとふん張りいこうか」

エリート「殿下…」

皇太子「もちろん無謀ではなく…勇敢になっ!!」

皇太子とエリートの二騎はドラゴンの真下を抜け、北へと駆け出した。
71 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:39:37.88 ID:AzgVHRIo
〜北関〜

イヌ「…ふんっ!!」

イヌは飛来するヴァンパイアを右腕で掴み、そのまま地面へと叩きつける。

ブオォッ……ゴシャアアァ!!

天才「おーおー、素手で魔物ぶっ倒すなんざ熱血バカ以来だな!」

天才はその光景を眺めながら背後から迫る敵を真っ二つに斬り伏せる。

ドシャアァ…

ヴァンパイア「なんだ…こ、こいつら…!!」

ザッザッザ…

女侍「何だって言われてもねぇ〜」

サル「しっかしアンデッドってのは厄介なもんだぜぇ…」

キジ「キリがないさー」

イヌ「しかしコイツらも随分動きが鈍くなってきたね」

天才「ああ!治癒に相当魔力使ってっからなぁ」

サル「こっちがバテなきゃいいけど…はぁ…」
72 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:41:49.59 ID:AzgVHRIo
女侍「ほらっ、ボヤいてないで続けるよっ!」

サル「なーんでそんなに乗り気なんだっつーのよ」

キジ「ここ守り抜けば、国軍に相当な貸し作れるさ!」

イヌ「まぁ…本音としてはここが陥ちれば、北の街は危険だもんな」

サル「俺らも住み辛くなっちまうってわけかぁ…しゃーねえなぁ…」

天才「あと3周もすりゃ、立ち上がるのもやっとだろうよ」

女侍「おや?たったの3周かい…イキ足りないねぇ」

天才「はーっはっはっは!こいつぁ頼もしいわ!」

女侍「いい男だよアンタ。この戦終わったら…どうだい?ふふっ」

天才「まぁ考えといてやるよ!まずはちゃっちゃと終わらせようじゃないの!」

女侍「そうさねぇ!あははっ!」

サル「あーいつ生き生きしてんなぁ〜」

イヌ「いつもの事ね」

キジ「そうさー」

三人は天才と共に走り出す女侍の後を追う。
73 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:49:33.21 ID:AzgVHRIo
〜海峡、北の橋〜

将軍「進軍開始っ!!」

輸送兵「押せーっ!!」

ゴゴウンッ!!……ゴトッ…ガラガラガラッ…

海峡兵「布陣はいかに?」

将軍「騎兵と歩兵を前面に押し出せ。プリーストは橋上にて一時待機」

海峡兵「はっ!」

将軍「召喚隊はどうなっている?」

海峡兵「北関の防衛に務めております!」

将軍「関からの先遣隊が着いておるのだろう?こちらへ回せ!」

海峡兵「了解致しました!」

将軍「魔道兵は後方より支援の準備を!!」

魔道兵「はは!」

将軍「……足を止めるな!一気に進むぞ!」

将軍は手をかざし、兵達を鼓舞するように大声をはる。
74 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:50:00.47 ID:AzgVHRIo
ガラガラッ…ガラッ…

将軍「…他の戦局はどうなっておる?」

海峡兵「はっ。伝令がなくどうにも…」

将軍「こちらから伝令を出せ。こちらの戦況も伝えよ」

海峡兵「かしこまりました!」

将軍「ワーカーの動きも掴めないな…」

海峡兵「閃光弾以来、音沙汰ありませんね」

将軍「撹乱側も迎撃側もかなりの手練だ…。心配はあるまい…」

海峡兵「そうですね。こちらこそしっかりしなくてはなりませんな」

将軍「ああ。彼らに笑われてしまうからな」

将軍は罰の悪そうな表情で、自分に言い聞かせるよう兵達を叱咤する。

〜海峡、北の森付近〜

召喚士「……」

盗賊「…魔物が…止まったな」

召喚士「ええ…」
75 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/04/30(金) 17:51:26.53 ID:AzgVHRIo
魔道士「もう終わり…ですかね?」

戦士「こんなもんでか?なんかおかしくないか?」

眼鏡「確かに…急にピタリと止んでしまったね」

召喚士「何か動きがあったのかもしれませんね」

魔法剣士「……」

戦士「どうするよ?」

眼鏡「森に入ってみるかい?」

魔道士「どうします…?」

召喚士「……」

眼鏡「僕らの任務は進路の確保だから…まぁそこまでの必要は…」

魔法剣士「行く価値はあるんじゃないか?」

戦士「俺もそれは賛成だ。何か…感じたんだよな?」

盗賊「……」

眼鏡「たしかに、殺気のようなものを感じたよ」

盗賊は森の奥深くをじっと見つめる。
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/04/30(金) 18:10:02.56 ID:AzgVHRIo
こんにちは!明日から連休ですね!

>>47
眼鏡くんは長剣持ってますね。描写は皆無ですが…
割と自分の中で姿がイメージ出来ているうちの一人です

>>61
下さい!!

それでは失礼致します!ご支援ありがとうございます!ノシ
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 19:47:41.77 ID:iMg/JsDO
乙っすー
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 20:01:48.18 ID:j7krqVgo
>>62 >>76
スモークチーズの臭いの原因台所が燃えてた。家が大火事になりそうだった
台所ェ・・・・
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 22:06:59.28 ID:ZmJ5IfYo
乙乙

>>78
大丈夫か
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 22:45:17.16 ID:QAkm9N.o
>>78
隠れて燻ってる火種に注意しなよ
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/01(土) 00:38:34.89 ID:g5CtAV6o
スモークチーズ誕生の秘話である
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 00:50:47.51 ID:703b8Zgo
>>79
コンロ辺り焦げてた。
>>80-81
誰馬
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 01:27:29.19 ID:CejTEUSO
今日から連休で夜更かし出来る!と思ったら働いてなかった…

乙、連休くらい休んで下され
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 11:37:24.48 ID:vEx32QAO
眼鏡の自警っていうとTOLのウィルしかでてこねえ
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 12:58:58.40 ID:JaC9QcAO
テイルズ(笑)
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 13:32:43.33 ID:prDH3NI0
VPのレザードしか想像つかねえ。
頼むぜ眼鏡。最後まで味方でいてくれよ。
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 17:47:33.27 ID:5Lx91Lk0
俺としては>>1にしっかり休んでもらって
書き溜めたのをドーンと投下してほしいな
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/01(土) 17:48:53.87 ID:xw9NpMDO
それ賛成
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/01(土) 21:53:35.19 ID:RXKqNiso
ありがとうございます!読んで頂くのもその方が楽かもですね
一応細々と半年経ったのでGWはちょっと休憩を…なんて…
まああっち書いたり、オマケかサブストーリーとかしましょうかね!
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/01(土) 23:12:05.06 ID:crUbesDO
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/02(日) 02:02:27.06 ID:etmhO2AO
>>89
あなたの好きなようにやってくだされ
こっちに気をつかうことはない
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/02(日) 03:21:51.63 ID:CC2AUADO
あっちってどれ?えろいやつ?
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 04:00:04.05 ID:kq2HbcAO
>>1


そういや魔導師ちゃんは五行全て使えるんだっけ?
土行が苦手で克服して…
召還士も全属性集めどうなってるのか完全に忘れちまった

あれこれ俺本当に脳スカスカなんじゃ…
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/02(日) 04:23:27.80 ID:qcCwOwAO
俺も似たようなもんだから心配しなくていい
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/02(日) 10:49:53.95 ID:sx9TujAo
とりあえずお義理とお約束は果たさないとな


m(ry
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 00:17:29.34 ID:5j4SzUSO
黒い三騎士がアンデット展開希望
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 00:27:44.99 ID:KwlFoKco
魔道士ちゃんは全属性つかえるのにペニスときたら使える朱雀属性コカちゃんとシルフちゃんだけとか
このままじゃ朱雀先生じゃなくただのペニーになってしまう
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/03(月) 00:39:47.85 ID:MGO.40Qo
>>97
ペニー松山…
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 01:27:32.93 ID:.CgaYkAO
どうでもいいが「ベ」ニー松山な
スタジオベントはどれも好きだったな
アルティマニアしかり解体真書しかり
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 03:05:53.74 ID:H4oftoAO
かけたんだろ
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 07:51:20.28 ID:mryIDAc0
>>96
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 08:06:32.44 ID:XLm4Khs0
>>102なら召喚士が女になる
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 11:07:03.88 ID:lKkFpgAO
>>102
女装が美しい

この良さが解らんうちはまだまだ一般ピーポーだな
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 12:23:28.12 ID:7aebzUSO
それって、思いッキリ目上から言ってますけど…
…只の 変 態 ですよね?^^
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 14:26:34.24 ID:drS5oYAO
どう考えても、只の紳士だろう
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/03(月) 15:19:15.48 ID:XLm4Khs0
どうもすいまえんでした変態さん^^
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 18:19:39.88 ID:66dNGMDO
なんだこの流れ
変態紳士に噛み付く奴もいるんだな
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/03(月) 19:23:00.86 ID:ZbOyI2AO
ここは初めてか?肩の力抜けよ
109 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 19:55:00.69 ID:XLm4Khs0
どうもすいまえんでしたもしもしさん^^
かっこいいですねさすがもしもしさんかっこいい^^
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/03(月) 20:30:18.49 ID:hX2DmMEo
こんばんは!ご支援ありがとうございます!!
こんな低レベルなものに凄い時間掛かってしまいました…
申し訳ありません…そして後は職人様にお任せ致します…orz
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/109960.png
111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/03(月) 20:36:54.78 ID:hX2DmMEo
jpg
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/109963.jpg

携帯用縮小
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/109964.jpg
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 20:41:45.05 ID:4.lz/VAo
グジョバ!乙!
113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/03(月) 20:55:31.74 ID:hX2DmMEo
ちなみにこんな感じかな…?という程度なので、
ご自身でイメージ出来ていらっしゃる方は無視して下さい!
作ってみたものの本当に合っているかもちょっと…ははっ…
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/03(月) 21:49:35.39 ID:k/fylog0
見れないよ。

見れないよ。
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/03(月) 22:42:13.34 ID:hX2DmMEo
あれ…?これでどうだっ!!
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org858280.jpg

縮小版(文字が潰れているかもです…)
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org858290.jpg
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 00:31:28.57 ID:Wy50icAO
女装召喚士かと思ってわくわくして見たのにマップだったでござる
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 01:00:46.65 ID:9kZUFAAO
よく見ろよ
この衛星写真って多分南の召喚獣大会の時のだと思うんだ

目を凝らして、むしろ目を閉じて見れば、女装召還士ちゃんの姿が見えてくる
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 01:06:10.60 ID:hROFJhEo
>>115
ドラクエよりワルキューレの冒険が浮かんだw
119 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:24:30.44 ID:TtjiEP6o
召喚士「殺気…ではないんですよね?」

盗賊「……うん」

眼鏡「何て言えばいいんだろうな…えぇと…」

魔法剣士「……」

眼鏡「閃光弾が光った…その一瞬だけ気配が現れたんだ」

盗賊「…そう」

召喚士「一瞬?」

戦士「気味悪りぃな…」

魔道士「やっぱり…何かあるんじゃないですか…?」

盗賊「……」

眼鏡「どうする?」

召喚士「……」

魔法剣士「パーティーリーダーは君だ。決めるといい」

召喚士「……俺は…」

召喚士は一同の顔を見渡す。
120 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:24:58.06 ID:TtjiEP6o
召喚士「パーティーとしては…森への侵入は拒否します」

戦士「…ほう」

召喚士「幾らなんでもワーカー全員が森の中へ入るのはリスクが大きい」

眼鏡「後続の軍隊も来る事だしね……」

盗賊「……ああ」

召喚士「でも、個人的には……」

魔法剣士「……」

魔道士「召喚士さん…」

戦士「黒の三騎士達も…音沙汰なしだしなぁ…」

眼鏡「何かあったのなら救援に向かわなければいけないしね…」

召喚士「ええ……」

下唇を噛み、困り顔の召喚士を眼鏡は見つめ微笑む。

眼鏡「分かった。ここは僕が行こう」

召喚士「眼鏡さん!?」

眼鏡「君達はここで後続の到着を待っててくれ」
121 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:26:23.26 ID:TtjiEP6o
盗賊「…しかし…一人では」

ザッ

魔法剣士「ならば、俺も行こう」

戦士「アンタも…!?」

魔法剣士「正規のパーティー四人が待機……」

眼鏡「僕ら単独ワーカーが個別行動。これなら問題ないだろう?」

召喚士「た、確かにそうですが…」

眼鏡「幾ら遊撃の許可を得たと言っても、あまりに軍規を乱すのはね…」

苦笑しながら眼鏡は呟く。

戦士「確かにそれなら問題はないわな…」

召喚士「大丈夫ですか?」

魔法剣士「……?」

眼鏡「はははっ。こう見えても僕らは上位ワーカーだよ?」

魔道士「そっ、そうですよ!功績ランク2位と4位ですもん!」

盗賊「……うん」
122 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:36:18.30 ID:TtjiEP6o
戦士「………」

眼鏡「ごめん…自慢するつもりで言ったわけじゃ…」

戦士「…分かってますって」

魔法剣士「だが…これが事実だ」

召喚士「……」

眼鏡「君達だってもう手の届かない話じゃない…」

魔法剣士「ああ。お前らは十分強い…!」

魔道士「そ、そんな事……!」

魔法剣士「…事実さ。それもまた…な」

召喚士「分かりました…!では、お二人は森の調査をお願いします!」

眼鏡「うん。行ってくるよ」

ピュイィッ!!……タッタッタッタッタ

魔道士「ワンちゃん達も気を付けてね!」

犬「ワンワンワンッ!!」

魔法剣士「では…行こうか」
123 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:36:45.38 ID:TtjiEP6o
森の中へと足を進める魔法剣士に続き、眼鏡も後を追う。

召喚士「何かあったら…橋まで!!」

背後から声をかける召喚士に、眼鏡は振り向かず左手のみヒラヒラと振る。

盗賊「………」

魔道士「お二人なら大丈夫ですよね……?」

召喚士「ええ。それに黒の三騎士さん達もいます」

戦士「全員が上位ワーカーってワケだ…問題ないだろ」

盗賊「……」

召喚士「俺達は将軍さんの到着を待ちましょう」

戦士「だな!盗賊、そっち見張っててくれ!」

盗賊「…うん」

魔道士「他の方々も大丈夫ですよね…?」

召喚士「ええ。皆さん強いですから……」

魔道士「…わ、私達も頑張りましょうねっ!!」

召喚士「……もちろんです!!」
124 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:37:12.42 ID:TtjiEP6o
〜北方司令部、山中〜

北方兵「押せーっ!!」

ゴゴッ……ゴトンッ…ゴトンッ…

平野を出発し結界石を運ぶ参謀達は、山中を進む。

参謀「……」

北方女兵「どうか…なさいましたか?」

一人の女兵が心配そうに声をかける。

参謀「ああ、いや……すまん」

北方女兵「お一人で抱えなされますな。我らも共に…」

参謀「……ありがとう。今は私が指揮せねばならぬのにな…」

北方女兵「参謀様…」

参謀「こんな事ではまた…兄上にお叱りを受けてしまうな…ははっ」

北方女兵「でも…なんだか嫌な感じですね…」

北方女兵は森を見上げ、不安げに呟く。

参謀「…ええ。何やら木々がざわめき……そして、静かすぎる…」
125 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:37:38.14 ID:TtjiEP6o
周囲の木々は風に揺れ葉音を鳴らす。

しかしそれ以外の音はなく、山の中は不気味なほど静寂である。

……ッ……トッ……タタッ

北方兵「おいっ!今…何か物音が……」

前方で護衛を務める北方兵が声をあげる。

北方兵「物音…!?どこから…」

ガサツ……ドドッ…

北方兵「本当だ!!」

兵達は一斉に剣を抜き身構える。

参謀「何事です!?」

北方兵「何やら前方から……」

ドドッドドッドドッ…

伝令「!?……味方かっ!良かった!!」

北方女兵「伝令!?」

参謀「どうした!何事か…っ!?」
126 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:38:07.64 ID:TtjiEP6o
伝令「参謀様!…申し上げます!殿下の部隊、敵と交戦中!!」

参謀「!?」

伝令「その数劣勢につき、救援求むとの事…!!」

参謀「司令には伝えたのか!?」

伝令「はっ!司令より『後続はそのまま結界石の任務を継続されたし』との事!」

北方兵「思ったより早かったなっ…!くそっ!」

伝令「これが詳細の指示書にございます!」

参謀は黙って紙を受け取る。

北方兵「殿下は…殿下はご無事なんだろうな!?」

伝令「うむ…。だが敵も相当数だった…。油断は出来ん」

参謀「ご苦労。貴方はそのまま司令部へ向かって下さい!」

伝令「はっ!!では失礼致します!!」

伝令は再び馬を駆り、山道を一挙に駆け下りる。

ドドッドドッドドッ……

北方女兵「参謀様っ…」
127 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:38:59.06 ID:TtjiEP6o
カサッ…

参謀「………」

北方兵「…じょ、状況…は?」

参謀「…トロル隊複数に…オーガ隊」

北方兵「完全な力攻めですな…」

参謀「更に……ド、ドラゴンが数匹…!!」

北方女兵「っ!!…参謀様…私達も……」

参謀「………」

北方兵「参謀様!!」

参謀「……このまま…山頂目掛け進軍します」

北方女兵「!?」

参謀「左翼長殿は我らを信じて言伝下さったのです」

グシャッ…

参謀「ここで我らだけが命令に背くわけには参りません!」

北方兵「参謀様……」
128 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:39:45.60 ID:TtjiEP6o
参謀「それに…あの方は強い…!きっと大丈夫です」

北方女兵「そ、そうですよね…!!」

参謀「仮にもかつては特殊部隊を務めた御仁。そう簡単には…」

北方兵「そうとなれば急ぎ任務を遂行しましょう!!」

北方女兵「結界石さえ打ちこんでしまえば…っ」

参謀「ええ…。全軍、このまま直進!最終目標は山の向こうです!」

参謀は手の中でくしゃくしゃになった指示書を、そっと懐にしまい込んだ。

〜北方司令部、北東の平野〜

ヒュオッ…ドウンッ!!…ドズウゥンッ!!

上空より降り注ぐ火球を、地上の騎馬が懸命に逃げまどう。

エリート「くっ…うぅ…っ!!」

皇太子「左だっ!来るぞっ!!」

ドドオォン!!…ゴアオオォォッ……ドズウゥゥンッ!!

親衛隊「うおぉ…っ!!」

皇太子「ようし……次は左だっ!」
129 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:40:59.91 ID:TtjiEP6o
皇太子を先頭に、各々が左右蜘蛛の子を散らすように駆ける。

皇太子「如何ほどか!?」

エリート「まだ……30分程度かと…っ!!」

皇太子「いやはや…時間が長く感じるよっ」

エリート「ごもっともで…!ぐうぅっ!!」

ドドンッ!!……ズウウゥゥンッ!!

親衛隊「殿下!そろそろ馬が持ちませぬぞ!」

皇太子「後続はどうなっている!?」

親衛隊「はは!トロル隊はこちらへ直進中!!」

エリート「オーガ隊は!?」

親衛隊「未だ動きはない模様!!」

皇太子「ようし…止むをえまい。後退するぞ!!」

皇太子は手綱を強く引き、馬を反転させる。

エリート「続けぇ!!上空からの攻撃に注意せよっ!」

親衛隊「言われんでも…っ。無論です!!」
130 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:41:32.94 ID:TtjiEP6o
パカラッパカラッパカラッ…

皇太子「……見えたっ!」

走り抜ける騎馬の前に川が見え始める。

親衛隊「将校殿は!?」

エリート「殿下!あちらに兵が!!」

皇太子「よし…!全騎川沿いを左へ!!」

バシャバシャッ…ドドッドドッ…

エリート「将校殿!」

皇太子「……んっ!?」

親衛隊「な…なんだこれは!?無陣ではないか!!」

タッタッタッタ…

将校「殿下!ご無事でっ!!」

皇太子「これは一体どういう事か…っ!!」

皇太子は将校の元へ馬を近づけ一喝する。

将校「も、申し訳ありません!なにぶん兵の治癒に手間を…」
131 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:42:19.83 ID:TtjiEP6o
親衛隊「治癒…?このような状態で何を……」

皇太子「もし的に強襲されたら…どうするつもりなのだ!」

将校「ご…御尤もにて…っ!!」

エリート「殿下…如何なされますか…?」

皇太子「……っ」

皇太子は上空を見上げ、旋回するドラゴンを睨む。

皇太子「……川を背に陣を敷けい」

親衛隊「…川を…!?しかしそれでは…」

皇太子「将校。お前は最後尾を務めよ」

将校「は、はは…っ!!」

エリート「殿下…!」

皇太子「我らは最前衛にて…敵を迎え撃つ!」

親衛隊「畏まりました!」

皇太子「中軸は右方の森は突出させよ」

国軍兵「はは!!」
132 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:42:48.33 ID:TtjiEP6o
将校とその他兵達は敬礼の後、即座に布陣の準備へと動く。

親衛隊「トロル隊まもなく接近致します!!」

エリート「……行きましょうか!」

皇太子「ああ…!」

ザッ…

皇太子「皆の者、よく聞け!!」

親衛隊「……」

皇太子「当地にて敵を迎え撃つ!背後は川…逃げ道はない!」

国軍兵「………」

皇太子「死にたくなければ…とにかく前へ前へと戦うのみ!!」

将校「……」

皇太子「無謀やヤケになってはならぬ…!助け合い、勇敢に戦うのだ!」

エリート「おぉ!!」

国軍兵「おぉーっ!!」

親衛隊「……お見事です」
133 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:43:16.47 ID:TtjiEP6o
皇太子「別に士気を上げる目的ではない。…事実だよ」

親衛隊「しかし……なんとも奇妙な陣形に仕上がったものです」

エリート「さしずめ…三日月、と言ったところでしょうか?」

親衛隊「三日月…?」

エリート「上空から見下ろせば、そのような形でしょう?」

親衛隊「それを言うなれば、偃月…が宜しかろう」

エリート「ほう…悪くないですね!」

皇太子「…何を言っておる」

エリート「……?」

皇太子「背水の陣…が相応しかろう…」

親衛隊「背水の陣…確かに…!」

エリート「流石は殿下、お見事なネーミングです!」

皇太子「楽しそうだな…お前ら!」

皇太子はニッコリとほほ笑む。

エリート「殿下こそ…!!」
134 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/04(火) 01:43:44.88 ID:TtjiEP6o
親衛隊「窮地に立たされると…逆に落ち着くものですな!がははっ!!」

皇太子「さぁて、お喋りはここまでだ…っ!……行くぞ!!」

エリート「行きましょう…!」

親衛隊「おうっ!!」

親衛隊達が皇太子の左右へと馬を寄せる。

エリート「後方は上空への支援射撃を!!」

エリートは後方に控える兵達へ大声で叫ぶ。

国軍兵「お任せ下されーっ!!」

皇太子は頷くと、ヘルムを深々とかぶり、バイザーを降ろす。

慣れた手つきで手綱をたぐり寄せ、両足で馬の腹を締める。

皇太子「……出陣!!我に続けーっ!!」

エリート「……左翼長殿は必ず来る…っ!!」

親衛隊「我らはここで敵を…食い止めるのみ!!」

ドドッ!!

皇太子を中心に、騎馬が一斉に大地を蹴り、魔物の群れへと進んでいった。
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 03:00:42.43 ID:YP7dssDO
将校怪しすぎんだろwwwwww
皇太子超頑張れ!
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 07:29:03.81 ID:dkxxd2AO
皇太子が活躍しまくりだな

どっかの国の王子にもこれくらい頑張ってもらいたいもんだ
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 08:32:49.56 ID:qUeoCQE0
おい、おまえらには今の言葉が聞こえたか?
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 10:38:23.94 ID:2FhXXQSO
頑張れ超頑張れ!!
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 12:00:02.78 ID:/JzLGWwo
盗賊のイメージが最初はハガレンのランファンだったのに今はABの椎名だ・・・




どっちにしろ盗賊ちゃん可愛い!
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 14:41:16.67 ID:9kZUFAAO
脳内イメージって素敵だよな

神様!人に生ましてくれてありがとう!!
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 15:01:05.59 ID:SueBN6ko
勝間「ネットの匿名性は問題!」
ひろゆき「どこが問題なの?」
勝間「若者が起業しにくいのは問題!」
ひろゆき「なんで若者が起業しなきゃならんの?」
勝間「日本人はみんな幸せを感じていない!」
ひろゆき「日本は幸せな環境だよ世界の常識的に考えて」
勝間「やりにくい!夫婦喧嘩みたい!!!」
ひろゆき「(´・ω・`)」?
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 15:28:55.36 ID:qUeoCQE0
>>141誤爆?
普通にひろゆきの方が正論だな
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 15:32:45.33 ID:SueBN6ko
ごばくったorz

ゲーム化マダー?
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/04(火) 18:11:25.71 ID:RRL6cgDO
要職にいるやつらのチート具合が指輪物語っぽい空気を感じる
まあ、そりゃそうか
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 20:20:42.46 ID:FfOIHfMo
チートの意味分かってるのかしら
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 20:35:13.60 ID:9kZUFAAO
所持金MAXって事か?
違ったならすまん
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 21:26:28.46 ID:0HWyAcwo
>>146
>>144の該当箇所にその解釈そのままつっこんでみな
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/05(水) 01:28:08.36 ID:4djk2.DO
普通のやつよりもずば抜けて強いって言いたいんだろたぶん
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/05(水) 02:46:57.52 ID:v7iVklM0
>>144
要職の奴が強いんでなくて
強いから要職に付けるんだろ
それともただ弱い奴に物語の焦点絞った「一般兵は戦死しました」の一行か「前線にも出られず平穏無事な人生でした、めでたしめでたし」な何の起伏もない物語が読みたいのか?
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/05(水) 03:10:48.35 ID:8qME.IAO
要職の奴らが少しのピンチもなくただ圧倒的に敵を倒して
尚且つ一人も死んでないってんならチートと言えるかもしれんが
今んとこそんなのないだろ
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/05(水) 03:14:40.36 ID:lCvffLko
要約すると王子しねってことだな
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/05(水) 07:17:15.05 ID:.7Dbs2SO
要するにおっぱいボインボインがみたいです。
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/05(水) 12:10:42.13 ID:62DWooAO
つまり魔導師ちゃんが俺に手を振ってくれてるって事か…
イケメンは辛いぜ
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/05(水) 12:22:16.80 ID:8oNXxpY0
ということは、ここから俺と盗賊たんのキャッキャウフフタイム突入か
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/05(水) 12:45:35.06 ID:0wPFIUDO
そして俺と>>1がくんずほぐれつ
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/05(水) 20:54:45.70 ID:MyTxCdY0
今更ながら、地図が物凄く分かりやすかったのに驚いた
今の戦況だけの地図かと思っていたから、今までの冒険の旅筋がよくわかって嬉しい
わざわざありがたいです!
157 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/05(水) 23:20:59.64 ID:w.wxnoQo
〜北関北部、山中〜

副司令官「ここを下れば麓だぞ!もうひと踏ん張りだ!」

ゴゴウンッ…ゴゴンッ…

副司令官の鼓舞とともに、荷車はただひたすら前へ前へと進む。

その前方からは数騎の兵が進軍中の隊めがけ近づいて来る。

ドドッドドッ…パッカパッカ……

大軍師「いかがです?」

騎兵「この先、特に魔物の気配はありません!」

大軍師「そうですか…。引き続き索敵を」

騎兵「かしこまりました!ゆくぞっ!!」

パッカパッカ……ドドッドドッドドッ……

マジシャン「あれから追撃もなし…か」

大軍師「ええ…。動きが読めませんね…」

マジシャン「おいおい…軍師さんよ、頼むぜ…」

大軍師は眉間にシワを寄せ、苦笑する。
158 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/05(水) 23:21:33.00 ID:w.wxnoQo
ザッザッザ…

副司令官「しかし何度来ようとも返り討ちにしてくれるわ」

マジシャン「ああ…」

副司令官「結界石…なんとしてもう奪わせたりはせぬぞ!」

大軍師「………」

国軍兵「おぉ!見えてきたぞ!下山完了だ!!」

副司令官「ようし…!下山後は山を背に左右へ展開せよ!」

国軍兵「はは!」

副司令官「後はコレを打ち込んで…任務完了だ!」

マジシャン「……そう楽にいくかねぇ」

大軍師「……」

副司令官「いってもらわなにゃあ…困るよ」

国軍兵「いいぞぉー!そのまままっすぐ…そうっ、そこだ!」

ゴトンゴトンッ……ドウゥンッ…

大軍師「そのまま展開して下さい」
159 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/05(水) 23:22:29.02 ID:w.wxnoQo
マジシャン「いや……そうもいかんらしいぜ」

ドドッドドッ…

騎兵「前方より敵襲ーっ!!」

副司令官「来おったか…!迎撃用意!!」

副司令官の声に応じ、各兵が武器を構え始める。

マジシャン「さて……どれ程のモンかね…」

目の前に広がる森の木々が揺れ始め、物音が徐々に近づき始める。

大軍師「荷車を後方へ!!」

国軍兵「急げーっ!!」

副司令官「騎兵隊っ、前を固めよ!!」

騎兵「行くぞっ!!」

ドドッドドッ…ドドッ…

マジシャン「さぁ…どっからでもかかってきやがれ!」

威勢良く馬を飛ばす騎兵隊の背後で、マジシャンが首を左右に曲げ鳴らす。


大軍師「……」
160 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/05(水) 23:23:19.54 ID:w.wxnoQo
ザワザワッ…ザアアァァ…

国軍兵「……」

木々は風に揺れ、枝葉を左右に揺さぶり音を立てる。

副司令官「……」

ゾゾゾゾゾ……

マジシャン「……あん?」

大軍師「…来ませんね」

騎兵「お、おかしいな…気配は感じたのだが…」

先頭の騎兵が再び森の中へと足を踏み入れる。

パッカパッカ…

国軍兵「しかし…木の揺れる音がこう強くては…なかなか足音が聞き取れぬ…」

大軍師「……!!」

マジシャン「しまったっ!!戻れぇ!!」

騎兵「!?……ぐぶぉ…っ!!」

マジシャンの声に振り向いた騎兵の身体が馬より離れ、宙に浮く。
161 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/05(水) 23:23:46.28 ID:w.wxnoQo
副司令官「な、何だっ…!?一体何が……」

マジシャン「何が葉音だ…!本命はコッチじゃねーかよ…っ!」

マジシャンが慌てて身構え、腹部を貫かれた騎兵を見つめる。

大軍師「森から離れよ!この木々は………魔物だ!!」

騎兵を貫いた枝が上下に大きく振り上がり、兵は地面へと叩きつけられた。

騎兵「下がれぇ!後退っ!後退しろー!!」

マジシャン「正面から来んぞ!」

マジシャンは叫び、単身森へと走り出す。

同時に、複数の妖樹からは、槍のように尖った無数の枝が一気に迫る。

マジシャン「こ…のっ…!!」

ビュオッ…ヒュンッ!!…ヒュンッ!!…シュンッ!!

マジシャンは間一髪、枝をかわしながら左右に跳ぶ。

マジシャン「喰らいやがれっ!!」

迫りくる枝の槍に対し、両手から交互に炎を発し、その木々を焼き払う。

ドドオオォンッ!!…ドドンッ!!…ゴオオォォ…
162 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/05(水) 23:30:36.54 ID:w.wxnoQo
国軍兵「す、すげぇ…っ…」

マジシャン「ボサっとしてんじゃねぇ!仕掛けろ!」

大軍師「魔道兵っ!炎を詠唱……撃ていっ!」

マジシャン「てめぇもだ!手伝え!!」

大軍師「心得ております…!」

大軍師は羽扇を右手で構え、マジシャンの後方に移動する。

ザッ…

マジシャン「………いいぞっ、今だ!」

大軍師「はぁ!!」

大軍師は扇子を大きく振り上げ、一気に振り下ろす。

すると同時に前方へ渦状の突風が巻き起こり、マジシャンの真横を通過する。

ドドオオォォンッ!!…ビュオオオォォッ!!

マジシャン「着火ー」

マジシャンは通過する突風へ炎を放ち、風は火を纏いきりもみ状に森へと直撃する。

衝突と同時に炎風は一気にはじけ、妖樹達を一瞬の内に炎の海へと巻き込んだ。
163 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/05(水) 23:39:06.28 ID:w.wxnoQo
ゴゴウンッ……バチバチバチッ…ドドオォォ…

マジシャン「左右からも来てんぞ!手ぇ休めんな!」

騎兵「…くっ!!」

ザシュッ!!

騎兵「…ぐ…ぅ……」

副司令官「おのれ…っ!魔道兵はまだか!?」

魔道兵「撃ちますっ!!」

ドドオォンッ!!…ゴオオォォ…

左右から休まず迫り続ける枝を騎兵と魔道兵は懸命に追い払う。

大軍師「もう一撃…いきますよ!」

マジシャン「おうよ。お国の為に頑張れよっ!」

ドドオオォォンッ!!……ゴアオオォォ!!

マジシャンと大軍師の放つ二撃目は、一直線上に森を焼き払いながら木々を貫く。

やがて後方で激しい火柱となり上空へ上がり、空中ではじけた炎風はそのまま地上へと降り注いだ。

マジシャン「…おぉ、大した威力だわ。やるじゃん!」

大軍師「…貴方こそ!流石ですね…大魔道士!!」
164 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 00:00:17.23 ID:qvrKMmko
副司令官「結界石には近づけさせるな!食い止めよ!!」

マジシャン「こんだけ焼き払えば…動きも止まんだろ」

大軍師「…ふう。…敵も厄介な布陣を敷きますね」

マジシャン「感心してる場合かっつの…」

騎兵「大軍師様!前方より……っ!!」

大軍師「……!?」

マジシャン「おいおいおい…マジかよ」

燃えさかる炎の奥より、その火を身に纏った多数の獣が姿を現す。

大軍師「ヘルハウンド……!」

マジシャン「ちぃ…っ、気づきやがったか…」

ドズンッ…ドスンゥンッ…

マジシャン「そりゃこんだけ大騒ぎしてりゃあ…気づくわな!ハッハ!」

マジシャンは汗を拭い、山の奥よりこちらへ向かってくる巨体を見上げる。

国軍兵「左翼ー!!フンババが迫っているぞ!山側だ!!」

マジシャン「正面にヘルハウンドを木のバケモン…横からフンババ…」

大軍師「背後は山で退路なし…。窮地、というやつですね…」

大軍師の軽口に、マジシャンは苦笑しガックリと肩を落とした。
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/06(木) 00:09:59.99 ID:qvrKMmko
〜オマケ〜

魔道士「ゴールデンウィークが終わってしまいました…」

盗賊「…う、うん」

魔道士「はぁ…もう旅したくないなぁ…」

盗賊「……いや…あ、あの」

魔道士「ずーっとこうやってゴロゴロしてたーいっ!」

ゴロゴロゴロ…ゴロゴロゴロ…

盗賊「……」

魔道士「お昼に起きて…ゴロゴロと本読みながらお菓子食べて…」

盗賊「………」

魔道士「夜更かしして話をしたりとか…」

盗賊「……あ、あの」

魔道士「あっ!観光とかも行きたかったですねぇ…」

盗賊「…あの…私達…休みとか…な、ないからっ」

魔道士「えぇ!?…じゃ、じゃあ…いつ休むんですか!?」

盗賊「……さ、さぁ…?」

それではやすみなさい!ノシ
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/06(木) 00:13:02.34 ID:8wS2q2AO
はい!
休みます!
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 01:13:20.26 ID:bNtAPiAo
>>1おつ!

召喚士パーティーにも休みをあげたいねー
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 01:23:49.19 ID:xVVP06AO
>>169を生贄に捧げ、『召喚士達の休暇』を発動!
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 01:28:30.13 ID:EO820.AO
まかせろー バリバリ
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 02:57:55.52 ID:FFGBbUAO
>>162
マジシャン「着火ー」
なんかカワユスwwwwww
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 06:32:37.56 ID:jCSag66o
>>163
>大軍師「…貴方こそ!流石ですね…大魔道士!!」
おっきくなった魔道士ちゃんを想像したのは俺だけでいいと思うんだ…。
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/06(木) 11:34:03.81 ID:9yPNfRgo
おお!マップまで書いてあるとは!
ミネルバトンサーガ思い出した。
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/06(木) 17:52:48.74 ID:NApsUPAo
こんにちは!連休も終わりまた日常が戻ってきましたね…
こちらも気合入れて更新再開です!宜しくお願い致します!↓続き
174 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 17:53:26.83 ID:NApsUPAo
マジシャン「どうすんだよ?勝機はあるんだろうな…?」

大軍師「さて…どうしましょうかねぇ…」

マジシャン「お前、絶対楽しんでるだろ?」

大軍師「そんな事ありませんよ」

大軍師はパタパタと羽扇で顔を扇ぐ。

大軍師「何でしたっけ…?相剋?」

マジシャン「あん?」

大軍師「すみません。五行についてはあまり詳しくないんですよ」

マジシャン「相剋…ねぇ…」

大軍師「水剋火、金剋木…といったところですか」

マジシャン「十分詳しいじゃねぇか」

大軍師「……魔道兵!」

大軍師の呼びかけに応じ、魔道兵が集まり始める。

大軍師「水と雷…全力で叩き込んでください」

大軍師は扇子を正面に迫る、燃えさかる魔獣と木々へ向けて突き出した。
175 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 17:54:28.87 ID:NApsUPAo
副司令官「食い止めよっ、何としてもだ!」

騎兵「うおおぉぉ!!」

ギキィンッ!!…キィンッ!!…バキィ!!

騎兵「ぐわっ…!!」

副司令官「な、なんとかせんかっ!」

マジシャン「ほれ、ボスがお呼びだぜ」

大軍師「…仕方ありませんね」

魔道兵「詠唱完了!!」

大軍師「氷雷…放てっ!」

魔道士「はぁ!!」

ドドオオォォンッ!!……

木々の前で身構えるヘルハウンドが氷を纏った無数の雷撃に打ち抜かれ、

その身は衝撃で軽々と宙へ放り出される。

ドドオォンッ!!…ズガアアァァ!!

ヘルハウンド「ギャウッ!!」
176 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 17:57:47.13 ID:NApsUPAo
大軍師「手を休めず!三段撃ちで連撃せよ…!」

魔道兵「枝が来るっ!雷……ぐあぁ…っ!!」

バキィ!!…ドサァ…

国軍兵「くっそぉ…!俺らが盾になんぞ!」

ダダッ!!

国軍兵は盾を構え、懸命に魔獣と枝の猛攻を食い止める。

国軍兵「今だー!撃て撃て撃てぇ!!」

魔道兵「おおぉ!!」

ドドオオォンッ!!…ズガアアァァ!!

ヘルハウンド「ガフッ……」

国軍兵「う…腕にっ!?…くそぉ!!」

ヘルハウンド「グアオオォォ…!!」

魔道兵「軍師様っ、今のうちに…!」

大軍師「…こちらは任せましたよ!」

大軍師とマジシャンは一進一退する攻防の中を潜り抜け、フンババの元へと走る。
177 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:02:38.24 ID:NApsUPAo
タッタッタッタ…ザッ…

マジシャン「んで、どうすんだよ。倒すのは一苦労だぞ?」

大軍師「魔法も物理攻撃も効きにくい上に…火に水に毒まで使う…」

マジシャン「…はぁ、仕方ねぇ。ちょっくら手伝え」

大軍師「……?」

ザッ

マジシャン「こうなったら…五行で一気に片付けてやる」

大軍師「!?」

マジシャンは両手を合わせ、瞑想を始める。

大軍師「ちょ、ちょっと…!!」

マジシャン「…?何だよ。邪魔すんなって」

大軍師「いけません!いくら貴方が有能であっても五行は…」

マジシャン「ちっ、うっせーな。じゃあどうするんだよ!?」

大軍師「……結界石、くれてやりましょうか」

マジシャン「はぁ!?」
178 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:03:25.61 ID:NApsUPAo
突然の言葉に、マジシャンは驚きを返す。

マジシャン「お前…何言って……」

大軍師「石が狙いならあげましょうよ」

マジシャン「あのなぁ…」

大軍師「触れる事が出来れば…ですが」

マジシャン「っ!!」

大軍師は荷車の上でキラキラと光る巨大な結界石を見上げる。

マジシャン「お前……まさか…」

大軍師「どうせひとつはこの辺りに打ち込む予定でしたし…良いのでは?」

マジシャン「んで、誰がやるんだよ?」

大軍師「それはもちろん…お願い致します!」

マジシャン「結局それかよ…ちっ!」

大軍師「貴方だからこそお願い出来るのですよ…ふふふ」

マジシャン「はいはい…やりますよ。やりゃいいんでしょ」

マジシャンは後頭部を掻きながら、気だるそうに歩き始めた。
179 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:04:05.30 ID:NApsUPAo
テクテクテク…ジャリッ

マジシャン「……ふー」

大軍師「騎兵隊っ、マジシャン殿の詠唱が終わるまで牽制を!」

騎兵「はは!」

騎兵達は頷くと槍を前へ突き出し、フンババの足元へ駆け寄る。

副司令官「ど…どうするつもりなのだ…?」

大軍師「少しお下がり下さいませ…」

大軍師は今までとは違い、厳しい表情で副司令官へ応える。

副司令官「う…うむ…っ」

ザザッ

大軍師「…宜しいですかな?」

マジシャン「ああ…」

大軍師「では……」

マジシャン「はあぁ!!」

マジシャンは叫びとともに両掌を地面へと叩きつける。
180 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:05:17.27 ID:NApsUPAo
ドドドオオォォンッ!!……ドゴオオォォッ!!

光る両手は地面を激しく隆起させ、荷車の直下より突き出し、

その勢いで結界石は宙へと放り投げられる。

国軍兵「に…荷車が!?」

副司令官「なんとっ…!!」

ブオォッ!!

マジシャン「後は…はぁはぁ……頼むぞ…っ!」

大軍師「お任せ…あれっ!!」

大軍師は跳躍し、結界石めがけ突風を叩きつける。

後転し着地した大軍師は片膝のままニヤリと笑う。

大軍師「さあ、受け取りなさい…!」

ゴオオォォ!!……

フンババ「!?」

眼前に猛スピードで迫り来る結界石を前に、フンババは両手を広げ、

その物体を抱え込むように受け取る。
181 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:09:13.64 ID:NApsUPAo
ドズッ…ガシィ!!………ドジュウゥゥッ!!

その瞬間、激しい輝きとともに、フンババの両腕から白煙のようなものが巻き起こる。

フンババ「………ウゥ…!?」

ドジュウウゥゥッ!!

フンババ「グオ……オ…ォ…ッ!!」

巨大な結界石を直に触れたフンババは、そのまま石ごと地面へと叩きつけられる。

ドズウゥゥンッ!!…ジュウウゥゥッ!!

フンババ「ガアアアアァァ……ッ!!」

やがてそれは溶けるように光へと包まれ、完全に姿を消した。

マジシャン「はぁ……なんとかうまく…いったか…」

大軍師「…ふーっ…いやはや骨が折れますな…ふふっ」

大軍師はマジシャンの元へ歩み寄り、腕を貸す。

マジシャン「こんなんもう…ゴメンだぜ…ハッハ」

大軍師「同じくです……」

両者は互いの顔を見合わせ、苦笑した。
182 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:09:39.90 ID:NApsUPAo
〜北方司令部、北東の平野〜

トロル「!?」

親衛隊「うおぉーっ!!」

ヒュッ…サシュウゥッ!!

親衛隊「…ちっ、一流の国家鍛冶が打ったというのに…」

親衛隊は絶命したトロルから引き抜いた、槍の先端を見つめ呟く。

ドドッドドッドドッ…

皇太子「ふんっ!!」

ザシュッ!!……ブンッ!!

皇太子「はぁ…はぁ、次ぃ!!」

エリート「殿下!上空をっ!!」

皇太子「何っ!?うおぉ…っ!」

上空を舞う巨大なドラゴンの火球を、皇太子は間一髪かわす。

皇太子「トロルはともかく…上はどうにもならんな」

エリート「ええ…支援射撃も所詮は牽制程度のものですし…」
183 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:10:07.17 ID:NApsUPAo
皇太子「何か決定打があれば良いのだが…」

皇太子率いる騎馬隊は、懸命にトロル隊を迎撃する。

数では押されているものの、機動力と個々の強さでなんとか優勢を保っていた。

ドドドッドドッ…

親衛隊「……りゃあ!!」

トロル「ぐおぉ…!?」

ギィンッ!!…ドシュッ!!

皇太子「次から次へとキリがないな……はあぁ!」

エリート「オーガ隊の動きは!?」

本国兵「ありません!いえっ…それどころか…」

エリート「……?」

本国兵「後退したまま…姿すら見えず…っ」

エリート「何…!?」

親衛隊「どういう事だ!?劣勢とみて退いたか…?」

皇太子「それなばら良いが…。まさか……」
184 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:10:34.78 ID:NApsUPAo
その時、後方の兵達から悲鳴が挙がり始める。

国軍兵「敵襲!敵襲ーっ!!」

将校「森から伏兵だと!?バカなっ!!」

後方支援に務めていた兵達は虚を突かれ、

側面の森より現れたトロル隊の伏兵により陣を崩され始めた。

エリート「くそぉ!いつの間に!!」

皇太子「已むを得ん!一度後退し援護を……」

親衛隊「殿下ーっ!!」

馬首を返した後退しの側面に、低空飛行で迫るドラゴンが口を大きく開ける。

ゴラゴン「ゴアオオオォォ!!」

後退し「しまっ……」

エリート「殿下あぁーっ!!」

ビュオオォォッ!!………ドズウウゥゥンッ!!

ドラゴン「…ガ…オォ……アア……ァ…」

西側の高台より撃ち放たれた巨大な矢が、ドラゴンの口内を貫いた。
185 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:12:51.36 ID:NApsUPAo
エリート「あ……っ…!!」

親衛隊「氷を付加した…巨大な矢…?」

皇太子「……!?」

一同は驚き隠せぬまま振り向き、高台を見上げる。

ジャリッ…

国軍兵「命中!ドラゴンを撃破!!」

魔道兵「精度も上々…ですな」

高台の兵達は射撃を担った男を見上げ、笑みを浮かべる。

左翼長「……どこがだよ。一撃で仕留めも出来てねぇ」

国軍兵「充分ではないですか」

左翼長「ま、焦点定まらねぇ身で命中しただけでも万々歳…か」

国軍兵「流石ですねっ!」

左翼長「おら!ボサっとしてないで援護しろっ!」

国軍兵「は、はは!」

国軍兵は慌てて手綱を引き、高台を駆け下りる。
186 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/06(木) 18:14:36.87 ID:NApsUPAo
魔道兵「それにしても…凄い威力ですね…!」

左翼長「コイツは『バリスタ』っつってな、巨大な矢の発射台ってとこか」

魔道兵「初めて見ました」

左翼長「昔は結構使われてたんだがなぁ…」

魔道兵「そうなんですか?」

左翼長「召喚隊やら魔法付加がメインになってからは、影を潜めちまった」

魔道兵「な…なるほど」

左翼長「そこらのモンかき集めたとはいえ…組み立てにも時間掛かるしなぁ」

魔道兵「確かに…到着まで掛かってしまいましたもんね…」

左翼長「しかしコイツに付加してぶつけるってのは、我ながらナイスアイディアだな!」

魔道兵「これ…魔法付加をうまく使えば、凄い兵器ですよ!」

左翼長「早速進言してみっか…。はっはっはっは!」

左翼長は高らかに笑い、再び顔を引き締める。

左翼長「あと二匹。今度は一撃で仕留めんぞ!!」

左翼長の鼓舞に、兵達が大声を上げて応えた。
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 18:24:16.07 ID:u44/rAso
色々ともちけつww
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 18:28:35.00 ID:E.l0ZRo0
召喚士ちゅっちゅ
さぁ早く
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/06(木) 18:32:56.05 ID:NApsUPAo
ゴラゴンwwなんだそりゃ…orz
一時撤退致します…ご支援ありがとうございます!では!ノシ

>>172
RPGツクール2000の標準チップセットで作ったのですが、
せっかくならばドラクエのチップセットとかでやれば良かったですねw
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/06(木) 21:10:49.23 ID:xIPBMqw0
ゴラゴンもいたのかw
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 00:47:16.45 ID:tt7SQsAO
オーガ隊・・・だと・・・
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 11:49:45.62 ID:T3LrrO6o
一瞬範間勇二郎隊かとおもった。



オークのほかにオーガもいたなんて!
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/07(金) 23:46:15.02 ID:X49l1ADO
>>1乙!
GW中読むのさぼっててごめんなさい!
今日からまた毎日読む!
194 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/08(土) 01:56:52.74 ID:osZepmYo
ドドドッ…ドドッ…

親衛隊「あれは…弓騎兵隊!?」

エリート「いや、それよりも…この巨大な矢は…!?」

皇太子「……」

親衛隊「殿下!まだ息が…っ!」

皇太子「!?」

ドラゴン「グ…ウゥ……ッ」

皇太子「………くっ」

ドズッ!!

皇太子は地に倒れ微かに息をするドラゴンの頭部へ、槍を突き刺す。

しばらくの後、ドラゴンから目の光が失われ、息絶えた…。

皇太子「…左翼長。よくぞ間に合ってくれた…!」

ドドッドドッドドッ…

国軍兵「殿下っ!よくぞご無事で…!!」

皇太子「助かったぞ!背後よりトロル隊が迫っている。迎撃を頼む…!」
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 02:19:43.03 ID:UPF7UQDO
深夜更新キター!!
>>1乙!更新嬉しいけれど無理はすんなよー!
196 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/08(土) 03:06:35.59 ID:osZepmYo
エリート「それで…この矢は……」

国軍兵「バリスタ…というそうです」

親衛隊「バリスタ!?これが……!」

エリート「噂には聞いた事があるが…この威力は…」

国軍兵「司令殿がバリスタと魔法付加を掛け合わせこのように…」

親衛隊「いや…これは何とも見事…」

ドドッ…

国軍兵「では、トロル隊迎撃へ向かいます!!」

親衛隊「我らも続きます!!」

エリート「頼む…!」

皇太子「エリート、私達は後方の支援へ向かうぞ」

エリート「はは!」

弓騎兵と親衛隊が走り去る姿を見送り、二人は後方へ引き返す。

皇太子「………」

エリート「……殿下?」
197 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/08(土) 04:08:52.78 ID:osZepmYo
ガシィ!!…キリキリキリッ…

左翼長「……よーし、もうちょい右…そこだ!ストップ!」

国軍兵「…魔道士っ」

魔道兵「おう!」

数人の魔道兵は設置された兵器の後ろへ立ち、瞑想を始める。

左翼長「ドラゴンは急旋回しやがるからな。気を付けろよ?」

国軍兵「はっ!」

左翼長「奴らが攻撃を仕掛ける瞬間が…狙い時だ」

国軍兵「了解っ!!」

一同は夜空を見上げ、飛び回る二匹のうち、一匹のドラゴンに狙いを定める。

左翼長「数撃ちゃ当たるモンじゃねぇんだ…!一発で決めるぞ!」

国軍兵「………はい…っ!」

左翼長「さあ、口を…開けて……」

左翼長はドラゴンが宙で止まり、口を大きく開けたその瞬間を狙い撃つ。

左翼長「今だっ!!撃てぇーっ!!」
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/08(土) 07:32:14.91 ID:AsaHqsAO
胸が熱くなるぜ!毎日朝の通勤にここを見るのが楽しみです
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 23:04:45.35 ID:UPF7UQDO
支援!
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 23:20:38.15 ID:dYi0b.SO
ソロソロ〜?
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 23:49:41.89 ID:7BOzPmI0
そういや砂漠や沼地、火山とか遺跡とか言ってる割に雪国とか無いな

要するに召喚士と魔道士たんのイチャコラが見たいです
202 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 00:53:07.65 ID:ESmMyz2o
ギ…ギギッ……バシュウゥゥッ!!

左翼長の合図とともに、一人の兵が結びつけられた縄をナイフで切る。

それと同時に瞑想を解いた魔道兵が一斉に氷の魔法を放ち始めた。

バキィッ!!…ヒュオオオォォ………ドズウゥゥッ!!

左翼長「ちぃ!!」

バリスタより放たれた巨大な矢は、ドラゴンの顔の真横を通過し、

巨体の首筋へと勢い良く突き刺さる。

ドラゴン「ギィアアアアァァッ!!」

左翼長「くっそぉ…!若干ずれたか…!」

国軍兵「司令っ!今の一撃でバリスタの車輪がっ!!」

国軍兵は破損した車輪の軸を指差し、叫ぶ。

左翼長「……。構うな!車輪を外し土台としてここへ置け!」

国軍兵「はっ!!」

左翼長「寄せ集めの道具じゃこんなモンかよ…。くそっ…」

魔道兵「司令…っ」
203 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 00:53:43.01 ID:ESmMyz2o
左翼長「あと一本…もってくれよ!!」

ドラゴン「グルオオオォォ……ォ」

ドラゴンは首筋へ刺さる矢に悶え苦しみ、身体を揺さぶらせる。

皇太子「まだ終わりではないぞ…!」

エリート「!?……ドラゴンを狙い撃てぇ!!」

将校「…っ!!……皆、ドラゴンへ射かけよ!!」

後方の兵が一斉に弓を構え、手負いのドラゴンへ矢を向ける。

シュシュシュンッ!!…シュシュンッ!!……ドドドドッ!!

皇太子「親衛隊と弓騎兵がトロルを抑えている!今のうちにドラゴンを叩け!」

エリート「左翼長殿はっ…。まだいけるのか……!?」

皇太子「エリート」

エリート「……はっ」

皇太子「槍を……」

エリート「…?」

エリートは国軍兵より一本の槍を受け取り、皇太子へと手渡す。
204 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 00:55:10.47 ID:ESmMyz2o
ザッ…

エリート「で、殿下…!?」

皇太子「……」

バッ!!……スタッ

皇太子は大量の矢を射かけられ、悶えるドラゴンを見上げる。

そして手に構えた槍をその巨大な化物めがけゆっくりと構えた。

皇太子「………はあぁ!!」

ググッ……ブンッ!!

エリート「!!}

国軍兵「おぉっ!!」

ビュオオオォォッ!!………グサアァッ!!

ドラゴン「ギイィィアアァァッ!!」

エリート「お……お見事…っ!」

皇太子「手負いのドラゴンだ…。他愛ない」

皇太子は投擲によりトドメを刺され落下を始めるドラゴンを見つめ、静かに呟いた。
205 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 00:55:39.62 ID:ESmMyz2o
ドドッドドッドドッ…

親衛隊「一匹たりとも通すな!!」

国軍兵「おうよっ!!」

国軍兵達は一斉に弓を引き、進軍するトロル隊を足止めする。

親衛隊「我らは左右より挟撃するぞ!続けーっ!!」

国軍兵「どんどん射よ!ドラゴンは左翼長様がなんとかしてくれる!」

トロル「ぐぅ……!こ、こいつら…っ!!」

国軍兵「俺達は分断すればいい!なんとか先にドラゴンを…っ!」

トロル「このぉ…っ!!」

ドスッ!!

国軍兵「ぐあぁっ!!」

親衛隊「ちぃ!!…被害が増えているな。何とか急がねば…」

国軍兵「くそぉ!中央抜かせるな!持ち堪え……ごふっ!」

親衛隊「何事か!?」

国軍兵「トロル隊、中央を強行突破の模様っ!!」
206 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 01:00:35.45 ID:ESmMyz2o
親衛隊「何ぃ…!?させてなるものか!!」

グイッ…パカラッパカラッ…

親衛隊「支援を頼むっ!」

国軍兵「トロル隊の指揮官のようです!」

親衛隊「おうっ!!」

数名の騎兵がひと固まりに、そのまま中央へと駆け抜けて行く。

国軍兵「親衛隊を後方より援護しろ!撃て撃てぇ!!」

ドドッドドッドドッ…

親衛長「はあぁ!!」

トロル「!?」

シュンッ!!……ギキイィンッ!!

ひと際大きなトロルが、親衛隊の隊長が振るう槍を長剣で受け止める。

親衛長「貴様が親玉だな…?」

大トロル「ほう…。いい度胸だ!」

チュインッ!!…キィンッ!!…ガキィンッ!!
207 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 01:01:01.36 ID:ESmMyz2o
国軍兵「ご…互角っ!?」

トロル「ボスッ!!」

親衛長「おおぉ!!」

大トロル「ぐぬぅ…!!」

ガキイィンッ…ギギッ…グググッ…

大トロル「ワシの兄貴は…この前の戦いで人間に…殺された…」

親衛長「それは…お気の毒…っ」

大トロル「兄貴の…カタキ!!」

親衛長「それはお門違いってやつだが……」

グググッ…

親衛長「俺も家族を魔物に殺されてるんでなっ!」

キィンッ!!……ザクゥ!!

大トロル「ぐう……ぅ…!!」

親衛長「…悪いが…みすみすやられるわけには…いか…ん…」

打ち合いの末、両者の得物が互いの胸部を貫いた。
208 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 01:19:03.80 ID:ESmMyz2o
魔道兵「トロル隊の動きが止まりました!」

左翼長「なんとか持ち堪えてくれよぉ!」

ガチャッ……キリキリッ…

国軍兵「しかしどうするんです!?車輪がなくては照準を…」

左翼長「合わせらんねーなら…向こうに合わせて貰うしかないな…」

国軍兵「……?」

左翼長「…おい、閃光弾を」

国軍兵「は、はいっ!」

国軍兵は慌てて閃光弾を左翼長へと手渡す。

左翼長「さーて…うまくいってくれよ…!」

左翼長は背負った弓を手に持ち、閃光弾を矢へくくり付ける。

左翼長「……よし」

カチカチッ…バシュッ…

閃光弾の導火線へライターを近づけ、点火する。

左翼長「……ドラゴンさんよ、俺は…ここだぜっ!!」
209 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 01:23:14.92 ID:ESmMyz2o
グッ…キリキリキリッ………バシュッ!!

左翼長の放った矢は大きな弧を描き、暗闇の中をグングンと突き進む。

やがてそれは大きな発光を起こし、辺り一面へ光を与えた。

カアアァァッ……

ドラゴン「グウゥ…!?」

魔道兵「ド、ドラゴンがこちらに…っ!?」

国軍兵「どうするんです!?」

左翼長「バリスタ用意!!的が来るぞっ!」

ドラゴンは閃光弾を放った主めがけ、上空を猛スピードで迫る。

左翼長「魔道兵!渾身の一撃頼むぞ!」

魔道兵「はっ、はい!!」

バリスタを構える一同に対し、ドラゴンは急激に迫り、攻撃の素振りへと移る。

左翼長「口を開けるぞっ!発射用意!!」

国軍兵「発射用意ーっ!!」

ドラゴン「グアオオオォォ!!」
210 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 01:27:39.76 ID:ESmMyz2o
ドラゴンは大きく口を開け、それは赤い光を灯し始める。

左翼長「………撃てぇ!!」

バスッ!!…ドシュウゥゥッ!!………

魔道士「放てぇー!!」

ドドオオォォンッ!!…ギキイイィィンッ!!

ドラゴン「!!」

放たれた巨大な矢に氷の付加が加わり、巨大な氷柱となったそれは、

ドラゴンの大きく開かれた口内へと見事直撃する。

ズガアアァァッ!!

ドラゴン「……ギィ…アア…アアァァ!!」

国軍兵「やった!!」

左翼長「……どうだ…!?」

魔道兵「…頼む!そのまま倒れてくれっ!」

ドラゴン「……グ…グル…ゥ…」

羽ばたき旋回をみせたドラゴンであったが、やがて眼の光を失い、そのまま地面へと降下を始めた。
211 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 01:32:07.75 ID:ESmMyz2o
ヒュゥゥウウウウ……ドズウウゥゥンッ!!

国軍兵「いよっしゃあ!!やったぁ!!」

魔道兵「やりましたねっ!!」

左翼長「ふーっ…うまくいったな!皆の者、ご苦労!」

ピシッ……バカァッ!!

国軍兵「バ、バリスタが…!!」

左翼長「道中で拾ったモンで作った即興品だ。仕方ねぇさ」

左翼長はポケットからタバコを取り出し火を付けると続けて言葉を発する。

左翼長「さあ、殿下と合流だ!急げっ!」

国軍兵「トロル隊も…退いているようですね!」

魔道兵「うまく防いでくれたみたいですね!」

左翼長「………」

左翼長はジッと右方で展開されるトロル隊との交戦を見つめる。

国軍兵「……し、司令?」

左翼長「ああ、すまん…。行こうか」
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 01:33:17.53 ID:uvMXhIAO
>>201
それなんてのび太?
213 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 01:41:01.71 ID:ESmMyz2o


国軍兵「ト…トロル隊、後退していきますっ!」

親衛隊「隊長ーっ!!」

バッ!!…タッタッタ

親衛長「……ごっ、ごふっ……!」

国軍兵「くそ…っ!こ…この傷では…もうっ…」

親衛長「か…構わん…。それよりも…殿下は…?」

親衛隊「ドラゴンは見事殲滅…!トロルも退いております!」

親衛長「そう…か。良かった……」

親衛隊「隊長ーっ!!」

親衛長「孤児の我らを拾って下さり…本国の親衛…隊として…がは…っ!」

国軍兵「っ!!」

親衛長「殿下の為に…この命………本…望…」

親衛隊「隊長……?隊長っ!!」

親衛長は微笑み、ゆっくりと目を閉じた…。
214 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 02:09:09.91 ID:ESmMyz2o


左翼長「殿下、お怪我は…!?」

皇太子「ご苦労、こちらは問題ない。よくやってくれた」

左翼長「お役に立てたようで何より…」

エリート「しかし…素晴らしい威力でしたな。確かバリスタ…」

左翼長「ええ、過去の物、ですがね…」

ドドッドドッドドッ…

親衛隊「殿下!!」

皇太子「ご苦労。トロル隊は?」

国軍兵「敵の大将を討ち取り、敗走致しました!」

エリート「ようし…!これでこの戦局は我らが優勢…!」

親衛隊「し、しかしながら……っ」

親衛隊は馬の背に積んだ親衛長の亡骸を地面へとそっと降ろす。

エリート「な……なんとっ…」

皇太子「………」
215 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 02:13:13.36 ID:ESmMyz2o
ザッザッザ…

皇太子「……ご苦労であった」

皇太子は跪き、親衛長の頬をそっと撫でる。

親衛隊「で…殿下…ぁ!!」

皇太子「長きに渡り我が盾となり…働いてくれた。礼を言うぞ…」

左翼長「……」

皇太子「亡骸はなんとしても本国へ連れて帰る。良いな?」

親衛隊「ははぁ!!」

エリート「殿下…」

皇太子「…それで、オーガ隊の動きは?」

国軍兵「それが…既に戦場から姿がないようでして…」

エリート「姿がない…?不利と見て退いたのか…!?」

左翼長「いや…しかし………ま、まさかっ!?」

将校「……」

皇太子「…敵も…馬鹿ではないようだな…!」
216 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 02:19:29.57 ID:ESmMyz2o
国軍兵「まさか…奴ら司令部へ!?」

エリート「考えられるのは…それしかないな」

左翼長「急ぎ司令部へ戻りましょう!」

皇太子「うむ。お前らは馬と…亡骸の回収を済ませ後から追え」

国軍兵「かしこまりました!」

皇太子「左翼長殿は歩兵を率い西側より司令部へ」

左翼長「はは!」

皇太子「えりーと将校は私と南側より強行する!」

エリート「畏まりました」

将校「騎兵は急ぎ手筈を整えよ!」

皇太子「急げっ!時間はないぞ!!」

エリート「間に合ってくれ…!頼む!!」

左翼長「魔道兵は後方を、歩兵は前を固めよ!」

魔道兵「了解です!行くぞ!」

国軍は二手に分かれ平野を進発し、北方司令部めがけ急行した。
217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 02:23:48.57 ID:uvMXhIAO
あたしえりーさん。 今あなたの後ろにいるの
218 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 02:25:42.84 ID:ESmMyz2o
〜北方司令部〜

騎士長「何ぃ……敵襲!?」

北方兵「はっ!東より少数ではありますが司令部へ…っ」

騎士長「バカな!?いつの間に包囲を抜かれたと言うのか…っ!」

北方兵「いくら頑強といえど、こちらも兵数は少なく…」

騎士長「此処が落とされては元も子もない!何としても守り抜くのだ!」

北方兵「ははっ!!」

タッタッタッタッタ…

騎士長「くそ…っ、どうすれば……」

バキバキバキッ!!……ドオオォォンッ!!

騎士長「何だ!?」

北方兵「東の森からです!」

騎士長は城壁の上より東の森の倒れゆく木々を見つめる。

騎士長「あれは…オーガ!!厄介な…!!」

北方兵「弓兵!魔道兵!迎撃準備ーっ!!」
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/09(日) 02:26:57.23 ID:ESmMyz2o
>>217
ゴメンナサイ……
220 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 02:31:36.88 ID:ESmMyz2o
オーガ「…ブハハハ!本当に手薄よ!これは楽に落とせそうだわ…!」

ドズンッ…ドズンッ

北方兵「撃てぇ−っ!!」

シュシュンッ!!…ババババッ!!

オーガ「ちぃ…!小賢しい!!」

オーガは巨大な棍棒で迫りくる複数の矢を叩き落とす。

オーガ「つーても…数が多いか。ちと痛てぇがガマンして進むかね」

弓兵「致命傷にはならないか…!魔道兵、次の準備を!」

魔道兵「は、はいっ!」

騎士長「……」

北方兵「弓兵も魔道兵も新兵や若い者がほとんど…なかなかうまくは…」

ドズウウゥゥンッ!!

騎士長「!?」

海兵「き…巨大な岩が…っ!……ぐあぁ!!」

森の方向より、多数の岩石が司令部めがけ投げ込まれ始める。
221 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 02:37:55.89 ID:ESmMyz2o
ヒュオオォォッ……ドズウウゥゥンッ!!

魔道兵「う、うわあぁ!!」

騎士長「うろたえるな!よく見てかわせば良い!」

投石の合間を縫って、騎士長は大声で指示を飛ばす。

オーガ「ブハハハッ!!ほれほれっ、どんどんいくぜぇー?」

ヒュオオォォッ……ドズウウゥゥンッ!!

北方兵「くぅ…っ!こちらにも…何か決定打があれば!!」

その時、南側より空を切り裂く巨大な飛行物が、オーガめがけ一直線に向かう。

騎士長「…んっ!?」

ビュオオォォッ!!……

オーガ「な、なん……っ…ぐぎゃああぁぁ!!」

ドズウウゥゥッ!!

オーガ「なっ、なん…巨大な矢!?」

騎士長「あ……あれは…バ、バリスタ!?」

騎士長は慌てて南側の城壁へ走り、身を乗り出し発射元を確認した。
222 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 02:44:58.49 ID:ESmMyz2o
ザッザッザッザッザ…

左翼長「はぁ?…何でバリスタかって?」

国軍兵「ええ。確か由来があるとか…昔習った覚えが…」

左翼長「……バリスタってのは、職業の名前でな」

国軍兵「職業…ですか!?」

左翼長「今は使われちゃねーが、昔はバール…軽食喫茶店つーかカフェっつーか…」

魔道兵「そこでコーヒーを淹れる人ですよね。バリスタって…」

左翼長「そ。そんで昔、軍にすっげぇコーヒー淹れるの上手い奴がてよ…」

国軍兵「そ、それが何か関係して……?」

左翼長「ソイツの十八番があの大型弩砲だったワケよ」

魔道兵「それで……バリスタ、ですか…」

国軍兵「その方は…もう軍にはらっしゃらないのですか?」

左翼長「……退役して今は自分の店持って商売してるよ」

魔道兵「へぇーっ!じゃあ…この戦いが終わったら行きましょうよ!!」

左翼長「…そうだな。ま、今はこの戦いを終わらせる事が先決!無駄口はこれまでだ。急ぐぞ!」
223 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 02:50:54.79 ID:ESmMyz2o
〜北方司令部〜

シュウウゥゥッ…

オーガ「バ…バカな!?一撃で…!!」

騎士長「な……何で……お前が!?」

ザッザッザ…カチッ…シュボッ

バリスタを発射した男は煙草の煙を吹かせ、苦笑で騎士長へ返した。

バーテン「てめぇら軍が不甲斐ねぇからよ、市民までこのザマよ」

騎士長「は…ははっ…!お前……!!」

バーテン「それにどこぞの女占い師が泣きつくもんでな」

国軍兵「え……えっ!?」

バーテン「貴方のお友達が危ないわよ、って…ダチなんざいねーっつーの…」

騎士長「…減らず口は相変わらずだな…!大佐殿!」

バーテン「元を付けろいっ!おらっ、次行くぞ!!」

バーテンは煙草を加えたまま、再びバリスタへ巨大な矢を装填する。

バーテン「今日限りこんな羽目は……ゴメンだからな!!」
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/09(日) 02:57:38.45 ID:ESmMyz2o
こんばんはです!GW明けはちょっとバタバタしてて申し訳ないです!
それではこの辺にて失礼を…ご支援ありがとうございました!おやすみなさいです!ノシ

>>193
こちらこそあまり進んでなくごめんなさい!
宜しくお願い致します!!

>>201
最近は戦闘多めなので次の部は久々に日常パート気味にいきたいですね!

〜オマケ〜

魔道士「このお話の主人公は誰でしたっけ…?」

召喚士「えぇと…さ、さぁ…?」

戦士「お前だろうが!一体どんだけ出てねーんだよ俺ら!」

盗賊「…う、うむ」

召喚士「いやでも…皆さんも頑張ってる事ですし…」

天才「あのな、んな事言ったら俺は…」

名代「いやあなた方はまだ良い方かと…」

王子「あのね、僕なん(ry」

魔道士「こ、これからをお楽しみにっ…!エヘヘッ!!」
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/09(日) 05:12:55.19 ID:I2582sSO
召喚士達以外がかっこよすぎてマジで影うすくなってるなww
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 08:42:34.43 ID:CMsTovYo
バーテンあつすぐる
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/09(日) 09:47:02.27 ID:P9M8rTUo
バーテンの話か。
すごかったんだな。
天国でもこの戦いを見てくれてるとイイナ。
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 11:15:21.02 ID:yFJX12AO
バーテンかっこよすぎる
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 18:34:25.85 ID:92dw1Fwo
バーテンかっこよすぎ惚れた
230 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/09(日) 18:43:23.91 ID:P2GbUgAO
バーテンかっこよすぎ濡れた
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 18:47:54.29 ID:qfvuEwAO
えりーと「大人になったら魔道士おねーちゃんと結婚するんだ!」
232 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:54:51.33 ID:ESmMyz2o
オーガ「ナ…ナメやがって!んなもん当たらなきゃどうって……!?」

グッ…グッ…

オーガ「なん…っ!?足元に木の根と土がぁ!?」

オーガは己の足元が地中に飲まれ、身動きが取れなくなった事に気づく。

魔道兵「ざまぁみろってんだ!」

北方兵「よくやった!弓隊も仕留めなくともよいっ!牽制して投石させるな!」

弓兵は指示を二つ返事で了承し、オーガの手元めがけ矢を射かける。

シュシュンッ!!……ドッ!!…ドドッ!!

オーガ「ウザってぇ…!これじゃ近づくのはおろか、岩も……っ!」

騎士長「さあ、後は頼んだぜ!『元』少佐…!!」

北方兵「少…佐…?ま、まさかっ!!特殊遊撃…の…!!」

騎士長「ああ。元、特殊遊撃強襲隊隊長…バーテンだ」

北方兵「あ……あのっ、噂に名高き…!!」

バーテン「………」

バーテンはバリスタの後ろに立ち、オーガをジッと見つめ、ふと過去を思い出した。
233 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:55:23.39 ID:ESmMyz2o
――――……・・・・・・・・・

カツカツカツ…

バーテン「………」

タッタッタ…ガシッ

左翼長「いようっ!!」

騎士長「隊長就任おめでとう!!」

バーテン「お前ら……」

ザッザッザ

戦士父「……」

バーテン「よう」

戦士父「…おう」

バーテン「これから…世話になるな」

戦士父「そうか…?」

バーテン「そうか、って…頼むぜ副隊長」

戦士父「ん……ああ…」
234 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:56:04.11 ID:ESmMyz2o
左翼長「ほれ、話は会議が終わってからだ」

左翼長は呆れ顔で会議室のドアを開ける。

ガチャッ

騎士長「!?」

バーテン「…お、お前…!!」

会議室内には一人の女性が腰掛け、窓から外を眺めていた。

左翼長「女弓兵……!?」

女弓兵「あっ、お兄ちゃん!!」

左翼長「おま…何でここに!?」

女弓兵「あら、聞いてないの?私も今日から皆さんのお仲間よっ。ヨロシクね!」

騎士長「おいおい…マジかよ…っ!」

戦士父「お前な……」

女弓兵「今更駄目とかありませんからね!大元帥直々の許可も貰いましたから!」

バーテン「はぁ…。おい、左翼長…」

左翼長「ん…?」
235 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:56:33.36 ID:ESmMyz2o
バーテン「兄のお前が責任持って面倒みろよ」

左翼長「はぁ!?だったら彼…」

女弓兵「とにかく、これから宜しくお願いしますっ!」

バーテン「……はいはい、分かったよ」

女弓兵「えへへへっ!!」

………

ドドッドドッ…パカラッパカラッパカラッ…

戦士父「ふんっ!!」

ドシュゥッ!!

左翼長「さっすが『一番槍』…!すげぇ勢いだな」

女弓兵「もちろんですっ!」

バーテン「……アイツも負けてねーぞ?」

ドドドッ…ドドッ…ヒュンッ!!……ザシュッ!!

騎士長「討ち取ったり!!」

戦士父「……やるな!」
236 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:57:00.44 ID:ESmMyz2o
騎士長「お前だけに見せ場は譲れねぇからな!ハハハッ!!」

戦士父「…言ってくれる!

左翼長「ほう…!流石は『赤備え』の異名で恐れられる騎士長よ」

バーテン「ほれ、前衛の二人が頑張ってるんだ。俺らも行くぞ!」

女弓兵「はいっ!!」

ゴトンッ……ガラガラガラッ!!

左翼長「出たな…!バリスタ!!」

バーテン「バリスタ…!?」

左翼長「ああ。大型弩砲じゃ長げぇし堅っ苦しいからな」

女弓兵「隊長のアダ名ですよ!隊長の淹れるコーヒー、最高ですもん!」

バーテン「ま、何でもいいけどよ。脇はしっかり固めてくれよ。…兄妹」

左翼長「おうっ!!」

女弓兵「もちろんです!!」

バーテン「へっ…!」

左翼長と女弓兵はバリスタの両脇に立ち、手にした弓を構えた。
237 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:57:38.87 ID:ESmMyz2o
………

ザッザッザ…

女弓兵「本当に…こんな密林の奥地に魔王の…!?」

バーテン「ああ、間違いない。ワーカーによる調査も済んでいる」

騎士長「んで、そのワーカーってのは?」

バーテン「ここいらで合流のハズなんだが……」

左翼長「あっちから人の声がするな……」

テクテクテク

マジシャン「ウソつけって!!」

師匠「いーやマジだって!この奥にアマゾネスの村があってだな…」

マジシャン「んなもん信じられっか!だいたい何時行ったってんだよ!」

師匠「この前テメーが女に愛想尽かされてソロしてた時にだよ!」

マジシャン「クッソー…!一人だけいい思いしやがって…!」

師匠「そんなんだから女に逃げられるんだよバカヤロウ」

マジシャン「あんだと!?」
238 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:58:05.13 ID:ESmMyz2o
ザッ

女弓兵「あ、あのー…」

マジシャン「うおっ!?美人!!」

師匠「何か御用で!?良かったら俺と…」

ザッザッザ

騎士長「おいおい、人妻口説くとはいい度胸だなガキども…」

師匠「人妻…!?それは失礼…いや、アリか?…ゴニョゴニョ」

戦士父「…ん?」

バーテン「お前らが…ワーカーか?」

マジシャン「いかにも!!」

左翼長「この先に…あるんだな?」

師匠「間違いない。アンラ・マンユのアジトだ!」

バーテン「……名前は?」

師匠「俺が師匠、コイツは相棒のマジシャンだ!ガハハッ!」

マジシャン「…ヨロシクな!ハッハッハ!!」
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 22:58:18.83 ID:WkoRk6DO
>>1乙!
往年の名パーティーが活躍するのは嬉しいな!
今回は本当に豪華なメンバーだよな!
240 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:58:33.52 ID:ESmMyz2o
………

騎士長「軍を……抜ける…?」

バーテン「ああ。世話になったな」

ガタッ

左翼長「あの時の事…引きずってんのか?」

バーテン「………」

ガシッ!!…バキィ!!

バーテン「っ!?」

左翼長「てめぇ一人で…責任感じてんじゃねぇよ!」

バーテン「……そうじゃない。…そうじゃねぇんだがよ」

騎士長「バーテン……」

バーテン「枯れた花は…もう咲きはしねぇんだ…。俺も…アイツも…」

騎士長「戦士父も…辞めんのか…」

バーテン「悪いな……」

左翼長「これから…どうすんだ?」
241 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:59:02.86 ID:ESmMyz2o
バーテン「……しばらく休むさ」

騎士長「……くそっ!」

ガンッ!!

左翼長「妹は…そんなお前らの姿なんて見たく……」

バーテン「まあ…店でも開いて、のんびりコーヒーでも淹れてるよ」

騎士長「……どうせなら酒にしろ。…タダ酒飲めるしな」

バーテン「へいへい、考えておくよ」

ザッザッザ…

左翼長「……あばよ、隊長」

バーテン「……ああ、あばよ戦友」

バタンッ…ザッザッザ…

バーテン「!!」

戦士父「………」

バーテン「……よう」

戦士父「…おう」
242 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 22:59:30.35 ID:ESmMyz2o
バーテン「お前も…抜けるんだってな」

戦士父「…俺達は孤児だ」

バーテン「ああ、そうだ」

戦士父「俺の息子には…そんな思いをさせたくはない」

バーテン「………」

戦士父「せめて父親だけでも…傍にいてやらんとな」

バーテン「…お前らしいな。律義で」

戦士父「どこに行くつもりだ?まさか一人で…」

バーテン「そこまでバカじゃねーよ。お前こそどうすんだ?」

戦士父「南はコリゴリだ。どこかの村でゆっくり過ごすさ」

バーテン「そうか……」

戦士父「最後に…美味いコーヒーを淹れてくれないか?…バリスタ」

バーテン「……おやすいご用だ」

戦士父「………ふっ」

バーテン「………ははっ」
243 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/09(日) 23:03:38.93 ID:ESmMyz2o
・・・・・・・・・……――――

バーテン「………おっと」

バーテンはゆっくりと目を開け、再びオーガをジッと見つめる。

バーテン「過去は過去…今は今、だ!!」

グイッ……バスッ!!…ドシュウゥゥッ!!

騎士長「魔道兵!付加をっ!!」

魔道兵「くぅっ…!早い!!」

ドドオオォンンッ!!…ギキイイィィンッ!!

北方兵「…着弾!なんとか間に合ったか…!」

バーテンにより発射された巨大な矢は、途中で氷を纏い、

その勢いのまま一匹のオーガを真正面から貫いた。

ズガアアァァッ!!……ドズウゥンンッ!!

バーテン「バリスタに…魔法付加とはな…!」

騎士長「昔から左翼長と考えてたんだ!出来たら面白いなってよ!」

騎士長は親指を立て大声で笑い、それを見たバーテンも照れ臭そうに笑った。
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/09(日) 23:41:41.05 ID:spc9A7Q0
推定40代ベテラン戦士達の友情とはこれまた熱いな。
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/09(日) 23:57:40.66 ID:b/nBLZAo
ふとポッキーを思い出した。

━━━━―
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 02:05:09.21 ID:H.9PhoY0
騎士長がまさかひこにゃんだとは思わなかったぜww
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/10(月) 06:39:13.25 ID:ccyVyIAO
VIPの時から見てるが最近今までに増して面白いな!
久しぶりに師匠出てきて泣いた
248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 08:31:55.24 ID:/5wzsa20
おっさんたちイケメンすぎwwwwwwwwwwwwクソワロタwwwwwwwwwwwwwwwwww
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/10(月) 08:37:27.59 ID:A5d/0qoo
オーガ「とおるぜっっっ…」
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/10(月) 12:25:28.67 ID:P/MRRDsP
明日はパー速定休日だな
ゆっくりしてつかーさい
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/10(月) 13:21:42.58 ID:gIb4VUDO
ブログ始めたくらいだしさすがに大丈夫なんじゃないか

皇太子強すぎワロタ
252 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:02:15.37 ID:N5DKidAo
〜海峡、北の森付近〜

魔道士「あっ!見えてきましたよ!」

戦士「おっ、やっと来たか……」

魔道士と戦士は腰掛けた岩から起き上がり、無数に浮かび上がる人影を見つめる。

ドドッドドッドドッ…

召喚士「ご苦労様です」

海峡兵「これは朱雀先生…!魔物は…?」

召喚士「今のところ無事、鎮圧しています」

戦士「余裕っすよ、余裕!」

海峡兵「それは…流石ですね!お見事!」

魔道士「いえいえ〜!エヘヘ!!」

まもなく松明や人の声、そして車輪の音が近づき始める。

ゴトンゴトン…ゴトンッ…

海峡兵「進軍停止ーっ!!」

盗賊「………」
253 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:02:41.33 ID:N5DKidAo
ザッザッザ…

将軍「…ご苦労」

召喚士「いえ…こちらは特に問題ありません」

将軍「そうか。…おや?あとの二人は……」

戦士「ちょっくら森まで偵察に行ってます」

魔道士「黒の三騎士さんから…連絡がなくなってしまって…」

召喚士「橋には戻られてましたか?」

将軍「いや、特に何も無かったが…」

盗賊「……」

召喚士「やはり何かあったのかな?」

将軍「……?」

魔道士「あ、いえ…なんだか不気味な気配を感じた…とか…」

魔道士は不安そうに盗賊の顔を見つめる。

盗賊「……少し、な」

将軍「……ふむ。何も無ければ良いがな」
254 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:03:07.71 ID:N5DKidAo
ズズズ…ドドオオォォンッ!!

海峡兵「ゆっくりだ!ゆっくりでいいぞ!」

盗賊「…?」

将軍「ああ。いよいよ結界石を打ち込む」

戦士「おぉ!!」

召喚士「ここにですか?」

将軍「うむ。あまり拠点より離れても意味は無いし…」

召喚士「……」

将軍「何より森と川に挟まれた、この不安定な土地に進路を確保出来れば…」

召喚士「今後の展開は非常に楽ですね」

将軍「左様」

戦士「ふーん。とにかくこの辺りが重要ってワケだわな…」

召喚士「ここを押さえれば…好守ともに楽になるわけですね」

将軍「…うむ。魔王軍にとってもな」

召喚士「……」
255 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:03:33.18 ID:N5DKidAo
テクテク…

海峡兵「結界石、準備整いました」

将軍「うむ。では…あの辺りに打ち込むとしよう」

将軍は前方に見える開けた地面を指差す。

海峡兵「かしこまりました!」

魔道士「あそこに結界石を置くんですか?」

将軍「うむ。あとは間隔をおいてそれぞれ石を配置する」

盗賊「…それで?」

将軍「あとは魔力によって結界石と結界石を結ぶのだ」

召喚士「なるほど…!それで引いた線上が…」

将軍「そう。結界となる」

戦士「へぇ…!大それた事してんだなぁ…」

将軍「こうして少しずつ…陣地を広げていく、というわけだ」

戦士「陣取りゲームみたいな感じだな」

将軍「まぁ…そういう事になるかな。ははっ」
256 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:04:00.84 ID:N5DKidAo
魔道兵が地面を囲むように立ち、一斉に魔法を放つ。

ドドドオオォォンッ!!……ズズズッ…ボゴオオォォッ!!

魔道士「っ!!凄い!!」

戦士「でっけぇ穴が…ポッカリと…!」

将軍「ゆっくり運べ!」

海峡兵「そーれっ!!」

ズズズッ…ググッ…ズズッ…

魔道兵により空けられた地面の巨大な穴に、結界石が埋め込まれていく。

半分ほどが地面に埋まり、上半分が神々しく地上で輝く。

海峡兵「よーし…!!周囲を補強しろっ!」

ザッザッ…ズシャッ…

召喚士「これが……結界…」

将軍「起点は無事築けたな。では…次の地点へと急ごう」

海峡兵「はは!ようし…進軍準備ーっ!」

兵達は作業を終え、慌しく進軍の準備へと取り掛かる。
257 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:04:26.50 ID:N5DKidAo
召喚士「では俺達も先へ向かいます」

将軍「すまんな。引き続き魔物の撃退を頼む」

召喚士「はい。ルートはこのまま西で…?」

将軍「問題ない。任せたぞ」

戦士「おうっ!そちらさんもな!!」

海峡兵「ああ!!」

召喚士「では…」

盗賊「……」

テクテクテク…

魔道士「大丈夫ですかね…?」

召喚士「…?」

魔道士「魔法剣士さんと…眼鏡さん…」

戦士「まぁあの二人なら何かあったとして問題はないだろ」

召喚士「うん…」

魔道士「そう…ですよねっ!私達も頑張りましょう!」
258 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:11:09.60 ID:N5DKidAo
〜海峡、北の森〜

ザッザッザッザッザ…

魔法剣士「………」

眼鏡「………」

魔法剣士「……なぁ」

眼鏡「ん?…なんだい?」

魔法剣士「俺はワーカーになってから…20年近くになる」

眼鏡「若く見えるのに…大したもんだね」

魔法剣士「アンタ…10年ぐらい前から急に功績ランクに出てきたよな?」

眼鏡「そう…だっけ?」

魔法剣士「10年足らずで…2位。相当腕が立つのだろう?」

眼鏡「どうかな…。運が良かっただけじゃないかな?」

眼鏡は振り返り、苦笑する。

魔法剣士「それ以前は…?」

眼鏡「いや、色々と放浪してた…かな…」
259 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:12:03.16 ID:N5DKidAo
魔法剣士「………」

眼鏡「まぁ、お互い色々あるって事で…ははっ…」

魔法剣士「ランカー1位の『天才』って知ってるか?」

眼鏡「名前は聞いた事あるけど…面識はないかなぁ」

魔法剣士「俺は20年近くワーカーをしていると言ったよな?」

眼鏡「うん。聞いたよ?」

魔法剣士「俺が成り立てた頃からずっと1位のままだ」

眼鏡「へぇ…!そりゃまた凄いな」

魔法剣士「それだけじゃない。古い記録はなぜか消えているが……」

眼鏡「………?」

魔法剣士「遡る事……」

眼鏡「!?」

ザッ!!……ガシィッ!!

突如、眼鏡は魔法剣士の身体を掴み、二人は背後へと倒れる。

魔法剣士「……っ!?」
260 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:12:31.50 ID:N5DKidAo
眼鏡「………」

魔法剣士「な、何だ…!?」

眼鏡は沈黙のまま正面の薄暗い森を睨む。

眼鏡「何者だ…?」

ザザザザザ……ザザッ…ザッ…

魔法剣士「……?」

眼鏡「何者だ、と聞いているのだ」

ザッ…ザッ……ザッ………

薄暗い森から、ゆっくりとひとつの影が近づいてくる。

魔法剣士「魔物か!?」

眼鏡「………」

赤く光る不気味な瞳と、山羊を模したような顔が闇から浮かび上がる。

バフォメット「………ファファファ…」

魔法剣士「なっ、なんだ…!コイツは…!!」

眼鏡「………バフォメット」
261 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:13:11.77 ID:N5DKidAo
バフォメット「…我を知る…?……ほう…ファファファ!」

バフォメットは右手に持つ巨大な剣をゆっくりと前方へ構える。

魔法剣士「くっ……!」

ザザッ

眼鏡「仕掛けるなよ?次元が違う…」

魔法剣士「……っ」

バフォメット「人間は…排除…排除せねば……」

魔法剣士「なん…という、殺気…っ!」

眼鏡「聞いて貰えるとは思えないが…退いてはくれないか」

バフォメット「……人間は…排除…する」

眼鏡「ふーっ…これは参ったね…」

魔法剣士(この男…とてつもない殺気の前で…平気なのか…?)

眼鏡「仕方ない…」

チャキッ

眼鏡「……勝てるとは思えないけど」
262 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:13:55.49 ID:N5DKidAo
眼鏡は長剣を抜くと、即座にバフォメットへと斬りかかる。

眼鏡「はぁ!!」

ブンッ!!…キィンッ!!…チュインッ!!……シュンッ!!

バフォメット「ファファファ…!!」

両者の剣が激しい火花を散らせ、幾度となく互いに打ち合う。

魔法剣士「………!!」

眼鏡「今のうちに逃げろ!!」

魔法剣士「……そうは…いくかっ!!」

ブンッ!!

魔法剣士「はあっ!!」

魔法剣士は二本の剣を大きく振りかぶり、魔物の背後より斬りかかった。

バフォメット「………」

ザシュッ!!…ザンッ!!……ゴアオオオォォ

その剣はバフォメットの背部を捉え、炎と氷の二行が容赦なく襲いかかる。

魔法剣士「何っ!?」
263 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:14:51.84 ID:N5DKidAo
バフォメット「……ファファファ!!」

バフォメットはすかさず振り返り、巨大な剣を素早く振りかぶる。

魔法剣士「っ!!」

眼鏡「させるかっ!!」

眼鏡は右手より赤黒い炎を詠唱し、バフォメットの顔へと撃ち込む。

ドドオオォォンッ!!ゴアオオォォッ!!

バフォメット「……!?」

魔法剣士「二行付加が…き、効かないなんて…!」

眼鏡「早く退けっ!!今のうちに!!」

バフォメット「…貴様……何だ?…貴様は…?」

眼鏡「!?」

ブオンッ!!…ガスッ!!

眼鏡「ぐぅ…!!」

魔法剣士「!!」

バフォメットは炎をもとともせず、振り向きざまに眼鏡へ剣撃を繰り出す。
264 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:15:52.77 ID:N5DKidAo
ヨロッ……スタッ…

眼鏡「かずっただけで……こ、この傷か…」

眼鏡は滴り落ちる腹部の血を、右手でそっと撫でる。

魔法剣士「き…貴っ様あぁー!!」

ブオッ!!

眼鏡「待てっ!!」

魔法剣士「うおおぉ!!」

魔法剣士は両手を同時に振り上げ、剣は再び炎と氷に包まれる。

更に両手が輝き、両剣には土の魔法が付加された。

魔法剣士「魔法剣……三行!!」

バフォメット「……………ファファファファファ!!」

ザシュウゥゥッ!!…スタッ…

魔法剣士「………」

バフォメット「………」

魔法剣士「こ……これでも…駄目…なの…か…」
265 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:16:19.40 ID:N5DKidAo
ドサァッ……

魔法剣士は全身より流血し、その場にうつ伏せとなった。

眼鏡「生半可な魔法は…全て己に反射するわけ、か」

バフォメット「……貴様…人間……人間か?」

眼鏡「……今宵が満月でなくてよかったな…!」

眼鏡をゆっくりと外し、男は口笛を吹いた。

ピュイイィィッ!!………タッタッタッタッタ…タタッ

犬「グルルル…ル…ウウ…グルオオォォッ!!」

眼鏡の周囲に集まった犬達が姿を変える。

その体は巨大化し、体毛は逆立ち、牙は魔獣の如く長く光る。

眼鏡「………」

ゴゴゴゴゴゴゴ……

その主である眼鏡もまた、人間の姿を失い、さも恐ろしい魔の姿へと変わり果てる。

バフォメット「我…汝を知る…名を……ケルベロス…!」

ケルベロス「グアオオオォォ!!」
266 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:17:13.98 ID:N5DKidAo
ケルベロスと姿を変えた眼鏡は途端にくちから炎を放つ。

ドドドドオオォンッ!!……ゴゴアオオォォッ!!

バフォメット「…!?」

ケルベロス「地獄の炎…貴様とて無傷では済むまい!」

バフォメット「……ヌゥ……魔物の…汝が…」

ケルベロス「戯れ言は…無用!!」

ドドドオオォンッ!!…ズガアァァッ!!

バフォメット「……ッ!!」

強烈な二撃目の炎がバフォメットの体を直撃する。

ケルベロス「……コオオォォ」

魔獣「グルオオオォォ!!」

シュウウゥゥ……

バフォメット「………ファファファ…!」

ケルベロス「……」

バフォメット「今宵は…新月……汝も…新月では…力不足…ファファファ!」
267 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:17:49.78 ID:N5DKidAo
ケルベロス「…その人間を救えれば…それで結構」

バフォメット「…人間……人間は排除すべき者……」

ケルベロス「そうかもな」

バフォメット「……そう…そうなのだ…ファファファ!では…何故…」

ケルベロス「貴様のような者には分からんよ…!」

ケルベロスは猛スピードで突進し、バフォメットの喉元に噛み付く。

バシュッ!!……ガシュウゥッ!!

バフォメット「……無駄…無用………無効!ファファファ!」

ケルベロス「………」

ケルベロスは一匹の魔獣に目配せし、魔法剣士の元へと走らせる。

タッタッタ…タタッ…

魔獣「ハッハッハッ…!!」

グイッ

魔法剣士「……っ……ん」

意識を失っていた魔法剣士は、揺さぶられる身体に気づきゆっくりと目を開ける。
268 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:18:22.32 ID:N5DKidAo
魔法剣士「…ん……!?」

魔獣「グルルルッ…!!」

魔法剣士「……魔…物…!?」

ググッ…

魔法剣士は目の前に現れた新手の魔獣に警戒する。

しかし即座に背後の物音に気づき、後方へ振とり返る。

魔法剣士「な……なんだ!?あの魔物は…っ!!」

魔法剣士の眼前では、魔物同士が戦闘を繰り広げている。

魔法剣士「こ…これはっ…!魔物同士で…一体何が…!?」

ケルベロス「グルオオォォ!!」

バフォメット「ファファファファッ!!」

バチィッ!!…ズガアァッ!!……ドウゥンッ!!

魔法剣士「あの魔物……味方なのか…!?」

ダダッダダッダダッ…

魔獣「ガウッ!!」
269 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:18:50.74 ID:N5DKidAo
呆然と立ちつくす魔法剣士の元へ、先ほどの魔獣が駆け寄る。

ガシッ!!…ズルズルッ

魔法剣士「っ!!な…何をっ!?」

魔獣は魔法剣士の襟元に噛み付き、そのまま後方へと引きずる。

そして力任せに宙へと放り投げた。

ブンッ!!

魔法剣士「ぐ…っ!!」

ドサッ!!

魔法剣士「……っつ…!!」

そこには一際大きな魔獣が身構え、魔法剣士を背中で受け止める。

魔獣「グアオォッ!!」

魔獣は魔法剣士を背中へ乗せたまま、後方の森へと走り出した。

魔法剣士「おっおい…!!」

タタッタタッタタッ……

魔法剣士「……っつぅ!!」
270 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:19:38.27 ID:N5DKidAo
魔獣は器用に木々の間を走りぬけ、戦場より一気に遠ざかる。

魔法剣士「俺を…助けているのか…!?」

タタッ……タッタッタ…タンッ…

魔法剣士「……はっ!!眼鏡は!?」

朦朧とした意識の中で魔法剣士はようやく現状に気がつき始める。

魔法剣士「おいっ!止まってくれ!!仲間がもう一人…」

魔獣「グルオオッ!!」

魔獣はスピードを落とすどころか、更に加速し森をひた走る。

魔法剣士「たっ…頼む!もう一人…仲間…が………っ…」

タタッタタッタタッ…タタタッ…

魔法剣士は「再び意識を失い始め、魔獣の背の上で眠りについた。

………

?「父さん!!母さんっ!!……い、妹…っ!!」

?「グルオオオォォ!!」

?「みっ、みんなぁ…!!やめて!もうやめてよぉー!!」
271 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:20:15.75 ID:N5DKidAo
ドサッ…タッタッタッタッタ…

魔法剣士「…………」

カサカサカサッ…

魔法剣士「………ん…んっ」

ガバッ!!

魔法剣士「…!!」

魔法剣士は慌てて目を開け、上半身を起こす。

魔法剣士「……」

そこは先ほどと同様、森の中ではあるが、静寂に包まれ風だけが静かに音を立てている。

魔法剣士「……っ…くぅ」

ググッ…ヨロッ…

魔法剣士「あの…獣は…?」

カサカサッ…

魔法剣士「そ、それより……眼鏡…っ!!」

魔法剣士は起き上がれず、その場に倒れこんだ。
272 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:20:51.93 ID:N5DKidAo
ザクゥ!!…ブンブンッ!!…ドシュウゥゥッ!!

ケルベロス「……グウゥ!!」

バフォメット「………」

バフォメットは左手で拳を作り、ケルベロスの側部を力任せに殴りつける。

バギイイィィッ!!

ケルベロス「……ッ!!」

バフォメット「ファファファ!!」

更に右手に持つ剣を振り下ろし、噛み付くケルベロスを斬りつける。

ザシュッ!!…ザンッ!!…ザクゥッ!!

ケルベロス「……ム…グゥ…ッ!!」

バッ!!……スタッ

ケルベロス「…ハァ…ハァ……ゥゥウウ!!」

バフォメット「……我…不死身の存在…汝は及ばぬ……」

ケルベロス「……」

バフォメット「………しかし…我…人間を排除する…者也」
273 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/10(月) 18:21:43.52 ID:N5DKidAo
スゥッ…

ケルベロス「………?」

バフォメット「ファファファ!!」

ケルベロス「何処へ行くっ…!?」

バフォメット「人間に在らず者…排除は無用…ファファファ!」

ケルベロス「何だと…?」

バフォメット「……ファファ…ファファファ!」

バフォメットは不気味な笑いを残し、闇の中へと姿を消していった。

ケルベロス「………チィ!!」

タッタッタッタッタ…

魔獣「……グウウゥゥ」

ケルベロス「…そうか。奴も無事か」

シュウウゥゥ…

ケルベロス「ならば良い。今日のところは貴様の情けに甘んじてやるさ…」

ケルベロスは徐々にその姿を人間の物へと戻し始めた。
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/10(月) 18:38:34.25 ID:N5DKidAo
こんばんは!本日もご支援ありがとうございます!
追いついて頂ける方も>>247さんのような方も嬉しい限りです!
感謝感謝!!それでは、失礼致します!ノシ
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 18:58:53.55 ID:8YvG6wAO
眼鏡さん、マジパネェっす……
276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/10(月) 19:01:16.65 ID:T1IWbsU0


やっぱ獣化ってカッコいいよね
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 19:26:08.24 ID:z9v0v2DO
ぼっちで俺の仲間だと思っていた眼鏡君が…
なんだよおい!カッコイイじゃねえかよ!

自分は勝てないとわかっていながら魔法剣士を救う為に迷い無く戦えるんだな。

そして孤高の存在っぽかった魔法剣士も人間味があって気になりだしてきた!
今回は本当に豪華な面子だよな−
続き楽しみにしてるぜ!>>1乙!
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/10(月) 19:41:43.95 ID:y0Q1JNwo
今夜がが満月じゃなくて命拾いしたな
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/10(月) 19:43:33.15 ID:y0Q1JNwo
くそが
280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 20:03:06.92 ID:hAQjNYDO
アモスさん…
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 20:31:21.69 ID:hqqe/Wco
魔法剣士が眼鏡眼鏡いうからコントに感じる
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/10(月) 23:44:50.48 ID:qQQDJ6Ao
魔法剣士はもっとクールなキャラかとおもったが・・・ありだな・・・


てか天才も魔法剣士も30後半〜40か
もっと若いイメージがあったわ・・・
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 00:03:38.18 ID:7117236o
老けるというのは凡人の発想なんだぜ…天才は老けないんだよ
284 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 00:04:54.36 ID:HPdLvzwo
ウウゥゥ……

眼鏡「……服を」

タッタッタ…

魔獣より姿を戻した犬達が眼鏡の元へ集まり衣服や装飾品の替えを渡す。

眼鏡「……ありがとう」

スッ…シュルシュルッ……フラァッ…

眼鏡「くっ……!」

ポタポタポタッ……ドサッ…

眼鏡「…ふっ…くくっ…」

その場へ倒れ伏せた眼鏡は身動きの取れぬまま笑いだす。

眼鏡「滑稽なものじゃないか…人の姿で生を終えるなんて…」

タッタッタ…ペロペロ…

犬「クゥーン…クゥーン」

眼鏡「ふふっ。………!?」

眼鏡が目を瞑りかけた瞬間、森の奥より優しい音色が聞こえ始める。
285 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 00:09:37.52 ID:HPdLvzwo
眼鏡「……こ……これ…は…」

〜♪

眼鏡(この…ハープの音色…!?いや、そんな…)

ザッザッザッザッザ…

眼鏡「……!!」

音色の主はハープを手に、眼鏡の前へと姿を現した。

眼鏡「な……んで…」

詩人「懐かしい貴方の気配を感じました。なんと…おいたわしい姿…」

詩人は眼鏡の前へしゃがみこみ、再びハープを奏で始める。

………ヒュイイィィ…

眼鏡「……!?」

詩人「………」

詩人の奏でるハープは温かな光に包まれ、その光が徐々に眼鏡を包み込む。

眼鏡「……傷…が…」

その光は眼鏡の傷口を塞ぎ、傷ついた身体をゆっくりと癒し始めた。
286 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 00:13:34.04 ID:HPdLvzwo
詩人「……ふぅ」

ザッ

眼鏡「……うっ……く…」

詩人「まだ動かれない方がいい。完全には癒えておりません」

眼鏡「何故……」

詩人「何故?これは異な事を…」

眼鏡「………」

詩人「貴方の御恩、このような事で返せるとは思いませんが…」

詩人は会釈し、来た道をゆっくりと引き返し始める。

眼鏡「……ま、待て」

ザッザッザ……ピタッ

眼鏡「何故お前は……いつまでもあの地に…」

詩人「貴方とて存じておられるでしょう?」

眼鏡「しかし…!もう彼女は……」

詩人「…それでも私は…待ち続けます」

詩人は再び会釈し、森の中の闇へとその姿を消した…。
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/11(火) 00:29:53.19 ID:HPdLvzwo
ちょっとだけ更新してもう寝ますです…おやすみなさい…
魔法剣士と眼鏡ってバランスいいですね!色々出来て今後も楽しそう…

>>282
魔法剣士は30代前半かなって考えてます!32ぐらいですかね…

〜オマケ〜

皆さんは覚えているだろうか!?藤蔵に五人の皆伝者あり、と謳われたこの男を…

雷忍「カカカッ!!さぁて…行くかね!」

帝を影より御守りする、警護役を務めていた彼であったが……

帝「東方一の使い手を連れて参れ」

その一言により、今は東方一の剣の使い手を捜す旅に出ているのであった…。

シュバッ!!…タタタタタッ…

雷忍「そうは言っても……仕方ねぇ、まずは定石通り…情報収集だっ!」

彼は都にて得た、西に住まうと言われている『剣聖』と呼ばれる使い手を捜す事にした。

雷忍「剣聖……カカカッ!東方一の使い手か!」

しかし、その道中……さまざまな事件が彼を襲う!!



需要があれば番外編でやろうかなと思います…。なければ長編オマケでサッと終わりに…
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 00:38:08.34 ID:ZQs3UsDO
魔法剣士は生きていく為に10代前半からワーカーとして戦っていたんだな。
魔法剣士頑張れ!超頑張れ!
>>1も頑張れ!乙!乙!


雷の話は今の章が終わったら、番外編として見てみたいに一票!
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 00:42:12.13 ID:64NOYngo
>>288に一票
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 00:48:08.63 ID:QpvqbkDO
>>1
ケルベロスとハープ持った詩人っつたら、ギリシャ神話のあれだよな?
魔法剣士は12から魔法剣使えたんかな?実は無口って訳でもない魔法剣士にキュンと来たわ。
雷は、オマケで進行してくれ。いや、むしろ麻雀はどうなったんだっけ?
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 01:12:37.01 ID:xkRhcoAO
>>1

今回は今まで以上に長編みたいだから、リフレッシュの意味も兼ねて適度にオマケはさむってのも良いのかなぁと思う
何よりも俺は鬼が見たいwwww
でも、魔導師ちゃんが大大活躍するなら本編オンリーも大歓迎かなとか思っちゃう欲張りさんな私なのっ
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 01:55:35.90 ID:eMOxWQU0
追いついたああああああああ!
やっと言いたかった事が言える・・・
王子[ピーーー]
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 04:16:31.00 ID:lvi7sMAO
バフォメット怖過ぎワロタww
攻撃翌力1400の雑魚じゃなかったのかよ…
うっかりGoogle画像検索したら、ページ一面に異様な雰囲気の不気味な画像が大量に現れて、軽くションベンちびりそうになったww
294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 06:26:50.13 ID:e4gjjcDO
ハープ持った詩人か……エロール神を思い出すなちょっと違うけど
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/11(火) 10:24:39.01 ID:AXcgqMSO
詩人は一回パーティーに入れると中々抜けてくれないから厄介だ…………
296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 13:05:43.53 ID:2ZzBP2AO
魔法剣士の見た目はジューダスで再生するか…そこまで違和感ないし
297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 16:23:48.56 ID:AY.8HUA0
追いついた…
魔法戦士の新技が全然効かなくてカワイソス(´・ω・`)
298 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 17:46:57.71 ID:mq67keEo
〜北関北部、山中〜

魔道兵「…各員配置につきました!」

大軍師「ご苦労。それでは…お願いします」

マジシャン「……」

魔道兵「総員!結界用意っ!!」

一人の声を合図に、並び立つ魔道兵達が両手を地面へと置く。

副司令官「……始めよ」

魔道兵「はい!」

ドドドドオオォォンッ!!……キュイイィィ…

彼らの両手から発せられた光は、地中へと吸い込まれ、

それはやがて一つの線となり、光は地中から上空へと上っていく。

マジシャン「…手伝うか?」

大軍師「いえ、この程度であれば問題ないでしょう」

マジシャン「……そか」

二人は上空へキラキラと散ってゆく光を、しばし見上げた。
299 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 17:47:31.20 ID:mq67keEo
副司令官「よし、次の拠点へ移動する」

魔道兵「はっ!」

大軍師「次は個々より東へ2kmほど進みましょう」

マジシャン「伸ばしすぎじゃねーか?」

大軍師「この結界は殲滅ではなく、いわば足止めのもの」

ジャリッ

大軍師「そこまで間隔を詰めて、打ちこむ必要もありませんよ」

マジシャン「ふぅん…ならいいけど」

大軍師「結界石とて数があるわけではありませんし…」

マジシャン「そうだわな…」

大軍師「……」

マジシャン「……あのさぁ」

大軍師「…存じております。先程、閃光弾を放った時…」

マジシャン「ああ。いくらなんでも数が少なすぎる」

大軍師「確か…位置としてはこの少し先…」
300 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 17:48:11.79 ID:mq67keEo
大軍師は後ろを振り向き、来た道を目測する。

マジシャン「ちと、見てみるか…」

副司令官「どうした…?」

大軍師「…この先を探って参ります」

副司令官「……そ、そうか。気をつけてな」

マジシャンと大軍師は馬に跨り、森の中を疾走する。

パカラッパカラッ…ドドォ…

大軍師「この辺りですね」

マジシャン「気配は……既にねぇな」

マジシャンは馬より飛び降り、周囲をぐるりと見渡す。

大軍師も後に続き、足を付けた地面を見つめる。

大軍師「足跡からして…小型の魔物がおおよそ300……」

マジシャン「フンババだけじゃねぇって事だ。しかしコイツら何処へ…」

マジシャンはふと、己の足元を見つめはっと気付く。

マジシャン「……人の…足跡!?」
301 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 17:48:42.44 ID:mq67keEo
思わず自分の足を裏へ向け、靴底を確認する。

自分の物、そして同行した大軍師の物でもないその足跡。

隠すわけでもなく、まるで付いて来いと言わんばかりに

伸びるそれは、森の中を南方面へと続く。

マジシャン「罠か…?なんだってんだ」

大軍師「南……」

マジシャン「南……南!?」

大軍師「………」

マジシャン「おい…っ、まさか!?」

大軍師「南…すなわち……北関…」

大軍師は眉間にしわを寄せ、手にした羽扇を強く握り締める。

マジシャン「…ちぃっ!!」

ダッ!!

大軍師「間に合いませんぞ!」

マジシャン「そういう問題じゃねーだろ!」
302 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 17:49:18.41 ID:mq67keEo
大軍師「それに…地上からの侵攻であれば、関の周辺には結界が…」

マジシャンは黙って足跡を指差す。

マジシャン「なぁ…。これがもし人間の物だったとしたら…どうする?」

大軍師「人間…?それは……はっ!?」

大軍師は顔を上げ、マジシャンを見る。

マジシャン「まさか…っ!……あの野郎!!」

ダダッ!!…グイッ…パッカパッカ…

大軍師「今から飛ばしても30分…いや、もっとっ…」

マジシャン「やるだけの事はやる!お前らは任務を継続しろ!」

大軍師「お、お気をつけて!!」

マジシャンは振り向かず、ただひたすら馬を飛ばし、山を駆け上がる。

パカラッパカラッパカラッ…

大軍師「失策…?いや違う…。何か違和感が……」

テクテクテク…ピタッ

大軍師はふと夜空を仰ぎ、ゆっくりと己の馬へと足を進めた。
303 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 17:49:52.36 ID:mq67keEo
〜北関〜

イヌ「ふんっ!!」

キジ「そりゃあ!!」

バキィッ!!…ドシャアァァッ!!

女侍「いくら弱いったって…こりゃキリがないね!」

サル「弱いかぁ!?十分…強いっての!!」

シュンッ!!…ザクゥ!!

天才「………」

サル「おいおい兄さん!ボケ〜ッとサボってんじゃねぇ」

天才はツバイハンダーを振り下ろし、関の北門をじっと見つめる。

女侍「……!?」

その時、背後のドアが突如開き、一人の女性が飛び出す。

ガチャッ!!……バッ

占い師「っ!!」

天才「!?……出てくんじゃねぇ!!まだ戦闘中だ!」
304 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 17:50:59.61 ID:mq67keEo
天才の怒声が周囲に響き渡る。

国軍兵「占い師様、ここは危険です!早く建物内へ…!」

占い師「で、でもっ…!」

天才「でももクソもあるかっ!お前は立場をわきまえろ!」

占い師「っ!!」

ビュオオォォッ!!

天才「!?」

北門の外より関内へ迫り来る衝撃に、天才は咄嗟に大剣でそれを弾く。

天才「ちっ…!剣圧か…!?」

ビュオッ!!……ギキイイィィンッ!!

天才「……ここは任せたぞっ!」

ダンッ!!

サル「あっ、おい!?」

女侍「新手…?まぁいい、こっちはこっちで踏ん張るよ!」

キジ「あいあいさー!!」
305 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 17:51:41.86 ID:mq67keEo
タタタッ……シュンッ!!…スタッ

天才「………」

天才は北門のすぐ外へ立ち、向かい来る気配へ意識を研ぎ澄ます。

ザッザッザッザッザ…

天才「………人間…?」

ザッザッザ…

天才「……ああ、何だ。…てめぇか」

ザッ

黒い甲冑に身を包み、ツヴァイハンダーを手にした男がゆっくりと近づく。

魔剣士「………」

天才「…いい剣持ってんじゃねぇか」

魔剣士「通して…貰えないだろうか…」

天才「……はーっはっはっは!!」

魔剣士「………」

天才「…死ね!」
306 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 18:09:10.74 ID:mq67keEo
天才は大剣を大きく振りかぶり、一気に魔剣士へと叩きつける。

ブンッ!!……ドドオオォォンッ!!

天才「っらぁ!!」

魔剣士「!?」

空中へと避けた魔剣士へ、天才の二撃目が振り上げられる。

鋭い残撃は魔剣士の持つツヴァイハンダーにより防がれ、

両者のツヴァイハンダーが空中で交差する。

魔剣士「……っ」

天才「……く…っ」

ババッ!!……スタッ

魔剣士「………」

天才「なんつぅ顔ししてやがんだよ…!」

天才は右手を突き出し、瞬時に突風を巻き起こす。

ドドドオオォォンッ!!…ゴオオォォッ!!

魔剣士「……くっ…!!」
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 18:09:49.89 ID:e4gjjcDO
魔剣士相手じゃ天才でさえかませになりそうだ
308 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 18:10:07.69 ID:mq67keEo
ゴオオォォッ!!

天才「ここは人が多すぎる!二人っきりでデートしようや!」

天才は後方へ吹き飛ぶ魔剣士を追い、大きく飛び上がる。

ブオォッ!!…バキッ……ドシャアァッ

魔剣士「………」

魔剣士は突風により吹き飛ばされた身体を、ゆっくりと起こす。

上半身を起こした時、上空に光る刀身に気付き、背後へ素早く飛ぶ。

ヒュンッ!!……ズガァ!!

天才「…さーて、ダンスタイムといこうかね」

魔剣士「……」

ジャキッ…ススッ…

天才「はぁ!!」

魔道士「っ!!」

ズガアァ!!…ブンッ!!…キィンッ…ガキィ!!…ヒュオッ…

二本のツヴァイハンダーが目まぐるしく動き回り、それはつむじ風の様である。
309 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 18:11:19.56 ID:mq67keEo


サル「一人抜けた分…手ぇ抜けなくなっちまったなぁ〜」

イヌ「手を抜いてたね?」

サル「ジョーダンに決まってんだろっ!」

サルは両手のナイフを素早く、迫るヴァンパイアへと投げ飛ばす。

サル「あーの野郎、まさか逃げたんじゃ……」

女侍「そんなわけないだろ、ほらっ…右から来てるよ」

サル「うげっ!こんにゃろっ!!」

キジ「ボスッ!残念なお知らせさー!」

キジは正面の北門を指差し、叫ぶ。

女侍「ありゃりゃ…。いくらアタシだって、こんなには相手出来ないよ〜ふふっ」

サル「楽しそうだな…」

女侍「ああ…!ゾクゾクしちゃうねぇ!!」

門外から迫り来る魔物の群れに目を向け、

刀を鞘に納めた女侍は、意味深な笑みで北門へと歩き始めた。
310 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 18:11:54.34 ID:mq67keEo
〜北方司令部〜

ズズウウゥゥ……

オーガ「一撃…!?たった一撃で!」

バーテン「…さて、次」

バーテンはバリスタの切れた縄を再び付け直し、巨大な矢を手に取る。

バーテン「もっと…自動でポーンといきゃ良いんだがな…っと」

ガチャッ…カチカチカチ…

バーテン「ようし…おい!次いくぞ!」

騎士長「おうっ!てかそれ撃ち終わったら中へ入れ!」

バーテン「……中、ねぇ」

バーテンは司令部のそびえ立つ城壁と塔を見上げ、一つ息を吐く。

騎士長「左から近づいてるぞ!寄せ付けるな!」

北方兵「は、はいっ!!」

城壁上の兵が一斉に弓を放つ。手つきはあまり慣れた様子がなく、

中には慌てふためくあまり、弓ごと地へ落としてしまう兵もいる。
311 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 18:12:20.50 ID:mq67keEo
バーテン「ったく…。兵の教育はどうなってやがんだ」

騎士長「こっちが聞きてぇよ…!」

バーテン「ま、自分の事だけ専念させてもらうさ…」

ギリギリギリッ……バシュッ!!

騎士長「魔道兵!バリスタが飛んだぞ!!」

魔道兵「撃てぇ!!」

ドドオオォォンッ!!……ギキイイィィ!!

オーガ「うわ…ぁ!!グブ…ッ!!」

三度放たれた巨大な氷の矢は、またもオーガの身体を貫き、森へと着弾する。

ドズウウゥンッ!!

騎士長「よしっ命中!!早く司令部内へっ!!」

バーテン「はいはい…」

バーテンはバリスタを引き、司令部の門へと歩く。

テクテクテク…

バーテン「……んっ!?」
312 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 18:12:46.56 ID:mq67keEo
ふと見上げた上空にそびえる塔。その屋根に人影を見つける。

バーテン「何だ!?おいっ、上に何かいるぞ!!」

騎士長「!?」

騎士長は慌てて塔を見上げるが、既に影はなく、闇がただ広がっている。

騎士長「……?」

バーテン「くそっ見失った!用心しろっ!何かいるのは確かだ!」

騎士長「弓隊!歩兵とともに司令部内の警備を強化せよ!」

北方兵「はは!!」

数名の兵が急ぎ城壁を降り、司令部塔の方向へと駆ける。

バーテン「……」

バーテンはもう一度塔を見上げ、そのまま司令部内へと足を運んだ。

ヒュウウゥゥ……ストッ

塔より先にある建物の屋根、そこに一つの影が再び姿を見せる。

その影は徐々に形を成し、黒いローブが風に揺れ、ひらひらと靡く。

ネクロマンサー「くくっ…。いやはや…気付かれてしまいましたかねぇ」
313 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 18:25:58.58 ID:nEFdEADO
>>1乙!
その文書力濡れるぜ
リアルタイムしえーん
314 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/11(火) 18:26:15.01 ID:mq67keEo
こんばんは!本日もご支援感謝でございます!

>>288>>289
ご意見ありがとうございます!

>>290
麻雀は無駄に長くなりすぎてしまいました…
折角あぷろだ作って頂いたので、そのうちまとめて…

>>291
ありがとうございます!鬼…出なかったらすみません…

>>292>>297
ありがとうございます!嬉しい限りですね!
ななばつ様からですかね?いやはや感謝!

>>293
画像は確かに怖かったですw深夜は避けた方がいいですね!

>>294>>295
このシリーズ好きです!

>>296
検索してみたらイケメンでしたwこれもアリですね!

それでは失礼致します!ノシ
315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/11(火) 18:29:22.19 ID:mq67keEo
貼り忘れてた…orz
あぷろだ作って頂きました!駄作地図もあります…
ttp://ux.getuploader.com/cockatrice/

>>313
ありがとうございます!今回の部はちょっと地の文増やしてます!

また後ほど現れます!それでは!ノシ
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 19:47:11.15 ID:tNWpZYDO
VIPにスレが立ってから連日更新し続け、もう半年以上か……
すげぇなぁ>>1さん……

いつも楽しく読ませて頂いてるが本当に無理はしないでくれよwwww
これまでにもスレ住人が沢山言っていると思うがwwww
317 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 19:56:15.66 ID:xkRhcoAO
鬼も良いけど、カレーもね!
318 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 20:21:22.03 ID:t2qQc6AO
なんつーかこの人の凄いところは毎日働きながら書いてんだよなwwww
週数回のバイトレベルなら分かるが毎日でこの面白さだもんな。富樫は少し見習えよwwww
休み休みでいいからこち亀ばりに書き続けて欲しい!
319 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/11(火) 21:04:39.87 ID:.w3OXt20
天才対魔剣士とか熱すぎるぞ!
脇役がしっかり活躍出来る物語は面白い!
320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/11(火) 23:59:25.50 ID:HPdLvzwo
〜海峡、北の森付近〜

盗賊「……うん、気配はない」

魔道士「結構進みましたねっ」

召喚士「ええ。ちょっと本隊と離れすぎましたかね…?」

戦士「いいんじゃねーか?どうせ戦うのは俺らなんだし…」

魔道士「それはそうですけど……」

召喚士「あまり離れ過ぎて分断しちゃうと厄介かな」

盗賊「……まぁ」

戦士「っつってもこっちは森でこっちは崖…」

魔道士「遅いですね…皆さん…」

魔道士は森を見つめ、溜息をつく。

召喚士「ええ…」

戦士「ここいらで待機して、みんなを待つかね」

盗賊「…ああ。後続も…」

ドスッ
321 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 00:09:53.74 ID:vM5kyUAO
師匠「実は俺でした〜」

一同「な〜んだ、師匠だったのか〜」

ドッ
322 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 00:14:39.87 ID:qSM79Iko
盗賊「……え…っ」

盗賊はうつむき、己の腹部を見る。

背後から貫かれたはりのようなそれから、赤い血が滴り落ちる。

盗賊「なっ…!?け…気配なん…て…」

戦士「!!」

魔道士「きゃああぁぁ!!」

召喚士「行けっ!ユニコーン!!」

シュイィィン

召喚士が咄嗟にユニコーンを召喚し、盗賊の元へと走らせる。

戦士「盗賊ーっ!!」

伸ばした針のような尖端を抜き取り、ゆっくりと魔物は近づく。

ザッザッザ…

盗賊「……う…っ!」

ドサァ…

伯爵「ほう…生きているか。これはなかなか…」
323 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 00:23:07.46 ID:qSM79Iko
戦士「うああぁぁっ!!」

ダンッ!!…シュバッ!!

召喚士「戦士っ!」

伯爵「おぉっと…!」

戦士は大斧を振りかぶり、勢いよく伯爵へと叩きつける。

ブオッ!!……ヒュンッ……ドゴオォォッ!!

伯爵「…勇ましい事だ」

伯爵は後方へ飛びかわし、不敵な笑みを浮かべる。

召喚士「はあっ!!」

ゴウッ!!

伯爵「むっ…!?」

召喚士も後に続き、レイピアによる風で伯爵を後方へ退かせる。

召喚士「今のうちにっ!」

ユニコーン「お姉ちゃん!大丈夫!?」

盗賊「……っぁ…う……!」
324 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 00:28:39.80 ID:qSM79Iko
ヒュイイイィィン…

ユニコーンの角から発せられる光が盗賊を包み込む。

盗賊「……うぅっ」

ユニコーン「これなら…大丈夫そうだ!」

戦士「てめぇ…!何だってんだ!!」

伯爵「何だ、か…。その疑問にはどう答えれば良いものか…」

伯爵は顎に手をやり、物思いにふける。

召喚士「………」

伯爵「私は魔道士「」族であり、君達の敵。つまり殺す…」

魔道士「……っ!」

伯爵「そういう事で如何だろうか…?」

伯爵は両腕を組み、一歩前へ近づく。

召喚士「戦士……!」

戦士「分かってる!……こいつは異常だ。普通の魔物とは違う」

戦士は額から流れる汗を左手で拭った。
325 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 00:46:34.98 ID:qSM79Iko
ヒュイイイィィン…

ユニコーンの角から発せられる光が盗賊を包み込む。

盗賊「……うぅっ」

ユニコーン「これなら…大丈夫そうだ!」

戦士「てめぇ…!何だってんだ!!」

伯爵「何だ、か…。その疑問にはどう答えれば良いものか…」

伯爵は顎に手をやり、物思いにふける。

召喚士「………」

伯爵「私は魔族であり、君達の敵。つまり殺す…」

魔道士「……っ!」

伯爵「そういう事で如何だろうか…?」

伯爵は両腕を組み、一歩前へ近づく。

召喚士「戦士……!」

戦士「分かってる!……こいつは異常だ。普通の魔物とは違う」

戦士は額から流れる汗を左手で拭った。
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/12(水) 00:47:40.41 ID:qSM79Iko
>>324をあぼーんして頂けると大変ありがたく思います…
ダメだ…寝ます!おやすみなさい!ノシ
327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 00:53:43.82 ID:lACdOEAO
>>1
俺は寧ろゴルリン藤蔵などのミラクルが出てきたりするから誤字が好きになっきちゃっている

召還士もタイプミスだったんだよきっと…
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 01:09:45.37 ID:lcNtKmMo
魔剣士が一度だけ魔道士ちゃんにクラスチェンジしちゃってるのもタイプミスさ!

ボスクラスの敵がじゃんじゃん出てきて、まさに総力戦な感じで燃えるぜ!
次回も楽しみにしてます!
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 06:32:01.78 ID:y1CGfoDO
盗賊が……こういうシーンは何度見ても慣れないな……
330 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/12(水) 08:04:39.05 ID:eIr5QHk0
魔法戦士とか戦士は常に武器に魔法を留めて戦ってるんだよな
戦士はまだしも魔法戦士はものすごい魔力もってそうだ
331 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 08:10:34.61 ID:Lg6QMUAO
やべっ……伯爵が誰なのか思い出せねぇ…
332 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 10:10:08.71 ID:tVao5kco
最近は”伯爵”じゃイメージ浮かばないのか
333 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 14:03:43.28 ID:i45OBYAO
おかえり伯爵
334 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 14:53:21.23 ID:EvAIbYAO
デモンクレイドルッ
335 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 14:56:17.44 ID:AGAmSYDO
ただいま伯爵
336 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:40:39.04 ID:qmewKiso
ザッザッ…

伯爵「さぁ、分かって頂けたかな?至ってシンプルな話だよ」

召喚士「…くっ!」

ザッザッ…

伯爵「何も、死を恐れる事はないよ」

戦士「あぁ!?」

召喚士「……」

伯爵「君らも得たいとは思わないか?」

魔道士「……っ」

伯爵「死の先にある不死…というものを…」

戦士「何をゴチャゴチャと……」

伯爵「君、召喚士だね。君からにしようか…」

召喚士「!?」

伯爵「どうも召喚士という輩は好きになれなくてね…」

伯爵は足を更に進め、召喚士の元へとゆっくり近づき始める。
337 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:41:14.08 ID:qmewKiso
ザッザッザ…ピタッ

伯爵「パズズにしろサタン様にしろ、召喚士に手痛くやられたし…」

スゥッ…

伯爵「何より私自身…いや、まあ良い…」

召喚士「行けっ!コカ……」

伯爵「ふんっ!」

伯爵は召喚士へ向けた右手より黒い雷を放出する。

ドドオオォォンッ!!…ズガアアァァッ!!

召喚士「ぐあぁーっ!!」

電撃は召喚士の右肩を襲い、そのまま後方へ弾き飛ばされる。

ズシャアァァ…ドッ!!

召喚士「う…っ…ぐぐっ…!!」

魔道士「召喚士さんっ!!」

伯爵「……悪あがきを」

伯爵は右腕に絡みついた鎖を振り払い、すぐさま鎖の主に目をやる。
338 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:42:04.83 ID:qmewKiso
盗賊「はぁ…はぁっ…はぁっ……」

伯爵「それに……」

ブオッ!!…ヒュンッ!!

戦士「うおらぁっ!!」

伯爵は後方より迫り来る大斧の残撃を左腕で受け止める。

…はずであったが、己の左腕が動かない事に気付き、残撃を背中に食らう。

ドッ!!……ザシュウゥッ!!

戦士「……ふーっ」

召喚士「はっ……は…っ」

起き上がろうとする召喚士に、魔道士が肩を貸す。

四人は倒れる寸前、上空に飛び上がった伯爵を見上げた。

伯爵「…まさか…召喚前に仕掛けたはずだが…!?」

コカトリス「………」

伯爵は石化した左腕から、目の前に羽ばたくコカトリスへと目を移す。

伯爵「そうか、既に召喚したにも関わらず、フェイクで詠唱したわけか」
339 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:43:18.60 ID:qmewKiso
召喚士「……はぁ……はっ…はぁ…」

魔道士「大丈夫ですか!?」

召喚士「ええ!直撃ではないです。ありがとう盗賊さん…っ」

召喚士は盗賊に目をやり、盗賊はそれに頷いて返す。

伯爵「しかも背への一撃。そうか、結界石を施しているのか…」

コカトリス「恐るべき洞察力だな。……感服するぞ」

伯爵「それはどうも。だが、此方は如何せん怒りに満ちている」

バッ!!

伯爵「素直には受け取れぬな!」

ドドオオォォンッ!!

コカトリス「ぐぅ…っ!!」

召喚士「コ…コカトリスっ!!」

コカトリス「問題ない…!羽を掠めただけだ」

コカトリスは電撃を間一髪かわし、再び羽を大きく広げる。

伯爵「……ふん」
340 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:44:06.74 ID:qmewKiso
ヒュッ…ストッ

伯爵「背の傷から魔力が漏れ出している…。全く手間を掛けさせる…」

戦士「盗賊!立てるか!?」

盗賊「…う、うん!」

盗賊が起き上がり、同時に役目を終えたユニコーンが姿を消す。

召喚士「魔道士さん…」

魔道士「はいっ!」

召喚士「増幅しつつ、状況をみて援護を…っ」

魔道士「……はい!」

伯爵「召喚獣なぞ放っておけば良い。召喚主自体を殺す」

伯爵は自分へ語りかけるように呟き、降ろした右手を開く。

ザッ…ジャリッ…

盗賊「……」

戦士「………」

戦士は大斧を地面へ突き刺し、雷切を抜き、鞘を後方へ放る。
341 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:44:36.08 ID:qmewKiso
伯爵「………」

コカトリス「……」

伯爵の頭上にコカトリスが、更に周囲を四人が囲み、

互いの隙を窺うように、しばし沈黙が流れる。

魔道士「……」

召喚士「………」

ガサッ!!

伯爵「っ!?」

左の森から発せられる突然の物音に伯爵が目線を向ける。

その瞬間、反対側より盗賊がクナイを4本投げ飛ばした。

シュシュシュンッ…シュバッ!!

召喚士「行けっ!シービショップ!!」

召喚士は後方に飛ぶと同時に、自分の背後へシービショップを召喚する。

盗賊「!?」

ドスドスドスッ!!
342 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:45:06.56 ID:qmewKiso
伯爵「この程度のもの…避けて隙を作るとでも…?」

タンッ!!

戦士「思ってねぇよ!!」

クナイを右半身に浴びながら、攻撃態勢に移る伯爵を、

頭上から戦士の奮う雷切が捉える。

伯爵「…ちっ」

ザシュウゥッ!!……ガカアアァァッ!!

戦士「……っ!?」

ジッ…ジジジッ……

伯爵「雷…この程度の魔力が通用するものか!」

伯爵はその身に刀身を受けながら、右手より黒い電撃を発する。

ドドオオォォンッ!!…ガカアアァァッ!!

盗賊「戦士っ!」

ドシャアァッ……クルッ…スタッ

戦士「も、問題ねぇ…!少し感電しただけだ…!!」
343 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:45:47.90 ID:qmewKiso
伯爵「咄嗟に剣を手離し、避雷針代わりにしたか。面白い」

伯爵は肩より深く突き刺さる雷切りを、抜き取ろうと右手で掴む。

だが、己の頭上より迫る影に気付き、その動作を止め、左へ身をかわす。

ドドオオォォッン!!…ゴオオォォッ!!

コカトリス「……ちっ」

伯爵「厄介だな。石化は……むっ!?」

魔道士「やあぁっ!!」

ドドオオォォンッ!!……ギキイイィィンッ!!

伯爵「っ!!」

魔道士の杖から発せられる氷が、伯爵の全身を凍りつかせる。

巨大な氷塊を成すその光景を確認し、戦士は右方へ飛び、大斧を拾い上げる。

伯爵「………ぬぅん!」

バキャアアァァッ!!

伯爵「雷が効かぬとてこの程度の氷で…」

戦士「っりゃあ!!」
344 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:46:28.60 ID:qmewKiso
伯爵「氷も足止めかっ!?」

戦士は再び伯爵の頭上より襲い掛かる。

大斧の強烈な一撃を、伯爵は右手を差し出し、受け止める素振りを見せる。

ビュオォッ!!…ジャラッ!!

伯爵「くっ!!」

盗賊「……これでっ!」

盗賊が放った鎖が、伯爵の右手を再び封じ、大斧はそのまま伯爵を捉えた。

ズガアァッ!!……バキャアアァァッ!!

斧の一撃はその身を捻った伯爵の左腕に当たり、石化した左腕は粉々に砕け散る。

しかし。それをものともせず、魔物は右腕より炎を放つ。

伯爵「小賢しい…!」

戦士「!?」

ドドドオオォォンッ!!

上空に位置する戦士は避けきれず、両腕で顔を覆い、防御の体勢を取るが、

赤黒く燃える炎は、戦士の目の前に現れた土壁により、放出を遮られる。
345 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:46:55.78 ID:qmewKiso
魔道士「……くぅ…っ!」

伯爵「バカな…っ!?」

戦士「ナイスだ!魔道士!!」

バゴオォッ!!……ザシュッ!!

砕け散る土壁がカモフラージュとなり、戦士は右側面より大斧で攻撃し、

その一撃が伯爵の右肩を斬りつける。

戦士「召喚士!!」

戦士は着地と同時に両足を伯爵めがけ蹴り出し、刺さった雷切りを反動で抜き取る。

後転で着地する戦士と同時に、伯爵も後方へよろけながら体勢を崩す。

召喚士「ああ!…スキュラ!!」

スキュラ「食らえぃ!!」

ドオォォンッ!!……ズドオオォォッ!!

先程は物音のみであった森の中より、スキュラが姿を現し、

背を仰け反らせ、バランスを崩す伯爵の背後を、強烈な水圧の一撃が捉える。

ズシャアアァァッ………ババッ…ストッ
346 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:47:45.20 ID:qmewKiso
勢い余り、前方へ叩きつけられた伯爵が即座に飛び起き、距離を置く。

伯爵「………ふん」

パンパンッ…スゥッ…

伯爵「いや…二度も斬り付けられたのは初めてだぞ。これはなかなか…」

伯爵は己の衣服を右手で払い、ぐるりと首を回す。

召喚士「ありがとう。シービショップ」

シービショップ「ほっほっ…」

シュイィィンッ…

召喚士「ふー…」

魔道士「召喚士さんっ、平気ですか!?」

召喚士「ええ。お陰様で傷は……」

召喚士は肩をさすり、笑顔で魔道士へ返す。

戦士「これだけかましても…流石に一筋縄じゃいかねーな…」

コカトリス「……」

盗賊「………ああ」
347 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:48:36.55 ID:qmewKiso
伯爵「余計な魔力を使わせてくれるものだ…」

伯爵は左肩を見つめ、失われた左腕に溜息を漏らす。

伯爵「……ぬぅ…ん!!」

シュイイィィン……ズズズズ…

召喚士「やはり…アンデッドか…」

伯爵「アンデッド…。もう少し崇高な言葉を選んで貰いたいものだ」

盗賊「……」

伯爵「例えば…不死、とか…永遠の命、とか」

再生した左腕をぐるぐると回し、その腕を右手で撫でると、衣服が再び腕を包む。

伯爵「君らも興味はないかな…?永遠の命、というものに」

召喚士「…ない」

伯爵「そうか。それは残念…」

召喚士「永遠の命なんてものは…存在しない…」

伯爵「それはそうかもしれんな。我らとて日の光を浴びれば消滅してしまう」

召喚士「……命あるものは、いつか終わるんだ!」
348 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:49:31.38 ID:qmewKiso
伯爵「興味深いな。その、何でも知っているような思考…」

召喚士「………」

伯爵「この先、そのような存在に出会ったら…君はどのような顔をする事やら…」

召喚士「……」

戦士「召喚士、耳を貸す必要はねーぞ!」

召喚士「……分かってる」

伯爵「つくづく人間は面白い生き物だね。君のような考えの持ち主もいれば…」

魔道士「……」

伯爵「我に跪き、自ずから永遠の命を求める輩もいる…」

召喚士「…!?」

伯爵「ほら、何と言ったかな…。西の…西高原国だったか」

盗賊「!?」

魔道士「西…高原国…!?」

伯爵「既に滅んでしまったようだが…ふっふ、かの地はなかなか楽しめたぞ」

戦士「ま……まさか、てめぇが…」
349 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:50:20.32 ID:qmewKiso
伯爵「勘違いするな。願いを聞き入れたまでだ」

召喚士「………そんな…」

伯爵「一国の主となる者がわざわざ国を差し出し…永遠の命を欲す。ふっふ…」

召喚士「そんな……そんなっ!」

伯爵「自分を慕う民を、魔族に差し出し生贄とし……」

召喚士「そ…・・・んな・・・っ事…!!」

伯爵「しかしそれが人間の本質ではないのかね?…ん?」

召喚士「そんな事あるわけっ!貴様ああぁぁーっ!!」

戦士「召喚士っ!!」

魔道士「召喚士さん!!」

伯爵「ほう…っ!つくづく面白い男だな…!!」

一歩二歩と足を進める召喚士を見つめ、伯爵は笑みを浮かべる。

伯爵「怒りに身を任せ……魔力が増幅するとは」

召喚士「コカトリスッ!!」

コカトリス「…ああ!」
350 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:51:41.84 ID:qmewKiso
バサァッ!!……キュイイィィ…

伯爵「石化だけは厄介だ。悪いが…」

ドウンッ!!

大きく口を開け、吐息を仕掛けようとする召喚獣のはるか高くへ、

伯爵は跳躍し、その攻撃を回避するよう飛び回る。

コカトリス「かあぁっ!!」

伯爵「上空へは精度も低かろう…!」

ゴアオオォォッ!!…ビュオオォォ…

コカトリスの放つ石化の息は、空しくも伯爵の横を通過し、空へと消える。

伯爵「かわしたが…次っ」

すかさず伯爵は、地上にて身構えるスキュラの姿を確認する。

スキュラ「はあっ!」

ドドオオォォンッ!!

伯爵「両手ならこの程度の水…ふっふ」

スキュラの放った水流を、伯爵は両手より発した炎で相殺する。
351 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:52:33.37 ID:qmewKiso
ドドオオォォンッ!!…バシュウウゥゥッ!!

辺り一面には大量の水蒸気が覆い、視界を遮る。

伯爵「………」

伯爵は素早く地上へ降り、一気に召喚士の元へと走り寄る。

伯爵「……食らうがいい」

キュイイィィン………ドッゴオオォォンッ!!

伯爵「なっ……!?」

両手より雷を起こし、放つ寸前、伯爵の身体が何者かにより大きく弾き飛ばされる。

伯爵「ぐっ…!」

召喚士「もう一撃いぃ!!」

スフィンクス「くらえーっ!!」

ドゴオオォォッ!!

伯爵「くあ…っ!何だ…これは!?」

ドッ!!…ドドッ!!…ズシャアァッ!!

濃霧のような水蒸気の中、伯爵の身体は崖へと激しく吹き飛ばされた。
352 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:53:33.93 ID:qmewKiso
召喚士「はぁっ……はぁっ…!!はぁっ!!」

盗賊「し、召喚士…!?」

戦士「一人で無茶しすぎだ!落ち着けっ」

召喚士は右手で額の汗を拭い、一つ大きく息をつく。

魔道士「召喚士……さん…」

召喚士「まだだ…。まだ、終わりじゃない…」

盗賊「…ああ」

戦士「今のうちに態勢…整え直すぜ」

盗賊と戦士は刀を一振りし、両手でしっかりと握り直す。

召喚士「補助をお願い…します」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「………」

前方に身構える戦士と盗賊。その背後に召喚士と魔道士。

コカトリス、スキュラ、そしてスフィンクスが周囲を固めるように立ちはだかっている。

彼らの身体を、空からの雨粒がポツポツと濡らし始めた。
353 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:54:28.63 ID:qmewKiso
〜北方司令部、山間部〜

参謀「……雨、か」

タッタッタッタッタ…

北方女兵「参謀様、北側の結界終了致しました!」

北方兵「南側、もうまもなくにて完了の予定!」

参謀「ご苦労様です。…雨が降ってきましたね」

北方女兵「ええ…」

参謀「水が溜まると馬の足を取られます。早めに切上げましょう」

〜北関北部、山中〜

魔道兵「…これにて、完了です!」

大軍師「ご苦労様でした」

副司令官「何はともあれ…ようやく終わったな」

大軍師「ええ…」

副司令官「しかし、あれっきり魔物は現れんな…」

大軍師は無言で雨の降る空、そしてその先に見える山頂を見上げた。
354 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:55:08.75 ID:qmewKiso
〜北関北部、山頂〜

パカラッパカラッパカラッ…

マジシャン「くっそぉ…雨まで降ってきやがったか!」

まもなく山頂に差し掛かり、雨は更に強さを増し始める。

マジシャン「さーて……」

マジシャンは馬から降り、山頂より北関を見つめる。

マジシャン「……はぁ」

テクテクテク…

マジシャン「前ん時は…左腕骨折だっけかなぁ…」

テクテクテク…

マジシャンは溜息交じりに左腕を撫でる。

テクテク…ピタッ

マジシャン「ぜってぇ大金ふんだくってやる…くそっ!」

クルッ……タッタッタッタッタ…ダンッ!!

そして距離を取り、助走をつけて山頂より飛び降りた。
355 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:55:43.72 ID:qmewKiso
ビュオオォォッ……

マジシャンの眼前に岩山が迫る。

マジシャン「はあぁ……っりゃああぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォッ!!

岩山めがけ突き出した両手より、激しい突風が巻き起こり、

衝突直前に再び、マジシャンの身体は宙へと浮き上がる。

マジシャン「……っならあぁ!次ぃー!!」

繰り返し両手より風を巻き起こし、浮上と降下を繰り返す。

その身体は猛スピードで落下し、一気に北関へと迫る。

マジシャン「…っく…!!」

ビュオォォッ!!…ゴオオォォッ!!

マジシャン「ラ……ラストオォー!!」

ドドドドオオォォンッ!!…ゴアオオオォォッ!!

叫びとともに、更に巨大な突風を起こし、森の木々へ放たれる。

マジシャンの身体はバネのように、北関の上空へと飛び上がった。
356 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:57:13.92 ID:qmewKiso
〜北関〜

コボルト「ケケケッ!!」

ゴブリン「聞いた通り、随分手薄だな!」

北門より魔物達が続々と近づき始める。

キジ「ボスッ!!」

女侍「分かってる!………一撃でいくよっ!」

女侍は北門の前へ立ち、魔物達を睨みつける。

占い師「あんな数…どうやってっ!?」

国軍兵「そ、それより結界があるハズなのに…何故!?」

女侍「サルッ!キジッ!イヌッ!」

サル「へいへい…」

キジ「アイサー!!」

イヌ「任せるね!」

ゴブリン「……は?」

女侍「奥義………『雷神』!!」
357 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:58:15.53 ID:qmewKiso
ススッ…ジャリッ

女侍は目を瞑り、左腰に携えた刀の柄に右手をかける。

女侍「……」

コボルト「なんだぁ?…構わねぇ!!ブッ殺しちまいなぁ!」

サル「アンタらももうちっと頭使いなよなぁ〜んふふふっ!」

サルは一直線に迫る魔物の群れめがけ、複数の閃光弾を放り投げる。

チッ!!……ガカアアァァッ!!…カアァッ!!

ゴブリン「うおぉ!?目潰しか!!」

占い師「なっ、何…っ!?」

イヌ「ふんがああぁぁっ!!」

イヌは雄叫びをあげ、地面へ両拳を叩きつける。

ドドズウウゥンッ!!…ボコボコオォッ!!…ビキィッ!!

コボルト「う…うおぉ…っ!!」

地面は激しく隆起し、左右二手から魔物の群れを壁のように閉じ込める。

更には左右が上空で一つに繋がり、空洞のトンネル状を成した。
358 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:58:51.10 ID:qmewKiso
ゴブリン「くそぉ!!暗くて目が・・・っ!!」

コボルト「何が起きて……」

女侍は目を見開き、そのままトンネルの中へと勢いよく飛んだ。

女侍「はあぁ…・・・っりゃあ!!」

キジ「ほいさあぁ!!」

勇ましく突撃する女侍の背後から、キジが巨大な雷を放つ。

女侍は抜刀すると、その刀身に雷を受け、再び地面を一度蹴る。

タンッ………シャキイィンッ!!…シュバアアァァッ!!

トンネル内を一挙に斬り抜け、北門の外へ飛び出す女侍。

腰を上げ姿勢を正した瞬間、背後のトンネル内が激しく光りだす。

カアァァッ!!……ドドオオォオンッ!!…ズガアアァァッ!!

ゴブリン「ギャアアァァッ!!」

コボルト「……ッ!!」

トンネル内には雷が生き物のように動き回り、魔物の群れを悉く感電させる。

激しい雷鳴とともに魔物達の身体が衝撃で飛び跳ね回っている。
359 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 17:59:36.77 ID:qmewKiso
サル「うぇ…っ、相変わらず怖えぇ技だこと…」

占い師「ーっ!!」

ドドオオォォンッ…シュウウゥゥ…ゥゥ…

キジ「はぁ…はぁ…っ、一丁上がりさ…!」

イヌ「疲れるから…これキライね…」

女侍は刀を一度振り下ろし、腰の鞘に納め振り返る。

女侍「……んふふっ!絶頂絶頂…!!」

身体をゾクゾクと震わせ、再び北関内へと足を進めるが、上空の何かに気付く。

女侍「……ん!?」

ヒュオオオォォォ…………ガッシャアアァァンッ!!

女侍「なっ、何だい!?」

飛来物は北関内の食料庫へと直撃し、外壁がパラパラと崩れ始める。

サル「ま…また新手かっ!?」

ゴトッ……ガラガラッ…ドシャアァッ!!

マジシャン「…い……いって…ぇ…っ!!」
360 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 18:00:47.07 ID:qmewKiso
イヌ「ひ…人!?」

女侍「人が振ってきたよっ!あははっ!!」

ガラッ…ゴトンッ!!

マジシャン「うぅー…。と、とりあえず着いた…か」

マジシャンは瓦礫をかき分け、ゆっくりと食料庫のドアを開ける。

マジシャン「お…さ、酒じゃねぇか…。頂いてくか」

床に転がった酒瓶を拾い上げ、唇から垂れる血を拭う。

女侍「凄いねアンタ。どんな魔法だい?…あはははっ!」

マジシャン「…気合っつー魔法だ。笑い事じゃねぇ…」

タッタッタ…

占い師「ま、マジシャン!?」

マジシャン「おう…生きてたか。お前はキーマンなんだから大人しく…っ!」

占い師「血が…っ!!」

マジシャン「んなモン大した事ねぇ…!!」

マジシャンは口で酒瓶のフタを開け、腕にかけ始める。
361 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 18:01:34.68 ID:qmewKiso
マジシャン「いちちっ!!…いってぇ…!!」

占い師「ちょ、ちょっと…っ!」

マジシャン「いいから避難してろ!…おいっ!!」

国軍兵「!?」

マジシャン「こちらのレディを建物内へお連れしろ」

国軍兵「う…占い師様!こちらへ!!」

占い師「……無茶、しないでよね…っ」

マジシャン「へいへい……!?いっつぅ!」

女侍「ご登場のところ申し訳ないけど、コッチはあらかた終わったよ」

マジシャン「………」

キジ「あとは不死身の奴を叩き続けて、日の出を待つだけさー」

マジシャン「人間が…来なかったか…?」

女侍「ああ…来たね。デカイ剣持った奴とどっか行っちまったよ」

マジシャン「……そうか」

マジシャンは酒瓶を口に当て、一気に飲み干し、瓶を放り投げる。
362 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/12(水) 18:02:29.52 ID:qmewKiso
マジシャン「誰だか知らねーが…ココは任せたぞ」

女侍「……仕方ないねぇ」

サル「なんで人間と魔物が一緒にいたんだ!?」

マジシャン「……さぁね。コッチが聞きてーよ」

マジシャンは首を左右に鳴らし、北門より去って行った。

イヌ「………」

女侍「今日はイイ男によく会うねぇ……」

サル「ま〜たコレだよ……」

女侍「雨はあんまり好きじゃないんだ。ちゃっちゃと終わらせて帰ろうかね!」

キジ「あいあいさー!!」

サル「とりあえず早くメシ食って寝させてくれぇ〜」

イヌ「だったら頑張るね!もうじき日の出ね!!」

三人は散り散りに別れ、再びヴァンパイアへの攻撃を再開する。

女侍「…ふんっ、イイ男達だよ……ほんと!」

女侍は笑みを浮かべ、前方へと走り出した。
363 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/12(水) 18:11:46.31 ID:qmewKiso
こんにちは!少し多めに更新出来たような気がします!
誤字はお恥ずかしい限りで本当に申し訳ありません…orz

うまくいけば今週中には第十五部完ッ!!です!
次はどうしよう…そろそろ魔道士が20歳に…

それでは失礼致します!!ノシ
364 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 18:37:37.55 ID:y1CGfoDO
成人か……胸が熱くなるな……
365 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 18:53:29.28 ID:XVc.fWw0
そろそろ二人がちゅっちゅするシーンが来るというのか!?
366 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 19:17:33.30 ID:WB2trso0
>>365
俺と魔道士ちゃんのことか?
照れるなぁ
367 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 20:23:40.72 ID:IjmL7sDO
召喚士PTのチームワークすげぇ
368 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/12(水) 21:34:22.63 ID:FeQIxQDO
>>1乙!
昨日の深夜分から一気に読んだからテキスト量が多くてビックリした!
大量更新乙です!今回はみんな見せ場があってカッコイイな!!
369 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 00:52:16.05 ID:vY.9L.AO
>>1

すまないが貴様等に魔導師ちゃんを譲ることは出来ない
この俺の愛は海よりも深く、空よりも広い
二十歳の誕生日には薔薇の花束と俺と言う名の宝石をプレゼントしてあげたいな
370 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 01:14:11.47 ID:GhW5f3o0
童貞貴族
371 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 06:52:31.61 ID:P4q3kp.0
またおばあちゃんかよ
引っ張りだこだなwwwwwwww
372 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 09:08:04.96 ID:q307RIAO
すげーまだやってたwwwwww
久々だから最初から読み直してくるわ!
373 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:08:40.17 ID:q2047Hso
〜北関、北部の森〜

チュインッ!!……ザザッ

魔剣士「……」

天才「…はー、だりぃ」

天才は背をすぼめ、気だるそうに溜息をつく。

天才「なんつーの?そのアンデッドになると疲労とかないワケ?」

魔剣士「……」

天才「俺も魔物になっちゃおうかなー。はーっはっはっは!」

魔剣士「………」

シュンッ!!…ガキィッ!!

天才「何とか言えや…!このボケ!!」

魔剣士「……」

罵声と同時にツヴァイハンダーを水平に振るう天才。

それに合わせ、すかさず魔剣士も同様に大剣を振るう。

ブオォッ!!……チッ!!
374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:09:07.25 ID:q2047Hso
二人のツヴァイハンダーは互いの髪を少し斬り取り、

すぼめた両者の頭上を勢いよく通過する。

魔剣士「!?」

天才「へっ…!」

天才は魔剣士のツヴァイハンダーの柄を左手で掴み取り、

目の前に立つ無表情な男の得物を奪い取る。

天才「…なっ!?」

魔剣士「……」

しかし同様に魔剣士も、己の左手を天才のツヴァイハンダーへと伸ばし、

柄を引き、武器を奪い取る。二人は互いの武器を持ち替えた状態となった。

ザザッ…スタッ

天才「そいつはくれてやるよ!だいぶ使い込んだしなぁ」

魔剣士「……」

天才「それに…今、手に入れたコイツが……オリジナルだ」

天才は魔剣士より奪い取ったツヴァイハンダーを、ちらりと見て笑う。
375 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:09:59.33 ID:q2047Hso
魔剣士「…」

天才「なんたる偶然…。いや、これはもはや必然…」

ザッザッザ…

天才「オリジナルが回収出来るなんてな…。来て良かったぜ」

ガカアァァッ!!…ドドオオォォンッ!!

落雷による稲光が、辺り一面と天才の顔を照らす。

その表情は興奮に打ち震え、不敵な笑みを浮かべている。

天才「さぁて…。ダンスもそろそろ終えて、お開きとするか!」

ダンッ!!……ドドドドドドオオォォ…

天才「それとも…仲良くベッドインすっか?」

ダンッ!!

天才「おいおい…恐れなんてないだろ?」

魔剣士「………」

一歩一歩ゆっくり近づく天才は、無表情のまま無意識に

後ろへ下がる魔剣士の足元へ、大剣を突き出した。
376 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:10:27.99 ID:q2047Hso
タッタッタッタッタ…

マジシャン「くそ…どこだ…っ!」

森の中を疾走するマジシャンを、稲光が時折照らし当てる。

ドドドドドオオォォ!!…

マジシャン「!!」

ザッ!!

マジシャン「な…何だ…!?この威圧…!!」

マジシャンは何者かが発する威圧に警戒し、慌てて右を向く。

マジシャン「こ、こっちか…」

ザッザッザ……

マジシャン「とても人のものとは思えねぇ。…バケモンだぜ」

ジャリッ…スタスタ…

マジシャン「なんたる厄日…いや、こりゃもう地獄だよ…はぁ」

タッタッタッタッタ…

マジシャン「こんな目に遭うとは…来るんじゃなかったよ」
377 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:10:54.66 ID:q2047Hso


魔剣士「……!」

天才「無意識に恐怖を感じてんのか?あ…?」

魔剣士は目線を足元から天才へ戻し、ツヴァイハンダーを構えなおす。

天才「人間だった時の習慣か…。それとも…アンデッドでも恐怖を感じるのか…」

シュバッ!!……ドズゥッ…

天才「ま、どっちでもいいか」

一瞬のうちに前進し、突き出したツヴァイハンダーが魔剣士の腹部を貫く。

魔剣士「…っ!?」

天才「うおぉらよっ!!」

天才はツヴァイハンダーを持ち上げ、魔剣士ごと振り回す。

その衝撃で魔剣士は後方にある木々の奥へと吹き飛ばされた。

ブンッ!!……ザシャッ!!…ドシャァッ…ドッ

天才「…?……ふぅん」

天才は巨大な刀身を見た後、その剣を持ち替え右手を前方へ出す。
378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:11:21.99 ID:q2047Hso
ヒュイイィィ…バチバチッ

天才「出てきた瞬間ドドーン!と…」

ガサッ…ザッザッザ…

天才「ほい」

ドドオオォォンンッ!!…ゴオオォォッ!!

天才の真っ直ぐ伸ばした右手から、炎が発せられた。

森の中より浮かび上がった人影は直撃し、炎の包まれる。

天才「っ!?」

魔剣士「……」

ヒュォッ

燃えさかる炎の中から飛び出した魔剣士は、大剣で突き、

それを天才が下から斬り上げ、残撃をいなす。

天才「まさか効かねぇとはな…!」

魔剣士「…」

魔剣士は無言のまま、左手から氷を放つ。
379 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:11:57.63 ID:q2047Hso
天才「ちぃっ!!」

ドドオオォォンッ!!…ギキイイィィ…パキッ!!

天才「くそ…っ、凍っちまったじゃねーか」

魔剣士「…もう止めにしないか」

天才「………」

天才は声を出さず、凍りついた右手を身体の前へ出す。

天才「…ぬ…んっ!!」

ピシッ……ビキビキッ…バキャアァッ!!

内部より炎を生み出し、自由を奪っていた氷を吹き飛ばす。

ポタポタッ…パタタッ…

天才「…見ろ」

魔剣士「……」

天才は血に塗れた右手をそのまま差し出す。

天才「真っ赤な血だ。これぞ人間の証だよ」

魔剣士「………」
380 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:12:23.06 ID:q2047Hso
天才「お前には何も感じないか?」

魔剣士「…特に」

天才「ああ、そうだろうな!」

魔剣士「俺は…もう貴方の知る俺ではない」

天才「………」

魔剣士「ただ形を成しただけの…人形だ」

天才「ようやく口を開いたと思いきや、何だかなぁ…」

ヒュオッ!!…ガキイィィッ!!

互いのツヴァイハンダーが再び激しく交差する。

天才「お前…いや、その先にいるヤツらが何をしようとしてるか知らんが…」

魔剣士「……」

天才「お前が何モンだろうが……」

ガチッ…ギギッ…

天才「俺は…俺のやり方で突き進む!」

降雨が激しくなる中、両者は見つめ合い、睨み合いが続いた。
381 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 18:12:30.14 ID:q307RIAO
おっリアルタイム支援!
つか過疎ってるな〜流石に人も減っちまったか〜
382 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:12:51.75 ID:q2047Hso
〜北方司令部〜

オーガ「…そ、そんな…!!」

一匹のオーガがたじろぎ、周囲をきょろきょろと見渡す。

オーガ「あんだけいたのに…!も、もう…これだけ…」

バーテン「ラストだっ!!」

バーテンは城壁上よりバリスタに結び付けられた縄を切る。

ヒュンッ!!……シュアバアァッ!!

騎士長「いけぇ!!」

魔道兵「は、はいっ!!」

ドドオオォォンッ!!

激しい風切り音とともに巨大な矢が放たれ、空中で氷を帯びていく。

オーガ「う…うわあぁっ……げふっ!!」

バーテン「……弾切れだ」

騎士長「おい!?マジかよ…!」

北方兵「オーガ隊…あと数匹ほどですっ!」
383 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:13:19.60 ID:q2047Hso
バーテン「後は頑張ってくれや」

騎士長「おいっ!なんちゅう身勝手な…」

バーテン「アホか。俺は軍属じゃねぇ…頼んだぞ」

バーテンは城壁の階段を降り、建物内へと消えていく。

騎士長「ちくしょ…っ、ええい!なんとしても食い止め……!?」

兵達へ手振りで指示を出す騎士長の目に、思わぬ光景が飛び込む。

ドドッドドッドドッ…

オーガ「何だァ!?後ろから……」

騎士長「……で、殿下!?」

皇太子「司令部め…。よく持ち堪えてくれた!」

エリート「正面のオーガを撃破せよ!!」

密集して進む騎兵が、左右に広がる。

オーガ「くそ!!正面からブッ潰せぇ!!」

皇太子「エリート!右翼は任せたぞ!!」

エリート「ええっ!殿下、くれぐれも無茶なさらず……」
384 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:13:47.63 ID:q2047Hso
皇太子「続けぇ!突撃ぃー!!」

親衛隊「うおぉ!!」

左に展開した騎兵隊が、皇太子を先頭に縦列する。

エリート「言ってる傍から…っ、くそ!こちらも続け!!」

皇太子「弓やナイフにおある者は牽制せよっ!」

親衛隊「うりゃあ!!」

左右に伸びた騎兵が、徐々に弧を描くように動き始める。

騎士長「鶴翼の陣…!!いや、これは美しい…!」

やがて左右の先頭は、再び合流し、円の中にオーガを閉じ込めた形となった。

オーガ「かか…っ、囲まれた!!」

皇太子「逃げ場はない!一挙に殲滅する!!」

エリート「各兵っ、殿下に……」

パカラッパカラッパカラッ…

エリート「でっ、殿下!?」

エリートは驚き顔で、背を向け司令部へ向かう皇太子に声をかける。
385 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:14:19.04 ID:q2047Hso
皇太子「騎士長!内部に敵は?」

騎士長「おりません!あ、いやっ…なにやら不審な気配が一つ!」

皇太子「一つ…?大物かな」

パッカパッカパッカ…

エリート「殿下!?」

皇太子「戦局は決した。此処は任せる!」

エリート「そんな勝手な!?」

親衛隊「エリート様、オーガが来ます!」

エリート「仕方ない…っ、陣を破られるな!一網打尽にするぞ!」

エリートは再び体勢を戻し、馬を真っ直ぐ走らせた。

騎士長「援護だっ!味方に当てるなよ!」

北方兵「騎士長様っ!殿下がこちらへ!!」

騎士長「!?か、開門っ!!」

ゴゴゴゴゴッ…ドオオォォンッ!!

半分ほど開けられた門より、皇太子の馬が颯爽と通過する。
386 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:14:46.36 ID:q2047Hso
皇太子「門はこのままで良い!」

騎士長「殿下!?」

パカラッパカラッ…タッ…ザスッ!!

皇太子は馬から飛び降り、司令部内をぐるりと見渡す。

皇太子「……内部か」

タッタッタッタッタ…

司令部正面の扉を開け、正面の階段を一気に駆け上がる皇太子。

皇太子「!?」

バーテン「…っ!!」

皇太子「なんだ…人か」

バーテン「…?……あ…で、殿下!?」

皇太子「ワーカー?いや、一般人か?」

バーテン「えぇと…まあ、そうですかね」

皇太子「ここは危険だ。この奥に結界石で守られた部屋がある。そこへ…」

皇太子は置くの通路を指差し、バーテンへ言葉を続ける。
387 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:15:46.37 ID:q2047Hso
皇太子「一応聞くが、建物内にて魔物を見たりはしておらんか?」

バーテン「建物内にも魔物が…?まさか……」

皇太子「心当たりが…?」

バーテン「いや、先程…ここへ入る前に怪しい影を、北塔の屋根に…」

皇太子「北塔……。ご苦労!」

バーテン「あっ!?ちょっと……」

タッタッタ…

バーテン「…相変わらず勇猛果敢なこって…」

バーテンは頬を掻き、走り去る皇太子を見つめる。

タッタッタッタッタ…バンッ!!

皇太子「………」

皇太子は北塔のドアを勢いよくあけ、塔内を見渡す。

皇太子「下には来てない…か。何が目的だ?」

カツカツカツ…カツ…

皇太子「北の塔から繋がる場所は……墓地…か」
388 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/13(木) 18:19:34.42 ID:q2047Hso
タッタッタッタッタ…ガチャッ

塔の中腹、そこにあるドアを開けると、屋外へと繋がる道がある。

その先には戦死者を弔う墓碑が、多数の花と共に並び立つ。

激しい雨の続く中、稲光により、墓碑とそこに立つ一つの影…。

ネクロマンサーの姿が皇太子の目に飛び込んだ。

皇太子「貴様……此処で何をしている…?」

皇太子は腰に備えた長剣をゆっくりと右手で抜く。

ネクロマンサー「ククッ…!やはり気付かれてしまいましたか…」

皇太子「答えよ。此処で何をしておるのかっ!」

ネクロマンサー「墓参り…なんて言い訳は通用しないですね。クククッ」

皇太子「もうよい、相分かった…」

ネクロマンサー「お分かり頂けたようで…ククッ…」

皇太子「此処に貴様の墓標も立ててやろう」

ネクロマンサー「………ほう」

皇太子「いや…此処は申請なる場所…。貴様のような輩に墓標は要らぬ!!」

轟音とともに稲光により空が激しく光り、怒りに満ちた皇太子の顔を照らした。
389 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/13(木) 18:30:52.76 ID:q2047Hso
こんばんは!本日もご支援ありがとうございます!
とりあえずここまでにて…また後ほど!ノシ
390 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 18:32:29.97 ID:p8JoiG20
乙です。
391 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 18:32:38.94 ID:UusjWboo
天才TUEEEEEEEEEEEE
392 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 19:03:16.69 ID:9gqg7MAo
魔剣士はアンデッド化状態なのか。
裏切りじゃなくてネクロマンサーに使役されてる状態なのかな
393 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 19:03:56.32 ID:q307RIAO
乙!そんじゃ今のうちに飯買ってくるかねwwww
394 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 19:30:35.48 ID:BlPHSO.o
やっぱ申請はひつようですよね
395 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 19:49:38.84 ID:vY.9L.AO
ネクロさんこんな終盤まで活躍出来そうなほどお強いお方だったのか…
なぜ魔導師男に目を付けたしww
396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 20:44:03.20 ID:H5SxIgAO
毎日見てるぜ!どこもかしこも熱戦でドキがムネムネするぜ!
397 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 20:58:25.97 ID:bYxHYIMo
皇太子イケメンすぎるだろ…
398 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 21:10:27.62 ID:ZM30qfo0
皇太子がサイヤ人っぽい
399 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 21:15:16.82 ID:rfli.jIo
皇太子「こ・・・これからが本当の地獄だ・・・っ!」

違和感無いな・・・
400 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/13(木) 22:54:39.58 ID:w1eTroDO
>>1乙!
殿下がどこまで強いのかがわからないから
無茶な突進をする度にハラハラさせられるなww

見てる俺ですらこんな感じだったらエリートなんかは気が気じゃないだろうなwwww
401 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/13(木) 23:14:28.34 ID:xMcyhsco
すごい感情移入ですね
402 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 00:02:44.49 ID:7IuJ8e6o
ドドオオォォンッ…

ネクロマンサー「これは怒らせてしまいましたっかね…」

皇太子「即刻立ち去れ。さもなくば……」

ネクロマンサー「さも…なくば?」

皇太子「……斬る!」

ネクロマンサー「これは勇ましい…!お見受けするところ、貴方高位な方ですよね?」

皇太子「……」

ネクロマンサー「良いのですか?そんな方が…ククッ」

皇太子「人が人を守るのに…階級や身分が必要なのか?」

ネクロマンサー「さあ…?私は魔族ゆえ…分かりかねますが…」

皇太子「それはそうだな。さて、問答は無用だ」

ネクロマンサー「身分、技量…精神。申し分ないですね」

皇太子「……?」

ネクロマンサー「いやはや、お相手差し上げたいのですが…ねぇ?」

ネクロマンサーは右手を上げ、上空を指差す。
403 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 00:06:12.94 ID:k9FIksSO
支援。
天才と魔剣士の関係は?
ネクロさんの企みはやはり?
良いところで〜
眼鏡早くかえってこい〜
404 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 00:07:09.77 ID:7IuJ8e6o
ネクロマンサー「日の出が近いのですよ…。これ以上はちょっと…ね」

皇太子「ならば日の出までに片付けるのみ…!」

タンッ!!

ネクロマンサー「クククッ!!」

皇太子の長剣は、ネクロマンサーの体を斜めに斬りつける。

しかし、傷を負った様子もなく、ネクロマンサーはそのまま、

両手より黒い霧のようなものを発生させ皇太子へ放つ。

ドドオォ!!……ボフウゥッ…

皇太子「ぐあ…っ!?」

ネクロマンサー「即効性はありません…。しかし徐々に身体を蝕みます。

皇太子「く…っそ……」

皇太子は片膝をつき、呼吸を荒くし始める。

ネクロマンサー「しかし……残念です」

……ッ…バサッ……バサッ…バサッ…

皇太子は北の空から近づく物音に気づき、苦しみながらも空を見上げる。
405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 00:11:19.03 ID:7IuJ8e6o
雨の中飛来する物影が、少し、また少しとその数を増やしていく。

ネクロマンサー「おっと、勘違いなさらぬよう…。私の差し金ではありませんよ?」

皇太子「……く…ぅ」

ネクロマンサー「私はまだ所用もありますので…」

テクテクテク…

ネクロマンサー「あ、そうそう。日の出と言っても私はアンデッドではありませんから」

皇太子「……」

ネクロマンサー「では、御機嫌よう」

皇太子「次会う時が…き、貴様の最後だ。覚悟しておけ!」

ネクロマンサー「……楽しみにしておりますよ…クククッ!」

去りゆくネクロマンサーを遮るように、皇太子の周りをガーゴイルの群れが囲む。

皇太子「貴様ら程度…このような状態でも…っ」

皇太子は剣を杖代わりに、ゆっくりと起き上がる。

ググッ……ブンッ!!…ザシュッ!!

ガーゴイル「!?」
406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 00:18:40.74 ID:7IuJ8e6o
皇太子「つ…次っ……!」

一匹のガーゴイルを一閃のもとに斬り伏せ、皇太子は再び剣を構え直す。

それを見たガーゴイルの群れは、警戒を強め、一斉に嘴と爪で皇太子を攻め立てる。

皇太子「くお…っ!!」

ブンッ!!

ガーゴイル達は攻撃と離脱を繰り返し、四方からとめどなく攻め続ける。

皇太子「身体が…言う事をっ…!」

懸命に数匹の魔物を斬り落とした皇太子だが、ネクロマンサーより受けた毒のような攻撃と、

ガーゴイルによる無数の切り傷で、その身を再び地面へと跪かせる。

皇太子「お…のれ…っ」

ビュオオォォッ!!……ドシュウゥゥッ!!

皇太子「!?」

突如一匹のガーゴイルが空中で動きを止め、その場へと落ち、息絶える。

その背中には矢が突き刺さり、皇太子はふとその前方を見つめる。

バーテン「………ふーっ」
407 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 00:23:04.83 ID:7IuJ8e6o
カチャッ……ギギギッ……ドシュッ!!

ガーゴイル「!?」

シュンッ!!

バーテン「ちっ!避けられたか…」

タッタッタッタッタ…

バーテン「殿下っ、ご無事で!?」

皇太子「さ、先程の……!」

バーテン「いや・・宝物庫までコイツを取りに行って…遅くなっちまって…」

バーテンは大きな弓を手に、皇太子へ見せる。

皇太子「………」

バーテン「むっ!こりゃひどい……!退きましょう!」

皇太子「突破…で、出来るか…?」

バーテン「牽制しながらこの数なら…ギリギリってところですかね」

皇太子「………正直だな」

バーテン「こんな状況で嘘言っても、しょうがないですからな…」
408 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 00:50:30.02 ID:BPbbTYAO
殿下にはハラハラさせられるな
死にそうになってばかりで困った奴だ
409 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 00:51:25.61 ID:7IuJ8e6o
バーテンは皇太子の腕を掴み、自分の方へと回す。

バーテン「さ、立てますか?」

皇太子「す…すまん!」

二人が立ちあがり、後方へ退く素振りを見て、一度は上空へ退避したガーゴイル達が、

再び旋回し、地上の皇太子とバーテンを狙い定める。

バーテン「しつけぇな…!!」

バーテンは退きつつも弓を構え、肩にかけた矢筒から一本の矢を弓へあてがう。

上空へ照準を合わせた瞬間、稲光に照らされたガーゴイルの背後に動く幾つかの影に気付いた。

バーテン「……くそぉ!新手かよ…!!」

皇太子「数が多…すぎるっ、一人で退いて……」

バーテン「……いやっ!ありゃあ…!!」

迫リ来るる影はそのままガーゴイルの背後から強襲し、

上空は魔物の群れがあちらこちらと慌てふためき、混乱状態へと陥る。

皇太子「あれ…は…召喚獣…か!?

近づく影…それはワームやワイバーンといった召喚獣の姿であった。
410 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 00:58:45.20 ID:7IuJ8e6o
タッタッタ…ザッ!!

青龍兵「遅くなりまことに申し訳ありません!!」

北の塔より数人の青龍召喚隊が姿を見せ、二人を守るように立ちはだかる。

皇太子「何故…ここに!?」

青龍兵「はっ!実は隊長より……」

ガーゴイル「ギギィー!!」

青龍兵「ワイバーン!!」

急降下で近づくガーゴイルを、一人の青龍兵がワイバーンに指示を出し、

これを見事に捉え、墜落させる。

青龍兵「海峡へと向かう途中、召喚獣での偵察をしていたところ、不審な動きがあり…」

バーテン「……」

青龍兵「隊を切り分け、我らは司令部へと戻った次第であります!」

皇太子「そ、そうであったか…」

青龍兵「ここは我らが!殿下はお退き下さいませっ!!」

バーテン「……任せて…問題ないようですな」

バーテンは安堵の顔で皇太子へ話しかけ、そのまま北塔へと引き下がった。
411 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 01:49:46.22 ID:mTs/pBM0
流石はワイのワイルドワイバーンや
412 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 07:09:51.00 ID:.4IbPTY0
ワイの卑猥なワイルドワイバーンみてくれよ
こいつをどう思う?
413 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 07:19:32.73 ID:k9FIksSO
頭ワイてんのか?
414 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 10:19:26.09 ID:4TWzvjA0
GWぐらいからサボって見てなかったけど今追いついた
VIPのときからずっと見てるよ!いつも楽しませてくれてありがとう!

グレンラガンの戦闘の時に流れる音楽聴きながら読んでたら雰囲気合いすぎてビックリ
415 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:14:48.89 ID:SqE/MvMo
〜海峡、北の森付近〜

召喚士「……」

戦士「おい、召喚士…」

戦士は警戒の姿勢を崩さず、後方の召喚士へ語りかける。

召喚士「さっきは…ごめん。もう大丈夫」

戦士「……そうか」

ズズッ…ズズズズズ…

盗賊「!!」

召喚士「き…来たっ!」

一同の前へ広がる崖。その下から一匹の魔物がゆっくりと浮上する。

姿はさほど変わらないが、その背に禍々しい翼のようなものを羽ばたかせている。

伯爵「………」

魔道士「詠唱…します!」

伯爵「いや、未熟者とすっかり油断をしてしまった…」

盗賊「…」
416 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:15:15.86 ID:SqE/MvMo
盗賊が蜘蛛切を右手に構え直す。

伯爵「そこの召喚士」

召喚士「……」

伯爵「その若さで三匹同時に召喚とは…。大した腕だ」

召喚士「…」

伯爵「一つ聞きたい。私も召喚獣については疎いのだが…」

バサッ

伯爵「其処の輩、全て属性が違うように見受けるが…?」

召喚士「……」

伯爵「ふっふ…答えなし、か。嫌われてしまったかね?」

コカトリス「召喚士」

召喚士「分かってる。何かを…企んでるのは」

伯爵「やられっ放しは癪だが、本質は違うしなぁ」

魔道士「……?」

伯爵はニヤリと笑い、右手を横へ水平に伸ばす。
417 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:15:56.59 ID:SqE/MvMo
バチバチバチッ…キュイイィィ…

召喚士「しまった!!」

戦士「くそぉ!!」

戦士は瞬時に伯爵の元へと走りだす。それと同時に、

召喚士と付き従う召喚獣達は、伯爵の伸ばした手の先に必死で向かう。

伯爵「私の目的は…結界石の…阻止!!」

伯爵は伸ばした腕の先、近づきつつある将軍率いる兵達を見つめる。

盗賊「くっ!!」

ジャラジャラッ!!……ヒュバッ!!

伯爵「同じ手は何度も食わんよ!」

ヒュンッ……パキイィィンッ!!

盗賊「鎖が…っ!?」

盗賊の投げた鎖を断ち切り、伯爵はそのまま左手を突き出す。

伯爵「はははっ!」

伯爵は笑いながら、左手より雷撃を放つ。
418 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:17:21.82 ID:SqE/MvMo
戦士「ちくしょおぉ!!」

駆け寄る戦士が、盗賊の前へ立ちはだかり盾となる。

無我夢中で咄嗟に取った戦士の行動は、大斧を盾代わりに身を守るというものであった。

戦士「ぐ…うっ!!」

バギイィィンッ!!

雷撃を大斧で防ぎ、直撃は避けた戦士であったが、

その衝撃で後ろの盗賊ともども、後方の森に吹き飛ばされる。

戦士「ぐわ…っ!!」

盗賊「……くぅ…っ!」

ドシャアアァァッ!!

伯爵「結界石の斧…!盾代わりに…!?」

召喚士「魔道士さん!」

魔道士「はい!撃ちますっ!」

伯爵「むっ!?させるか…っ!」

二人の声に気付いた伯爵は、右手に溜めた魔力を一気に放つ。
419 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:17:48.16 ID:SqE/MvMo
ドドドオオォォンッ!!…ズガガアアァァッ!!

召喚士「下がってっ!!」

ダダッ

将軍「!?」

海峡兵「な、なん…っ!!」

召喚士の叫び声も空しく、海峡からの兵達が回避動作を取る前に、

伯爵の放った複数の雷撃が目前まで迫る。

召喚士「みんなぁ!!」

スキュラ「うむ!」

雷撃は着弾間際、突如地面から生えてきた土壁により、

その侵攻を妨げられる。

魔道士「間に…合った!」

ビシッ…ピキッ………ゴガアアァァッ!!

魔道士「っ!?」

一瞬は防いだものの、魔道士の作り上げた土壁は、雷撃により脆くも打ち砕かれた。
420 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:18:21.77 ID:SqE/MvMo
伯爵「悪あがきだったな…!」

召喚士「充分っ!!」

召喚士の声と同時に、スフィンクスとスキュラが雷撃の前へ出る。

スキュラ「はぁ!!」

スフィンクス「両手ぱーんち!!」

ドドオオォォンッ!!……ゴシャアアァァッ!!

スフィンクスの両拳により、地面は粉砕し、無数の岩石が飛び散る。

それを飲み込むようにスキュラの水流が壁のように上から下へと流れ落ちる。

召喚士「魔力を…っ…!」

コカトリス「充分!事足りる!!」

コカトリスは上空より、勢いよく石化の息を吐き出す。

黒ずんだ吐息は岩石と水流を飲み込み、そびえる壁を形成した。

伯爵「……ちっ!」

コカトリス「もう一息…!!」

ドドオオォォンッ!!……ゴアオオオォォ…
421 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:18:48.91 ID:SqE/MvMo
召喚士「頼む!!防いでくれぇ!!」

バチバチィッ!!……ゴッシャアアァァンッ!!

激しい音とともに、石壁は崩れ去り、埃と白煙を巻き起こす。

召喚士「やっ…た…か…?」

同時に、伯爵の放った雷撃も、その場より存在を消した。

召喚士「よぉし!!」

スフィンクス「大成功ー!!」

ザッ!!

召喚士「さあ、次は……!?」

召喚士は崖の上空を見上げるが、伯爵の姿はない。

コカトリス「召喚士!!」

召喚士「!?」

コカトリスの声により振り向く召喚士。

そこには魔道士のすぐ背後に迫る伯爵の姿が飛び込む。

召喚士「ま……魔道士さんっ!!」
422 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:19:14.09 ID:SqE/MvMo
魔道士「……えっ!?」

バッ!!

伯爵「やられっ放しは…癪だと言っただろう?ん?」

魔道士「っ!!」

バチバチバチバチッ…

伯爵は右手を大きく振り上げ、その手に雷撃が発生する。

伯爵「……まずは一人」

ダダッ!!

召喚士「ま、間に合わっ……」

魔道士「きゃああぁっ!!」

即座に走り出す召喚士。だが距離は遠く無常にも伯爵の腕は振り下ろされる。

魔道士「ーっ!!」

シュンッ………ドドオォッ!!

伯爵「………!?」

雷撃は魔道士の真横すれすれへ落下し、魔道士と周囲の地面を吹き飛ばした。
423 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:20:09.54 ID:SqE/MvMo
シュウゥゥ……バチッ…バチチッ…

伯爵「……おのれぇ」

伯爵はえぐられた右肩を押さえ、頭上を見上げる。

召喚士「魔道士さんっ!!」

魔道士「う…うぅ…っ……」

召喚士は倒れる魔道士を抱きかかえ、正面の上空を見上げる。

召喚士「召……喚獣…!?」

リンドヴルム「グアオオオォ!!」

ガガカアァァッ!!……ドドオオォォンッ!!

伯爵「ぐっ…!!」

リンドヴルムにより落雷が直下へ降り注ぎ、伯爵はたまらず身をひねり位置を変える。

伯爵「新手…。雨で気配が…だから雨は嫌いなのだ」

伯爵は乱れた髪を手で整えなおし吐き捨てるように声を出す。

ザッ……

青年兵「リンドヴルム…二人の前へ。……召喚士さん達を守るんだ」
424 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:22:50.71 ID:SqE/MvMo
ドドドドドド…

伯爵「……」

召喚士「青年兵…君!?」

青年兵「遅くなり申し訳ありません!」

魔道士「うっ…!」

召喚士「魔道士さんっ!?」

魔道士「だ…大丈夫です…。石と…し、衝撃が…あっただけで…っ」

魔道士は擦り傷や出血を気にする素振りもなく、胸元の着衣を掴む。

魔道士「………っ」

青年兵「リンドブルム!!」

リンドヴルム「おうっ!!」

青龍兵「隊長に続けぇ!!」

青年兵のリンドヴルムを筆頭に、召喚獣達が一斉に伯爵へ襲い掛かる。

召喚士「…スフィンクス!コカトリスッ!!」

バッ
425 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:23:16.85 ID:SqE/MvMo
コカトリス「これだけいれば…!」

スフィンクス「トドメは僕がっ!!」

ダンッ!!……バシュッ…ザシュッ…ゴシャアァッ!!

伯爵「くっ…!な、なんという…!!」

青龍兵「押せ押せぇ!包囲を解くなよ!」

青年兵「全召喚獣っ!配置へ!!」

青龍召喚隊率いる召喚獣達が、伯爵を輪になって囲む。

青年兵「………」

伯爵「こしゃくなっ!」

青年兵「いけぇ!!」

青年兵の号令を合図に、龍達が一斉に炎と雷を放つ。

ドドッ!!…ドドドドオオォッ!!

魔道士「す…すご…い!」

青年兵「これで…終わりだっ!」

最後に一際大きな火球が放たれ、輪の中心部分は大きな爆発に見舞われる。
426 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:23:50.77 ID:SqE/MvMo
ズドオオォォンッ!!………シュウゥゥ…

爆発により黒煙が徐々に晴れ、伯爵の姿が浮かび上がる。

青龍兵「まっ、まだ生きて…」

青年兵「……!?」

青年兵は魔物の影を見て驚く。影は先程と比べ物にならないほど大きく、

黒煙の上部からは巨大な翼の先端が顔を出している。

召喚士「一体何…が…・・・!?」

ヒュイィンッ………カッ!!

召喚士「まずい!!召喚獣をっ……」

ドズオオォォンッ!!

青龍兵「ぐわあぁ…っ!!」

青年兵「……ぐ…ふっ!!」

召喚士「…な…なんっ…一撃…!?」

黒煙の中から光が一閃し、その直後に起きた爆発…。

その一撃により、召喚士を始め、全召喚獣が一斉にその姿を消した。
427 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:24:46.14 ID:SqE/MvMo
フラッ……ドサッ…

召喚士「コカトリス…。ス、スフィンクスまで…まとめて…」

シュウウゥゥ…

黒煙の中の影は縮小し始め、煙が晴れると同時に、中より伯爵が姿を現す。

伯爵「………」

青年兵「……く…うっ!」

魔道士「ぜ、全然…効いてない…!?」

召喚士「もう…ま、魔力が……」

伯爵「まさか力を使うまでに至るとは…な」

伯爵は己の右手を広げ掌をじっと見るめる。

ググッ……

召喚士「ま…まだだっ…!」

魔道士「召喚士さんっ!」

伯爵「おそらく君らに残された力はないだろう…」

召喚士「……っ」
428 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:25:13.75 ID:SqE/MvMo
伯爵「私はこの通り…。もはや全滅は免れぬな」

召喚士「……まだ…っ」

伯爵「と、言いたいところではあるが…」

魔道士「……?」

伯爵「残念。タイムアップだ」

伯爵は右手を握ると人差し指を立て、空を指差す。

青年兵「……!?」

伯爵「まもなく日の出だ。私の負けだよ」

召喚士「……」

伯爵「誇りに思うがいい。君らの健闘…賞賛に値する」

召喚士「何…言って……っ…」

伯爵「だが、何度も言うようだが…やられっ放しは癪、でね」

伯爵は少し口元を緩め、放しを続ける。

伯爵「次の機会があれば、その時は楽しみに…。ふっふふふ…!」

伯爵は上空を見上げると、瞬時に上昇し、雨の中へその姿を消した。
429 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:25:42.57 ID:SqE/MvMo
ヨロッ…

戦士「と…盗賊…っ」

盗賊「…大丈夫…ご、ごめん!」

両手で盗賊を抱きしめ、庇うようにして倒れる戦士。

その腕の中で盗賊が恥ずかしげに小声で返答する。

戦士「うんにゃ、気にすんな…」

ガサガサッ

戦士「!?」

盗賊「!!」

ババッ!!

戦士「魔法…剣士……さんっ!?」

魔法剣士「…君たちか」

戦士は咄嗟に拾い上げ、構えた枝を放り捨てる。

戦士「その傷は一体…!!」

魔法剣士「………」
430 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:26:24.92 ID:SqE/MvMo
召喚士「!!」

魔道士「戦士さん!!盗賊さんっ!!」

盗賊「…大丈夫…ありがとう」

召喚士「魔法剣士さん!?」

魔法剣士「こちらも終わったようだな…」

召喚士「一体何が……」

魔道士「あのっ…め、眼鏡さんは!?」

魔法剣士「…!?やはり、戻っていないのか…」

盗賊「……?」

ザッザッザ…

青年兵「怪我人の方はこちらへ。まもなくプリーストが参ります」

魔道士「あ、ありがとうございます…!」

将軍「もう日の出も間近だ。後はこちらに任せてゆっくり休んでくれ。…ありがとう」

青年兵「怪我人はおりますが…死者なく、結界石も全て無事です」

召喚士「………ええ」

召喚士は降り注ぐ雨の中、ぼんやりと明るくなり始める空を見上げた。
431 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:26:51.07 ID:SqE/MvMo
〜北関、北部の森〜

ギギィ!!…ギチッ…

魔剣士「……」

天才「………っ」

ジャッ…カサッ

天才「!?」

横からの物音に反応し、天才は顔を向ける。

そのわずかな一瞬の隙を逃さず、魔剣士は大剣を引き、一気に振り下ろす。

ビュオッ!!……ガキイィィンッ!!

魔剣士「……!!」

天才「アホか。わざわざ隙なんぞ作るかよ」

ザッ

天才「つーかお前…デートの邪魔すんなよ」

マジシャン「はぁ……?」

茂みから姿を現したマジシャンは天才の軽い口調にやや戸惑う。
432 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:27:19.24 ID:SqE/MvMo
天才「まあいい…チェックメイトだ」

ザスッ

天才はツヴァイハンダーを地面に突き刺し、腰に手を当てる。

魔剣士「……」

マジシャン「チェックメイト……?」

天才「ああ…もう日の出だ。これでこのアンデッドも……」

マジシャン「……やろう」

天才「…あん?」

マジシャン「バカヤロウ!こいつはアンデッドじゃねぇ!!」

天才「何っ!?」

天才はマジシャンの発する言葉に驚き、魔剣士を見る。

魔剣士はツヴァイハンダーを横へ振り、一気に間合いを詰める。

天才「ちぃ…!!」

迫る魔剣士の大剣を、慌てて引き抜いた大剣でかろうじて防ぐ天才。

その衝撃で後方へ吹き飛び、なんとか体勢を整え直す。
433 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:27:48.14 ID:SqE/MvMo
天才「……何だよ。日の出まで時間稼いだ意味ねーじゃんか」

マジシャン「……」

魔剣士「……」

天才「ヤメだヤメ。デートは終わり。解散」

ザッザッザ…

魔剣士「……」

マジシャン「お、おい…」

天才「魔法も効かねぇ物理攻撃も効かねぇ…オマケに日光浴びても何の問題もねぇ」

ザッザ…ピタ

天才「どうやって倒すんだよ。時間の無駄だ」

天才は振り返り、魔剣士を睨む。

魔剣士「……」

天才「関は落ちん。お前ももうお役御免だろ」

魔剣士「……俺は…」

天才「それとも本当に…二人仲良くあの世へベッドインするか?」
434 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:28:19.09 ID:SqE/MvMo
引き返し、魔剣士の元へ足を進める天才の右手の指が光り始める。

マジシャン「待て…。そいつは俺の役目だ」

天才「てめぇの五行なんかで葬れんのか?」

マジシャン「何だとてめぇ…!」

魔剣士「………」

クルッ…スタスタスタ…

マジシャン「おいっ!待てコラッ!!」

天才「いいじゃねぇか。退いてくれるってんだからよ」

マジシャン「あのなぁ…!」

天才「それとも何か?あの馬鹿倒せる得策でもあるってのか?」

マジシャン「……い、いや…っ」

スタスタスタ…

天才「オリジナルは頂いた。あんがとよ!はーっはっはっは!」

魔剣士「………」

天才の笑い声に一度振り返る魔剣士だったが、再び歩き出し森の中へと去って行った。
435 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:29:03.15 ID:SqE/MvMo


天才「ふー。流石に疲れたわ…」

マジシャン「……」

天才「お前も随分手こずったみたいだな!」

マジシャン「……まぁな」

天才「……んで、なんか知ってんのか?」

マジシャン「魔剣士の事…か?」

天才「それ以外に何があるんだ」

マジシャン「俺も詳細は分かってねぇよ…」

天才「あっそ」

マジシャン「……北関に魔物が入り込んだ」

天才「知ってるよ」

マジシャン「そうじゃない。地上からだよ」

天才「……ふぅん」

マジシャン「結界が張られてた…。にも関わらずだ」
436 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:29:30.08 ID:SqE/MvMo
天才「………」

マジシャン「アイツからは魔物の気配がしねぇ…ありゃ紛れもなく人間だ」

天才「…・・・そうか、読めてきたぞ」

マジシャン「そういう事さ…」

天才「だーが、一つ解せないのは……」

マジシャン「不死身のくせに日光浴びても何ともないって事だ」

天才「人智を超えた何かがある…」

マジシャン「そっからは国軍の仕事だ。俺にゃ関係ねぇ」

天才「………あ、そうだ」

マジシャン「…?」

天才「北関頼む。もう終わってるとは思うが…」

マジシャン「アンタは?」

天才「最後に一仕事だけ…な」

ザッザッザッザッザ…

去りゆく天才の姿を、マジシャンは黙って見送り、自身もまた北関へと足を速めた。
437 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:29:56.37 ID:SqE/MvMo
〜北方司令部〜

ザシュウゥゥッ!!

エリート「…よし!オーガ隊壊滅だっ」

親衛隊「おおぉ!!」

騎兵達が高々と槍を突き上げる。

エリート「司令部へ戻るぞ」

先頭のエリートは馬首を返し、半分ほど開いた司令部の門を潜り抜ける。

騎士長「ご苦労様!!」

エリート「そちらこそっ!ところで殿下は…?」

騎士長「中へ入たきり見ていないぞ?まあ召喚隊も駆けつけた事だし…」

エリート「……殿下」

親衛隊「各兵!馬を厩舎へ!」

北方兵「こちらです!」

親衛隊「うむ。ないとは思うが再侵攻の防備もしっかりな!」

騎士長「弓隊は東を中心に防衛!戦いはまだ終わりではないぞ!」
438 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:30:31.12 ID:SqE/MvMo
エリートは下馬し、司令部内へと足を進める。

エリート「………」

バタバタバタッ

エリート「ど、どうした…!?」

青龍兵「エリート様!?で、殿下が…っ!!」

エリート「何っ!!どこだっ!?」

青龍兵「救護室ですっ!!」

エリート「くっ!」

タッタッタッタ…ガチャッ

エリート「!?」

バーテン「…………」

テクテクテク…

エリート「で………殿…下っ!!」

バーテン「遅かったな…」

皇太子「いやぁ…してやられたよ。はははっ」
439 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:31:20.11 ID:SqE/MvMo
エリート「はははじゃないでしょう!?あれほど無茶を…」

皇太子「済まなかったな。解毒も済んで今は…もう大丈夫」

皇太子はベッド上で左腕の力こぶを作り、笑顔でエリートへ返答する。

バーテン「外も終わったのか?」

エリート「貴方は…?」

バーテン「おう…すまん。通りすがりのバーテンだ」

エリート「そ、どうも…。ええ、鎮圧完了です」

皇太子「ご苦労。もうじき日の出だ。パターンからしてもう攻撃はないだろう」

エリート「伝令はまだですが、各地の結界石も、無事終えているでしょう」

皇太子「うむ。さて……」

モゾッ

エリート「殿下っ、まだ動かれない方が……」

皇太子「頑丈さだけが取り柄でね…ははっ」

皇太子はベッドから降り、着衣を整え始める。

皇太子「さぁ、行こうかっ!」
440 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:31:49.27 ID:SqE/MvMo


カツカツカツ…ザッ

騎士長「殿下!!」

皇太子「ご苦労。この地は無事、我らの勝利に終わったな」

親衛隊「ええ…!!」

皇太子「出来れば無傷で…在りたかったが…」

エリート「………」

北方兵「騎士長様っ!北側より何かが…!」

騎士長「!?」

一同は慌てて城壁を走り、北側より外を眺める。

騎士長「ふっ…!馬鹿者っよく見ろ!」

北方兵「もっ、申し訳ありません!雨で視界が悪く……」

騎士長「開門せよ!迎え入れるぞ!!」

皇太子「我らも下に降りようか!」

エリート「……ええ!」
441 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:32:19.20 ID:SqE/MvMo
パカラッパカラッ…ドドッ…パッカパッカ…

左翼長「帰る場所はしっかり残ってたな!」

騎士長「阿呆!当たり前だろ!!」

皇太子「首尾は…?」

参謀「予定通りの地点へ打ち込めました。完璧です」

皇太子「ご苦労。司令もよくやってくれた!」

エリート「敵は…?」

左翼長「途中トロル隊の残党がいましたが、容易く殲滅出来ました」

騎士長「よし…!んっ……!?」

騎士長は掌を上へ向け、空を見上げる。

皇太子「雨も弱まってきたな」

参謀「ええ……」

皇太子「そうだ!……よし…」

エリート「…?」

皇太子「此処の防備を整えたら…総員北関へ向かえ!!」
442 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:33:14.73 ID:SqE/MvMo
〜北関〜

サル「……はひぃ」

サルが頭をうな垂れ、疲れた顔で溜息をつく。

ヴァンパイア「く…くそぉ!日の出がはじまっているのにいぃ!!」

ザッザッザ…

女侍「もう、飛び立つ魔力も残ってないかい?んふふっ」

ヴァンパイア「うあ…ああぁっ!!か、身体がっ!?」

地面に這い蹲るヴァンパイア達が、日光によりその体を失い始める。

ヴァンパイア「いっ嫌だ…っ!!嫌だああぁっ!!」

シュウゥゥ……

イヌ「これで…終わったね」

キジ「ああ。終わったさ!」

サル「んで、どうするよ…?」

女侍「ずらかろうかねぇ…。もちろんお宝を……」

カツカツカツ…
443 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:33:40.95 ID:SqE/MvMo
占い師「お宝なんてないわよ…ここには」

女侍「そうかい?」

占い師「貴方達が望むような物は、ね…」

サル「じゃあ俺っちはこのお姉ちゃんでも盗んじゃおうかなぁ〜?」

占い師「あら?嬉しいけれど…」

サル「けれどぉ〜?」

占い師「後ろから国軍が近づいてるわよ?」

サル「えぇっ!?」

サルは慌てて後方を振り返る。

サル「あらら〜やっべぇな!おいっ!?」

女侍「タダ働き…かねぇ…」

サル「いいからズラかんぞ!ほらっ!早く!!」

イヌ「お前せっかちね」

サル「アホか!?一生独房暮らしなんてゴメンだぞ!」

キジ「それには同意するさー」
444 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:34:06.16 ID:SqE/MvMo
テクテクテク…

女侍「見逃していいのかい?」

占い師「命の恩人ですもの…仕方ないわ」

女侍「そりゃありがたいねぇ」

占い師「それじゃあね」

サル「いつでもデートは受け付けてるよぉ〜!」

イヌ「ほら、早く行くね!」

サル「いってぇな!蹴る事たぁねーだろ!」

キジ「いい加減にするさー!」

タッタッタッタッタ…

占い師「ふふっ…。賑やかですコト」

占い師は見送り終えると、反転し北門を見つめる。

ドドッドドッドドッ…ドドドド…

副司令官「……関は無事かっ!ご苦労!」

大軍師「こ…これは…!?」
445 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:34:32.18 ID:SqE/MvMo
占い師「ご苦労様です」

副司令官と大軍師は、それぞれ下馬し、占い師の下へ歩み寄る。

大軍師「無傷…とは!しかしあの跡は一体……」

大軍師は隆起した土と、無残な姿と化した魔物の群れを見て驚く。

占い師「助っ人…ワーカーかしらね。ふふっ」

大軍師「マジシャン殿…ですか?」

占い師「あの人なら…もうぼちぼち……」

テクテクテク…

占い師「ほらっ、噂をすれば…!!」

占い師は大きく手を振り、それを見た大軍師も後方を振り返る。

マジシャン「おーおー、皆さんお揃いなこって…」

大軍師「ご無事で…?」

マジシャン「ああ。ちっと空飛んでダメージ負ったけどな」

大軍師「……?」

副司令官「よし、早急に戦後処理へ取り掛かれ!」
446 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/14(金) 18:34:59.98 ID:SqE/MvMo
大軍師「では、また後ほど…」

マジシャン「あ、ちょっと待て」

大軍師「…?」

副司令官「…?先に戻っておるぞ」

占い師「また後でね」

副司令官と占い師は、司令室へと向かっていく。

マジシャン「……」

大軍師「…それで、何か…?」

マジシャン「内通者…。掴んだのか?」

大軍師「…いえ。しかしまぁ、少しは獲たものもあります」

マジシャン「そうか。悪いが軍部内に裏切り者がいるのは確実だ」

大軍師「…でしょうね。今回の入り組んだ作戦ですら…裏をかかれました」

マジシャン「魔王軍に余程の切れ者でもいない限りは在り得ねぇ」

大軍師「…ですね。とりあえずその件については…ご内密に」

マジシャン「分かってる。毛頭言うつもりもねぇよ」
447 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 18:40:21.60 ID:SqE/MvMo
こんばんは!予定通り今週中には十五部終われそうです!
本日もご支援ありがとうございますです!嬉しい限りです
多分また後で来れるかと…それでは失礼します!ノシ
448 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/14(金) 18:42:36.46 ID:l4hNp1co


面白過ぎる
449 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 18:49:34.69 ID:2tKziSMo
おつです。
最近は一回の投下量が多めで嬉しい(ビクンビクン
450 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 18:49:56.04 ID:k9FIksSO
一気に読んだおもしろいわ
支援
451 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 19:52:49.53 ID:TA1dJIDO
乙です
452 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 20:46:59.48 ID:.4IbPTY0
おまえら1「デュフフwwwwwwwwww魔道士たんかわゆすwwwwwwwwwwwwww」

おまえら2「ハァハァかわいいよおぉぉぉぉぉぉ!!」

魔道士「!?やだこの人たち怖いです…」

召喚士「大丈夫、俺が守ります!」

魔道士「あっ///」

おまえら「oi ミス おいだれだおまえ紀伊店のか」

召喚士「俺はこの子の彼氏だ!!」

魔導師「召喚士さん///」


という電波が何故か飛んできた
とりあえず支援するがんばれ
453 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/14(金) 21:00:47.22 ID:1sPSg6DO
うおおおお!今回面白かった−−−!!
>>1乙!マジで乙!!
454 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 00:39:03.20 ID:blJ/6IAO
>>1
もうてっきりパーティーの誰かが死んじゃうのかと思った…
眼鏡も早く帰ってこないと勝手に墓たてられてそうだなww

それはそうと、
なんか腐りきった文章なのか馬の糞かわからんのが>>452あたりに見えるが…
残念ながら魔導師ちゃんは俺のものだ
455 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 00:49:06.09 ID:nPJfLGQo
>>1
>>454
魔道士ちゃんなら俺の斜め45度上できりもみ回転してるよ
456 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 01:17:31.67 ID:hQZxhuw0
>>1乙!
面白すぎるわ 支援
ついでに魔道士ちゃんは俺がいただく
457 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:37:31.07 ID:.G.DzEEo
〜海峡、北の森付近〜

魔道士「そうだったんですか……」

一同は結界石を降ろし、空となった荷車の上に乗り、

一路海峡へと向かっていた。

召喚士「眼鏡さんが…」

魔法剣士「奴の実力だ。きっと無事ではいると思う…」

魔道士「そう…ですよね。きっと、きっと無事ですよっ!」

盗賊「……ああ」

戦士「しかし…魔物同士でねぇ…」

魔法剣士「俺自身も、その魔物に救われたようなものだ」

召喚士「きっと…救ってくれたんですよ」

魔法剣士「……?」

召喚士「魔法剣士さんもオークの事、知ってますよね?」

魔法剣士「オーク?……ああ、前回の戦いで…」

戦士「そう。世の中にはいい魔物もいるってこった」
458 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:37:58.26 ID:.G.DzEEo
魔法剣士「……なるほどな」

魔道士「その魔物さんもきっと…いい魔物さんなんですよ」

魔法剣士「そうかも…しれんな」

パッカパッカパッカ…

青年兵「まもなく橋です。そこを越えれば…海峡ですね」

召喚士「青年兵くん!もう大丈夫なの?」

青年兵「ええ。直接攻撃を受けたわヶではありませんから…」

魔道士「そうですか!良かった…!」

青年兵「しかし、…たった…たった一撃で魔力を持っていかれた…」

召喚士「……うん」

青年兵「何者…何でしょう…?」

召喚士「分からない…。でも…」

青年兵「…?」

召喚士「西方を…。俺は奴を…許せない……」

盗賊「……」
459 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:38:24.59 ID:.G.DzEEo
将軍「皆、ようやく着いたぞ…!!」

海峡兵「橋だっ!おぉーい!!」

兵達が橋上の守兵に大声で手を振る。

戦士「ようやく帰ってきた…ってカンジだな!」

青年兵「ええ…っ!」

召喚士「雨も…すっかり上がりましたね…」

盗賊「…日も…出てきたな」

魔道士「はい…」

荷車はゆっくりと橋の上を通過し、かいきょうへと辿り着く。

門兵「戻ってきたぞ!!開門だ、開門っ!!」

海峡兵「凱旋だぞ!盛大に出迎えろーっ!!」

ゴウンゴウンゴウンッ…

将軍「ご苦労!海峡も無事だな!!」

門兵「はっ!…して、損害は…?」

将軍「皆無だ。無事遂行出来た」
460 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:38:51.04 ID:.G.DzEEo
テクテクテク…

白虎嬢「それは何より…。おめでとうございます」

盗賊「…もう…大丈夫なの…か?」

白虎嬢「ええ…ありがとう。盗賊ちゃんのお陰で本当に助かったわ」

盗賊「…えっ、あ…い…いやっ…その…!」

戦士「なーに照れてんだよ!はははっ!」

盗賊「…てっ、照れてなんて…っ!」

青年兵「はははっ。さぁ…入りましょう!」

召喚士「ええ!」

戦士「はー…腹減った」

召喚士「俺はゆっくり寝たい…かな。ははっ」

魔道士「私はお風呂……」

ドドッドドッドドッ…

伝令「申し上げます!各員、北関へ召集との事にてっ!!」

将軍「北関…!?何か急用か!?」
461 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:41:03.92 ID:.G.DzEEo
伝令「詳細は…。しかし殿下直々のご命令にて…っ!」

青年兵「殿下が!?……い、急ぎましょう!」

戦士「おいおいっ…、まだ終わりじゃねーのかよ…!」

召喚士「とにかく急ぎましょう…火急の用件かもしれません」

盗賊「……うん!」

白虎嬢「私も行くわ!」

将軍「大丈夫か…?」

白虎嬢「ええ。ご心配なく…!」

魔法剣士「………」

魔道士「行きましょう?魔法剣士さん!」

魔法剣士「…あ、ああ」

召喚士「もし眼鏡さんがこちらへ戻られたら……」

門兵「分かっております!お任せ下さい!!」

青年兵「それでは…出発致します!!」

一同は休む間もなく馬を飛ばし、北関へと急行した。
462 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:41:29.85 ID:.G.DzEEo
〜北関〜

北方兵「殿下ご到着なされました!!」

パッカパッカパッカ…ザッ…

大軍師「敬礼ーっ!!」

バババッ!!

皇太子「いいよいいよ。直ってくれ」

大軍師「直れーっ!!」

ザッ!!

北関の中央広場に集った兵達が、規律正しく並び、

その正面に皇太子が足を進め、立ち止まる。

皇太子「皆の者、此度の戦…まことにご苦労であった」

エリート「……」

皇太子「諸君らの絶え間なき努力のお陰で、我らは見事勝利する事が出来た」

副司令官「………」

皇太子「この勝利は…我が国、そして人間にとって大いに有意義なものである!」
463 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:42:14.54 ID:.G.DzEEo
左翼長「……」

皇太子「当初の目的通り、各地に結界石を展開し……」

マジシャン「……」

皇太子「併せて魔王軍の中隊規模をも殲滅する事が出来た。予想以上の成果である」

占い師「……」

皇太子「しかしながら、尊い命も…少数ながら犠牲となった……」

親衛隊「………」

皇太子「彼らの勇敢な行動を…決して無駄にしてはならぬ!」

騎士長「………」

皇太子「過去へ戻る事は出来ぬ…。振り返ってみても仕方あるまい…」

バーテン「……」

皇太子「この国の平和の為に…!そして、未来の平和の為に!!」

北方兵「おおおぉぉ!!」

国軍兵「おおーっ!!」

皇太子「今はひとまず、今日の勝利を皆で祝おうではないか!!」
464 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:42:41.39 ID:.G.DzEEo
皇太子が力強い言葉で演説を締めると同時に、大歓声が沸き起こる。

それとほぼ同時に、海峡からの馬が北関へと到着する。

大軍師「海峡組も到着したようですな」

皇太子「丁度良いタイミングだったな。はははっ」

エリート「魔道士さん…。副官も無事か…」

パッカパッカパッカ…ドドッ…

将軍「殿下!お怪我は御座いませんか!?」

皇太子「ああ。問題ない!よくやってくれたな!」

占い師「……大丈夫!?」

白虎嬢「死にはしなかったけど…アンタの占いアテにならない…」

占い師「そんな事言われたって…細かなところまでは分からないわよっ!」

召喚士「マジシャンさん!」

マジシャン「おう小僧ども!そっちも無事みてぇだな」

戦士「……あれ!?なんでバーテンさんが!?」

魔道士「……ほ、本当だ!」
465 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:43:08.07 ID:.G.DzEEo
バーテン「あーん…?観光だよ観光!」

盗賊「……」

バーテン「な、なんだよその目は!いいじゃねぇか!」

マジシャン「いい歳こいて照れてやんの…ハッハ!!」

バーテン「はぁ?照れてるわけねーだろ!」

マジシャン「何怒ってんだよ…ハッハ!まぁいい酒だ!酒っ!!」

戦士「いいねぇ!待ってました…!!」

魔道士「私は先にお風呂」入りたいです……」

占い師「いいわね…!じゃあみんなで入りましょうか!」

盗賊「!?」

白虎嬢「傷…染みるかしら…。はぁ…」

マジシャン「みんなで!?…こりゃ楽しみ……」

占い師「女だけに決まってるでしょ!」

マジシャン「あっそ……」

召喚士「…?ど、どうしたんですか?顔赤いですよ…?」
466 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 01:43:36.15 ID:.G.DzEEo
魔法剣士「……いや、別に」

青年兵「ええ。別に…」

魔道士「じゃあ、先にお風呂行ってきますね!!」

召喚士「はい。それじゃ俺らはあっちで……」

ザッザッザ…

エリート「魔道士さん…」

魔道士「エリートさん…。それに…皇太子様も」

エリート「ご無事のようで何よりです」

皇太子「此度はまことにご苦労でした」

魔道士「い、いえっ…何も出来ずっ!す…すみません…」

戦士「若干人が少なくねーか…?」

大軍師「戦死者もおりますしね…」

参謀「それにまだ戻られてない…行方不明者もいらっしゃるようで…」

戦士「そっか…」

召喚士「眼鏡さん……」
467 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/15(土) 01:44:16.72 ID:.G.DzEEo
白虎嬢→白虎長

申し訳ございません…orz
468 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 01:55:28.14 ID:6dIPAq2o
マッハストリーム組の事も少しは(ry
469 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 02:28:18.91 ID:.G.DzEEo


青年兵「えぇっ!?…ぼ、僕が…ですか!?」

エリート「うんん」

青年兵「な、何でまた…っ」

左翼長「おもしれぇから…かな?」

騎士長「未来ある若者に乾杯って事で…な?」

青年兵「え…えぇと…」

皇太子「頼むぞ!副官っ!!」

青年兵「うぅ…っ」

テクテクテク…

マジシャン「いよっ!未来の大元帥っ!!ハッハ!!」

青年兵「や…やめて下さいよっ!もう…」

占い師「ほらぁ…茶化さないの!」

マジシャン「へぇい……」

青年兵「ゴホン…!え、えぇと……」
470 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 02:33:19.86 ID:.G.DzEEo
青年兵は一同が座る中、前へ立ち、乾杯の音頭をとる。

青年兵「今回は過酷な任務でありました!しかしながら皆様が一丸となり、無事完遂する事が出来ました!」

召喚士「……」

青年兵「人が助け合い、そして力を合わせれば…困難をも乗り越えられる…」

大軍師「……」

青年兵「改めて、実感出来た事でしょう」

バーテン「…ほう、これはなかなか…!」

青年兵「まずは一つの通過点に過ぎませんんが…今日の勝利を今ここに…!乾杯っ!!」

一同「乾杯っ!!」

皇太子「やるじゃないか!素晴らしかったよ!」

青年兵「いやっ、もう…緊張で何が何だか…」

副司令官「将来も安泰だなっ!はっははは!!」

大軍師「まだまだ皆様方には頑張って頂かないと困りますぞ…?」

皇太子「それもそうだな……ははははっ!!」

青年兵は照れ臭そうに、手にした酒を一気に飲み干した。
471 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 02:37:06.72 ID:.G.DzEEo
騎士長「なんだぁ?嬢ちゃんはジュースか?」

魔道士「ま、まだ未成年ですので……」

左翼長「そうかぁ…!可哀想になぁ…」

マジシャン「全くだ…!これ程旨い物が他にあるかってんだ!」

魔道士「で、でもっ…もうすぐ誕生日で…」0歳になりますからっ」

バーテン「おぉ!そいつはめでたいな…!」

戦士「そうなのか?」

魔道士「はいっ!…エヘヘッ!!」

盗賊「……」

召喚士「盗賊さんは…お酒弱いんですもんね…」

盗賊「……うん」

占い師「アンタはちょっと控えなさい!何でももう5杯目なのよっ!?」

白虎長「何ぃ〜?なんか文句あるわけ?」

占い師「今日は殿下もいるんだから…もうっ!本当に頼むわよ…」

白虎長「殿下……殿下ねぇ…」
472 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 02:41:44.32 ID:.G.DzEEo
魔法剣士「………」

召喚士「魔法剣士さんも…お酒苦手なんですか?」

魔法剣士「いや…そういうわけではないが…」

召喚士「……眼鏡さんが…心配、とか…?」

魔法剣士「それもある…が、無事だと信じている。彼は強い」

召喚士「そうですよね…」

魔道士「黒の三騎士さんも行方知れずですしね…」

戦士「成果の上位ランカーだぜ?奴らこそ問題ないだろうよ!」

魔道士「まあ…そうですけど…」

盗賊「……」

戦士「どした…?」

盗賊「……いや…あの男が…いないな、と」

戦士「……?」

マジシャン「……天才か?」

盗賊はこくりと黙って頷く。
473 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 02:45:44.01 ID:.G.DzEEo
マジシャン「奴なら…来ねぇよ」

盗賊「……そうか」

マジシャン「ああ見えて、こういうとこが苦手だしな」

召喚士「天才さんと知り合いなんですか?」

マジシャン「まぁ長い事こういう仕事してっと、同業者同士絡む事も多々あるってもんだ」

魔道士「確かに私達と魔法剣士さんもよく顔を合わせますもんね…!」

戦士「なんだお前、天才に惚れでもしちまったか?」

盗賊「そ、そんな事っ!!」

戦士「何照れてんだ?はははっ」

盗賊「……照れてなどいない!」

盗賊は険しい顔つきで部屋を出て行く。

魔道士「戦士さんっ!!」

戦士「……へっ?」

魔道士「どうしてそういう事言うんですか…?全然女心を分かってない…!」

戦士「……は、はぁ……?」
474 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 02:48:42.00 ID:.G.DzEEo
マジシャン「色男はつらいねぇ…」

マジシャンは含み笑いをしながら、酒を口元へ運ぶ。

戦士「なっ、何なんだよ…!?」

召喚士「とりあえず行った方が…いいんじゃない…かな?」

マジシャン「おうおう!さっさと迎えに行って来い!!」

戦士「はぁ!?……仕方ねぇ…」

スッ…スタスタスタ…

マジシャン「すんげぇ鈍感……」

魔道士「はぁ……」

マジシャン「まぁ…こっちもこっちか…」

召喚士「……?」

魔道士「へっ…?何か言いましたか?」

マジシャン「いんや、何でもねーよ。若いっていいねー!ハッハッハ!!」

魔道士「変なマジシャンさん…。エヘヘッ!!」

召喚士「は…はははっ…!」
475 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 03:03:57.32 ID:.G.DzEEo
マジシャン「あ…酒が切れた…」

召喚士「えぇ…!もうですか!?」

バーテン「酒なら確かあっちに……」

マジシャン「おい朱雀先生」

召喚士「は、はいっ」

マジシャン「酒取って来い!」

召喚士「取って来いって…ど、どこに……」

マジシャン「ここ出て左に…食糧庫がある。そこに酒がたらふくあった」

バーテン「おいおい…だからあっちに……」

マジシャン「魔道士ちゃんと二人で今すぐ行って来い!ダッシュだ!」

召喚士「えっ!?魔道士さんも一緒にですか!?」

マジシャン「一人じゃ持ち切れないぐらいあんだよ!文句あっか?」

召喚士「い…いえっ…。あの…もう酔って……?」

マジシャン「おらっ!早く行って来い!!」

召喚士「は、はいぃ!!……ほんと…師匠そっくりだよなぁ。はぁ…」
476 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 03:10:02.51 ID:.G.DzEEo


テクテクテク…

召喚士「な、なんだかすみません…」

魔道士「い、いえっ…」

召喚士「……」

魔道士「……」

スタスタ…

召喚士「あ、ここ…かな?」

魔道士「壊れてますけど…いいんですかね?」

ガチャガチャッ…

召喚士「あー…。酒瓶もほとんど割れてしまってますね…」

召喚士は無事である3本の程の酒瓶を両手で抱え、食糧庫を後にする。

召喚士「これなら一人でも良かったですね!ははっ…すみま……」

グイッ…

魔道士は背後より召喚士の服を引っ張り、悲しげな眼で唇を尖らせている。
477 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 03:14:31.16 ID:.G.DzEEo
召喚士「ま…魔道士…さん…?」

召喚士は身動き取れず、正面を向いたまま魔道士へ問いかける。

魔道士「………」

召喚士「あ…あの…っ…」

魔道士「……うっ…うぅ……っ」

召喚士「ま、魔道士さん!?」

魔道士「ご…ごめんなさ…っ…!」

召喚士「い、いやっ!えぇと…!!」

召喚士は慌てて振り返り、心配そうに魔道士の顔を覗き込む。

ギュッ……ゴトゴトッ…

魔道士は召喚士の胸に顔を埋め、嗚咽を漏らす。

驚きのあまり、召喚士が手放した酒瓶が床を転がる。

召喚士「……魔道士…さん…?」

魔道士「ごめんなさいっ…!私…私っ…!!」

魔道士は召喚士の胸元をぎゅっと握り、涙を流した。
478 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 03:18:43.05 ID:.G.DzEEo
大軍師「えっ!?もうお酒がない…?」

青年兵「は……はい」

左翼長「さっきまで腐る程あったぞ…?」

青年兵「そ、それが……」

青年兵は背後を振り返り、あきれ顔で溜息を洩らす。

白虎長「じゃあ〜殿下はなんれ結婚しないわけですかぁ?」

占い師「ちょっともうっ!いい加減にしなさいよっ!!」

皇太子「は…ははっ、これは…参ったなぁ」

エリート「………はぁ」

白虎長「私は行き遅れてなんかいませんよぉ?仕事が恋人なのれす!」

皇太子「そ、そうか…!それは結構…」

白虎長「だーかーらー…結婚は関係ないの〜!」

占い師「結婚じゃなくて結構!!け・っ・こ・う!よっ!!」

左翼長「……ひとっ走り食糧庫まで…酒取って来てくれや」

青年兵「………はい」
479 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/15(土) 03:44:18.47 ID:.G.DzEEo
もうほとんど大団円的な感じなんですが…睡魔が…
ここまでにて…申し訳ありません!次でおそらく!ノシ

〜オマケ〜

カチャッ

魔道士「わぁ…っ!広〜い!!」

占い師「…なかなかのものでしょ?ふふっ!」

魔道士「はいっ!エヘヘッ!!」

スタスタ…パシャッ…ザバザバッ

白虎長「うー…痛い〜!!」

バイーン

盗賊「…だ、大丈夫…ですか?」

ボイーン

占い師「…で、でかいわね」

魔道士「お、大きいですね…」

白虎長「へ…?」

盗賊「…何…か?」

占い師「……私も…小さくはない…はずだけど」

フニフニ…

魔道士「………うぅ…っ」
480 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 04:30:13.06 ID:znW0SEDO
超乙

マジシャンめ……いいおっさんだなー
481 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 04:36:27.97 ID:F8SWCkDO
>>1乙!
遅くまでお疲れ様!
マッハストリームの人達の事言われるまで完全に忘れてたぜwwww
482 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 09:25:59.77 ID:fseDx7s0
乙!
遂に魔道士と召喚士のいちゃいちゃか…
483 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 10:12:23.06 ID:JF1Yo0Y0
乙!超乙!
484 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 10:43:23.00 ID:WOY0/sSO
焦らし上手乙
485 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 11:46:54.28 ID:WyrgQADO
乙!
いつもながらタイミングがいやらしいですね
褒、褒めてなんかいないんだからね!
486 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 19:52:11.39 ID:haeomMDO
wwktk
487 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 23:17:59.82 ID:.G.DzEEo
テクテクテク…

青年兵「えぇと……ここを曲がって」

テクテク…ピタッ

青年兵「……っ!?」

ササッ

青年兵(……し、召喚士さんと・・・魔道士さんっ!?)

魔道士「召喚士さん…っ!私…っ…」

召喚士「ど、どうしたん…ですか!?」

魔道士「ごめんなさい…っ、ごめんなさっ……うぅっ…!」

召喚士「おっ、落ち着いて下さい…!一体何が……」

魔道士はポケットから取りだし、召喚士へ恐る恐る突き付ける。

召喚士「あ…っ、これ………」

魔道士の白い手にぎゅっと握られたショール。

それは泥水と埃にまみれ、所々に焼け焦げたような後を残し、痛んでいた。

魔道士「ふ…うっ……うえぇ…っ!!」
488 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 23:19:22.44 ID:.G.DzEEo
魔道士は泣き顔を見られたくないのか、召喚士の胸に顔を埋め泣きじゃくる。

魔道士「召…喚士さんにっ、も…もらったのに…っ!私…私っ…!!」

召喚士「魔道士さん……」

魔道士「雨降ってきたから、すっ…すぐ…閉まって…なのにっ…ひぐっ!」

召喚士「魔道士さん…気にしないで下さい」

魔道士「ごめんなさいっ…せっかく、召喚士さんが……」

召喚士「また買えばいい話ですし…な、何より……」

魔道士「……ふぐっ……ひぐぅ…!!」

召喚士「魔道士さんが無傷なら…俺は、それで……」

魔道士「……ううぅっ……召喚士さぁん…!!」

召喚士「だ、だから……大丈夫ですからっ。ははっ…」

魔道士「うああぁん……!うっ……ふぐぅ…っ!!」

召喚士「………」

召喚士は両手を広げ、魔道士を抱き締める。

……つもりであったが、緊張のためか身体がうまく動かず、両腕は下がったままであった。
489 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 23:24:18.60 ID:.G.DzEEo
ドキドキドキドキドキ…

青年兵「………」

ソーッ……タッタッタッタッタ…

青年兵(み…見てはいけないものを見てしまった…!!)

タッタッタ…テクテクテク…

青年兵(でも…あのお二人なら…お似合い、だなぁ…)

テクテク…

青年兵(早く平和に暮らせる日が来れば……いいな…)

テクテク…ピタッ

青年兵(………恋人、か)

青年兵は空を見上げ、一つ大きく溜息を吐いた。

青年兵「あ…っ、お酒……」

キョキョロ……

青年兵(遠いけど、反対側の食糧庫まで行くか…)

クルッ…タッタッタッタッタ…
490 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 23:27:21.72 ID:neheMIko
初々しい恋って見てて楽しい
同時に空しくなってくる
491 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 23:34:09.44 ID:.G.DzEEo
テクテクテク…

青年兵「えぇと……ここを曲がって」

テクテク…ピタッ

青年兵「……っ!?」

ササッ

青年兵(……せ、戦士さんと…盗賊さんっ!?)

盗賊「………」

戦士「わ…悪…かった」

盗賊「……別に」

戦士「……」

盗賊「……」

戦士「も、戻るか…」

盗賊「………うん」

戦士は一つ背伸びをし、歩き出す。

盗賊「……ね、ねぇ」
492 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 23:37:22.64 ID:.G.DzEEo
戦士「んー?」

盗賊「………」

戦士「…何だよ?」

盗賊「……え、えっと……その」

戦士「………?」

盗賊「…おっ、お前は…好きな人とか…い、いるの…か?」

戦士「はぁ!?」

盗賊「…いやっ!あ、あの…ごめんっ!!」

タッタッタッタッタ…

戦士「…いるよ」

ピタッ…

盗賊「……え…?」

スタスタスタ…

盗賊「…え、えと…あのっ」

戦士「……お前」
493 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 23:40:17.87 ID:Yt86GbAo
さすが戦士、俺たちに言えな…
皆言ってるなそういえば。
494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/15(土) 23:40:29.32 ID:pMN3wUDO
青年兵は、青龍だけにスネーク要員なのか?
495 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/15(土) 23:48:44.35 ID:.G.DzEEo
盗賊「っ!!!!」

戦士「…なーんてな。はははっ!」

盗賊「………」

戦士「ほらっ、行くぞ!」

盗賊「…あっ。……うん」

スタスタスタ…

戦士「でも…頼りになるし…カワイイとこあるぜ、お前」

盗賊「…っ!!」

戦士「何うつむいて……顔赤……」

盗賊「………うぅ」

戦士「い、いやっ!あのっ!そ、そういう意味じゃなくて…っ!」

盗賊「……う、うんっ!大丈夫!」

戦士「だ、大丈夫って何だよ!?いや…つーかあの……」

盗賊「……えっ!?あっ!……こちらこそ…そのっ!」

二人はしばし赤面でやりとりを続けたが会話にならず、やがて沈黙のまま歩き続けた。
496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/15(土) 23:50:31.14 ID:EOWG8tQ0
青年兵がかわいそうになってきた
弓使いみたいな可愛い子を登場させてあげて下さい
497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:07:57.52 ID:9iog7Wgo
>>496
そこで白虎嬢とかですよ。
そういや白虎嬢って家族が国軍とか言ってたけど白虎長の娘なのかな?
498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:09:44.79 ID:RRcUBf2o
>>497
>>478を見てみな
499 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:11:07.26 ID:9iog7Wgo
>>498
すまん、流れで未婚だって分かってたな。
ついベヒーモス呼び出すから勘繰ってしまった。
500 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:12:02.26 ID:NWuF9Y2o
しっかり者の青年兵君とちょっとぬけてる白虎嬢か……これは来たかもしれん

結婚してなくても子供は作ったという可能性もあるぜ。ヤリ捨てとか結婚前に死別とか
501 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:14:24.50 ID:ciWy4u6o
>>500
そういうことをいうのはやめようか




502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:21:37.08 ID:rGygK2DO
召喚士さんはヘタレですなぁ
503 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:36:53.61 ID:1QqazmE0
お前ら…
親戚とか姉妹とかっていう思考はないのか?


さらに言えば
白とら長:35才
白とら嬢:18才
という設定あるんやで
504 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 00:39:32.11 ID:GDmK1jMo


マジシャン「遅っせぇなぁ…!」

バーテン「あ…?」

マジシャン「酒だよ、酒!」

騎士長「え…!?」

マジシャン「食料庫なんてすぐそこじゃねーか…」

騎士長「お前…ワザと行かせたんじゃなかったのか…?」

マジシャン「はぁ!?何で俺がそんな真似すんだよ…」

騎士長「何だよ…てっきり若い奴らへの世話焼きかと思っちまったぜ…」

バーテン「そうに決まってんだろ。何照れ隠ししてんだよ」

マジシャン「ゴチャゴチャうるせぇなぁ…」

バーテン「他人事は放っておけないんだよな。自分は失敗…」

マジシャン「うるせぇ!!」

騎士長「あー…。そっかぁ…」

マジシャン「うるせえぇー!!」
505 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 00:44:21.37 ID:GDmK1jMo
テクテクテク…

召喚士「も、戻りました」

マジシャン「いよっ、待ってました!んで…どうだった…?」

召喚士「あ、はい…」

召喚士は手にした三本の酒瓶を手渡す。

マジシャン「あ、うん……

バーテン「ん?嬢ちゃんはどうした?」

召喚士「あ…ちょっと体調が優れないそうで…。部屋に戻りました」

バーテン「……そっか」

召喚士「とりあえず寝て落ち着いてくれれば…」

騎士長「落ち着く…?」

ゴンッ!!

騎士長「いってぇ…!」

マジシャン「……黙ってろ」

騎士長「な、何なんだよ…ったく」
506 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 00:48:52.02 ID:GDmK1jMo
スタスタ…

戦士「ただいま…」

盗賊「……」

召喚士「あ、おかえり」

マジシャン「……コッチも…ダメ…か」

戦士「…?」

マジシャン「何でもねぇ…。ほら、飲み直しだ!」

マジシャンは酒の蓋を開け、戦士へ器を渡し、酒を注ぎ入れる。

マジシャン「ま、若いうちは色々あるさ…お二人さん」

召喚士「は、はぁ…」

バーテン「説得力あるな…」

マジシャン「てめぇはいい加減にしろよ…?」

バーテン「…・悪かったよ」

騎士長「がはははっ!!」

戦士「……?」
507 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 00:51:44.88 ID:AgWI0Bwo
はがゆいいいいいいい
508 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 00:56:25.81 ID:GDmK1jMo
青年兵「いやぁ…、参った参った……」

エリート「戻ったか。遅かったな」

皇太子「済まなかったな」

青年兵「いえいえっ、南の食糧庫まで行っておりまして…」

エリート「南?北の食糧庫にはなかったのか?」

青年兵「!?…あっ、な…何故か食糧庫が壊れており…酒も…」

皇太子「そういえば戦いにおいて破壊されたと言っていたな…。これは申し訳なかった」

青年兵「いえっ!滅相もっ…」

青年兵は恐縮し、手にした酒を皇太子に告ぐ。

皇太子「気を遣わせてしまったな…。すまん」

青年兵「いえっ…!それより…もう大丈夫です…か?」

エリート「…?ああ、彼女か…!彼女ならほら…そこに…」

エリートは背後を指差し、その先を見つめた青年兵は、深い溜息をつく。

白虎長「あんな男いいのよっ!殿下と結婚しちゃえば…玉の輿でうふふ〜っ!」

占い師「はいはい…。でもアンタの未来はね、ま……いいか…」
509 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 01:05:39.46 ID:GDmK1jMo
トクトクトク…

青年兵「でも、殿下はご結婚されないのですか…?」

皇太子「……ふむ。まぁまだ焦る歳でもないしなぁ…」

青年兵「こ、これは失礼を…!」

皇太子「気になる人は…いるかな」

青年兵「そうなんですか?」

皇太子「以前、一目見た時にどうにも気になってしまってなぁ」

エリート「一目惚れ…というやつですね

皇太子「ただその方も…誰かのフィアンセだしなぁ…」

皇太子はちらりとエリートを見つめる。

エリート「!?」

皇太子「まことに残念…」

エリート「親同士が…決めた事ですから」

皇太子「そうなのか?それなら私にもチャンスが……」

青年兵「…いや、失礼ながら…ないかと思われます」
510 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 01:09:41.08 ID:rGygK2DO
青年兵wwwwww
511 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 01:10:24.43 ID:GDmK1jMo
皇太子「そう…なのか?」

青年兵「あの方には…常にお傍でお守り下さる方がいらっしゃいますから…」

エリート「………」

皇太子「……そうかぁ」

青年兵「ええ」

皇太子「彼女を見てると…なんだか不思議な気持ちになるんだよな」

エリート「…素敵な方です」

青年兵「……」

皇太子「まあそれなら仕方ないか…。しばらくは独身だな。はははっ」

皇太子は手にした酒を一気に飲み干し、立ち上がる。

エリート「…どちらへ?」

皇太子「ああ、守兵を労ってくる」

皇太子は酒瓶を持ち上げ、笑顔を見せる。

青年兵「それならばお供致します」

皇太子「いや、大丈夫。ゆっくり楽しんでくれ」
512 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 01:14:11.37 ID:AgWI0Bwo
青年兵、エリートの前でその発言はしどい
513 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 01:16:00.57 ID:GDmK1jMo
テクテクテク…

青年兵「……」

エリート「殿下はな、いつも自分と戦っておられるのだ」

青年兵「…?」

エリート「知っての通り、皇族は魔道系の家柄……」

青年兵「…ええ」

エリート「しかし、殿下はその中でも異端でな…。魔法が一切使えないのだ」

青年兵「そう…なのですか!?」

エリート「ああ。だからなのか…幼い頃よりひたすら武芸を磨かれていてな…」

青年兵「道理で…お強いわけだ」

エリート「魔法以外の事に関しては超一流だよ。剣に兵法に…政治も」

青年兵「……」

エリート「あの方の心中をお聞きした時…私は一生この方に付き従うと決めた」

青年兵「エリート様……」

エリートは目を細め、ゆらゆらと揺れる器の中の酒を見つめた。
514 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 01:22:17.19 ID:GDmK1jMo
エリート「出来れば…恋愛も成就させてあげたいところだが…」

青年兵「…宜しいのですか?」

エリート「いやっ、魔道士さんは私の事をフィアンセとは、もう思われていないよ」

青年兵「……」

エリート「君の言う通りさ。彼女に必要なのは、常に傍にいてあげられる事の出来る者…」

青年兵「す、すみません…」

エリート「良い…。全てを捨て、再び冒険者の道を選んだ彼女は…本当に強いよ」

青年兵「エリート様…」

エリート「結局私は…家も軍も捨てる事など出来ない…」

青年兵「……」

エリート「そう…。直接援軍に伺う事すらも…な」

青年兵「しかし…それは…」

エリート「まぁそういう事さ。あ…そうだ青年兵くん」

青年兵「は、はいっ!」

エリート「婚期…というものは逃がさない方が良いぞ?年を取るのはあっという間だ!あははっ!」
515 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 01:44:02.90 ID:GDmK1jMo


マジシャン「いやぁ…!飲んだ飲んだ!!」

戦士「明日への活力ってやつかな!はははっ!」

副司令官「さて、お開きに致しますかな」

皇太子「うむ。皆の者、此度は本当にご苦労であった」

召喚士「……」

皇太子「明日よりまた…気を引き締め、それぞれの任務にあたって欲しい」

エリート「……」

皇太子「今日はゆっくり休んで、疲れを癒すように!以上!」

占い師「ほら、行くわよ…?」

白虎長「へぇ〜い…」

戦士「さて、俺らも行くか…」

召喚士「うん…」

参謀「…あの」

大軍師「……うむ」
516 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 01:49:05.07 ID:GDmK1jMo
テクテクテク…

大軍師「それで…どうであった?」

参謀「仰せつかった通り、動きを調べましたが…」

大軍師「……」

参謀「北方には特に内通者は居らぬかと思われます」

大軍師「…・そうか。ご苦労様」

参謀「や、やはり、内通者は…」

大軍師「ああ。間違いなくいる…」

参謀「…そう…ですか」

大軍師「北方を頼んだぞ」

参謀「はい…っ!あ、あの……」

大軍師「……?」

参謀「兄上も…お気を付けて……」

大軍師「ああ、ありがとう。お前もな…」

曇り顔の参謀を横目に、大軍師は微笑み、その場を後にした。
517 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 01:54:01.66 ID:GDmK1jMo
北関より北部に位置する山脈。その一角…結界石が打ち込まれた場所。

パカラッパカラッパカラッ…

フンババ「………うぅ」

パッカパッカ…スタッ…

フンババ「おで…待ってました」

将校「………」

馬を寄せ、将校がフンババの元へ近づいた瞬間、フンババの体が二つに分かれる。

フンババ「……!?」

将校「!!」

ザシュッ…ドンッ!!

将校「な…何故お前がここに…!?」

ザッザッザ…

天才「さぁな〜。何でだと思う…?」

将校「くっ…!!」

天才「……裏切り者は…てめぇだな?」
518 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 01:57:22.53 ID:GDmK1jMo
将校は慌てて剣を抜くが、その剣は瞬時に弾かれ、地面へと突き刺さる。

チュインッ…ヒュンヒュンヒュン…サクッ

将校「っ!!」

ガシッ!!

天才「お前が指示したとは思えねぇ…。吐け」

将校「……ぐ…っ!」

天才「親玉は誰だ?」

将校「………」

天才「言わねぇと…命はないぞ」

チャキッ…

将校「………ふ、ふんっ!!」

天才「!?」

取り押さえられた将校は、口から血を流し息絶えた。

天才「……舌噛み切りやがったか…くそっ!」

天才は身体を起こし、ツヴァイハンダーを担ぎ上げ、舌打ちを鳴らす。
519 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 02:03:50.09 ID:GDmK1jMo
天才「仕官が口割らねぇとなると…更に上か」

ザッザッザ…

天才「あーめんどくせぇ…」

天才の元へ一頭の馬が駆け寄ってくる。

パッカパッカパッカ…

親衛隊「……ワーカーの方、か?」

天才「見ての通りだ。内通者は口を割らずに命を絶った」

親衛隊「そう…か」

天才「皇太子に言われて、つけてたんだろ?」

親衛隊「……いかにも」

天才「言っとけ。主犯は高位だってな」

親衛隊「………」

親衛隊は地に倒れる将校とフンババの姿を見つけ、言葉をなくす。

親衛隊「あ、あんた一体……」

ようやく声を出し振り返ると、そこに天才の姿はなく、ただ深い森だけが広がっていた。
520 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 02:08:17.12 ID:GDmK1jMo
〜北方司令部〜

北方兵「………!!」

テクテクテク…

魔道兵「ど、どうした…?」

北方兵「これを……っ」

北方兵は破損した墓地の一角を指差す。

魔道兵「あぁ…こりゃヒドイ。急いで修復を…」

北方兵「遺体が……ないんだよっ!」

魔道兵「…何だと!?」

バッ!!

魔道兵「…二か所!誰の墓だ!?」

北方兵「……元司令と、ワーカーのものだ…」

魔道兵「ワーカー?ああ、先日のトロル戦の……」

北方兵「一体何故…!?」

二人はしばし呆然と、掘り返された墓の前に立ちつくした。
521 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 02:14:19.40 ID:GDmK1jMo
ヒュンッ…ストッ……

ネクロマンサー「やあ、お帰り」

魔剣士「………」

ネクロマンサー「任務ご苦労様」

魔剣士「……いえ」

ネクロマンサー「すまないが、一つ持ってくれないかな?」

ネクロマンサーは二つの布に包まれた大きな荷物を見つめ、笑う。

ネクロマンサー「なかなか素晴らしい素材が二つもあってね。欲張ってしまったよ…ククッ」

魔剣士「………」

魔剣士は黙って、一つのそれを担ぎ上げる。

ネクロマンサー「さざ戻ろうか。どうやら伯爵も駄目だったようだし…」

魔剣士「…はい」

ネクロマンサー「やはりオーケストラは、優れた指揮者でないと…駄目ですねぇ。クククッ!」

魔剣士「………」

ネクロマンサーを追うように魔剣士が後に続き、二人は森の中を北へと消えて行った。
522 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 02:18:21.78 ID:11JfCAAO
>>493
吹いたwwwwww
523 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/16(日) 02:31:38.09 ID:GDmK1jMo
この日、国軍が総力を挙げて達成した任務は、

この先、長い魔族との戦いにおいて大きな成果を挙げる事となる。

しかし、それはまだ…先の話である。



第一次北伐(結界石設置、及び魔王軍鎮圧作戦)

国軍:死者104名、負傷者221名(重軽傷)

ワーカー:死者不明、負傷者7名(重軽傷)、行方不明4名

魔王軍:死者、及び負傷者多数(未調査)

国軍の記録には以上のように残されている…。



〜第十五部、完〜
524 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 02:35:51.65 ID:RRcUBf2o
ついに十五部も終わったか…
>>1
この話の終わりは見えないなー
525 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/16(日) 02:36:41.35 ID:GDmK1jMo
こんばんは!なんとか終わりましたー!
あとはいつも通りの後日談&次のプロローグ的な感じで…

青年兵は…きっといい事がある…ハズ…
白虎長と白虎嬢の関係は……そのうち出るかと思います!

第十六部はバトルばかりだったので久々にまったりな感じでいこうかと思います!
引き続き、ご支援よろしくお願いします!ノシ
526 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 02:39:23.67 ID:11JfCAAO
>>1乙!


魔導師ちゃんが少し遠くに行っちゃった気がして寂しいが可愛いからしょうがない


てか、スパイがどいつか全くわからんな
将軍って、ミノさん討伐の頃から登場してる人だったっけ?
だとしたら尚更…
違うならアルツハイマー乙とでも煽ってくれ
527 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 02:39:47.53 ID:Z.RG3ds0
528 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 02:45:16.64 ID:1QqazmE0
>>526
そのとおり。将軍と青年兵と左翼長は国軍の中では一番話に出てる。

しかし…北伐は国滅ぼすフラグだよなぁwww
529 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 03:01:54.02 ID:UeZhTcDO
>>1乙!
15部は読みごたえがあって本当に面白かった!

青年兵の倉庫巡りのくだりは食事しながら見てて噴いてしまったぜwwwwww
>>1の話の登場人物はみんな魅力的だよな!
今回の話でマジシャン、バーテン達歴戦の猛者達や魔法剣士の話がたくさん出てきて、より魅力的に見えるようになってきた!

これからもみんなの活躍を楽しみにしてるぜ−
15部完 お疲れ様でした!!
530 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 03:12:39.69 ID:D0XixMAO
トロル戦のワーカーって誰だっけと過去ログ漁って、お父だと思い出した
二重の意味で涙が出てきた

…あれ?北方司令ってどんな人だっけ
やばい俺の脳機能してない終hる

誰かどんな方だったか教えてくだしあ
531 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 03:31:03.75 ID:rGygK2DO
乙っした!!!
532 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 03:42:27.83 ID:9iog7Wgo
>>530
トロル戦で死んだ人。
3方に分かれたトロル部隊のうち本隊にぶつかり負傷。
戦闘終了後召喚士や左翼長等に見守られて没する。
533 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 05:47:52.91 ID:iIA2Sh.o
年上のおねぇさまx若い純情な男の子なんて贅沢言わないから
次こそは白虎長に朗報がありますように
534 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 06:15:16.50 ID:fRGCqwSO
召喚士が知らぬ間に着実に魔翌力増えてるな

早く四聖獣召喚が見たいけど…焦らされるのもいいかも////
535 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 07:41:41.49 ID:SVFM4MAO
>>1
15部乙です


雷忍?のおまけ楽しみにしてる
536 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 09:03:42.12 ID:RVYUaoDO
>>1
乙っす

俺は最低だ。
みんなでワイワイ騒げて良かった、って思ったが眼鏡の事を忘れてた
537 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/16(日) 09:03:44.78 ID:GDmK1jMo
おはようございます!今日はちょっと更新出来ないかもなので
予めご報告のみ…すみません…orz

あと、十五部は時系列とかおかしな事になってる部分もありますが、
こまけぇことは…でお願い致します…!

>>526
推理小説の犯人のようにうまく隠しつつ、
話のスパイスになるといいですね!…ス、スパイだけに

>>527
ありがとうございます!!

>>528
この話の北伐は五虎長+三軍師+君主健在状態です!

>>529
ありがとうございます!嬉しいです!
これからも魅力あるキャラが出せるよう頑張ります!

>>530>>532
初代北方司令はお父と一緒に戦士しました…
第十二部の最後らへんを見て頂ければ!

>>531
ご支援感謝です!!

>>533
なんとかしてあげたいですね…5年後だと40…ですもんね…

>>534
もうそろそろ召喚獣の秘密も少しずつ明らかに…?

>>535
ありがとうございます!ちょっとずつ書き進めております!
538 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/16(日) 09:06:55.83 ID:GDmK1jMo
>>536
ありがとーございます!!
どうしようかと思ったのですが…そのままにしておきました
心境考えると、あんな後じゃ顔も出し辛いかなぁと…ごめんね眼鏡…
539 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/16(日) 11:15:52.76 ID:JejMC6DO
>>1
いちゃいちゃもっと見たいです
540 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 11:42:21.77 ID:3Y0qAoA0
戦士する「動詞」センシスル 
541 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 17:36:43.85 ID:EiAJlEDO
意味 さまざまなフラグを立てること
542 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 19:26:19.00 ID:3Y0qAoA0
※ただしイケメンに限る
543 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 20:19:33.34 ID:DOEybbso
例)
あいつは「基地に帰ったらプロポーズをする」と戦士ったので墜落してしまった
544 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 20:35:41.96 ID:6cxrAnY0
>>543
それ死亡フラグじゃん
545 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 20:39:02.71 ID:DOEybbso
>>544
イケメンは氏ねとは思わないのかね?
546 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/16(日) 22:33:40.88 ID:h.OmD1k0
>>543訂正
墜落→戦死
547 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 04:14:54.18 ID:oKckZVAo
ネクロマンサーってゲマの色違いだよな・・・
548 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 04:29:46.32 ID:8m/5vASO
マジシャンは若い頃戦士ったけど残念な結果に終わったみたいだな
549 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 06:57:59.71 ID:aIHqUqI0
俺も若い頃戦士っなぁ…
あの頃の俺ぶんなぐりにいきたい
550 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 11:08:38.08 ID:xXf5cAAO
今来たけどもしかしてママレさんの作品?
551 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 11:46:02.65 ID:2ZtXMcAO
ママレ信者うぜえ
552 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 11:55:50.16 ID:AgbKx3s0
ママレじゃない。別人。
553 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 12:32:40.99 ID:xXf5cAAO
すまんこ 一生ROMってます
554 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 13:43:37.06 ID:aIHqUqI0
あいつならときどきママレを勧めてくるからちがうでしょ
確かにうまいけどさ
555 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/17(月) 17:38:51.07 ID:HguAcroo
こんにちは!月曜日は手ごわいですね…

>>553
そう仰らずどんどん書いて頂いて結構ですぜ!

雑談でも予想でもキャスティングでも個人的にはウェルカムです!
他の方のご迷惑にならないように…ですね…すみません↓続き
556 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:39:21.78 ID:HguAcroo
戦士「……」

召喚士「……」

テクテクテク

戦士「どうだった?」

盗賊「……」

盗賊はただ無言で首を横に振る。

召喚士「そうですか…」

戦士「もう昼だぜ…。いつまでもここにいるわけにゃ…」

カチャッ…キィ…

魔道士「すみません…。お待たせしました……」

召喚士「魔道士さん、大丈夫…ですか…?」

魔道士「……」

盗賊「……」

魔道士「ごめんなさい…。行きましょう」

召喚士「……え、ええ」
557 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:41:09.95 ID:HguAcroo

「行けっ!コカトリス!!」
   〜第十六部〜
558 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:42:00.71 ID:HguAcroo
〜数時間前〜

ガサゴソ…

戦士「……ん」

召喚士「あ、ごめん…。起こしちゃった?」

戦士「おお、おはよう…。もう朝かぁ…」

召喚士「おはよう。まだ寝てて大丈夫だよ」

戦士「……よいっしょ。…ん?」

召喚士「ああこれ?日記というか……」

戦士「マメだねぇ」

召喚士「戦士も書いたら良いのに…」

戦士「なんかガラじゃなねーしなぁ…」

召喚士「親父さんだって書いてたじゃん」

戦士「ま、まぁ…。それを言われると…」

召喚士「はははっ」

戦士「……今回の事でも書いてんのかい?」
559 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:44:16.61 ID:HguAcroo
召喚士「うん。規模の大きな戦いだったし…色々気になる事もね…」

戦士「…?」

召喚士「いや、こっちの話。ごめんごめん」

戦士「おっ、それって……」

召喚士「うん」

召喚士は手帳に挟まった、古びた札を戦士へ手渡す。

戦士「東方の式神かぁー!懐かしいなぁ!」

召喚士「うん。名代さん達、元気かなぁ」

戦士「そういやサモナーさんからも連絡なしだわな…」

召喚士「うん…。やっぱり難しいのかもね…」

戦士「こっちから一度行ってみっか?」

召喚士「あ、それもいいかもしれないね!」

戦士「玄武娘の事も…早めに伝えておかにゃならんだろうし…」

召喚士「あ……っ…」

二人は顔を見合わせ、苦笑した。
560 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:44:50.89 ID:HguAcroo
テクテクテク…

召喚士「あっ、おはようございます」

大軍師「これは先生。お早いですね」

召喚士「先生はちょっと…。大軍師さんこそ早いですね」

大軍師「早いと言うか…寝ておりません。ふふふっ」

召喚士「!?」

戦士「酒宴の後もずっと起きてたんか…?」

大軍師「戦前処理を含めると…もう5日くらいですかねぇ…ふふふっ」

召喚士「た、大変ですね…」

戦士「ご苦労様です…」

大軍師「いえいえ。まぁ、これが務めですので…」

召喚士「ご自愛下さい…。もう戻られるんですか?」

大軍師「午前中には本国へ戻りますよ」

戦士「それはお疲……」

大軍師「私は別の任務があるのでまだですが…。ふふふふふっ…」
561 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:45:16.47 ID:HguAcroo
召喚士「お、お気の毒に……」

大軍師「ふふふふふー」

戦士「じゃ、じゃあ失礼します!」

戦士は召喚士の腕を掴み、二人は大軍師の元を立ち去る。

大軍師「…ふー」

スタスタスタ…コンコン

大軍師「失礼致します」

皇太子「うむ」

大軍師「此度の戦いにおける報告書です」

皇太子「ご苦労様」

パサッ…パラパラ…

皇太子「…ふむ。ご苦労だった」

大軍師「はっ。あと…許可を一つ頂きたいのですが」

皇太子「何だろう?私に出来る事であれば…」

大軍師「免罪の手続きを一件承認頂けますでしょうか?」
562 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:45:43.62 ID:HguAcroo
大軍師は一枚の紙を机に置く。

皇太子「免罪…?」

ヒラッ

皇太子「…成程。そういう事であったか」

皇太子は紙面を確認すると、即座にペンを取りサインする。

大軍師「……即決ですね」

皇太子「ん?マズかったかな?」

大軍師「いえいえ。ありがとうございます」

皇太子「総司令の指示を仰がなくても宜しいのか?」

大軍師「あの方には私が全権をお借りしてますので…」

皇太子「そうなのか…。ならば結構」

皇太子は紙を大軍師へと手渡す。

皇太子「本国隊は10時に進発する。国軍はどうする?」

大軍師「同時刻にて。副司令官殿にお願い致します」

皇太子「君は…?ああ、それか…」
563 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:46:11.44 ID:HguAcroo
大軍師「はい。このまま処理を終わらせて参ります」

皇太子「居場所は掴めているのか?」

大軍師「彼らの特徴を聞くに、まず間違いないかと」

皇太子「…ならば良し」

大軍師「はっ。それでは……」

カツカツカツ…

皇太子「あ、そうだ」

大軍師「……?」

皇太子「一つ伺っても…いいかな?」

大軍師「…何でしょう?」

皇太子「…もし我らの中に、魔王軍と通じているものがいる…」

大軍師「………」

皇太子「そう言ったら、君は信じるかな?」

大軍師「……恐れながら」

皇太子「ははっ、直球すぎたかな」
564 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:46:40.29 ID:HguAcroo
皇太子は席を立ち、大軍師へ一枚の報告書を見せる。

大軍師「……!!」

皇太子「我が親衛隊による報告書だ」

大軍師「そうですか……。将校殿が…」

皇太子「勿論これは蜥蜴の尾にすぎない…」

大軍師「……ええ」

皇太子「済まんな。苦労を掛ける」

大軍師「とんでも御座いません。しかし…まさか本国にまで…」

皇太子「……」

大軍師「…『小覇王』と謳われる殿下も、外征が厳しくなりそうですね…」

皇太子「ううむ。まぁその時は諸君らに頼るさ。はははっ」

大軍師「…ふふっ。あまり無茶しすぎると、こちらの方の寿命が心配ですよ?」

大軍師は扉を開け、外で待機するエリートの顔を見る。

エリート「っ!?」

大軍師「お待たせいたしました。私はこれにて……」
565 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:47:08.64 ID:HguAcroo
テクテクテクテクテク…

皇太子「どうした?」

エリート「えっ、あ…朝食の準備が整いましたので…」

皇太子「そうか…。では行くとしよう」

皇太子はマントを羽織り、エリートと共に部屋を後にした。

〜大広間〜

戦士「すっげ……」

召喚士「う、うん…」

テクテクテク…

戦士「おう、おはよう」

盗賊「…おはよう」

召喚士「おはようございます。あれ…魔道士さんは?」

盗賊「…まだ…寝てる」

召喚士「そうなんですか…!?」

戦士「昨日の今日だし疲れちまったんかね?」
566 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:47:49.59 ID:HguAcroo


長テーブルの上へ、次々と料理が運ばれ、真っ白な布を鮮やかに彩る。

左翼長「今日だけだ。明日からはいつも通りだからな」

騎士長「だよなぁ…」

参謀「まぁ…当然ですよ」

バーテン「いいのか?俺も馳走になっちまって?」

将軍「勿論であります!!隊長!!」

バーテン「やめてくれ……」

左翼長「そういやマジシャンはどうした?」

バーテン「まだ寝てるよ」

騎士長「……もったいねぇ」

盗賊「……モグモグ」

占い師「そんなに食べて…よく太らないわよねぇ。羨ましい…」

青年兵「あれ…?白虎先生は…?」

占い師「まだ寝てるわ。……二日酔いでね」
567 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:48:18.97 ID:HguAcroo


戦士「あー食った食った〜!」

盗賊「…満足」

召喚士「じゃあ、今日にはもう…?」

青年兵「ええ。昼間へには出発致します」

召喚士「そっかぁ…」

青年兵「召喚士さん達は…これからどちらへ?」

召喚士「いや…。まだ全然決めてなくて…」

青年兵「そうですか…」

召喚士「きっとまた、どこかで会えるよね!」

青年兵「…もちろんですっ!」

戦士「お互い頑張ろうな!!」

青年兵「ええっ!それでは…!!」

盗賊「…また」

青年兵は笑顔で会釈し、大広間を後にする皇太子らに続いた。
568 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 17:58:53.98 ID:HguAcroo
戦士「さーて、俺達も…」

ダダダッ…バッ!!

マジシャン「………っ」

スタスタスタ…

バーテン「おう、もう終わったぞ」

騎士長「さ、部屋に帰ろ帰ろ…」

スタスタスタ…

マジシャン「…くっ!!」

占い師「起きるの遅いから……」

マジシャン「仕方ねーだろ…っ。朝…弱いんだから…」

占い師「何も……そんな涙目で…」

マジシャン「これが…運命だというのかっ!?なんという事だあぁ!!」

盗賊「………」

召喚士「……戻ろっか」

戦士「…おう」
569 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 18:04:20.95 ID:HguAcroo


戦士「んじゃ、頼んだぜ」

盗賊「…うん」

召喚士「具合が悪いようでしたら、何日いても良いそうなので…」

盗賊「…分かった」

盗賊は自室のドアを開け、中へと入っていく。

戦士「大丈夫かな…?」

召喚士「…だと…良いけど」

戦士「さて、荷造りしておくかねぇ」

召喚士「…?」

戦士「いつでも出られるようにな!」

召喚士「でも……」

戦士「…そんな弱い奴じゃないだろ?」

召喚士「うん…そうだね…」

戦士は召喚士の背中をポンと叩き、二人は部屋へと戻った。
570 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 18:40:13.53 ID:HguAcroo
〜マジシャン、バーテンの部屋〜

マジシャン「はぁ…」

バーテン「ほれ……」

バーテンはマグカップへコーヒーを注ぎ、マジシャンへ手渡す。

マジシャン「……はぁ」

バーテン「大体お前、朝食取らんだろ」

マジシャン「まぁねぇ……」

マジシャンはマグカップに口を当て、少しずつゆっくりとすすり始める。

マジシャン「あー…うめぇ」

バーテン「…そりゃあどうも」

マジシャン「アイツら飲みたがってたぜ?」

バーテン「店に来いって言っとけ…」

マジシャン「素直じゃないねぇ…ハッハ!」

バーテン「ああん?」

マジシャンは笑いながら、コーヒーをまたゆっくりとすすった。
571 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 18:52:08.94 ID:HguAcroo
〜北関南門〜

時刻はまもなく10時を迎えようとしており、

本国へと戻る兵達が整列して並び始める。

副司令官「では、出発する」

召喚士「気をつけて!」

青年兵「ありがとうございます!それではっ!」

青年兵は馬上にて敬礼し、隊列の先頭に位置する一角を進む。

パッカパッカパッカ…

エリート「…魔道士さんは?」

召喚士「あ…彼女ならまだ気分が優れないそうで…」

エリート「そう…ですか…」

戦士「……」

エリート「あ、あの……」

召喚士「…は、はいっ」

エリート「………魔道士さんを…宜しくお願い致します」
572 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/17(月) 18:55:26.20 ID:HguAcroo
召喚士「も、もちろんですっ!!」

戦士「……」

エリート「そ、それでは…っ」

パッカパッカパッカ…

戦士「召喚士もなかなかやるなぁ…!」

召喚士「え…?な、何がっ!?」

戦士「あーいやいや…何でもねぇ」

召喚士「…?」

戦士「意味分かって…返事してんのかねぇ…鈍感」

マジシャン「……お前もだよ」

戦士「…?」

マジシャン「よっしゃ!俺もボチボチ行くかな…!」

戦士「もう行くのか?」

マジシャン「女が待ってるんだよ!ハッハッハ!!」

戦士「いっつもそれだな…。だんだん嘘くさく思えてきた……」
573 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/17(月) 18:57:13.22 ID:HguAcroo
それでは帰ります!ありがとうでした!ノシ

ななばつ様!素早い更新いつも感謝です!
しかもなんだか地図まで増えてる…!助かりますっ!
574 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 19:07:56.55 ID:0B88C1go
>>1
マジシャンが俺の言いたいこと言っててワロタwwww
575 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 21:05:17.42 ID:8m/5vASO
>>1

ホントにまとめ早いなwwwwww
パワーアップイベント無いなぁと思ってたけど地味に力付けてきてたのか
576 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 22:21:11.63 ID:oc7VsBwo


召喚士パーティは鈍感のフリしてお互いの距離はかってるようにしか思えない
というか魔道士はどうしたんだ
577 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 23:05:15.45 ID:f5rS0sAO
魔導師ちゃんは召還士からのプレゼントが灰になって消沈してるんだよ

こんなとき俺が画面への入り方さえ知っていれば魔導師ちゃんを優しく抱きしめてあげられるのに…
578 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/17(月) 23:23:44.66 ID:BRFzJkwo
うん。
579 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/17(月) 23:28:27.85 ID:UOs5kdso
>>577
石になるか灰になるか
580 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 00:37:17.84 ID:.KRLLC.0
>>579
灰じゃなくて肉片じゃないか?
581 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 00:55:41.08 ID:KSPdH1Uo
お前らちょっと酷いぞ!
>>577は跡形もなく消えるんだから…
582 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 01:44:31.95 ID:DSp5dnUo
おまえらがそれほどまでにm(ryを愛しているとは思わなかった…感動した!


魔道士ちゃんは俺が幸せにするから、そっちは任せたぜ
583 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 01:47:39.87 ID:7BDshgw0
そういえば段々、拠点防衛や攻撃での死者が増えてるなぁ・・・
大型や魔王の直属クラスもちらほら出てきてるし、心配だ
584 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 02:15:22.89 ID:.KRLLC.0
投入兵力が増えればその分被害も増えるのは当たり前だよ。
むしろ作戦筒抜け+制空権も奪われてる中で被害が100ちょいってのは上出来。
伯符パネェっすwwwwww

これからは数千数万規模の大会戦が繰り広げられると思うと…

>>1の頭がスパークしないか心配である。
585 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 02:45:21.05 ID:wfmcWN20
何というか、魔王の直属クラスの強さパネェ
魔王軍に本当に勝つ気があるなら今回の戦いは直属クラスをあと3体各拠点に向かわせればそれで終了になってた
国軍は今までよく勝ってこれたな
586 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 02:56:02.63 ID:tLziLkAO
>>585
送り込まないのがRPGの常
587 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 06:55:09.56 ID:BXFppHc0
待ちかまえていてくれるわけだな
588 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 06:56:10.48 ID:eg28yJgo
マグネタイトが足りないんだよ
589 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/18(火) 07:49:11.44 ID:iJ37eOA0
>>585
お前のその言葉は全ての国産RPGを否定しているなw
590 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 12:34:41.55 ID:voj3usDO
復活ktkr
591 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 16:06:51.62 ID:bZmbRE60
きたぁっしゃ!
592 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 16:25:34.42 ID:lb.LsYDO
ぷっかつしたか
593 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 16:40:41.33 ID:GtvU.Iwo
なんだ、また月一のあれか
タイヘンだな
594 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 17:26:17.85 ID:iiDYPgAO
月一で変態とな
595 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 17:27:59.17 ID:4PMuA0so
こっち復活したけどVIP落ちてる
596 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 17:29:57.54 ID:ZmQn/YSO
ふっ、週一で変態する俺には敵うまい…。
597 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 17:30:40.24 ID:YxTf4I60
落ちてる間>>1はナニしているのだろうか…

月一で変態か
598 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 17:33:13.97 ID:vKf2wPco
今度はVIPが落ちたな。
サーバー移転の為らしいが。
599 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/19(水) 17:42:41.63 ID:vr5XKO.o
おお復活してましたね!こんにちは!


今回の戦いで魔王軍の目的はあくまで結界を阻止する事だったので、
特に拠点殲滅は考えておりませんでした…と思います
まぁRPG的なアレでお願い致します…!

>>597
仕事してましたよー。あとはゲームなどを…大した書き溜めもせず…

↓続き
600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:43:10.55 ID:vr5XKO.o
マジシャン「そんじゃ、またな」

召喚士「はいっ!」

戦士「オッサンも元気でな!」

マジシャン「おう。……あっ」

マジシャンは二人の首を両腕で抱え、小声で話しかける。

マジシャン「いいか?いくら強いからって女の子はナイーブなんだ」

召喚士「は、はぁ…」

マジシャン「お前ら男どもがしっかり守ってやんねーと駄目だぞ?」

戦士「お、おうっ…」

マジシャン「戦いの最中は気丈に振舞っちゃいるけど…」

召喚士「……」

マジシャン「緊張が抜けた途端、ふと精神的にきちまう時もあるからな」

戦士「魔道士の…事か……」

マジシャン「盗賊ちゃんもだよ。それはお前の役目だろ」

戦士「は!?……え、お…おうっ」
601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:43:36.63 ID:vr5XKO.o
マジシャン「お前らはまだ若い!色々と楽しめ!!」

バシッ!!

召喚士「いっ!!」

マジシャン「じゃあな!ハッハッハ!!」

マジシャンは声を上げて笑いながら、南門を抜け関を後にした。

戦士「な、なんだっつーんだよな!あのオッサン…はははっ!」

召喚士「う、うん……」

戦士「………」

召喚士「……」

戦士「に、荷造りに戻っか…」

召喚士「そ…そうだね」

テクテクテク…

戦士「守る…ただ身を挺して庇うとか、そういう事じゃないんだよな…」

召喚士「俺達がもっと…二人の事、分かってあげないといけないね…」

戦士「……だな」
602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:44:14.15 ID:vr5XKO.o
〜北関近くの街〜

副司令官「よし、ここらで良いだろう」

国軍兵「進軍停止ーっ!!」

ドドドッ…ザザッ…

青年兵「…?」

エリート「休憩のようだよ」

カツカツカツ

副司令官「殿下、どうぞこちらへ…」

皇太子「…別に休憩は要らぬよ。まだ大して進んでもおるまい」

副司令官「それはそうですが…今回は視察も兼ねておりますので…」

皇太子「戦だけというわけにはいかぬものよな…」

エリ−ト「まぁ…本来はこちらが殿下の業務なのですが…」

青年兵「……」

皇太子「それも…そうか。ははははっ」

エリートはがっくりと肩を落とし顔を右手で覆う。
603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:44:41.40 ID:vr5XKO.o
テクテクテク…

旦那「これはこれは、副司令官様!この度もご贔屓にありがとうございます!」

副司令官「おぉ、大商人殿。世話になるぞ」

旦那「とんでも御座いません!こちらこそお陰様で…」

副司令官「うむ…。仕事の話はまた後日…」

旦那「お願いしますぞ。お陰様でこの繁盛ぶりですからな!がははは!」

副司令官「本日は皇太子殿下もお越しなのだ。話はこの辺で…」

副司令官は背後で市民に手を振る皇太子を申し訳なさそうに見る。

旦那「おぉ!そうでしたか!これはまた宣伝になりますなっ」

エリート「こちらの席で宜しいのかな?」

旦那「奥に専用の席をご用意しております!貸しきりですぞ!」

青年兵「い、いいのですか?我らだけそのような…」

旦那「良いのです!皆様あっての民ですからな!がははっ!」

皇太子「……」

大笑いする旦那の後に続き、一同が奥の部屋へと入っていく。
604 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:45:08.63 ID:vr5XKO.o
皇太子「こういう所は…初めてだな」

エリート「君は?」

青年兵「僕もです…。どんな所なのですか?」

エリート「歌や踊りを見ながら、食事を楽しむ…。そんな所かな」

青年兵「高級酒場のようなものですか?」

エリート「そうだね。元は東方から入ってきた文化みたいだけどね」

皇太子「……詳しいな」

エリート「あっ、いえ!よく父に連れられて…ですねっ…」

皇太子「あははっ、分かっているよ。接待も大変だね」

エリートは恥ずかしそうに顔を赤らめ、下を向く。

テクテク…

店員「大変お待たせ致しました。ご注文を伺わせて頂きます」

副司令官「コーヒー。ブラックで」

エリート「同じく」

青年兵「僕も…同じで」
605 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:45:40.42 ID:vr5XKO.o
副司令官「殿下もご一緒で宜しいですかな?」

皇太子「……これ」

皇太子はメニューを指差す。

皇太子「スーパー…デラックスチョコパフェ?これを一つ」

店員「畏まりました。早急にお持ちいたします」

テクテクテク…

副司令官「……」

エリート「………」

青年兵「……」

皇太子「…ん?何だ?」

青年兵「あっ、い…いえっ別に…!」

皇太子「あ、そうそう。実は一つ頼み事があるのだが…」

副司令官「何でしょうか?」

皇太子「彼、うちに貰えないだろうか?」

青年兵「えっ!?ぼ…僕ですか!?」
606 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:48:46.59 ID:vr5XKO.o
青年兵は目を見開き、驚きの表情で言葉を返す。

皇太子「うむ」

副司令官「しかしっ、青年兵は青龍召喚隊の中核を担う者ですし…」

エリート「何より青龍先生に伺わなければなりませんな」

皇太子「でも軍制のトップは君だろう?」

副司令官「それは…そうですが…」

皇太子「転属でなくて構わんよ。今のまま出向扱いで良い」

副司令官「は、はぁ…」

副司令官は困惑の表情でか細い声を発する。

皇太子「青年兵、階級は?」

青年兵「はっ。曹長ですが…」

皇太子「曹長…!?てっきり士官かと思っていたよ」

青年兵「も、申し訳ありません」

皇太子「いやいや、それだけ将器があるといいう事であろう」

エリート「ええ。風格や実力は既に士官クラスですよ」
607 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:49:21.57 ID:vr5XKO.o
青年兵「そそ、そんな事…っ」

皇太子「二階級特進で少尉か…。うん、いいんじゃないかな?」

青年兵「へっ…!?」

エリート「戦功はどうします?」

皇太子「彼ぐらいなら…かき集めればなんとかなろうだろう。…ね?」

副司令官「そ、そうですね…。確認してなんとか致しましょう」

青年兵「と、特進…って……」

皇太子「おめでとう!青年兵少尉!」

エリート「今日から君も士官の仲間入りだ!」

青年兵「えぇっ!?そ、そんな簡単に…」

テクテク…

店員「お待たせいたしました。スーパーデラックスチョコパフェは…」

皇太子「ああ私だ。おお…これは美味そうだな!はははっ!」

エリート「で…でかっ…」

青年兵「すご…っ…」

皇太子は満面の笑みでスーパーデラックスチョコパフェを一口頬張った。
608 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:49:50.45 ID:vr5XKO.o
〜北関〜

戦士「もう正午かぁ…」

召喚士「うん…」

二人は自室で寝転び、ぼんやりと天井を眺める。

召喚士「魔道士さん…大丈夫かなぁ」

戦士「ちょっくら様子見てくっか」

召喚士「そうだね…」

コンコン

召喚士「あ、はいっ!」

召喚士がドアを開けると、そこには重そうな荷物を背負ったバーテンの姿がある。

バーテン「よう、先に戻るんで挨拶だけと思ってな」

召喚士「わざわざすみません…」

戦士「なんだ、もう行くのか?」

バーテン「お前らと違って、俺には店っつーもんがあるんでな」

戦士「そりゃそっか…。ご苦労さんな事です」
609 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:50:17.78 ID:vr5XKO.o
戦士はベッドに寝転びながら腕を上げ、振る。

戦士「てか…今回は何でまた来たんだい?」

バーテン「ほれ、これのついでだ」

バーテンは後ろを向き、背負ったリュックを見せ付ける。

バーテン「買出しだよ。買出し」

戦士「買出しで司令部まで来るかよ…」

バーテン「近くまで来たもんだから寄ったら…巻き込まれちまったよ」

召喚士「本当ですか…?」

バーテン「ああ。まぁ…後は…」

戦士「……」

バーテン「何だか久々に、戦友どもの顔を見たくなっちまってな…」

戦士「ふぅん」

バーテン「どっかの誰かさんが変な絵持ってくっからよ…」

召喚士「あ……っ…」

バーテン「なーんてな。はっははは」
610 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:50:44.00 ID:vr5XKO.o
バーテンはおどけてみせ、笑いながら手を振る。

召喚士「それじゃ…っ!」

バーテン「おう」

戦士「旨い酒を用意しといてくれぇ〜」

バーテン「あいよ。もうじき全員成人らしいしな。祝い酒といこうか!」

戦士「おっ、いいねぇ!楽しみにしてるっす!」

バーテン「あいよ」

召喚士「………あっ!!」

立ち去るバーテンに、召喚士は慌てて声をかける。

バーテン「……?」

召喚士「バーテンさん。お願いしても…宜しいですか?」

バーテン「…?俺に出来る事なら…」

召喚士「えっと……」

バーテン「…?」

召喚士は小声でバーテンへと言葉を続ける。
611 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:51:25.74 ID:vr5XKO.o
〜司令室〜

伝令「……以上でございます」

左翼長「……なんて事だっ」

騎士長「しかし…何が目的で…!?」

大軍師は伝令より書面を預かり、その中身を読み始める。

参謀「急ぎ司令部へ戻り、調査を致しましょう」

左翼長「……そうだな」

騎士長「一体何だというのだっ!」

大軍師「…成程。うっすらと見えてきましたね…」

将軍「…?」

大軍師「此度の戦い、まんまと関の結界を突破されました」

左翼長「ああ」

大軍師「これ…何故ですかね?」

将軍「け、結界に不備が…あったとか?」

参謀「………っ!!」
612 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:52:20.34 ID:vr5XKO.o
バンッ!!

突如、机を叩く大きな音が鳴り、その音の主は愕然とした顔を見せている。

参謀「人間……人間か!!」

大軍師「ご名答。魔王軍…なかなかやってくれます」

左翼長「まさか、つまりそれは……」

大軍師「ええ。死体を魔族化せず人のまま傀儡化する…」

参謀「そ、それを利用して…結界を打ち破るのか…っ!」

騎士長「そ、そんな事が!?」

大軍師「しかし、それ以外には考えられませんね」

将軍「なんという……っ」

左翼長「…戻るぞ。今すぐにだ!」

騎士長「大軍師殿、本国にもこの事を…」

大軍師「承知しております」

左翼長を先頭に、北方の面々が一同に席を立ち、退出する。

大軍師「あ、将軍殿」
613 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:52:53.20 ID:vr5XKO.o
将軍「……?」

大軍師「間もなく任期満了ですが、本国に…」

将軍「……いえ、出来ればこのまま海峡にて継続願いませんか?」

大軍師「…宜しいのですか?」

将軍「ええ。色々と愛着もわいておりますし、それに…」

左翼長「……」

将軍「かの地に眠る勇敢な者達が、待っておりますので」

大軍師「そうですか。分かりました、ではそのように手配を進めます」

将軍はぺこりと会釈をし、笑みを浮かべる左翼長の後に続いた。

カツカツカツ…

参謀「…お気をつけて、兄上」

大軍師「ええ。貴方も」

カツカツカツ…

大軍師「さて…と、私もそろそろ行くとしますか」

大軍師は羽扇を仰ぎ、司令室の窓から青空を眺めた。
614 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:53:52.89 ID:vr5XKO.o


占い師「まったく…アンタは本当に…」

テクテクテク…

召喚士「あれ…?」

占い師「おはよう…ってもうそんな時間じゃないわね…」

戦士「だ、大丈夫か…?」

白虎長「うぅ〜……」

白虎長はうな垂れたまま頭を押さえ、呻き声をあげる。

占い師「ただの二日酔いよ」

戦士「そ、そうか……」

占い師「貴方達はもう行くの?」

召喚士「そうですね…。そろそろ……」

占い師「そう…。あっ、そうだ…!」

戦士「…?」

占い師「久々に占ってあげましょうか?」
615 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:54:37.32 ID:vr5XKO.o
召喚士「占い…ですか」

戦士「ロクな目に遭わねーからなぁ」

占い師「それは私のせいじゃないわよ!」

戦士「そらそうだわな…」

占い師「じゃあ…戦士くんから」

戦士「へぇい…」

占い師は戦士の目をじっと見つめ、そのまましばし時が流れる。

戦士「………」

占い師「再開と……別れ…」

戦士「!?」

占い師「あ…っ、ううん…ごめんなさい」

戦士「再開と別れ…?」

占い師「ええ。辛いけど…最後は笑顔でいられると思う…」

戦士「……そっか。それなら…いいさ」

占い師「あ、あと…」
616 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:55:54.67 ID:vr5XKO.o
戦士「…?」

占い師「行くなら西にしなさい」

召喚士「西…ですか」

占い師「ええ。それじゃ次は召喚士くん……」

召喚士「俺は、やっぱりいいです」

占い師「…そう?」

召喚士「ええ。あまり先の事は知りたくないし、それに……」

白虎長「……」

召喚士「運命は自分で…切り拓きたいですから…!」

占い師「うふふっ。素敵な考えね!」

召喚士「そうですか…?」

占い師「みんなが召喚士くんのような強さを持っていれば…」

戦士「……」

占い師「うふふっ、それじゃまた会いましょっ」

召喚士「あ、はい…!ありがとうございました!」
617 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:56:42.43 ID:vr5XKO.o
戦士「そんじゃ!」

テクテク…

占い師「あっ!!」

召喚士「!?」

占い師「最後に一つ!」

戦士「あんだよ…?」

占い師「女難の相が出てるわよっ!」

戦士「げっ!またかよ…!!」

占い師「二人ともねっ!うふふふっ!」

召喚士「!?」

占い師「頑張って〜」

戦士「はぁ…行こうか…」

召喚士「う、うん…。それじゃ…失礼します」

占い師「はいは〜い。またねぇ」

去りゆく召喚士と戦士の背中を二人は見送る。
618 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:57:14.94 ID:vr5XKO.o
占い師「…うーん」

白虎長「うぅ……」

占い師「若すぎるかしらね…?」

白虎長「9歳と12歳下よ?やめときなさい…」

占い師「てか、そういえばアンタが二日酔いなんて珍しいわね…?」

白虎長「怪我してるのもあったし……それに……」

占い師「それに…?」

白虎長「いつもより……飲み過ぎちゃった…」

占い師「そ、そう…っ」

白虎長「自分が許せなくてね…」

占い師「…!?」

白虎長「悔しかったの…。己の未熟さが…」

占い師「………」

白虎長「仮にも一隊を率いておいて…あのザマよ…」

占い師「でも……それは…」
619 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:57:43.99 ID:vr5XKO.o
白虎長「そりゃ敵の奇襲もあったけれど…」

占い師「うん…」

白虎長「あの子達の強さ、とてつもないわ…。正直嫉妬しちゃうくらいに…」

占い師「確かにあの若さで大したものよね」

白虎長「個々の強さもだけど…心もチームワークも抜群よ」

占い師「そうみたいね」

白虎長「やっぱり…覚悟の違いかなぁ」

占い師「貴方も自ら名乗る決心出来た?」

白虎長「そうね…。考えておくわ」

占い師「しっかりね…。白虎先生!」

白虎長「……うん……うっ…うぅっ!」

占い師「ちょ、ちょっと…!トイレ!早くっ!」

白虎長「も、も一回寝る〜…。気持ち悪い〜」

占い師「分かったから!先にトイレ!ねっ!」

力無く歩き出す白虎長を占い師は抱え、二人はその場を後にした。
620 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:58:12.22 ID:vr5XKO.o
〜北門〜

海峡兵「進発ーっ!!」

パッカパッカパッカ…

左翼長「じゃあ、頼んだぞ」

将軍は馬上で敬礼し、隊の最後尾より北門を後にする。

騎士長「よし、こちらも発つぞ!」

北方兵「進めぇ!!」

左翼長「!?」

左翼長と騎士長は、門壁に寄りかかる人影に気付く。

騎士長「なんだぁ?見送りかぁ〜!」

バーテン「アホか。たまたま俺も出るとこだったんだよ」

左翼長「全く…。コーヒーの一杯も奢らずに…」

バーテン「こっちはビジネスなんだ。金さえ払えば幾らでも飲ませてやる!」

騎士長「来いっつー事か…。本国行く時にでも寄るさ!」

バーテンは右手を顔の横へ付け、小さく敬礼の素振りを見せ、北関を後にした。
621 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 17:58:41.25 ID:vr5XKO.o
〜現在〜

魔道士「……」

召喚士「……」

戦士「あのさ…」

盗賊「…戦士」

戦士「あん…?」

盗賊は自身の唇の前に人差し指を立てる。

戦士「……へいへい」

召喚士「あ…。大軍師さん」

大軍師「おや…。先生もこれからご出立ですか?」

召喚士「ええ…まぁ。大軍師さんもですか?」

大軍師「はい。私は所用がありまして単身戻る予定です」

召喚士「そうでしたか。ご苦労様です」

大軍師「いえいえ、先生方こそ…今回もありがとうございました」

大軍師はすれ違いざまに会釈し、四人の脇を過ぎ去っていった。
622 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:01:04.86 ID:vr5XKO.o
〜北関、北門〜

盗賊「…あれ?」

戦士「ん…?」

盗賊「…南じゃ…ないのか?」

戦士「ん、ああ…。北の港にでも寄ってくかなって」

戦士は俯いたままの魔道士を見る。

盗賊「…ああ。成程な」

召喚士「たまには買い物でもしながら…ゆっくりしましょう!」

盗賊「…だってさ、魔道士」

魔道士「そう…ですね…」

戦士「………とにかく、行こうか」

召喚士「お、おーうっ!ははっ」

戦士の呼びかけに召喚士は右手を上げ、同意する。

盗賊「……」

魔道士「………」
623 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:02:04.12 ID:vr5XKO.o
〜北の港への道〜

召喚士「あー、ここ久々だね」

戦士「え?ああ…そういや逆のルートは通ったっけな」

盗賊「…うん」

召喚士「追い剥ぎとか出るんだっけ?」

戦士「気を付けろよ〜?攫われて…売られちまうかもよぉ〜?」

戦士はおどけて魔道士の顔を覗き込む。

バシッ!!

戦士「いてっ!」

魔道士「……っ」

戦士「こらっ!人が心配してだな…」

盗賊「戦士っ!!」

戦士「は、はい!」

盗賊「…戦士は…わ、分かってない!」

戦士「は…?」
624 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:03:33.13 ID:vr5XKO.o
召喚士「……?」

盗賊「…魔道士…来て」

グイッ

魔道士「!?」

タッタッタ…

戦士「な、何なんでしょうか…?」

召喚士「さ、さぁ……」

魔道士の手を引き、盗賊は少し離れた岩場に腰掛けさせる。

盗賊「…ちょっと…待ってて」

タタッ

魔道士「…?」

しばらくすると盗賊が急ぎ足で戻ってくる。

盗賊「…はい」

盗賊は手にした布を魔道士の前へ差し出す。

布は冷たく湿っており、水に濡れていた。
625 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:04:00.07 ID:vr5XKO.o
魔道士「……?」

盗賊「…これを…目に」

盗賊は布を畳み、魔道士の顔へと押し当てる。

魔道士「ひゃ…っ」

盗賊「…腫れた目は…冷やすと良い」

魔道士「!!」

盗賊「……そうすれば…みんなの顔も見れるから」

魔道士「盗賊…さん…」

盗賊は魔道士の手を誘導し、目元に当てた布へあてがう。

盗賊「…しばらくそうやって…抑えておれ」

魔道士「……います」

盗賊「…ん?」

魔道士「ありがっ…とう…ございます…ひぐっ!」

盗賊「!?」

盗賊「盗賊さぁん……。うわあぁん…!」
626 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:04:33.57 ID:vr5XKO.o
盗賊「ば、馬鹿者っ!また泣いたりしたら…」

魔道士「だって…だってぇ…!!」

盗賊「わわ、わ…分かった…から!…ねっ?」

魔道士「うぅ……ひっく!…ぐすっ…」

盗賊「……はぁ」

二人は芝の上に座り、岩へ寄りかかりながら、しばし時を過ごす。

魔道士は布が落ちぬよう上を向き、盗賊も同様に空をぼーっと眺めている。

魔道士「盗賊さん…」

盗賊「…んー?」

魔道士「盗賊さんは、どうして冒険者になろうと思ったんですか?」

盗賊「……んー」

盗賊の眺める空に、小鳥が数匹通り過ぎていく。

盗賊「…一つは…兄上を探すため」

魔道士は布を少しずらし、隙間から盗賊の顔を見つめる。

盗賊「…あとは…自分自身の道を、歩みたかった…から」
627 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:05:01.46 ID:vr5XKO.o
魔道士「…強いですね。盗賊さん」

盗賊「…そう…か?」

魔道士「私はダメだなぁ…!ほんと…」

盗賊「……」

魔道士「強くなったつもりでいたのかなぁ…」

盗賊「…魔道士」

魔道士「召喚士さんが…いなくなったらなんて思うと…怖くて…」

盗賊「…召喚…士?」

魔道士「ええ。…………!?」

盗賊「…し、召喚士…??」

盗賊は赤面し、魔道士の顔をまじまじと見る。

魔道士「ち、ちがっ!!盗賊さんもっ戦士さんも!!」

盗賊「…あ、ああ!うん…っ!」

魔道士「あうぅ…。あの…ふ、深い意味とか…ありませんからっ!」

盗賊「うう、うん!分かってる!大丈夫!!」
628 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:05:41.59 ID:vr5XKO.o
スクッ

盗賊「…行こうか」

魔道士「…はい」

魔道士は起き上がり、布を目元から外す。

魔道士「どう…ですか?」

盗賊「…ちょっと赤いけど…大丈夫」

魔道士「ファンデーション…塗っておいた方がいいかなぁ」

盗賊「…だ、大丈夫だと…思うよ」

魔道士「……ありがとうございました」

盗賊「…ん?」

魔道士「お陰様で、少し元気が沸きました…!」

盗賊「…それは…何より」

魔道士「行きましょっか」

盗賊「…うん」

二人が岩場を立ち去ろうとした瞬間、二つの人影が接近する。
629 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:06:08.18 ID:vr5XKO.o
追い剥ぎ「こんな所で…女二人が何やってんだぁ?」

盗賊「……」

魔道士「あ、あの…っ」

泥棒「両方当たりだぜ!これはたまらんなぁ…」

魔道士「あのぉ…ちょっと…」

追い剥ぎ「売るのは勿体無い!両方性奴隷にしよう、うん!」

魔道士「あまり変な事言うと、盗賊さんに…」

ボキボキッ!!

盗賊は量拳を鳴らし、ゆっくりと近づき始める。

泥棒「いや、本当に上玉だ。怒った顔もたまらん!」

盗賊「……」

タンッ!!

盗賊は目にも止まらぬ速さで追い剥ぎへと迫る。

右腕を大きく振り上げ、拳を握った瞬間…

ボ゚ロンッ
630 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:06:39.66 ID:vr5XKO.o
泥棒「おいおい、きたねぇモン出すなよ」

追い剥ぎ「どうせ頂くんだし、全裸になった方が手っ取り早い」

魔道士「っ!?」

盗賊「き……きゃああああぁぁ!!」

戦士「!?」

召喚士「今の声!もしかして…!!」

戦士「あの二人がやられるとは思えんが…」

召喚士「魔道士さんも調子悪いし…何かあったら…」

戦士「だよな!!」

二人は叫び声の方向へ猛スピードで走り出す。

盗賊「……よ、寄るなっ!たわけっ!!」

追い剥ぎ「おやおや、さっきまでの威勢はどしたい?」

泥棒「じゃあ俺はこっちの……」

魔道士「……」

ドドンッ!!…ボゴォッ!!
631 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 18:06:59.40 ID:aTIeYkDO
盗賊は影分身の術を使ったのか?
632 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:07:06.50 ID:vr5XKO.o
泥棒「!?」

盗賊は右手で杖を振りかざすと、泥棒の目の前の地面が隆起し、

飛び出した土が泥棒の顎を見事に捉える。

ゴスッ!!

泥棒「あがあぁっ!!」

魔道士「たわけ!…ですっ」

ドシャアァッ

追い剥ぎ「ほれ、逃げるなって」

盗賊「来るな来るな来るなあぁ!!」

盗賊は地面へ座り込み、後ずさりしながら懸命にクナイを振る。

魔道士「盗賊さんっ!」

追い剥ぎ「…うへへ」

ガシィッ

追い剥ぎ「…!?」

迫る追い剥ぎの頭を大きな手が一掴みする。
633 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/19(水) 18:08:38.60 ID:vr5XKO.o
>>631
うわ…ごめんなさい…!>>625の最後は

魔道士「盗賊さぁん……。うわあぁん…!」

です…orz
634 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:09:15.92 ID:vr5XKO.o
戦士「おいコラ…。何してやがる……」

ググッ

追い剥ぎ「いでぇ!!ちょ…浮いてる!浮いてるって!」

戦士「ほぉ?それならこのまま天まで浮いてみるか?んっ?」

召喚士「や、やりすぎだよ…戦士…」

追い剥ぎ「ごごごめんなさいぃ!許してぇ!!」

戦士「盗賊」

盗賊「は、はいっ!」

戦士「コイツのこれ…悪さ出来んようクナイで切り取ってやれ」

戦士は追い剥ぎの身体を盗賊の正面へと向ける。

盗賊「きゃああああぁぁ!!」

バキィッ!!

追い剥ぎ「うげぇ!!」

戦士「なぜ俺までぇ!!」

盗賊の拳による連撃が、追い剥ぎと戦士の顔を直撃した。
635 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:10:52.11 ID:vr5XKO.o


盗賊「…す、すまぬ」

戦士「いえ…別に…」

戦士は水に濡れた布を頬に当て、しかめっ面をみせる。

召喚士「二人は…怪我してないですか…?」

盗賊「…うん」

魔道士「あ、ありがとう…ございます」

戦士「お、喋れるようになったのか?」

魔道士「……ご心配…掛けました」

召喚士「いえ…っ、良かったです!ほんとっ」

魔道士「………ぐすっ」

盗賊「!?」

戦士「俺も泣きたい…」

盗賊「じ、自業自得だっ!ばかっ!!」

召喚士「……うん」
636 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:11:29.92 ID:vr5XKO.o
〜北の港〜

戦士「着いたー!よっしゃ、メシにすっか?」

召喚士「魔道士さんお腹減りましたか?」

魔道士「いえ…っ、特に…」

召喚士「そうですか…」

戦士「じゃあなんかパーっと楽しむかねぇ」

盗賊「…何かある?」

召喚士「北の港っていうと…」

戦士「…アレぐらいしか…浮かばねぇな」

盗賊「…アレ?」

召喚士「アレかぁ…」

魔道士「…?」

戦士「行ってみるか…?」

魔道士「あれって…何ですか…?」

召喚士「……地下格闘場です」
637 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:12:58.80 ID:vr5XKO.o
〜路地裏〜

盗賊「……」

戦士「どした?キョロキョロして…」

盗賊「…なんだか…物騒だな」

召喚士「あ、ここです」

召喚士は路地裏の地下階段を降りて行く。

三人も後に続き、うす暗い通路を抜け、重い扉を開ける。

ワアァァァッ!!

魔道士「!!」

盗賊「!?」

戦士「どうだ?すげーだろ!この熱気…!」

召喚士「あ、あんまりお気に召さないですよね…ははっ…」

魔道士「…本物だ」

召喚士「…?」

魔道士「本物の…UFRだ」
638 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 18:13:26.85 ID:voj3usDO
なんという追い剥ぎのサービスタイム
盗賊って魔導士が召喚士のこと好きなの知らないんだっけか?

>>1が今はまっているゲームを知りたかったりするんだぜ
639 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:13:34.70 ID:vr5XKO.o
盗賊「…UFR?」

戦士「アンダーファイトリング。ここの所属団体…って、何でんな事…!?」

魔道士「凄い…!あっ、これって…!」

召喚士「へ…っ!?」

魔道士「わっ!こっちはチャンプの…あ!これって!?うわぁ…!!」

盗賊「…目が…輝いてる」

店員「お客さん、入るなら入場料」

召喚士「あ、はい…。四人です」

店員「あいよ…毎度。ドリンクは奥で貰いな」

戦士「さーて…と、そんじゃあ…」

魔道士「早く行きましょう!!」

タッタッタ…

召喚士「……え、えぇと」

戦士「すっかり元気になったようで…良かったです」

盗賊「……はい」
640 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 18:14:28.92 ID:ptaZzr.o
魔道士さん、ちょっとあなたwwwwwwwwww
641 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/19(水) 18:18:57.81 ID:vr5XKO.o
>>638
ガンダムアサルトサヴァイブです!PSPのやつです!
名前間違ってたらすいません…

盗賊も魔道士も敢えて知ろうとしてないんじゃないかなって思います
642 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:23:10.69 ID:vr5XKO.o
魔道士「早く早く!」

魔道士は席に座り手をこまねき、三人を呼ぶ。

戦士「んな焦らなくたって、試合は逃げねーよ…」

魔道士「何言ってるんですか!練習風景も楽しまないと!」

召喚士「そ、そうなんですか…!?」

魔道士「ウォームアップで選手のコンディションが分かるんですから!」

戦士「へ、へぇ…」

魔道士「えぇと…あ、あれは異種格闘技戦ベスト16の…」

戦士「すげぇ詳しいぞ、おい…」

召喚士「み、みたいだね…」

盗賊「……」

リングアナ「お待たせ致しました!まもなく第一試合を開始致します!」

魔道士「きゃあ!!始まりますよっ!?」

魔道士はブンブンと召喚士の肩を振る。

召喚士「ああああ…そ、そうですね!……はははっ」
643 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:27:18.02 ID:vr5XKO.o


リングアナ「10カウントダウーン!立てません!勝者は〜」

魔道士「凄かったですね、今の内回し蹴りからの流れるようなローキック!」

召喚士「えっ、ええ…!!」

魔道士「はぁ…残るはあと1試合。あっと言う間ですねぇ…」

盗賊「…ふふっ」

魔道士「ど、どうしたんですか!?」

盗賊「…いや…魔道士にこんな趣味があるとは…ふふふっ」

魔道士「わっ、悪いですか!?」

戦士「いや、意外だなぁ…って」

魔道士「そう…ですか?」

魔道士はきょとんとした表情で三人を見返す。

リングアナ「さぁ本日のメインイベント!!まもなく開始致します!!」

戦士「おっ、きたきた!!」

魔道士「……ゴクッ」
644 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:32:24.21 ID:vr5XKO.o
リングアナ「まずはご存知、連勝記録は20で止まったが…その後負けなし!チャーンプ!」

チャンプ「…うおおぉ!!」

魔道士「出た!チャンプですよ!チャンプ!!」

戦士「知ってるよ…」

召喚士「ああ、あの人か…」

リングアナ「対するは、新進気鋭の若獅子!格闘家〜!!」

格闘家「……」

魔道士「おぉ!ルーキーですね!これは楽しみです!」

レフェリー「ルールはいいな?」

両者は黙って頷き、拳を互いに打ち付ける。

レフェリー「いくぞ、レディー……ファイッ!!」

甲高い鐘の音とともに、チャンプが後方へ下がり、しゃがみこむ。

戦士「出た!卑怯な技!」

魔道士「違いますっ!あれも立派な戦術ですよっ!」

魔道士はリングに目線を向けたまま、声を荒げ、戦士へ返答する。
645 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:36:21.38 ID:vr5XKO.o
チャンプ「さぁ、かかってきな!」

格闘家「……」

ザッザッザ…

チャンプ「…しっ!」

チャンプはしゃがんだまま、格闘家へローキックを放つ。

シュッ…ババッ

格闘家「……」

格闘家はそれを容易に跳躍でかわし、再び間合いを取る。

チャンプ「ほぉ…!そのまま突っ込んでこないとは…」

格闘家「間合いに入れば、飛び蹴りが来るんだろ?」

チャンプ「おっと…研究済みだったか!」

格闘家「研究などせずとも、そのぐらい分かるよ」

格闘家は首を左右に曲げ、ボキボキと音を鳴らす。

チャンプ「……けっ!大した自信だねぇ!!」

格闘家「もちろん。アンタみてーのに負ける気ないからね」
646 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 18:36:58.91 ID:aTIeYkDO
UFRって、どうすりゃ所属出来るんだ?魔道士ちゃんにキャーキャー言われたいんだが…
647 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 18:40:11.96 ID:voj3usDO
>>1
レスありがトン
ガンダム好きとはこれまたありがとうと言いたい
648 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 18:41:25.71 ID:iiDYPgAO
>>646
名前をガイルに変えてサマーソルトキックの練習
649 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 18:42:39.09 ID:DdjaFroo
>>646
服を脱いで盗賊の前で一時間生きて踊っていられたら入れる
ティンポゥはなくなっても自己責任ということで
650 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:43:50.79 ID:vr5XKO.o
チャンプ「なんだとぉ…!?」

格闘家「まあいいや、行くよっ」

格闘家はチャンプめがけ勢いよく走り出す。

チャンプ「へへっ!蹴りだけだと思うなよぉ!」

チャンプは両腕を前へ振ると、突風を巻き起こし、それはカマイタチのように飛び出す。

ドンンツ!!・・・バシュウゥゥ!!

格闘家「…っ」

ババッ!!

チャンプ「飛んだなっ!終わりだっ!!」

チャンプは上空の格闘家めがけ、得意の飛び蹴りを放つ。

格闘家「ふんっ!!」

ババッ!!……バシィッ!!

チャンプ「なにぃ!?」

魔道士「跳躍して…後ろ回し蹴り!?凄いっ!!」

飛び蹴りを放ったチャンプの足を、格闘家の足が弾き返し、両者は再びリングへと降り立つ。
651 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 18:47:42.01 ID:vr5XKO.o
スタッ…

チャンプ「しまっ……!?」

格闘家「食らえっ!!」

チャンプの懐に張り込んだ格闘家は、その顎めがけ、拳を突き上げる。

ゴッ!!………ドオオォォンッ!!

魔道士「ジャンピングアッパー!?」

戦士「大した技術と…柔軟さだな!」

ドシャアアァァ!!

格闘家「……ふー」

カンカンカァン!!

リングアナ「チャンプ立てない!!これはまさかの展開だぁ!!」

魔道士「すごーい!チャンプを倒しちゃいましたよっ!?」

戦士「つーか…俺はチャンプが勝ったところを見た事がない…」

召喚士「20連勝もしてたし…その後も負けなしなのにね…」

盗賊「……疫病神…なんじゃない?」
652 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/19(水) 18:49:44.20 ID:vr5XKO.o
書き溜め分終了です。後ほど少しだけ更新をば…
十六部は日常パートのため波もあなりないので、
気が向いた時にまとめ読みして頂ければと思います!

>>646
北の港の路地裏地下にあります!登録は無料です!
専属になると地方巡業もあります!世界大会もあります!

>>647
いえいえ!息抜きになりますので、助かりますよ〜

ご支援ありがとうございました!ではまた!ノシ
653 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 19:05:51.52 ID:hdPBeWso
待ちガイルかよwwwwwwwwwwwwwwww
654 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 20:18:43.14 ID:6B1AsxEo
竜巻旋風脚と昇竜拳か・・・
655 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 20:36:54.97 ID:iC.pU2U0
RPGと格ゲーが交差するとき、物語は始まる──
656 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 20:43:08.48 ID:aTIeYkDO
>>1からレスもらってたwwwwww

俺、世界大会で優勝したら魔道士ちゃんに告白するんだ…
657 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 20:43:42.10 ID:HzuPbC6o
テイルズオブバーサスですか
コカトリスバーサス的なの作られたら絶対戦士は微妙性能になるな
658 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 22:48:45.63 ID:MMmzeBwo
ところで、俺もこんな冒険がしたいんだけど
居酒屋でパーティ募集すればできるかな?
659 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 22:56:28.54 ID:YxTf4I60
>>658
勇者が3人仲間になっちゃうぜ?
660 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/19(水) 23:22:25.90 ID:CIrMMqYo
盗賊が杖を持って魔法使ってるのはいいわけ
661 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/19(水) 23:49:52.46 ID:GtvU.Iwo
できれば戦士に地下闘技場に参戦してもらいたい
662 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 23:54:26.29 ID:sorWJa.o


魔道士「見応えありましたねぇ!」

召喚士「そうですね、良い試合でした!」

魔道士「はいっ!えへへっ!!」

戦士「あ…さっきの奴だ」

盗賊「……本当だ」

召喚士「…あれ?魔道士さん…!?」

魔道士「あのっ!」

格闘家「……?」

戦士「早っ!!」

盗賊「…いつの間に!?」

魔道士「あのっ…サイン下さい!」

格闘家「サイン…?」

魔道士はカバンから紙とペンを取りだし、格闘家に手渡す。

格闘家「そんなの…ないしなぁ…」
663 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/19(水) 23:57:49.41 ID:sorWJa.o
カキカキッ…キュッ

格闘家「と、とりあえず名前だけ……」

格闘家は紙とペンを魔道士へ返す。

紙には崩した様子もない、きっちりとした書体で名前が書かれている。

魔道士「ありがとうございますー!」

格闘家「い、いえ…それでは」

格闘家は会釈をすると、控室へと入って行った。

タッタッタ…

魔道士「サイン貰っちゃいました!」

召喚士「良かったですね!」

戦士「嬉しいのか…?」

魔道士「嬉しいですよぉ!えへへっ!」

召喚士「将来のチャンプかもしれませんしね!」

魔道士「そうなったら…お宝ですねぇ!ふふっ!」

魔道士は嬉しそうに笑顔を見せ、大事そうにサインをカバンへしまいこんだ。
664 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/20(木) 00:00:45.19 ID:BrR21vEo
軽くSHIT!
665 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 00:05:37.41 ID:r0BnMQAO
>>664
嫉妬で脱糞したのか?
666 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 00:09:46.31 ID:7UrmMkAo
〜表通り〜

魔道士「それで、本当はマスク・ド・ジーニアスの大ファンで…」

召喚士「そうなんですか?」

盗賊「…戦士」

戦士「んー?」

盗賊「…買い物…行きたい」

戦士「んー」

盗賊「……あ、あの」

戦士「ん?みんなで行くか?」

盗賊「……そ、そうじゃなくて」

戦士「あぁ…買い辛い物か。その辺で待ってるから一人で…」

グイッ

戦士「いって…」

盗賊「…バカかっ!おのれは!」

戦士「はぁ!?」
667 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 00:13:03.63 ID:7UrmMkAo
盗賊は引っ張った戦士の腕を離し、前の二人を指差す。

盗賊「……鈍感」

戦士「…?……・・あ…あぁっ!!」

召喚士「な、何っ!?」

戦士「あ、い…いやっ!ちょっと…買い物…」

召喚士「いいよっ。何買うの?」

戦士「アレだアレ…!えぇと…なっ、盗賊!」

盗賊「!?…そ、そうそう!」

召喚士「……?」

魔道士「どうしたんですか?二人して?」

戦士「ちょっくら盗賊と行ってくっから、飯でも食っててくれっ!」

召喚士「えっ!?ちょっと戦士っ…」

戦士「行くぞ!」

盗賊「う、うんっ!」

戦士と盗賊は苦笑いでその場を走り去って行った。
668 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 00:16:47.55 ID:7UrmMkAo
魔道士「な、何ですか…?」

召喚士「さ、さぁ…?」

魔道士「そうそうっ!それでその時の試合でぇ……」

テクテクテク…ピトッ

魔道士「!?」

召喚士「!?」

横並びで歩く二人の手が軽く触れる。

魔道士「ごごっ!ごめんなさい!」

召喚士「え!?あ、い・・いえっ…!」

魔道士「……っ」

召喚士(あれ…?よく考えたら二人きりの状況じゃないか…っ!)

魔道士(意識してなかったけど…こ、これって…まるで…)

召喚士(デ、デートしてるみたい……!!)

魔道士(や、やだっ…!絶対顔赤くなってるよぅ…!!)

召喚士(どどど…どうしよう!まずは、えぇと…えぇと!!)
669 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 00:21:38.96 ID:Gjxff6AO
盗賊の喋り口調がかわいい
670 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/20(木) 00:22:52.48 ID:7UrmMkAo
なんだかムカムカしてきたので寝ます。おやすみなさいです!
ご支援ありがとうございました!!ノシ

>>660
ごめんなさい…

〜オマケ〜

白虎長「う…っ、嘘でしょ…!?」

占い師「本当よ!殿下に向かって『結婚しろ〜』とか『何で独身なの〜』とか…」

白虎長「!!!!」

占い師「あーあ、ご愁傷様」

白虎長「ど…どうしたら…いいの?私はどうしたらいいの!?ねぇっ!!」

占い師「し、知らないわよ!王宮にでも土下座しい行ったら?」

白虎長「……」

占い師「どしたの?急に荷造り始めて…」

白虎長「酔い覚めた。王宮に土下座しに行ってくる」

占い師「ちょ、ちょっと!冗談よ冗談…!!」

白虎長「よし…っ!殿下、申し訳ありませんでしたあぁ!うわああぁん!!」

タッタッタッタッタ…

占い師「ちょっとぉ!置いて行かないでえぇ!!」
671 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 00:26:47.87 ID:ew1eGAYo
>>1

奇遇だね…俺もリア充にムカムカしてきたところだよ
672 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 00:27:47.23 ID:vHQJNLI0
俺はマスクドジーニアスにときめいてる
673 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 01:05:25.03 ID:tf2a4gAO
復活してたー>>1


俺も格闘家と召還士に軽く殺意が芽生えてきた
イライラともムラムラともとれる黒くてピンクな感情が俺の体を支配する
でも闘技場で興奮する魔導師ちゃんがすこぶる可愛かったから満足でござる
674 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/20(木) 02:16:20.68 ID:VqZLGMY0
気持ちわる
675 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 02:29:03.44 ID:a2qoosDO
今夜も、乙でした。
676 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 03:02:58.59 ID:3kiKWg6o
結ばれてほしいんだけど結ばれちゃったらなんだかつまらない
今のこのギクシャクした距離が一番楽しいと思う・・・のは俺だけではないと思うけど
どうなるかな
677 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 04:02:35.91 ID:H4ZpXESO
戦士にイラッとした
678 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 07:12:28.69 ID:eod6sISO
入場曲を合唱する一同を妄想して吹いた。
679 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/20(木) 09:21:25.69 ID:AVHE..AO
流派東方不敗はぁ!
680 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/20(木) 10:15:03.76 ID:Jb.w28.o
そういえば、誰がお気に入りかアンケートって生きてるのか?
681 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 11:24:54.09 ID:71nXT9c0
今最初から読み返してるけど、まだ回収されてない伏線けっこうあるな
特に召還関係は物語のキーだけあって謎が多い
序盤に出てた強い召還獣独占計画とかこれからの話に出てくるんだろうか?
682 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:49:30.18 ID:OVh3SaUo
〜ショッピングモール〜

まだ北伐が終わり間もない状況にも関わらず、

大通りには、大勢の人が溢れ、買い物や昼食を楽しむ姿で溢れかえっている。

戦士「お前もなかなか気が利くなぁ…」

盗賊「…そうか?」

戦士をの背後を盗賊が付いて歩き、時折笑顔を見せる。

盗賊「…ふふっ」

戦士「んっ?」

盗賊「…いや…何でもない」

戦士「そっか。あ、そろそろ腹減ったか?」

盗賊「…普通…かな」

戦士「向こうも済ますだろうし、何か食ってこうぜ!」

盗賊「う、うんっ!」

盗賊は笑顔を作り、威勢良く返答する。
683 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:49:57.98 ID:OVh3SaUo
テクテクテク…

戦士「なに食いたい?」

盗賊「…な、何でもいいよ!」

戦士「何でもいいかぁ…う〜ん」

盗賊「あ、ごめっ…」

戦士「うんにゃ、別に。あ、そうだ…あそこ行ってみっか」

盗賊「…うん」

前を歩く戦士の後を、盗賊がぴったりと後に続く。

テクテクテク…

店員「さぁ!安いよ安いよー!!」

牧師「今こそ、この暗き時代にメシアをっ…」

戦士「メシアよりメシ屋だっつの…」

テクテクテク…

戦士「なぁ盗賊…」
684 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:50:24.87 ID:OVh3SaUo
盗賊「は、はいっ!」

戦士「……並んで歩かねーか?」

盗賊「……!?」

戦士「話し辛い…」

盗賊「あっ、ご…ごめんっ!」

盗賊あ小走りで戦士の横へと並ぶ。

戦士「しっかし戦が終わって間もないっつーのに…活気付いてんなぁ」

盗賊「………」

ジーッ

戦士「……ん?」

盗賊「……」

戦士「ははっ、嬉しそうだな」

盗賊「えっ!?」

戦士「そんな楽しみか?大したモンじゃないぞ?」
685 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:52:35.43 ID:OVh3SaUo
盗賊「…えっと…あ、うん」

戦士「この路地を曲がればすぐだ」

盗賊「…うん」

テクテクテク

野宿者「…あ…うぅ…」

戦士「はいよ、通りますよー」

狭い路地に座り込む野宿者を、ひょいと跨ぎ、戦士は先に進む。

盗賊「……」

盗賊もそれを見て、同様に後を追う。

戦士「表向きは華やかなんだけどな、街も…国も…」

盗賊「………うん」

戦士「おっ!あったあった、ここだ!」

戦士は古びた扉を開け、薄汚れた建物の中へと入っていく。

盗賊「……」
686 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:53:01.47 ID:OVh3SaUo
ガラッ…スタスタ

店主「……」

戦士「んーと、こっちでいいか」

狭い店内の隅にある、テーブル席に腰掛ける二人。

戦士「こうみえて…結構美味いんだぜ…ボソボソ」

盗賊「……へぇ」

店主「……何にすんだ?」

戦士「ラーメンチャーハンセットと餃子。大盛で」

盗賊「…に、肉野菜炒め定食…大盛!」

店主「……」

店主は無表情のまま、厨房の中へと消えていく。

戦士「…愛想ないけど…別に怒ってるわけじゃねーから」

盗賊「…う、うん」

二人は顔を見合わせ、小声でくすくすと笑った。
687 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:53:27.94 ID:OVh3SaUo
〜時計台〜

魔道士「あ……っ」

時計台の横を通る魔道士の顔が少し曇る。

召喚士「……」

魔道士「嫌な事…思い出しちゃった…」

召喚士「え…?あ……っ」

魔道士「私…気を付けていたんです…」

召喚士「魔道士さん…」

魔道士「あの日も…急に雨降ってきたから…すぐに…」

召喚士「……」

魔道士「すぐ…に、服の中へ締まって…それで…っ」

魔道士は少し瞳を潤ませ、唇を尖らせる。

魔道士「でも…それなのに…っ」

召喚士「…いいじゃないですか」
688 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:55:23.54 ID:OVh3SaUo
魔道士「…?」

魔道士は零れる涙を手で拭い、召喚士の顔を見上げる。

召喚士「魔道士さんに怪我がなく、無傷だったんです。いいじゃないですか」

魔道士「召喚士さん…」

召喚士「…と言っても、青年兵君がいなかったら…危なかったかもですけど…」

召喚士は申し訳なさそうに右手で頬をかく。

魔道士「でもっ、初めて召喚士さんから貰った大切な…」

召喚士「また買えばいいですよっ!」

魔道士「でも…っ、だって……」

召喚士「そしたらまた、嬉しい気分が味わえますし、それに…」

魔道士「……」

召喚士「俺も嬉しい気分になれますから」

魔道士「……うぅ」

召喚士「でも、プレゼントをそれ程大切にして貰えてるなんて…嬉しいです」
689 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:56:30.74 ID:OVh3SaUo
魔道士「それは……召喚士さんから、頂いたもの…ですから」

召喚士「えっ?」

魔道士「な、何でもないです…っ!」

召喚士「…?」

魔道士「あ、あのっ…」

召喚士「はいっ」

魔道士「し、召喚士さんは…優しすぎますっ!」

召喚士「!?」

魔道士「た、たまにはきちんと…し、叱って下さい!」

召喚士「い、いや…そう言われましても…」

魔道士「さ、さぁ!!」

魔道士は頭を縮め、ぎゅっと目を瞑る。

召喚士「…ええ!?えっと…ど、どうすれば…」

魔道士「ゲンコツでもっ、闘魂ビンタでもどうぞっ!!」
690 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:57:25.07 ID:OVh3SaUo
召喚士「で、出来ませんよ!!」

魔道士「……ケジメです!」

召喚士「ケジメって……」

召喚士はどうしていいのか分からず、困惑の表情を浮かべる。

召喚士「し、仕方ない…」

魔道士「っ…」

召喚士は一歩前へ進み、魔道士の頬を両手覆う。

スッ…

魔道士「っ!!」

魔道士は目を瞑ったまま硬直する。

召喚士「プ…プレゼントを…だっ大事にして下さい!」

ムニッ

召喚士は両手で軽く魔道士の両方の頬を掴む。

魔道士「………くっ」
691 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/20(木) 17:58:18.31 ID:pjKEAj.o
早くビンタを!
おもいっきりびんたをお願いします!
692 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:59:03.63 ID:OVh3SaUo
召喚士「ご、ごめんなさ……」

魔道士「ふふっ…ふふふっ!」

召喚士「…!?」

魔道士「もうっ、本当に優しいんだからぁ」

魔道士は頬から手を離しかける召喚士の手を握り、

再び自分の頬へとゆっくりあてがう。

魔道士「……エヘヘッ」

召喚士「………」

魔道士「…召喚士…さん?」

召喚士「えっ!?あ…っ、すいません!」

魔道士「ボーっとして…大丈夫ですか?」

召喚士(み…見とれてしまった…!なんて…カワ……)

天才「真っ昼間から何してんのお前ら?」

召喚士「――っ!!」
693 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 17:59:10.97 ID:mN4NgQco
>>691
    _, ,_  パーン
 ( ‘д‘)
  ⊂彡☆))Д´) >>691
694 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 17:59:56.57 ID:OVh3SaUo
魔道士「てっ、天才さん!?」

召喚士「どうしてここにっ!?」

天才「どうしてって…船で帰るんだよ」

召喚士「そ、そうでしたかっ!」

天才「いいですね、若い方はお熱い事で…」

魔道士「そうじゃありませんっ!!」

召喚士「そ、そうですよ!何を言ってるんです!?」

二人は慌てて呆れ顔の天才へ反論する。

天才「いえ、別にいいんですけれどもー」

召喚士「そういえば天才さん」

天才「「あん?」

召喚士「戦いが終わってから、どちらへ行かれてたんですか?」

天才「ちょっとヤボ用」

魔道士「関で祝宴もあったんですよ?」
695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 18:02:18.39 ID:OVh3SaUo
天才「別に興味ねーしなぁ…」

天才は上の空でぼーっと時計台を見つめる。

天才「ま、いいや。そんじゃな!」

召喚士「もう行くんですか?」

天才「船までは時間あるけど、今のうちに買い物とかあるしな!」

魔道士「じゃあ良ければ一緒に……」

天才「またなー」

魔道士「あ……っ」

テクテクテクテクテク…

魔道士「もうっ」

召喚士「不思議な方ですよね…」

魔道士「ええ…。私達も食事に行きましょうか」

召喚士「そうですね!そうしましょう」

魔道士「はいっ!エヘヘ!!」
696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 18:03:40.21 ID:OVh3SaUo
〜路地裏の食事処〜

スタスタスタ…ドンッ

店主「…ほらよ」

スタスタスタ…

戦士「…きたきたっ!」

盗賊「…いい匂い」

戦士「おし、食おうぜ!いただきまーす!」

盗賊「……モグモグ」

戦士「…どうだ?…ズルズルッ」

盗賊「…美味しい…!!」

戦士「だろ?はははっ!」

盗賊「…凄く美味しい!」

戦士「良かった!ほらっ、これも美味いぞ?」

戦士はニッコリと笑顔で餃子の皿を差し出す。
697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 18:04:08.16 ID:OVh3SaUo
ガラッ…

戦士「ごちそーさん」

店主「…あいよ」

ピシャッ…テクテクテク…

戦士「いやぁ、食った食った!」

盗賊「…うん。美味しかった」

戦士「しかしお前はその身体のどこに入るんだかねぇ」

盗賊「…へ、変…かな?」

戦士「いや…健康でよろしい!」

盗賊「…そ、そうかっ!」

戦士「はいはい、ごめんよ〜」

盗賊「…失礼」

野宿者「……うぅ」

盗賊「……」
698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 18:04:38.95 ID:OVh3SaUo
テクテク…ピタ…

戦士「どした?行くぞー」

盗賊「…う、うん」

タッタッタ…テクテク…

戦士「さーて…まだ時間あるし、お茶でもしてくかねぇ」

戦士の横をぴたりと歩く盗賊は、無言でこくりと頷く。

戦士「一応聞くけど…どこでもいい?」

盗賊「あ、うん…任せます」

戦士「ごめんなー、俺こういうのあんまり得意じゃなくてさ…」

盗賊「ううんっ!だ…大丈夫!」

申し訳なさそうに苦笑する戦士を見て、盗賊は慌てて両手を振る。

戦士「えーっと…確かこの辺に…」

テクテクテク…

戦士「あ、あったあった。ここだ」
699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 18:33:02.45 ID:OVh3SaUo
足を止めた戦士の目の前に先程とは打って変わり、綺麗な建物がある。

戦士「ここでいいかな?」

盗賊「…う、うん」

戦士「どした?キョロキョロして…」

盗賊「…いや、こういう所…来た事がないから」

戦士「そうなのか?女は好きそうだけどなぁ…こういうとこ」

盗賊「…戦士は…よく来るの?」

戦士「まっさかぁ。初めてだよ」

盗賊「…そ、そっか」

店員「いらっしゃいませっ!」

戦士「えーと…、コーヒーのブラックでいいや」

店員「はいっ。お客様は…?」

盗賊「あ、ええと……こ、これっ」

盗賊はイラストの描かれたメニューを指差し、慌てて返答する。

店員「はいっ。フルーツスムージーですね!少々お待ち下さいませっ!」
700 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/20(木) 18:44:14.66 ID:OVh3SaUo
うへぇ…会社の飲み会らしいので失礼致します!
ご支援ありがとうございました!!ノシ
701 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 18:55:26.02 ID:yIR0sfIo
しえーん!!

盗賊ちゃんかわいい
702 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 22:34:32.04 ID:k0Nig.AO
店員「お待たせ致しましたっ!」

戦士「はいよー」

戦士は代金を支払い、飲み物を受け取る。

戦士「…あっちでいっか」

盗賊「…うん!」

二人はオープンテラスの一角に場所を取り、飲み物を口にする。

戦士「は〜、なんだか贅沢だなぁ」

盗賊「…そうだな」

戦士「優雅な一時ってか。セレブにでもなった感じだわ」

盗賊「…う、うん!」

戦士「召喚士…うまくやってっかなぁ」

盗賊「……うん」

盗賊は少し曇った表情を見せ、魔道士を気遣う。
703 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 22:40:37.58 ID:k0Nig.AO
戦士「まぁ…魔道士にとっちゃ、召喚士に気遣って貰うのが一番だろうけど…」

盗賊「…結構…落ち込んでたし」

戦士「だよなぁ…。せっかく貰ったプレゼントだもんなぁ」

盗賊「………」

戦士「お前は?」

戦士は唐突に言葉を投げかける。

盗賊「へっ…!?」

戦士「いや…いないのかなって…」

盗賊「なっ、何…が?」

戦士「……好きな…人とか」

戦士は目線を反らしたまま、言葉を続ける。

盗賊「!?」

戦士「別にいても可笑しくない歳だし…」

盗賊「えっ!あ…あの…っ」
704 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 22:45:22.61 ID:gebRrpwo
ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
705 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 22:45:46.32 ID:k0Nig.AO
戦士「そもそも…生まれが違うしな」

盗賊「…生まれ?」

戦士「お前は東方のダイミョウの…姫なんだ」

盗賊「べ…別にそんな…」

戦士「盗賊自身が思ってなくとも、周りの人間はそう見るさ」

盗賊「……」

戦士「例えば皇太子だって…王子だってそうだし」

盗賊「……それは…そうだけど」

戦士「許婚とかいないの?」

盗賊「いっ、いないよ!」

戦士「そうか…。いそうなモンだけどなぁ」

盗賊「わ、私は……」

戦士「…?」

盗賊「何でも…ない…」

盗賊は言葉を飲み込み、ストローに唇を当てた。
706 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 22:51:30.25 ID:k0Nig.AO
盗賊「せ…戦士こそっ!」

戦士「え…?」

盗賊「もう…いいのか?」

盗賊は俯いたまま、もじもじと小声で呟く。

盗賊「そ、その……あの…っ」

戦士「あぁ…、アイツの事か…」

盗賊は顔を上げ、戦士の顔を無言で見つめる。

戦士「忘れたわけじゃない…。でも、いつまでも引きずるつもりもないよ」

盗賊「戦士……」

戦士「そういう心の弱さは、己の弱さにも繋がる」

盗賊「……」

戦士「過ぎた事は戻らない…。前に突き進むのみさ」

盗賊「そう…だよね……」

戦士「これからは…ずっと守るからさ」

盗賊「ふぇ…っ!?」
707 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 22:59:04.04 ID:bVDMNdY0
あー、これだからフラグメイカーは困る
708 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 22:59:50.56 ID:k0Nig.AO
戦士「大事な姫君をこれ以上傷だらけにするわけにゃいかんし…」

盗賊「あ……う、うん」

戦士「だからあまり無茶せず、頼ってくれな!」

盗賊「そ、それ…だけ…?」

戦士「え?それだけって……」

盗賊は少し潤んだ瞳で、上目遣いに戦士を見つめる。

戦士(あれ……?)

盗賊「………」

ジーッ

戦士(コイツ…って……こんなに…)

盗賊「戦士…」

戦士(カ…カワイかった……っけ?)

盗賊「わ、私も…頑張る…からっ」

戦士(おいおいおい…!もしや俺、とんでもない発言を…!?)

盗賊「せ…戦士?」
709 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 23:09:21.22 ID:k0Nig.AO
戦士「えっ!?あっ…ああ!これ美味そうだなっ!」

ヒョイッ

盗賊「う、うん!美味いぞ!」

戦士「ど、どれっ…!はははっ!」

おもむろに手にした盗賊のスムージーを、戦士は口にする。

盗賊「っ!!」

戦士「おっ!本当だ!美味いっ!!」

盗賊「あのっ…あの…っ!!」

戦士「えっ?…あっ、そうだよな!俺のもあげないと不公平…」

戦士は盗賊へ飲み物を渡すと、自身のコーヒーも差し出す。

盗賊「いやっ!ち…違っ…」

戦士「…?」

盗賊「…誰にでも…する…の?」

戦士「へ…っ?」

盗賊は顔を真っ赤に上目遣いで戦士の顔を覗く。
710 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 23:29:33.90 ID:k0Nig.AO
戦士「あぁ!勝手に飲んですまん!親しい人にしか出来……」

盗賊「……」

戦士「出来………」

盗賊「………」

戦士(お、俺……物凄い事をやってしまった…のでは…)

盗賊「あのっ!私…私っ!!」

ガタッ!!

戦士「そろそろっ、行こうか!」

盗賊「えっ!?あ…うんっ」

戦士は慌てた素振りで、席を立つ。

戦士「あ…のさっ…」

盗賊「……うん」

戦士「俺はお前の事、姫とか…思ってないから…」

盗賊「……」

戦士「大切な…仲間…だから」

盗賊「…うん…ありがと」

戦士「あ、あと…忘れてくれ!!」
711 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 23:30:32.80 ID:BrR21vEo
ニヤニヤ
712 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 23:30:35.82 ID:tf2a4gAO
召還士め………魔導師ちゃんとイチャイチャシヤガッテ

ギギギ…………
713 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 23:33:47.92 ID:tkr3OJk0
やっぱりというか…
日常話は面白いな

別の意味でww
714 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/20(木) 23:34:00.82 ID:k0Nig.AO
盗賊「へ…!?」

戦士「今日の事は全て…忘れてくれ!」

戦士は後ろを向いたまま、強い口調で言葉を発する。

盗賊「……うんっ」

戦士「よ、よし!そんじゃ行こう!」

スタスタスタ…

盗賊「………」

ヒョイッ

盗賊「……」

ドキドキドキ…

盗賊(えいっ!!)

パクッ

盗賊は手にしたスムージーのストローを、唇に当てて戦士の後を追いかけた。
715 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/20(木) 23:34:50.53 ID:k0Nig.AO
バッテリーがもうないのでこれまでにて……すみません
716 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/20(木) 23:36:29.62 ID:bb8qnqs0
>>712
クソ森乙
717 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/20(木) 23:57:00.61 ID:5fe7jgDO
なんというニヤニヤ分
718 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 00:43:06.71 ID:5u7xGUAO
>>1

魔導師ちゃんは言わずもがなだが、盗賊ちゃんも堪らなく可愛いな
このイベントは戦いで疲弊した心に活力が戻ってきますね

まぁ盗賊ちゃんの物欲しそうな上目遣いと柔らかい唇を想像して、僕のも活力湧いちゃったりしてるんですが…それはまた別のお話
719 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 00:48:54.76 ID:ITmERmwo
溜め込んでてやっと追いついた

やっぱ日常っていいなぁ〜
戦闘よりヒヤヒヤするwwww
720 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 00:51:24.70 ID:O9CEwQMo
一番初めから見てるが、この恋の成長具合にニヤニヤが止まらないのは俺だけ?
721 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 00:52:29.12 ID:BYEIZIYo
魔道士は一生このこと言い続けそうな勢いだな…
722 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 01:45:44.12 ID:eknftgco
俺もこれ以上はもたなかったからバッテリーgj
723 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 02:24:49.74 ID:MnGEqGMo
ニヤニヤする分、俺の心が磨り減る…
俺はどうすればいいんだ
724 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 07:08:35.73 ID:hYNIcISO
このスレは暗黒面にみちておる…!
725 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 07:56:03.01 ID:Rrr3JSI0
別に羨ましくは無い
ただほんのちょっぴりだけ
心の奥底から憎しみが込み上げる
726 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 08:27:09.05 ID:LQuDMH20
VIPの頃から見てるが…久しぶりのニヤニヤタイムだ
召喚士達が羨ましいぜ
727 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 08:31:35.83 ID:y2vzHcAO
盗賊が口付けたストローなめなめしたいお
728 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 08:38:31.73 ID:kCr.hpco
>>682
不思議とショッピングモールのエスカレーターでという現代で再生された。
729 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 10:18:40.38 ID:6MPj.QAO
これ以上読んでたらあやうく暗黒面に落ちるところだったわ
730 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 10:25:21.89 ID:pHAE2.AO
亀だけど
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html
人気投票とやら
731 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 12:29:11.00 ID:yaX/XkDO
お前ら全員心すさんでてワロタ
732 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 14:39:51.37 ID:VxSPzcDO
何だこのニヤニヤ感は
733 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 16:30:45.96 ID:kCr.hpco
>>730
魔道士のコメントで、絶対オッパイでかいって書いたの俺です。
見たら恥ずかしくなった///
誰か消してえええええええええええええええ!!
734 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/21(金) 17:54:52.19 ID:cjlsEB.o
こんにちは!日常ってつまらなくないですか?大丈夫ですか?
なんだか単調で自分自身ではよく分からないんですよね…

>>730
いつの間にかまた>>1が一位に…何故…

↓続き
735 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 17:55:22.10 ID:cjlsEB.o
〜大通り〜

魔道士「召喚士さんっ」

召喚士「はい?」

魔道士「何が食べたいですかぁ?」

召喚士の前へぴょんと跳び、手を後ろに組んで、魔道士は笑う。

召喚士「何でもいいですよ!魔道士さんは…?」

魔道士「何でもいいかぁ…。そうですねぇ…」

テクテクテク…

魔道士「どんなお店があるのか…分からないしなぁ…」

召喚士「あっ…ごめんなさい!そうですよね…」

魔道士「パスタとか…どうですかっ?」

召喚士「良いですね!パスタ好きなんですか?」

魔道士「はいっ!スパゲッティとペンネと…ラビオリなんかも好きです!」

魔道士は満面の笑みで召喚士へ返答する。
736 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 17:56:51.60 ID:cjlsEB.o
テクテクテク…

召喚士「…あった。ここなんてどうでしょうか?」

魔道士「おぉー、素敵なお店ですね!」

召喚士「では、ここにしましょうか」

魔道士「はいっ!えへへ!」

カチャッ…カラカランッ

店員「いらっしゃいませ!」

召喚士「あの…二人なんですが」

店員「はい。こちらのお席へどうぞ」

魔道士「店内もオシャレですねぇ!」

店員の案内で店中央の円卓へと足を進める。

ガタッ…ススッ…

店員「どうぞ」

店員は円卓の椅子を引き、二つ並びで据える。
737 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 17:57:29.57 ID:cjlsEB.o
召喚士「!?」

魔道士「あ、ありがとうございます…!」

店員「只今、メニューをお持ち致します」

召喚士(え…円卓で対面じゃなく、横並びって何だか…恥ずかしいな…)

魔道士(ま、周りからはやっぱり…こ、恋人同士に見えるの…かな…?)

召喚士「よ、良かったですねっ!」

魔道士「えっ!?は、はいっ!!」

召喚士「お昼時を少し外れてたので、すぐ座れましたね」

魔道士「あ、ああっ!そうですね!えへへへへ…っ!」

召喚士「………」

魔道士「……………」

召喚士「……あ、あの…」

テクテク…スッ

店員「メニューをお持ち致しました。どうぞ」
738 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 17:57:58.95 ID:cjlsEB.o
召喚士「あ、ありがとうございます!」

二人にメニューを手渡し、店員は再び円卓を離れる。

魔道士「うわぁ、沢山ありますねぇ…!」

召喚士「魔道士さんはどれがオススメですか?」

魔道士「私ですか?えぇと…これとかどうでしょう?」

召喚士「…ペスカトーレですか!いいですねっ!」

魔道士「港町ですし、私…結構好きなんですよっ!エヘヘ!」

召喚士「美味しいですよね!隠し味に少し白ワインなんかを…」

魔道士「あっ、やっぱり入れます!?入れる事で風味がいいんですよね〜!」

召喚士「今度一緒に作りましょうか!?」

魔道士「はいっ!喜んで!エヘヘッ!!」

テクテクテク…

店員「お決まりでしょうか?」

召喚士「はい、ええと……」
739 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 17:58:26.67 ID:cjlsEB.o
〜ショッピングモール〜

盗賊「…成程」

戦士「そういう事!何が良いかな…?」

盗賊「う、うーん…」

戦士「持ち運び考えて…小さい方がいいか?」

盗賊「私は…アレにしよう」

戦士「アレ?」

盗賊「ひ、秘密…だ」

戦士「そっか…。うーん…どうしよう」

戦士は腕を組み、唸り声をあげる。

戦士「趣味…日常的に使えそうな物がいいか…」

盗賊「…先に…買ってくる…ね?」

戦士「おーう、ここらでブラブラしてるわ」

盗賊「うんっ」
740 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 17:58:54.85 ID:cjlsEB.o


店員「『ペスカトーレ』のお客様…」

召喚士「はい」

コトッ

店員「こちら『小エビと野菜のラビオリ』でございます」

魔道士「はーい!美味しそう〜」

コトッ

店員「では、ごゆっくり…」

召喚士「それでは頂きましょうか」

魔道士「はぁい!頂きます〜!」

カチャッ…パクッ…

魔道士「んっ…!美味し〜い!!」

召喚士「……本当だ!美味しい!」

魔道士「良かったですね!召喚士さんっ!」
741 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 17:59:49.64 ID:cjlsEB.o


店員「ありやしたぁ〜!!」

テクテクテク…

戦士「……おう、そっちも終わったか?」

盗賊「…うん。大丈夫」

戦士「よし、そんじゃ戻るか!」

盗賊「…うん」

スタスタスタ…

戦士「結局、何買ったんだ?」

盗賊「…な、内緒だ」

戦士「そっか…。まぁ楽しみにして」

盗賊「たっ、大した物では…ないぞ!」

戦士「まぁ…それは俺もだが…。苦手なんだって、こういうの…」

盗賊「ど、同意……」

戦士「と、とりあえず…行くか……」
742 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 18:00:21.59 ID:cjlsEB.o


魔道士「…それで『サンドイッチ』って言うんだそうですよ!」

召喚士「へぇ…そうだったんですね!初めて知りました!」

魔道士「凄いですよねっ、うふふっ。……あっ」

召喚士「…?」

魔道士「お腹いっぱいになってきちゃいました…」

召喚士「結構ボリュームありますもんね…」

魔道士「召喚士さん…まだ食べられます?」

召喚士「はい、大丈夫ですよ」

魔道士「ふふっ、じゃあどうぞっ!」

魔道士はラビオリをフォークに乗せ、召喚士の口元へ運ぶ。

召喚士「!?」

魔道士「はい、あ〜ん!」

召喚士「……は、はいっ!」
743 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 18:00:58.03 ID:cjlsEB.o
パクッ

魔道士「どうですか?美味しい?」

召喚士「うん、美味しいです!」

魔道士「今度作ってみますね!えへへ!」

召喚士「は、はいっ…!」

魔道士は嬉しそうな表情で再びフォークを差し出す。

魔道士「………!?」

召喚士「…ど、どうしました?」

魔道士「あっ!…い、いえっ……何でも…ないです」

魔道士は何かに気付いたように、顔を真っ赤にしながら俯く。

召喚士「……?」

魔道士「ど、どうぞ!」

召喚士「は…はい……」

フォークを戻した魔道士は、皿ごと召喚士の前へと置いた。
744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 18:01:26.45 ID:cjlsEB.o
テクテクテク…

盗賊「あの…さ…」

戦士「んー?」

盗賊「え…っと……」

横を歩く盗賊は、真っ直ぐ向いた戦士の顔を見上げる。

盗賊「た、楽しかった……」

戦士「…そうか?」

戦士は目線を地面へ移した盗賊を、笑顔で見つめる。

戦士「それは良かった」

盗賊「あ、あり…ありがとっ!」

戦士「えっ…?」

盗賊「い、色々と……あ…りがと…」

戦士「ははっ!こっちこそ…ありがとな!

顔を上げた盗賊と戦士の目線が合い、二人は照れながら笑う。

待ち合わせ場所の時計台が、14時になる合図の鐘を鳴り響かせた。
745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 18:02:43.18 ID:cjlsEB.o
〜時計台〜

魔道士「ごめんなさい…なんだか食べて貰っちゃいまして…」

召喚士「いえいえっ、美味しいからすんなり入っちゃいましたよ」

魔道士「召喚士さんて意外と食べますよねー」

召喚士「見かけによらずって感じですか?ははっ」

魔道士「そうですねっ!エヘヘ!!」

テクテクテク

戦士「おっ…来た来た!」

魔道士「お待たせしましたー!」

盗賊「…おかえり」

魔道士「ただいまです!盗賊さん何食べたんですかぁ?」

盗賊「えっと……」

戦士「…なぁなぁ」

召喚士「…?」

戦士「買い物済んだのか?」
746 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/21(金) 18:04:06.62 ID:cjlsEB.o
召喚士「いや…まだだけど…」

戦士「まだって…」

召喚士「あ、俺はもう頼んであるんだ」

戦士「そうなのか?」

召喚士「うん。だから大丈夫」

戦士「ふぅん。しかし手際良いな…いつの間に…」

召喚士「なかなか手に入らないものだし…。専門家に…」

戦士「あぁ…そういう事か!!」

召喚士「うん。さて……行きましょうか」

戦士「おうっ。船ももうじき乗船手続きだしな!」

魔道士「次はどこへ行くんですか?」

盗賊「えっと…」

召喚士「とりあえず、大陸港の町に行きましょう」

魔道士「はいっ!えへへ!!」

四人は繁華街を後にし、船着場へと向かった。
747 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 18:11:22.92 ID:t8sOU4Eo
ニヤニヤとともにこの心の底から込上げてくる
どす黒いものはなんだろう
748 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 18:14:30.61 ID:2c14SLoo
>>747
人それを恋と呼ぶ
749 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/21(金) 18:37:57.71 ID:cjlsEB.o
それでは帰ります!ご支援ありがとうございました!
投票所のコメント見させて頂きましたが…本当にありがとうございます!
ここでのレス同様、活力になりますですよ〜感謝感謝!!ノシ
750 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 21:48:03.16 ID:5u7xGUAO
ま、魔導師ちゃん………
おどりゃ召還士ギギギギギギギ…
751 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 21:51:07.29 ID:nmdNvIU0
おばあちゃん みんなに好かれて 幸せ者
752 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/21(金) 23:40:39.24 ID:ITmERmwo
>>1に恋した
753 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/21(金) 23:48:53.55 ID:BPrEyMAO
眼鏡さん……
754 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/22(土) 00:05:27.97 ID:ytrcukDO
眼鏡さんはただの眼鏡になりました
755 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 00:07:52.15 ID:SCoz92oo
眼鏡が一番かっこいい
ポイントは正体がでかい犬ってところ
756 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/22(土) 00:08:40.58 ID:Q7hhPIco
わんこが服持ってくるまで変身解除して森から出てこられねぇよ
股間の魔犬を見せ付けたらただの変態眼鏡だぞ
757 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:11:47.26 ID:DaAzedMo
北関から程遠くない山中…。木々を一頭の馬が走り抜ける。

パカラッパカラッパカラッ…ドドォ…

大軍師「おぉ…本当にこんな所にアジトが…」

スタッ…ザッザッザ…

大軍師「灯台もと暗し…とはこの事ですね。ふふふ…」

大軍師は正面にある小屋へ目をやる。

大軍師「…にしては、あまりに容易」

キョロキョロ…

大軍師は崖の中腹にある、小さな穴の入口を見つける。

大軍師「……成程」

ザッザッザ…ヒョイッ…タンッ

大軍師「なかなか…やりますねぇ」

その入り口目指し、大軍師は身軽に崖を登っていく。

ヒュッ…スタッ

大軍師「ビンゴ、ですね…」
758 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:12:14.12 ID:DaAzedMo
ババッ!!

サル「…!?」

女侍「誰か…来たねぇ…!」

二人は床に置いた得物を手に取り、中腰で身構える。

コンコン…

サル「………」

女侍「……」

大軍師「あのー、国軍の者ですが…」

サル「!?」

女侍「バカ正直だねぇ…!入りなっ!」

サル「いいのかよっ!?」

女侍「堂々と名乗ってるんだ。敵意がないか、余程自信があるんだろ」

大軍師「失礼致します」

カチャッ…ザッ…

大軍師は扉を開け、一歩足を踏み入れると、微笑みながら羽扇を仰ぐ。
759 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:12:43.97 ID:DaAzedMo
大軍師「国軍の大軍師、と申します」

女侍「国軍の方が何の用だい?」

サル「しょっぴきに来やがったか?」

大軍師「何か悪い事でもされているので…?」

サル「あ!?い、いやっ…さ〜ねぇ。んふふふっ!!」

女侍「お前は黙ってな」

サル「へいへい…」

大軍師「実は先日の北伐において、貴殿らの協力があったと噂に聞きました」

女侍「へぇ。それで何だい?謝礼でも頂けるのかい?」

大軍師「そうしたいのはやまやまなのですが…」

大軍師は一枚の紙を女侍に手渡す。

女侍「…何だい?こりゃ……」

大軍師「これでご勘弁頂けませんか?」

サル「……?」

女侍「どれ…」
760 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:13:11.90 ID:DaAzedMo
カサッ

女侍「……!!ほぉ…!」

サル「こ、これって……!!」

大軍師「贖宥状です。免罪…とまでは流石にいきませんが…」

女侍「……いいのかい?」

大軍師「執行猶予…と言ったところですね」

サル「一年間…盗みを働かなければ…免罪…!」

女侍「……ふぅん」

大軍師「上の許可は得ておりますのでご安心を」

サル「一年…かぁ」

女侍「あははっ!なかなか面白いじゃないか!」

大軍師「………」

女侍「でもねぇ、アタシ達はそれでおまんま食ってるんだ。無理な話だね」

大軍師「そうですか…。残念です」

サル「いやいやいや!無罪になんだろ!?俺っちは頑張……」
761 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:14:03.95 ID:DaAzedMo
身を乗り出し話すサルを手で遮り、女侍が声を被せる。

女侍「軍の奴らは賊の意味を分かっちゃいないのさ」

大軍師「……賊…ですか」

女侍「どんな世界にだって、善悪はいるもんさね」

大軍師「成程…。確かにそうかもしれません」

女侍「…ま、折角の御好意だ。コイツはありがたく頂戴するよっ」

女侍は紙をひらひらと振り、再び上座へと戻る。

サル「!?」

大軍師「…!?」

女侍「また客人かい…。それともイヌとキジが帰って…」

サル「いんや、アイツらの気配じゃねーなぁー」

三人は一斉に身構え、扉を見つめる。

サル「お仲間か?」

大軍師「まさか…。私は一人ですよ」

呆れたような口調で大軍師は扉の前へ立ち、ゆっくりと開ける。
762 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:14:38.19 ID:DaAzedMo
カチャッ…

大軍師「…新たなお客人のようですね。それでは…私はこれにて…」

大軍師は女侍へ一礼すると、扉の前の男へ会釈し、アジトを後にする。

サル「今度は……東方の方かね?何のようだい?」

雷忍「カカカッ!お初にお目にかかりまする」

女侍「そのナリ…藤蔵の者かね?」

雷忍「存じておいでか!これは光栄…カカカッ!!」

サル「…まぁ入りな」

雷忍「宜しいのですか?」

サル「敵にしちゃ堂々としすぎだっつの…」

雷忍「カカッ!では、失礼……」

スッ…

女侍「それで…藤蔵が何用だい?」

雷忍は今までとは一変、真面目な表情と口調で女侍へ話しかける。

雷忍「単刀直入に…。貴方様をお迎えにあがりました」
763 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:15:18.41 ID:DaAzedMo
サル「おっ、お迎え!?」

女侍「どういう意味だい…?返答次第では…」

雷忍「いえいえ。此度の件について、藤蔵は無関係にて…」

女侍「じゃあ何だってのさ…?」

雷忍「ここ数カ月…某はとある者を捜しておりました…」

女侍「……」

雷忍「その者……剣の腕、東方一…故に二つ名を『剣聖』…」

サル「剣…聖!?なんだそりゃ…」

女侍「……」

雷忍「東方一の剣の使い手です」

サル「そ、それが…何だってんだ…?」

雷忍「剣聖はほとんど人前に姿を現さず、いずこの山中へ住まうと伺い…」

ススッ

雷忍「某はようやくその棲み家を探し当てました」

サル「……へぇ」
764 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:16:04.58 ID:DaAzedMo
雷忍「しかし剣聖は既に亡くなられており……」

女侍「……」

雷忍「どうにも困り果てておりました時…」

ザッ

雷忍「そのご息女が…おられる事が分かりました」

サル「ご息女…ああ、娘ね。………えっ!?」

サルはゆっくりと振り返り、女侍の顔を見る。

雷忍「剣聖のご息女であられる女侍様…。お迎えにあがらせて頂きました」

女侍「………ははっ…あはははっ!」

サル「え!?…息女って…娘で…あれ!?」

女侍「勘違いしないでおくれ。とっくに縁など切ってるよ」

雷忍「……」

女侍「そもそも何だい?迎えにあがるとか偉そうに…!」

雷忍「……ごもっとも」

女侍「誰の差し金だい…?」
765 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:16:41.38 ID:DaAzedMo
雷忍「……指南役でございまする」

サル「指南…指南って何だっけ?師匠みてぇなもんだっけか?」

雷忍「左様」

女侍「誰のっ!」

雷忍「……お上に…御座る」

サル「お上……て、あ…あの…さっ…!?」

女侍「帝…。国王の事だよ」

女侍は深い溜息を一つつきながら、サルへ話しかける。

雷忍「つきましては、是非ご一緒に……」

女侍「嫌だね」

雷忍「はっ…?」

女侍「そもそも無理だろう?たかが一介の賊が、帝の指南役…笑わせるよっ」

雷忍「しかし…貴方以上の剣の使い手などそうそう…」

女侍「んなもん腐るほどいるだろうさね」

雷忍「いえっ…。『剣聖の元、二つの花あり』と誉れ高き腕前にて…」
766 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/22(土) 02:17:11.20 ID:DaAzedMo
サル「花だってさ、良かったなぁ〜雑草じゃなくてよっ!」

ゴスッ!!

サル「いってぇ!!」

女侍「じゃあそのもう一つの花ってのに当たってみたらどうだい?」

雷忍「……妹君に…ですか?」

女侍「………」

雷忍「……成程。分かり申した」

女侍「…じゃ、そうしてくんなっ!」

雷忍「失礼ながら、妹君のお名前をお教え頂きたく……」

サル「……」

女侍「……女…剣士」

雷忍「女剣士…様でございますな?カカカッ!」

女侍「分かったろ?そんじゃ帰りな。もう話す事はないよっ」

雷忍「カカッ!承知っ…!それでは失礼致しました…」

シュバッ!!

雷忍は瞬く間にその姿を消し、アジトはしばし静寂の空間が訪れた。
767 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/22(土) 03:02:32.00 ID:DaAzedMo
>>752
な、なぜ!?ありがとうございますww

>>753-756
眼鏡さん影は薄いですが濃い設定なので
もっと日の目を浴びる機会があれば…頑張ります!

土日は少ししか更新出来ないかもなのでまとめ読み下さい!
それではおやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

召喚士&魔道士と別れた天才は、一人路地裏にいた…。

ザッザッザ…ゴソゴソッ…グイッ!!

観客「お、おいっ!」

リングアナ「やややっ!君は!?」

マスク・ド・ジーニアス「はーっはっはっは!帰って来たぜ!!」

リングアナ「待っていたよ!君のいないUFRなんてもう…」

マスク・ド・ジーニアス「任しとけ!はーっはっはっは!!」

格闘家「!?……アイツ、只者じゃない…っ」

マスク・ド・ジーニアス「ん…なんだ小僧?俺様とやるか?あ?」

格闘家「…やっと…強い奴に会えた…!是非!!」

マスク・ド・ジーニアス「良かろう…かかってきなさい!!」

リングアナ「おぉーっと!いきなりサプライズマッチの始まりだぁ!!」

レフェリー「それでは……レディー…ゴーッ!!」
768 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 03:21:04.51 ID:j1HPgASO
ガンダムファイトかww
769 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 03:24:51.38 ID:DKWY6Qso
よりによって女剣士か…
男相手には対応があれだったから苦労しそうだな。
770 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 04:31:43.17 ID:SHZQAcSO
女剣士ってどこらへんで出てきた人だっけ?
771 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 08:38:44.69 ID:6HqqtMAO
誰かジーニアスを和訳してくれ
俺は真実など知りたくない怖くて知れない

てか地下闘技の記憶もサッパリ残ってない俺は本当にアルツハイマーなんじゃないだろうかと、不安に思うのでした
772 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 09:23:14.57 ID:F/UzwQDO
ジーニアスの意味はてんs
おっと誰か来たようだ
773 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 10:25:50.47 ID:DKWY6Qso
>>770
第二回北伐トロル戦において、マジシャンと一緒に遊撃として登場した人。
男嫌いで金に汚いっぽい印象があった。
774 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/22(土) 10:38:10.70 ID:uha0EAAO
女侍見てるとギルティの梅喧が浮かんでくる
775 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 10:39:13.92 ID:SHZQAcSO
>>773マジシャンと遊撃で思い出せたマジありがとう!
776 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/22(土) 11:27:11.50 ID:PqOfwko0
なるほど、専門家とはバ(ry
777 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/22(土) 12:58:42.29 ID:QSGNt7I0
        ヾ  /    < 仮面ライダー555が>
       ,. -ヤ'''カー、   /Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Yヾ
 ー―ァ  /r⌒|:::|⌒ヾ
   _ノ オ{(  |0|  )} オオオォォォォ!!!!!
     __,ヽ,ヾ,_|V|,_ノ、/ ,r-,,=
    ,゛==ゝ_ViV_ノ~i/ 〃 `ー―-、
    /  /⌒`//´⌒c/^^^ ))))))))))
 ,,―イ  {ー''"~{ {~゛`ー`/'`'~/ー--―'
))   ,./ゝ_/∧ゝ_ノ  ノ
 ー''"  |ロ  ロ    |
 人,_,人,_,人,_,人,_,
< >>777ゲットだ>

778 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 01:47:45.63 ID:KSPHf6AO
今の仮面ライダーって555種類もあるのか…
ポケモン超えたんだな
779 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 03:56:14.79 ID:660sXMAO
天下一武道会のアナウンサーがいる件
780 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 20:04:03.34 ID:0SND9nQo
ここでそろそろ>>1登場
781 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 20:19:09.07 ID:miGOua60
     ___,,,,,..... -一ァ
         / ̄;;;´;;、;;;ヾ;;;, -──--、,!
.        /'´|;;;;,、;;;;;;;;;;/      ,!
.         /:.:.:.レ´:.ヾ;;;;;;i   断  だ ,!
       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ;i  る  が ,!
.      /:.;.イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヽ       ,!
.       /レ' ;|:.:.:.:.:.:.:,:ィ:.:.:.:〉 __,.,!
     /-、ヽ,:|:.:.:,/ /:.:.://.:,:ィ:.:.:.,!
      /'ヽ、ヾi ゙´.:   /__;:;:-'"´ ,;|:.:.:.,!
.    /ゝ-`';:/ .:〈ニ=-=ニ二 ̄ヽレ',!
   /::::;;;;;/  ' ,, ニ`ー-,、__\〉ィ,!
.   /;:::::/ ::.    ::.,,\_ゞ;'> 〈;,!
  /i!:::::iヾ-'、::..       '';~ ,;:'/,!
. /;;;i!fi´l_、,.`        .: ,;:'  ,!
/;;;;;i' ('ー、ヽ      ..: ,;:''   ,!
ヽ、jゝ、`ヾ:、゙、   ,..:'.:'"    .: ,!
   ``ヽ.、_ ¨`  ,:'      (_r:,!
       ``ヽ.、..    ノr;ソ~,!
             ``ヾ、 / 7,!
                 ``ヽ,!

782 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/23(日) 22:32:12.25 ID:sTTBYtQo
こんばんは〜昨日の夜から風邪引いてしまい…絶不調です…
ちょいとだけ更新を…ごめんなさい!!><
↓続き
783 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 22:32:52.12 ID:sTTBYtQo
〜本国〜

街道には軍の凱旋を出迎える、民の熱気で溢れかえっている。

老人「殿下ー!!」

男「国軍っ!良くやったぞぉ!!」

その中央を岐路に着いた騎馬がゆっくりと進む。

皇太子は左右に忙しなく振り返り、笑顔で手を振る。

パッカパッカパッカ…

副司令官「それでは殿下、此度の北伐…まことにご苦労様でした」

皇太子「うむ。国軍の皆々もゆっくり養生されよ」

副司令官「ははっ!ありがたき御言葉…!!」

皇太子「エリートと青年兵はそのまま王宮へ供につけ」

エリート「はい」

青年兵「はは!」

副司令官「では…。国軍隊反転!本部へと向かうぞ」

副司令官の号令を合図に、隊は二手に分かれ、王宮と国軍分部へそれぞれ向かった。
784 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 22:33:35.01 ID:sTTBYtQo
〜王宮〜

右大臣「陛下っ!お戻りになられましたぞっ」

国王「う…む…」

国王は寝床よりゆっくり起き上がり、右大臣の手を借り、起き上がる。

右大臣「思わしくなければ、私が代行に…」

国王「問題ない。それに…折角の凱旋だ。直接出迎えてやらんでどうする…」

右大臣「……は。しかしご無理はなんさいますな…?」

国王「分かっておる。自分の身体だ…」

二人は皇太子の待つ謁見の間へと足を進める。

ザッザッザ…

皇太子「………」

国王の入室とともに、一同がひれ伏し、それを合図に玉座へと腰掛ける。

国王「無事戻ったようだな。此度の働き、まことにご苦労…」

皇太子「ありがたき御言葉」

皇太子は顔を上げ、玉座に座る国王を見つめる。
785 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 22:35:31.72 ID:6aeiEMDO
>>1
ムリすんなよ!
辛かったら、体を温かくして寝ろよ
786 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 22:36:16.47 ID:sTTBYtQo
国王「しかしだ…。また無謀な戦いをしたそうだな」

皇太子「無謀…?御言葉ですが、そのような事…断じて御座いませぬ」

国王「……」

皇太子「私の尊敬する亡き大元帥殿のお言葉通り、勇敢に戦いまして御座います」

国王「そんなものは詭に過ぎぬ」

皇太子「詭弁?何が詭弁なのですか!?」

国王「お前が一介の兵士ならそれで良い。立場をわきまえよ、と申しておる」

皇太子「一介の兵士と私に如何ほどの違いがございましょうか?」

国王「………」

皇太子「魔族を討つ志…いや、同じ人間では御座いませぬか」

国王「お前が死んだら…この国はどうする?」

皇太子「私の変わりなど幾らでも務まりまする!」

国王「一介の兵士でもか?」

皇太子「……それこそ詭弁です」

国王「同じ事であろう?」
787 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 22:38:33.22 ID:sTTBYtQo
右大臣「殿下、どうか……陛下の心中をお察し下され」

エリート「しかし殿下は万民の為に……」

右大臣「分をわきまえよエリート!」

エリート「父上…っ」

右大臣「殿下の盾となり、更には制するのが貴様の務めであろう?」

エリート「………」

国王「よいか?私には最早、お前しか居らぬのだ…」

皇太子「……」

国王「どうかその命を粗末にせんでくれ…」

皇太子「……畏まりました。失礼致します」

クルッ…スタスタスタ…

エリート「…失礼致します」

青年兵「しっ、失礼致します!」

ザッ…スタスタスアt…

足早に去りゆく皇太子を追い、エリートと青年兵が退室する。
788 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 22:39:02.46 ID:sTTBYtQo
国王「……困った奴だ」

右大臣「殿下のお気持ち…分からんではありませんが…」

国王「ああ見えて、猪突猛進の馬鹿ではない」

右大臣「ええ。兵法にも長けております故…」

国王「それ即ち、魔力無き事を恥じておるからじゃ…」

右大臣「……」

国王「誰もそのような事、気にしてはおらぬと言うのに…」

国王は虚ろな表情で一つ溜息をつく。

国王「…『覇王』と謳われた我が祖父、先々代のように……」

右大臣「……」

国王「武でこの国を守ろうと…そう感じておるのであろうな…ごほっ!」

右大臣「陛下っ!?」

国王「大事ない…。やや感情的になり…心拍が上がっただけよ…」

右大臣「お身体に障りますぞ!…さぁ、戻られましょう」

国王「…ごっほ!…ごほ…っ。……う、うむ」
789 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 22:39:11.96 ID:2afp1qQ0
>>1さん、御自愛下さい。
つ 旦
790 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 22:39:29.60 ID:sTTBYtQo
〜王宮、廊下〜

カツカツカツ…

エリート「で、殿下……っ」

皇太子「私は毛頭、王の座など継ぐ気はない…」

エリート「殿下、それはなりませぬ。ましてや貴方様一人…」

皇太子「妾の子がおるのだろう?その者で良かろう」

エリート「殿下っ!!」

カツカツ…ピタッ

皇太子「二人とも…此度はよく働いてくれた。礼を言う」

青年兵「いえっ、そのような事…」

皇太子「しばらく外征はない。ゆっくり休暇を取るが良い」

エリート「殿下……」

皇太子「大丈夫。……そこまで弱い男ではないよ」

皇太子は微笑み、自室へと姿を消した。

エリート「殿下……」
791 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 22:40:41.26 ID:sTTBYtQo


青年兵「エリート様…っ」

エリート「聞いたであろう…」

青年兵「……」

エリート「青年兵くん…。故郷は?」

青年兵「故郷…ですか!?」

エリート「休暇を取ると良い。故郷はまだ健在なのかな?」

青年兵「ええ…。ここより北西にある海岸近くの小さな村です」

エリート「両親共にご健在で…?」

青年兵「いえ、父は物心つく前に…亡くなりました」

エリート「それは…すまない」

青年兵「いえ…。僕もほとんど記憶にありませんから…」

エリート「たまには帰省し、孝行でもすると良い」

青年兵「…そう…ですね」

自室へと向かうエリートに一礼し、青年兵もその場を後にした。
792 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 22:44:18.32 ID:RPQ5epYo
無茶しないで>>1
793 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 23:06:01.61 ID:sTTBYtQo
〜国軍本部〜

カツカツカツ…

秘書官「此度は総指揮、ご苦労様でした」

副司令官「うむ…。総司令は?」

秘書官「不在です」

副司令官「不在…!?一体どちらへ…」

秘書官「プライベートにつき、お教え出来ませぬ」

副司令官「くっ…!残処理があるというのに……」

秘書官「今日のところはお引き取りを」

副司令官「承知した。明日改めよう」

頭を下げる秘書官にそう返答すると、副司令官は講堂へと向かう。

カツカツカツ…

魔道兵「あっ!お疲れ様です!!」

副司令官「先生はおるか?」

魔道兵「ははっ!あちらにいらっしゃいます!」
794 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 23:16:28.28 ID:T8Vegu.0
世の中には、SS書き始めると体調不良で中断する書き手ばかりだと言うのに
この>>1の熱意、素晴らしいな

同じSS書きとして尊敬に値するわ
795 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/23(日) 23:25:52.11 ID:eGMrfcDO
更新は嬉しいが……無理はしないでおくれよ>>1さん
796 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 23:40:35.74 ID:sTTBYtQo
カツカツカツ…

副司令官「…失礼しますよ、先生」

青龍先生「…なんじゃ、お主か」

副司令官「ご迷惑でしたかな…?」

青龍先生「中年親父に来られて、迷惑でない男などおるかの…」

副司令官「相変わらずですね……」

青龍先生「ワシは男には興味ないわい…」

副司令官「全く……」

副司令官は呆れた顔で両手を腰におく。

青龍先生「それで…何の用じゃ?」

副司令官「……これを」

青龍先生「…?……ふむ」

一枚の紙を副司令官の手より受け取り、青龍先生はそれに目を通す。

カサッ

青龍先生「………!?」
797 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/23(日) 23:49:52.57 ID:sTTBYtQo
副司令官「殿下より直々の要請です。構いませんな…?」

青龍先生「どうせあの方のことじゃ…。もう連れて行ってしまったのじゃろ?」

副司令官「…い、いかにも」

青龍先生「ヒョッヒョッヒョ!構わんよ。ワシとしては口惜しいがのぅ…」

副司令官「……」

青龍先生「彼…青年兵にとっても、大きな経験となるじゃろうて…ヒョッヒョ」

副司令官「では明日、正式に司令官へ書類を回させて頂きます」

青龍先生「うむ」

副司令官「それでは…、失礼致します」

副司令官は深く頭を下げ、講堂を後にする。

カtカツカツ…ピタッ

副司令官「……お身体、宜しいので?」

青龍先生「最近はすこぶる良いよ。…そんな事を聞いてどうする?」

副司令官「いえいえ、ただのお節介です。……失礼します」

青龍先生「お気遣いすまんの……。ヒョッヒョ!」
798 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 00:00:34.91 ID:2DKmtQAO
>>1無理はせずに



魔導師ちゃんが出番少なくなるのは寂しいはずだったんだが…なぜだろう、今すごく穏やかな気持ちで居られる
嫉妬の炎も今日の雨で沈静化されてきたみたいだな
799 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 00:05:08.07 ID:DaXd1NUo
〜北方司令部〜

一同は無残な姿へと変わり果てた墓を、険しい表情で見つめる。

騎士長「思っていた…以上だな」

左翼長「くそ…っ!魔物め!!」

参謀「……っ」

左翼長「北関での話がもし本当なら…結界石の意味はあまりない」

騎士長「ああ…。今より警備と偵察を強化しよう」

参謀「ですね…」

左翼長「良いか…この先、もし北方司令の姿を見かけたら……躊躇するな」

参謀「望ましくない、いえ…あってはならぬ事ですが…」

騎士長「彼は亡くなった。既にこの世には居ないのだ。もし現れればそれは幻にすぎぬ…」

北方兵「ははっ!!」

奔放兵達は一斉に敬礼をし、表情を引き締める。

騎士長「狙いが分からぬ限り…ここも暇にはならんな……」

左翼長「全く…。とんだ厄介事だよ」
800 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/24(月) 00:11:28.65 ID:DaXd1NUo
それでは寝させて頂きますですー
ご支援&ご心配ありがとうございました!おやすみなさい!ノシ

>>785>>789>>792>>795
うおお、ありがとうございます!元気貰いました!
>>794
SS書きさんも呼んで下さってるんですね!感謝です!でも尊敬する程の者ではありません
>>798
魔道士はもうちょいしたらまた出て来ます!一緒に祝ってやって下さい!
801 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/24(月) 00:22:53.74 ID:PqdEWSQ0
>>1乙!ゆっくり休んでくれ!
802 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 00:36:06.19 ID:mXDL4oDO
>>1乙!
今流行ってる風邪は、こじらせて肺炎になる人もいるくらい
性質が悪いらしいので無理して悪化させないように気をつけてなー!
803 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 07:05:05.37 ID:K4FtT4s0
俺が肺炎だと知っている奴がいると聞いて
804 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 10:50:20.60 ID:kz7LcJY0
>>803
安静にして早く治せ
805 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 12:30:23.80 ID:iZRnW7Q0
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紬は一人離れて店内を物色していた

ブラブラ

紬(やっぱり鍵盤楽器はないわ……これくらいの文化圏だとしょうがないのかしら)

唯「あ、ムギちゃーん!」

向こうから唯がかけよってくる

紬「あら、唯ちゃん、どうしたの?あ、みんなも……」

唯「えっと、店主さんがムギちゃんの演奏聴かせて欲しいんだって!」

紬はそこで初めて唯たちの後ろにいる人物に気づく

店主「すまないが、君の演奏をぜひ聴かせて欲しい!」

806 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 12:33:38.37 ID:iZRnW7Q0
うわああああああああ
誤爆したあああああああ
死にてぇまじ迷惑かけた死にてぇ

すまん>>1、そしてみんなあぼーんしてくれ、マジごめんなさい
807 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/24(月) 12:40:14.12 ID:35YXfOEo
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
808 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/24(月) 12:49:57.31 ID:BX1LGuMo
>>805-806
お構いなく!同板かな…?今度見させて頂きますね!ノシ

盗賊「……」

戦士「どした?」

盗賊「…いや、素敵な…音色だなって」

魔道士「変わったな楽器ですねぇ。初めて見ます…」

召喚士「ええ。しかもみんな若いし、は…派手な格好だなぁ…」

魔道士「……どこ見てるんですか」

召喚士「い、いえっ!べべ、別に…っ…あっ!?魔道士さん待って下さい!」

戦士「お前もなんか出来るんだっけか?」

盗賊「……こ、琴を…少々」

戦士「琴?琴って何だ?」

召喚士「東方の楽器じゃないかな…?」

盗賊「……う、うん」

魔道士「わぁ!今度聴かせて下さいっ!えへへ!!」

盗賊「むっ、無理!……下手…だし」

戦士「よーし!じゃあ今度演奏会だなっ!はははっ!」

盗賊「や、やだやだっ!!勘弁して下さい!!」
809 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/24(月) 12:54:01.23 ID:BX1LGuMo
>>801-802
ご心配頂き、ありがとうございます!
まぁ仕事は休むわけにもいかず…頑張ります

>>803-804
魔道士「大事になさって下さいね!早くよくなるよう、祈ってます!」

盗賊「…む、無理はダメだからなっ!」
810 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 12:55:18.65 ID:iZRnW7Q0
>>1の心の広さに感謝
もうSS書きながら他スレ覗くのは金輪際やめます
お詫びと言うほどのことはできませんが、最後までご支援させて頂きます

本当にどうも申しわけございませんでした

811 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/24(月) 18:03:56.15 ID:BX1LGuMo
>>810
いやいやもう全然気にしないで下さい!
こういうきっかけでの縁もありますし、
何より楽しければそれで良し!ですよー

↓続き
812 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:04:27.57 ID:BX1LGuMo
〜船上〜

魔道士「それでは、おやすみなさい!」

戦士「朝には港着くから寝坊すんなよ?」

召喚士「おやすみなさい」

盗賊「…おやすみ」

カチャッ……パタン

戦士「さーて…。行きますか!」

召喚士「うんっ」

〜船内のバー〜

戦士「カンパーイ!!」

チーンッ!!

召喚士「………ぷはぁ!」

戦士「二人で飲むのも久しぶりだなぁ!」

召喚士「うんっ!」
813 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:04:54.05 ID:BX1LGuMo
戦士「北関ん時みたいに、みんなでワイワイやんのも良いけど…」

召喚士「こうして落ち着いて飲むのも良いよね」

戦士「ああ…!お前と飲むと落ち着くっつーか…何だろうな…」

召喚士「分かるかも…。俺も戦士と飲んでるとリラックス出来るっていうか…」

戦士「素が出せるのかもなぁ…」

ぽつりと呟き、戦士はカウンターを見ながらグラスを傾ける。

召喚士「素…かぁ。そうかもね…」

戦士「良かったよ。ほんと」

召喚士「…?」

戦士「まだ一年弱だけどさ。お前らとパーティーやってこれて良かった」

召喚士「こちらこそ!みんなが居てくれたから…ここまで来れたよ」

戦士「あのままソロだったら俺…野垂れ死んでたろうなぁ…」

召喚士「そう?意外と上位ランカーになってたりしてね」

戦士「はははっ!無理無理!」
814 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:05:20.88 ID:BX1LGuMo


戦士「ふー…」

召喚士「結構飲んじゃったね」

戦士「アイツらに寝坊すんなって言った手前、寝過ごせないわな…」

召喚士「ははっ、そうだね」

戦士「あのよ…」

召喚士「ん…?」

戦士「この先、どうするつもりだ?」

召喚士「えぇと…西、かなぁ。頼りたくはないんだけど…占い師さんも言ってたし」

戦士「ああ、うん。それもあるけど……」

召喚士「…?」

戦士「これから先、どこを目指すかって事」

召喚士「ああ…。そうか、そうだね…」

召喚士はやや考え、言葉を続ける。
815 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:06:06.26 ID:BX1LGuMo
召喚士「正直言うと…分からない、かな」

召喚士はグラスをカウンターの上へ置くと、口元を緩め微笑む。

召喚士「俺達だけの力で何か出来るとはまだ思えないし…」

戦士「……」

召喚士「それに、まだまだ知らない事が多すぎると思うよ」

戦士「まぁ、そうだな…」

召喚士「旅を続けてきて思ったけど、あまりにも無知すぎたよ」

戦士「ああ。それは俺も感じてるよ」

召喚士「この先もし、何かを成し遂げたいと思うのなら…」

戦士「もっと沢山の事を知っていかないとな!」

召喚士「戦士は何かやりたい事…ある?」

戦士「そうだなぁ…」

戦士は腕組みし、唸りながら首を捻る。

戦士「やっぱり、ゆくゆくは大きな事をやりたいよな」
816 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:06:48.49 ID:BX1LGuMo
召喚士「そっかぁ」

戦士「それが夢でこの道選んだわけだしな」

召喚士「うん」

戦士「凄い奴らも沢山見てきたし…」

召喚士「ありがたい事だよね」

戦士「ああいう風に強くなりたい、ってのは常に思うよ」

召喚士「いいじゃん!伝説…再来…なんて後々語られるような…」

戦士「おっ、いいなぁ!」

召喚士「でも、まずは…その為の今を頑張らないとね」

戦士「ああ!……そこで、だ」

召喚士「…?」

戦士「バーテンさんとこ行った後、ちょっと行きたい所があんだが…」

召喚士「いいけど…どこへ?」

戦士「ああ。実は………」
817 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:07:19.00 ID:BX1LGuMo
〜客室〜

魔道士「盗賊さー……あれ?」

キョロキョロ

魔道士「バルコニー…かな?」

テクテクテク

魔道士「あ、いたいた」

盗賊「!!」

魔道士「…?……どうしました?」

盗賊「な、何でもないっ」

魔道士「お風呂入りません…?」

盗賊「…そ、そうだな」

魔道士「……」

チラッ

盗賊「…!?」
818 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:07:50.30 ID:BX1LGuMo
魔道士「何ですそれ…?」

盗賊「えっ?いや…あ、あの…っ」

魔道士「絵ですか…?」

盗賊「う、うん…」

魔道士「盗賊さんお上手ですもんねぇ!」

盗賊「た、たまには描かないとなっ。ははっ」

魔道士「出来たら見せて下さいね!エヘヘッ!!」

盗賊「う、うんっ!」

魔道士「じゃあ、お風呂行きましょっか!」

盗賊「…うん」

スタスタ…カチャッ…パタン

魔道士「ふふ〜んふ〜………あれ?」

盗賊「……どうした?」

魔道士「ブラが……きつい…」
819 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:09:41.27 ID:BX1LGuMo
盗賊「……そ、そう」

魔道士「えっ!?やだっ…な、何で!?」

盗賊「…大きく…なった?」

魔道士「太ったかなぁ……」

盗賊「…そうは見えないけど」

魔道士「…本当ですか?」

盗賊「う、うん…」

魔道士「じゃ、じゃあ…おっきくなったのかなっ!?」

フニフニ

盗賊「……」

ジーッ

魔道士「あっ、ごめんなさい!入りましょうか!」

盗賊「うん」

テクテクテク…カラカラッ…パタンッ
820 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:10:48.61 ID:BX1LGuMo
魔道士「るるる〜ん♪」

キュッ…シャアァッ…

盗賊「……」

ジーッ

魔道士「るるんる〜…ん?」

盗賊「……」

サッ

魔道士「…な、何ですか?…盗賊さん」

盗賊「…な、何でも…ない」

魔道士「……?」

チラッ…ササッ

魔道士「何か…変ですか?」

盗賊「い、いやっ!」

きょろきょろと身体を気にする魔道士を余所に、盗賊はそそくさと目を逸らす。
821 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:11:28.05 ID:BX1LGuMo
魔道士「何ですかー?気になりますよー!」

盗賊「……え、えっと…あの」

魔道士「はいっ」

盗賊「……さ、触っても…い、いいかな…?」

魔道士「えっ!?」

盗賊「ご、ごめんっ!何でもないっ!!」

盗賊は赤面し、慌てて湯を頭から被る。

魔道士「……いいですよ」

盗賊「…!?」

魔道士「いっつも盗賊さんの事、触ってばかりですし…」

盗賊「…い、いや」

魔道士「…恥ずかしいですけど、どうぞっ!」

盗賊「魔道士…」

恥ずかしそうに両目をぎゅっと瞑る魔道士は、胸の前に構える両腕を下ろす。
822 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/24(月) 18:11:46.19 ID:OixG35go
ブラが…キツイだとっっっ!
にやぁ〜〜〜ギンッ!
823 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:12:12.38 ID:BX1LGuMo
盗賊「………」

魔道士「……うぅー」

盗賊(わ…私、何してんだろ…っ)

ふと我に返り、照れながらも、盗賊は両腕を魔道士へ伸ばす。

フニッ…フニフニッ

魔道士「ん……っ!」

盗賊「……か、かわいい」

魔道士「へっ!?」

盗賊「い、いやっ!何でも…ないです!」

魔道士「は、はいっ!」

魔道士は大きく見開いた両目を、再びぎゅっと瞑る。

フニフニフニ…フニフニ…

魔道士「……んぅ……んっ…んん!」

盗賊(な…なんだろ。凄く……た、楽しいっ!)
824 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:13:25.35 ID:BX1LGuMo
魔道士「も…もう…いいですかぁ…?」

盗賊「!?…あぁっ、ご…ごめん!」

パッ

魔道士「はふぅ……」

魔道士はクタッと床に座り込む。

盗賊「あの…あ、ありがと…!」

魔道士「………ふふっ、えへへ!」

盗賊「……?」

魔道士「何だかお礼を言われる程の事でもないのに…ふふっ」

盗賊「…そう…だね。……ふっ、ふふふっ」

魔道士「よーし、じゃあ次は私の番ー!」

盗賊「えぇっ!?そ、それは聞いてな……あっ…」

魔道士「それぇ!!」

ムニッ…モミモミ…

盗賊「ちょ…っとぉ…!そ、そこはぁ……っ!」
825 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:13:54.34 ID:BX1LGuMo


魔道士「はーっ、サッパリですねぇ!」

ボーッ

盗賊「………」

魔道士「盗賊さん、早く服着ないと風邪引いちゃいますよー?」

盗賊「……は…ぁい」

クタァ…ボフッ

魔道士「もうっ!髪の毛も乾かさないでベッドに寝ないで下さいっ!」

盗賊「……力が…入らない…」

魔道士「あと、お肌のケアもしないと駄目ですからねっ」

盗賊「…はい」

魔道士「特に…踵とか肘とか。すぐカサカサになっちゃいますから」

盗賊「…はい」

魔道士「はいっ!じゃあ今すぐ起きてケアしましょう!」

盗賊「…はい」
826 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/24(月) 18:14:10.70 ID:OixG35go
仕事中なのに…ニヤニヤが止まらん。
827 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:14:16.01 ID:BX1LGuMo


魔道士「すーっ…すーっ…」

盗賊「……ふう」

ベッドですやすやと眠る魔道士に布団をかけ、盗賊はバルコニーへ移る。

盗賊「……さて」

テクテクテク…ゴソゴソッ…ストッ

盗賊「……」

画材を広げ、イーゼルを立てる盗賊の前に、海が広がっている。

暗いながらも穏やかな海は、月明かりに照らされ、時折きらきらと光を見せる。

盗賊「……」

コトッ…ススス…ササッ

盗賊「間に合うかなぁ…」

盗賊はバルコニーから室内へ振り向き、魔道士の様子を伺う。

冷たいながらも穏やかな海風は、盗賊の髪に優しく吹き、時折ひらひらとなびかせた。
828 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:15:16.65 ID:BX1LGuMo
〜朝〜

船員「皆様おはようございます!船はあと2時間程で入港致します……」

船内の至る所に設置された金属の管より、船員の声が鳴り響く。

テクテクテク…

魔道士「おはようございます〜」

召喚士「おはようございます!」

戦士「眠そうだな…」

盗賊「…うん……眠い。寝てない」

召喚士「じゃあ朝食にしましょうか」

魔道士「はいっ!」

戦士「もうじき港だ。ちゃっちゃと食って準備しよう」

召喚士「うん」

魔道士「盗賊さん、行きましょっ?」

盗賊「行きましょう…」
829 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:16:20.01 ID:BX1LGuMo
船員「長旅ご苦労様でした。間もなく港致します。お忘れ物などなきよう……」

テクテクテク…ザッ

〜大陸港の町〜

魔道士「着きましたー!!」

召喚士「最近はもう、帰ってきた!って感じですね」

魔道士「ほんとっ、ふふふっ!」

タッタッタッタッタ…

若漁師「やっと会えた!!久しぶりっ!!」

戦士「あれ?アンタは確か……」

若漁師「覚えてるか!?」

魔道士「覚えてますよー!その節は色々と…」

若漁師「いやいや!こっちこそすんません!」

盗賊「…?」

若漁師「やっぱりお嬢さんだったんですね!」

召喚士「どうしてそれを……!?」
830 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:17:20.99 ID:BX1LGuMo
若漁師「いや、実は大商家の旦那様から色々と話を伺いまして…」

魔道士「お父様から…?」

若漁師「ええ。お嬢さんが冒険者として旅をされてるって!」

戦士「そっかぁ…」

若漁師「その時ピ−ンと来たんです!やっぱりあの娘がお嬢さんだったんだって!」

魔道士「そうでしたか…」

若漁師「…旦那様、心配されてましたよ?」

魔道士「……」

若旦那「でも、国軍経由で色々とお耳にされてるそうで…」

召喚士「………」

若旦那「最近じゃあ取引で伺う度に、お嬢さんの自慢話ですよ!はははっ!」

魔道士「!!」

戦士「そっかぁ…そうかぁ!良かったなぁ、魔道士!」

魔道士「は…い…っ!」

盗賊「…ふふっ」
831 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:18:58.41 ID:BX1LGuMo
若旦那「もうじき誕生日なんですってね!」

魔道士「え、ええっ…」

魔道士は浮かべた涙を指で拭い、答える。

若旦那「誕生日は帰ってくるのか?ってソワソワされてましたよ?」

盗賊「……」

若旦那「いよいよ成人だって!」

魔道士「…そうですか。……ありがとうございます」

若旦那「いえいえっ、たまにはお顔を見せてあげて下さい!」

魔道士「…はい…っ」

若旦那「一人娘なんです。旦那様も寂しいんですよ」

魔道士「は……い…っ」

若旦那「おっと、来た来た!それじゃ失礼します!」

召喚士「あっ、はい…ありがとうございます!」

若旦那は笑顔で積荷の元へと走り去っていく。

損姿を背後から、魔道士は目を潤ませたまま深々と頭を下げた。
832 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 18:19:57.62 ID:BX1LGuMo
テクテクテク…

戦士「良かったな、魔道士」

魔道士「はい…」

戦士「たまには顔見せにいかんとなぁ…」

召喚士「そうだよね…」

魔道士「いえっ、あの…気にしなくていいですからっ」

盗賊「…そうは…いかん」

戦士「いや、つーかお前もそうだろ」

盗賊「!?……うぅ」

召喚士「俺らはいつでも大丈夫なんで、気にせず言って下さいね」

魔道士「はい…。ありがとうございます」

盗賊「……うん」

戦士「さーて…着いた」

魔道士「ところで何でバーテンさんの所へ…?」

召喚士「ああ、えぇと……と、とにかく入りましょう!」
833 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/24(月) 18:47:07.80 ID:BX1LGuMo
なぜか1投下27行になってました…すみません
修正しつつ後ほど投下致します!では失礼します!ノシ
834 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 19:05:13.52 ID:p92tOGko
若漁師なのか若旦那なのか
835 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 19:47:40.84 ID:d6J7hAAO
>>1乙!

てか1投下何行とかそんな所まで…
836 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/24(月) 21:38:41.16 ID:DaXd1NUo
>>834
若旦那…?どうしてこうなった……?
ごめんなさい!何とか致します…うう…orz

>>835
ちょっと語りになって申し訳ないですが…

パー速来てからは、空白含め1レス29行で投下してます
理由はないのですが、そのぐらいが見やすいのでは?…と
もしもしの時は流石に把握が手間なので気にしてませんが…

あと台詞は同一人物が連続しないようにしてます
しそうな時は効果音や地の文を挟んだりしてます
台詞も必ず一行以内にしてます

無駄にこだわっているのはこんなところでしょうか…
837 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 22:42:04.10 ID:tUY.FUSO
お疲れ様
おっぱい
838 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/24(月) 23:13:13.34 ID:FBxEnOE0
>>836
毎日書いてるのにそんな細かな配慮があるとは…ほんとに乙です!!
VIPの頃から楽しく読んでます
839 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 23:49:35.96 ID:DaXd1NUo
マジシャン「だから、言うのが遅いんだよ!」

バーテン「仕方ねーだろ!お前が去った後に聞いたンだからよ…」

マジシャン「お陰で大苦戦……」

カチャッ…チリチリン…

バーテン「……来たか。待ってたよ」

召喚士「こんにちは」

魔道士「あっ、マジシャンさんも!こんにちは!」

マジシャン「おうっす」

戦士「うっす。えぇと…後は…」

バーテン「食材の買い出しに行ってるよ」

戦士「そっか」

盗賊「……」

バーテン「何飲む?まだ時間もあれだしな…」

召喚士「そうですね。それでは紅茶を…」

バーテン「あいよ」
840 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 23:50:29.57 ID:DaXd1NUo


魔道士「それで、スープレックスを一撃っ!!」

マジシャン「かぁー!そいつは観たかった!!」

戦士「いやもう、凄いのなんのって・・・…」

カチャッ…チリン

占い師「あら・・・?もう来てたの?」

召喚士「こんにちは」

魔道士「占い師さん!」

占い師「みんなお揃いね。・・・…はいっと」

バーテン「おう、サンキュ」

バーテンは占い師より紙袋を受け取る。

バーテン「おし!んじゃ作ってくるから適当につまんでてくれ」

魔道士「ご飯んですか?それなら私も……」

マジシャン「魔道士ちゃんは…今日はダメだっ!」

カウンターの中から肴になりそうな木の実をかき集め、マジシャンは話しかける。
841 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 23:52:23.42 ID:DaXd1NUo
魔道士「えーっ…」

マジシャン「その代わり…オジサマの相手をだな…」

魔道士「えぇ〜っ……」

占い師「イヤですって……オジサマ。うふふっ」

マジシャン「あらら…残念」

マジシャンは手にした木の実を上へ放り投げ、口を広げ受け止める。

魔道士「あれ…?盗賊さんは?」

戦士「さっきまでいたけどなぁ…」

召喚士「多分、その辺にいると…」

魔道士「…?」

召喚士「ちょっと厨房見て来ます」

魔道士「私…行きましょうか?」

召喚士「あ、いえ…大丈夫です!」

テクテクテク…

魔道士「……うぅん」
842 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/24(月) 23:57:27.58 ID:DaXd1NUo
戦士「…んー?」

魔道士「何だか今日は…皆さんおかしくないですか?」

戦士「そうかぁ?」

戦士はソファーに寝そべりながら、本を片手に返事する。

魔道士「なんだか、余所余所しいっていうか…」

戦士「ふぅん……」

魔道士「戦士さんはいつも通りですねぇ…」

戦士「そりゃすんませんねぇ」

スタスタスタ…

盗賊「……」

戦士「あれ?お前どこ行ってたんだ?」

盗賊「……厨房」

戦士「…厨房?お前が?」

盗賊「わ、悪いかっ!?」

戦士「いや…悪くはないっすけど…」
843 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 00:03:13.78 ID:K1WjY.2o
バーテン「おーし、ちょっくら頼むわ」

召喚士「はい」

テクテクテク…

召喚士「魔道士さん、ちょっといいですか?」

魔道士「はい…?」

召喚士「一緒に、手伝って貰えます?」

魔道士「は、はいっ。何でしょうか?」

召喚士「港まで鮮魚を仕入れにいこうかと」

魔道士「あ、いいですねっ!行きましょう!」

召喚士「じゃあ、行ってきます」

マジシャン「おう」

占い師「よろしくね」

魔道士「はぁい!」

テクテクテク…カチャッ…チリチリン

バーテン「さーてと………」
844 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 00:07:39.15 ID:K1WjY.2o


漁師「毎度ありー!!」

魔道士「良かったですね!この新鮮さであの値段ならお買い得ですよっ!」

召喚士「魔道士さんが言うなら間違いありませんね。はははっ!」

魔道士「はいっ!エヘヘヘッ!!」

テクテクテク…

召喚士「魔道士さん」

魔道士「はいっ」

召喚士「もうすぐ誕生日ですよね?」

魔道士「そうですよっ!」

召喚士「二十歳になって、一番したい事って何ですか?」

魔道士「うーん…やっぱり、召喚士さん達とお酒を飲みたいです!」

召喚士「やっぱりそうですよねっ!?」

魔道士「へっ!?」

召喚士「あ、いやっ……な、何でもないです!はははっ!」
845 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 00:12:18.43 ID:K1WjY.2o
魔道士「…?変な召喚士さんっ!エヘヘ!!」

召喚士「よし、到着。魔道士さん…開けて貰っていいですか?」

召喚士は荷物で塞がった両腕の脇から顔を出す。

魔道士「あ…ごめんなさい!そうですよねっ」

カチャッ……チリチリンッ

魔道士「ただい………」

パァーン!!パパァーン!!

魔道士がドアを開けた瞬間、クラッカーの盛大な音が店内に鳴り響く。

魔道士「え…?え…っ!?」

マジシャン「魔道士ちゃん!おめでとう!!」

占い師「大人の仲間入りねっ、おめでとう!」

魔道士「えっ?えぇ…!?」

バーテン「さぁさぁ座ってくれ!大したモンはないが…盛大にやろう!」

魔道士「えと……あ、あのっ……」

魔道士は占い師に手を引かれ、中央の椅子に座らされる。
846 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 00:17:01.94 ID:K1WjY.2o
魔道士「あ、あの…あのっ」

戦士「おめでと!!ついに二十歳かぁ…!!」

盗賊「魔道士、おめでとっ!」

魔道士「戦士さ……盗賊…さん…っ」

ジワッ…

召喚士「魔道士さん…」

魔道士「…あ…あのっ…あのっ……ひぐっ」

召喚士「お誕生日、おめでとうございます!」

召喚士は両腕に抱えた紙袋の中から花束を取りだし、魔道士へ手渡す。

魔道士「召喚士さぁん……っ!わ、私…私…っ!!」

ポロポロポロッ…

魔道士「ごめんなさいっ!……こんな…こんなお祝いとか…はじめてでぇ…!」

占い師「謝らなくていいのよ、はい…ハンカチ…」

占い師はハンカチで盗賊の涙を拭う。

魔道士「あ…ありがとう…ございますぅ…!ひぐっ!」
847 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 00:20:06.01 ID:K1WjY.2o


魔道士「ぐすっ……ひぐ……すんっ…すん」

盗賊「大丈夫…?」

魔道士「ごめんなさい…。もう大丈夫です…」

戦士「何でそんな泣いてんだよ」

魔道士「だってぇ…みんなして感動させるから…」

占い師「嬉しかったのよね…」

魔道士「はいっ…」

バーテン「さ、腹も減っただろ。じゃんじゃん食ってくれ!」

マジシャン「おぉ、タダ飯!!」

バーテン「だーれがタダっつったよ」

マジシャン「げっ…!マジかよ、ケチくさ……」

バーテン「じゃあ帰れよ」

マジシャン「冗談だよ、冗談!!ハッハッハ!!はぁ…」

魔道士「ふふっ……ふふふ…っ、エヘヘッ!」
848 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 00:22:42.91 ID:K1WjY.2o


魔道士「あっ!ペスカトーレがある!!」

召喚士「…ごめんなさい」

魔道士「…?」

召喚士「さっき、作ってみました」

魔道士「召喚士さんがっ!?」

召喚士「はい…お口に合うかどうか……」

魔道士「合いますっ!絶対合いますよ!」

魔道士は鼻息荒く、ペスカトーレを自分の皿に盛り始める。

戦士「食ってから言えよな…」

魔道士「いただきますっ!………んーっ!美味しい!!」

召喚士「本当ですか!?良かった…!!」

占い師「うん、本当に美味しいわよ」

マジシャン「でも…なーんか食った事あるんだよなこれ……」

盗賊「……?」
849 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 00:28:34.91 ID:eFP1KcAO
この展開は読めた!
決して魔導師ちゃんと一緒に俺まで不意をつかれてジーンときてなどいない…きてなどいないのだ!




(´;ω;`)ウッ
850 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 00:41:38.81 ID:7HauDVIo
ハンカチが必要なのは盗賊・・・・・・かい?

いや,必要そうではあるが。
851 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 00:53:28.36 ID:DHGb7QAO
師匠流ペスカトーレとか…?
852 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 01:07:40.24 ID:Js3UVGI0
>>851
どのSSでもそういった予想は胸の内にしまっておくものだぜ
853 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 02:01:54.62 ID:kOoIvVM0
この程度なら別に構わないだろ
もっと長い目で見た伏線の指摘とかはごめん被りたいが
854 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/25(火) 02:19:40.41 ID:pjfDV2AO
軽い予想をみんなでわいのわいの言いながら読むのは楽しいとおもう
あくまでも軽い予想な
855 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 03:02:32.06 ID:4oaUPEAO
>>836
おぉ、レスdクス
確かに見やすいぜ

予想するのは勝手だけど、>>1が書き込みにくくなるようなのはやめた方がイイんじゃね?
856 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 07:05:54.80 ID:N3Q31rco
どうでもいいけどペスカトーレってFFのボスっぽい
857 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 07:39:13.35 ID:P294wUSO
>>856

イタリア辺りのサッカー選手かと思った。
858 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 07:39:29.25 ID:P294wUSO
>>856

イタリア辺りのサッカー選手かと思った。
859 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 08:18:49.51 ID:n7T93To0
大事な(ry
860 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/25(火) 08:19:03.34 ID:DHGb7QAO
予想してごめん…
861 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 08:35:54.72 ID:xQIjx6Ao
召喚士と魔道士
戦士と盗賊はくっつく
伏線がはりめぐらされてるから間違いないね
862 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/25(火) 08:39:46.38 ID:c9pxN9Uo
>>861
それは、思ってても認めたくn…
召喚士なら良いか。
幸せにしてあげてねっ!
863 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/25(火) 08:44:56.01 ID:c9pxN9Uo
定期的に貼っておくか。
http://dl8.getuploader.com/g/cockatrice/1/MAP.jpg
今、大陸港の町だよね?
864 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/25(火) 10:44:24.70 ID:evFqAZ.o
おはようございます!先に謝罪だけさせて頂きたく…うへ

>>846はどうみても盗賊ではなく魔道士ですね…
そして昨日は思いっきり寝落ちしてしまいました…すみません

重複しちゃいますが、予想について個人的には全然OKです
もう色々と互いに妄想しながら雑談で盛り上がって頂ければと
それで隅っこの方でいいのでコソーリ参加させて頂ければ幸い…
865 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 11:00:01.49 ID:SqKL6IQo
>魔道士「ごめんなさいっ!……こんな…こんなお祝いとか…はじめてでぇ…!」

巨人の星のクリスマスみたいなことが過去にあったんじゃないかと心配になる
866 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 11:03:58.70 ID:N3Q31rco
一般に世界地図は出回ってるのかなぁ
流通や国防上の理由とかで一般人はあまり知らないんだろうか
ファンタジーだと書物も雑誌どころか瓦版程度の物しかなさそうだけど
この設定だと女性誌とかはありそうだ
867 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 12:21:16.60 ID:v7eCcEDO
どっかの神が作ってくれた登場人物紹介すごい参考になるなー
けど、人数が大杉て縦横の関係がいまいちわからん、とくに国軍
誰か人物相関図みたいの作ってくれよよくある矢印つかった奴で
868 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 15:45:09.01 ID:AsTB6kAO
>>867
どこを縦読み?
869 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 17:15:31.12 ID:4K.1L.Q0
言い出しっぺの法則というものがある
携帯だろうと頑張れハッハッハッ!
870 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 17:17:12.93 ID:0N/mQAAO
魔道士でさえ誕生会をしてもらえてるというのに俺ときたら…
871 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 17:22:53.22 ID:ei8Qnako
>>870
おめでとう
872 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:05:19.05 ID:evFqAZ.o
マジシャン「あー…そりゃそうだわなぁ」

召喚士「食べた事、あると思いますよ」

マジシャン「あぁ、思い出しちまったよ」

召喚士「どうですか?」

マジシャン「アイツのは酒入れ過ぎでお世辞にも美味いとは言えない」

盗賊「……モグモグ」

マジシャン「でも、これは美味い。ついに師を越えたな…召喚士」

召喚士「……ありがとう…ございますっ」

戦士「何だこのやりとり…」

バーテン「もう酔ってんのか?」

魔道士「でも、本当に美味しいですよっ!」

召喚士「それは良かったです!」

魔道士「ありがとうございますっ!召喚士さん!」

召喚士「あっ、いえ…っ。そんな大した事でもなく……」

魔道士「えへへっ!」
873 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:05:46.95 ID:evFqAZ.o
バーテン「よーし、お待ちかねのケーキといこうかね」

バーテンはカウンターの奥からケーキを取り出す。

占い師「どお?」

魔道士「これ…作ったんですか!?」

占い師「いえ…市販です……」

魔道士「凄い嬉しいです…っ!こんな大きなケーキ…夢みたい…」

魔道士は瞳を潤ませ、円卓に置かれたケーキを見つめる。

戦士「ろうそく20本……と」

占い師「ほらっ、早く点火して」

マジシャン「はいはい…」

急かされながら、マジシャンは右手の親指と中指を擦る。

パチンという音と同時に、20本のロウソクへ一斉に火が灯る。

召喚士「おぉ…っ」

魔道士「凄い…!!」

マジシャン「伊達にマジシャン名乗ってねーぞ?ハッハ!」
874 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:06:23.97 ID:evFqAZ.o
バーテン「さ…一発で吹き消せるかな?」

魔道士「緊張します…」

召喚士「……」

マジシャン「お前やれ…な?ボソボソ」

戦士「えぇ!?…オッサンやってくれよ…ボソボソ」

魔道士「いきますっ!」

スゥーッ………フーッ!!

占い師「頑張って!あと3本…2本っ!」

魔道士「……んーっ!はぁ…っ!!」

戦士「……はぁ」

戦士は右手を伸ばし、盗賊の背中を上から下になぞる。

ツツーッ

盗賊「ひああぁぁっ!?」

魔道士「!?」

召喚士「ふーっ!」
875 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:06:50.79 ID:evFqAZ.o
バキィッ!!

戦士「ぐわっ!」

盗賊「な、何をするっ!!」

マジシャン「おー!見事一発!!」

魔道士「えっ…!?あ、ほんとだ……」

バーテン「これで今年も一年、幸せに過ごせるだろうよ」

魔道士「えへへへ〜!ありがとうございますっ」

占い師「さぁ、切り分けて頂きましょう」

魔道士「はい!」

占い師とバーテンはケーキを手際よく切り分け、皿に乗せ始める。

マジシャン「一発で消せそうにない時は、ああやって注意を向けて…ボソボソ」

盗賊「だからといってな、あのような不埒な…ボソボソ」

戦士「だから…そういう儀式なんだって…。昔から男性が女性に…ボソボソ」

占い師「はいっ、魔道士ちゃん!」

魔道士「ありがとうございます!わぁ…美味しそう〜」
876 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:07:16.91 ID:evFqAZ.o
召喚士「いただきます。………うん、美味しいです!」

戦士「盗賊?」

テクテクテク…

バーテン「そこの上に置いてあるよ」

盗賊「…うん。ありがとう…ございます」

盗賊は厨房より大きな瓶を持ち、戻ってくる。

戦士「なんだそれ?」

盗賊「…さ、さっき……作ったの」

バーテンが要したグラスに、盗賊は瓶の中身を注ぎ始める。

トプトプトプ…コトッ

魔道士「ジュース…ですか?」

盗賊「あ、あの…さっき…作った…から、その……」

魔道士「盗賊さんが作ってくれたんですか!?」

盗賊「……う、うん」

盗賊は恥ずかしそうにモジモジと俯きながら、グラスを手渡す。
877 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:07:42.64 ID:evFqAZ.o
魔道士「いただき…ます…」

コクコクッ…

盗賊「ど、どう…かな?」

魔道士「……ひぐっ……ふえぇ…っ」

盗賊「!?あ、あの!…えと……っ」

魔道士「美味しいです…!盗賊さん…すっごい美味しいですよぉ!」

戦士「そんなに…泣くほど美味しいか?」

マジシャン「分かってねぇなーお前は…そんなんじゃモテねーぞ?」

戦士「は、はぁ……」

魔道士「ほんとに…ありがとうございますぅ……」

盗賊「よ、良かった…!」

魔道士「…ひぐっ…これ、スムージーですか…?」

盗賊「…うん。飲んで…美味しかったから」

魔道士「おぉー。果物いっぱいで美味しいです!ほんと!」

盗賊「そ、そうっ!?良かった……」
878 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:10:48.96 ID:evFqAZ.o
マジシャン「次はお待ちかね!プレゼントターイム!!」

魔道士「えぇっ!?そんな…それは……」

マジシャン「はい、じゃあお前から」

占い師「私!?……大したものじゃないのだけれど」

ゴソゴソッ

占い師「はいっ、おめでとう!」

魔道士「ありがとうございます!開けても…?」

占い師「もっちろん!」

魔道士は手渡された紙包みをゆっくり丁寧に開く。

魔道士「これ…香水、ですか!?」

占い師「うん。本国で大人気の一品なのよ〜」

魔道士「こんな高価な物……」

占い師「そんな事ないわよ〜。最近は安価で良質な物が多いのよ」

魔道士「そうなんですかぁ…」

占い師「これもね、期待の若手調香師が立ち上げたブランドでねっ…」
879 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:11:15.81 ID:evFqAZ.o
戦士「調香師…って何だ?」

召喚士「香水とか食品の香料を調合する人…って感じかな」

占い師「しかも!トップノートからラストノートまで色々と匂いが楽しめるのっ!」

魔道士「へぇ…っ!凄いですね!!」

戦士「なんたらノートって何だ…?」

召喚士「……分かんない」

魔道士「早速付けてみても良いですかっ?」

占い師「もっちろん!」

カパッ……シュッシュッ…

魔道士「柑橘系で…少し甘〜い香り…。良い匂いですね!」

占い師「良かったぁ!魔道士ちゃんのイメージで選んだのよ〜」

魔道士「本当にありがとうございます!!」

魔道士は深々と頭を下げ、占い師へ礼を言う。

占い師「うふふっ!じゃあ次は…バーテンかしら?」

バーテン「!?……俺かよ」
880 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:12:03.84 ID:evFqAZ.o
魔道士「もしかして…一人ずつあるんですか…!?」

マジシャン「お前ら買ったの?」

戦士「まぁ…一応…」

マジシャン「じゃあそういう事になるわな」

魔道士「どうしよう…。私こんな沢山…あっ、お礼はまた後日…」

召喚士「誕生日のお祝いなんですから、気にしないで下さい!」

占い師「そうそう。ほら、次が待ってるわよ?」

バーテン「……俺はこれだ」

ジャラッ…コトッ

魔道士「時計ですかっ!?…むむ無理です!こんな高価な…」

バーテン「いやいや、俺が持ってても宝の持ち腐れだ」

魔道士「で、でもっ…」

バーテン「新品じゃねーんだが、貰ってやってくれないか?」

魔道士「………」

バーテン「それなら…冒険者達に俺からプレゼント…って事でどうだい?」
881 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:12:33.65 ID:evFqAZ.o
バーテンは懐中時計を魔道士の掌へ乗せる。

魔道士「え…あの、あのっ……」

マジシャン「しっかしお前、良い物持ってるなぁ…」

バーテン「年代物だけどな」

そう呟き、バーテンは火を点けたタバコをくゆらせる。

バーテン「辞める時そのままくすねてきた」

占い師「まぁ」

マジシャン「ハッハ!そういう事か…!」

バーテン「博士渾身の一品だ。そうそう壊れたりしねぇさ」

魔道士「あの…あ、ありがとうございます!」

バーテン「なぁに。さて次はこいつかな」

マジシャン「俺のは凄いぜ!ちょっと待ってろ…」

スタスタ…ゴソッ

マジシャン「じゃーん!見ろ、なかなかだろ!」

マジシャンは手にしたローブを広げ、一同に見せる。
882 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:13:20.02 ID:evFqAZ.o
魔道士「っ!!」

戦士「おぉー」

マジシャン「魔道士のローブ。しかもオーダーメイド」

盗賊「…凄い」

マジシャン「見た目とは裏腹になかなかのスグレモノだ」

ローブを広げ、魔道士の肩へとそっと掛ける。

マジシャン「コイツは鉱石を使った、特殊な糸で作られてる」

魔道士「鉱石を…ですか!?」

マジシャン「ああ。炎の鉱石だから耐熱効果抜群よ!」

召喚士「凄い…!そんな物まで…」

マジシャン「シルク自体に鉱石が含まれててな…」

バーテン「養蚕の際に、餌に混ぜておくんだよ。粉末にした鉱石をな」

召喚士「なるほど…」

マジシャン「んで、それを食べた蚕が出す絹糸が…って事さ」

魔道士「い、いいんですか!?そんな立派な……」
883 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:13:46.61 ID:evFqAZ.o
マジシャン「ハッハ!もちろん!愛しい弟子の為だ」

魔道士「あの…本当にありがとうざいます!なんて言ったらいいか…」

マジシャン「もっと早く知ってれば、もうちょい立派な物…用意出来たんだけどな」

魔道士「いえ…っ!充分すぎます!本当に……」

マジシャン「ハッハ!さて…あとはお前らだぞ」

戦士「……おう」

召喚士「それじゃあ俺のを……」

バーテン「お前のは時間的にもうちょい待った方が良いと思うぞ?」

召喚士「え…?あ、そうか…。そうですね…」

戦士「んじゃ、先に俺から……」

テクテクテク…ゴソゴソ…

戦士「ほいっ!おめでとう!!」

魔道士「ありがとうございます!戦士さんっ!」

笑顔で答える魔道士は、包みを丁寧に広げる。

魔道士「………!?」
884 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:14:12.87 ID:evFqAZ.o
戦士「どうだ?うってつけだろ!」

マジシャン「ん?……ナイフ…?」

バーテン「包丁だろ。よく見ろ」

占い師「調理セットね。いいじゃない」

戦士「いっつも色々と作って貰ってるからな!」

マジシャン「それで更に腕によりを掛けて…って事か」

戦士「そうそう…っておい!」

魔道士「ありがとうございます!」

戦士「大したもんじゃないけど…ほんと…」

魔道士「これでまた、いっぱい料理作りますね!エヘヘッ!」

戦士「おうっ!頼んだぜ!!」

戦士は笑いながら、盗賊の背中をぽんと押す。

盗賊「!?」

戦士「ほれ、次はお前だ」

盗賊「……う、うん」
885 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:14:39.62 ID:evFqAZ.o
テクテクテク…

盗賊「あ、あの…おめでとう」

ズイッ

魔道士「ありがとうございます…盗賊さん!」

差し出されたプレゼントを受け取ると、俯く盗賊に魔道士は笑顔を見せる。

魔道士「開けてもいいですか?」

盗賊「あ、う…うんっ!どうぞ…」

カサカサッ…ゴソッ

魔道士「………あ」

盗賊「……」

魔道士「いつものやつですねっ!」

盗賊「うん…。いつもの…やつ…」

戦士「いつもの?何それ…」

占い師「女性の身嗜み用品よ。ね?」

魔道士「この化粧水、高いのにぃ〜!」
886 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:15:06.79 ID:evFqAZ.o
盗賊「い、いやっ…いつも借りてるし…」

魔道士「ありがとうございます!!」

盗賊「いえっ…!お気になさらず…!」

戦士「化粧水に…これは乳液って書いてあるな…。あと…」

バーテン「はぁ、色々とあるんだなぁ…」

マジシャン「女性は綺麗になる為に、沢山の努力をするもんなのさ…」

占い師「あら、随分と悟った言い様です事…」

戦士「別に綺麗になる必要ないんじゃねぇの?女優でもあるまい…」

マジシャン「アホだろお前……」

盗賊「あっ…あの、あと…あともう一つ…!」

タッタッタ…

戦士「何だそれ?随分でけぇな…」

盗賊「……」

シュルシュルッ……ハラッ

魔道士「っ!!」
887 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:32:27.42 ID:evFqAZ.o
盗賊が大きな布を取ると、中から一枚のキャンバスが顔を出す。

キャンバスには見慣れた笑顔が、純白のドレスに身を包み、佇む。

バーテン「……おおぉ!」

占い師「うわぁ!上手〜!!」

魔道士「……あ、あのっ…これって…あの…っ」

マジシャン「ソックリだな!大したもんだ!」

召喚士「流石盗賊さんですね!」

戦士「いつの間にこんなん描いてたんだ!?」

魔道士「…うっ…ひぐ…っ!……と、盗賊さ…っ」

盗賊「おめでとう、魔道士…」

魔道士「……ふぐぅ……っ…ひぐっ」

盗賊「な、泣き過ぎだぞっ」

魔道士「だってぇ…!みんなして……こんな…ひっく…」

召喚士「良かったですね…魔道士さん」

魔道士「皆さん……本当に、ありがとうございます!」
888 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:32:53.74 ID:evFqAZ.o


バーテン「よいっしょ…と」

バーテンは壁に盗賊の描いた絵を飾る。

占い師「素敵じゃない!ライトアップされると更に映えるわねぇ…!」

マジシャン「……良い絵だな」

バーテン「こうして二枚並ぶと…時代を感じるなぁ…」

バーテンは隣にある自分達の肖像画をまじまじと見つめ、微笑む。

魔道士「なんだか…恥ずかしいです…」

召喚士「そうですか?良いと思いますけど…」

バーテン「ああ。これで来客数も倍増だな!」

マジシャン「間違いねぇ!ハッハッハ!」

占い師「でも…本当に素敵な絵…」

盗賊「……うぅ」

占い師「真っ白なドレスで…何だか花嫁さんみたいねっ!」

マジシャン「おぉ、言われて見れば……」
889 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/25(火) 18:33:44.89 ID:evFqAZ.o
バーテン「この、後ろに咲いてる花は何だ?」

盗賊「……桜」

バーテン「サクラ?」

マジシャン「あれだよ、東方のピンクで綺麗なさ…」

バーテン「ほぉ、初耳だな」

占い師「サクラの木に佇む花嫁…なんてタイトルどうかしら?」

マジシャン「センスなし。却下」

占い師「えぇー!」

戦士「はははっ!!でも…相手がいないなぁ…」

にやにやしながら戦士は絵を見て呟く。

盗賊「だ、だから…花嫁の絵では……」

バーテン「魔道士ちゃんが結婚したらお相手も書き足せばいいじゃないか」

マジシャン「おっ、そりゃいいな!楽しみにしてるよ。ハッハ!」

魔道士「そ、そんな……もうっ、からかわないで下さい!」

マジシャン「ハッハッハ!」
890 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/25(火) 18:49:01.67 ID:PvMnuYDO
>>1

占い師のイメージがどんどん変わってきてただのビッチに思えてきた
891 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/25(火) 18:52:16.88 ID:evFqAZ.o
>>865
見た事ないけど多分大丈夫だと思います!

>>866
地図は召喚士も買ったりしてるので市販していそうですね
ワーカーや商人メインなので一般では需要がないっぽいです
あと女性誌や新聞など書籍関係の流通は発達していると思います

>>867
本当にすみません。近いうち整理してみます…

>>870
誕生日ですか!?おめでとうございます!
キャラのご希望があれば台詞形式でお祝いのメッセージが…

それでは失礼致します!ご支援ありがとうございました!ノシ
892 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 19:00:07.22 ID:maVBCds0
それじゃあ、俺が占い師たんを貰っていきますね!!
893 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 19:42:37.82 ID:4oaUPEAO
>>1乙です
召喚士のプレゼントが気になりすぎて夜も眠れない

↓以下、プレゼントを予想するレス
894 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/25(火) 20:03:58.18 ID:gLb0CMAO
―――――――糸冬―――――――

てか絵師はいないのかな?前はいたようだけど。
895 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/25(火) 20:16:41.54 ID:w.gPBQoo
どうせ絵師様(笑)みたいな流れになるだけ
896 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 20:42:12.86 ID:9MZHBsSO
召喚士「君の為に、五行を成功させるよっ!」バリバリッ

魔導士「やめてっ!!」
897 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 21:48:08.03 ID:P294wUSO
かきためて召喚士のプレゼントに号泣するまどうしちゃんの姿をため て見せてくれるのですね
898 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:18:30.59 ID:qznYRQAO
今の隙にプレゼント買いに行ってるんでね?
899 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:33:03.15 ID:IXktHoo0
あれ?おまえらひょっとして用意してないの?
900 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:37:01.89 ID:.Y4qFPU0
さあ、ハードルが上がってまいりました!
どうする召喚士!
901 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 22:37:09.93 ID:sUikwkEo
よよよ用意してないわけないだろww・・・・・・・ないよ・・・・
902 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:11:27.43 ID:DHGb7QAO
召喚師のは時間的にということで
酒か?
903 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/25(火) 23:13:06.90 ID:P636ycDO
>>1乙!
魔道士お誕生日おめでとう!

日常パートもいいよなぁ
召喚士のプレゼント楽しみだぜwwww
904 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 00:18:43.58 ID:G5SoHIDO
>>902
ということは日付が変わって5月26日が魔道士ちゃんのお誕生日ということだな。
魔道士ちゃんお誕生日おめでとう!
905 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:27:03.70 ID:4ARHoNco


魔道士「……そうですよー!」

戦士「そんな事あったなぁ!はははっ」

バーテン「おっ、もうこんな時間か…」

召喚士「あ……本当だ…」

盗賊「……」

バーテンはおもむろに立ち上がり、それに召喚士も続く。

テクテクテク…カタッ…

魔道士「……?」

マジシャン「さぁお待ちかね、最後のプレゼントだ!」

召喚士「全然大した物ではないんですが……」

召喚士は手にした瓶をテーブルの上へ置く。

魔道士「お酒…ですか…?」

召喚士「はい。20年物のワイン…魔道士さんと同い年のワインです」

手元にある瓶のラベルを魔道士へ向け、召喚士は微笑む。
906 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:27:36.47 ID:4ARHoNco
魔道士「同い年の…ワイン…」

バーテン「そう。しかもとびきりのヤツだ…。俺も飲んだ事ねぇような…」

召喚士「せっかくの二十歳ですし、やっぱりお酒が良いかな、と思いまして…」

魔道士「………」

マジシャン「コイツは当たり年の本当に良いワインだ…」

占い師「初飲みには贅沢かしら…?いえ、そんな事ないわね、ふふっ」

魔道士「………っ」

戦士「よっしゃあ、早速飲もうか!」

盗賊「………ちょ、ちょっと…だけ…な?」

魔道士「……う…っく…ひぐぅ…!」

召喚士「ま、魔道士さん!?」

魔道士「だって…だってぇ……私、皆さんと一緒に…飲ん…っ」

占い師「一緒に…飲んで楽しみたかったのよね…?」

占い師は魔道士の頭を優しく撫で、声をかける。

魔道士「……はい…っ」
907 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:28:54.89 ID:4ARHoNco
トプトプトプッ…コトッ

魔道士「……凄い、いい匂いがします」

バーテン「おっと、まだ駄目だぞ?」

バーテンはちらりと時計の針を確認し、呟く。

マジシャン「くぅ…!まだか!まだなのか…!?」

戦士「あ、あと2分だ…!2分の我慢だオッサン!!」

召喚士「は…ははっ…」

占い師「そんなのあっという間じゃない…。ねぇ?」

魔道士「はいっ!」

バーテン「そんな事言ってる間にもう日が変わるぞ?」

盗賊「……4…3…」

マジシャン「にぃ〜!!」

戦士「いーちぃ〜!!」

占い師「ゼロッ!!」

時計の針が0時ちょうどを指し、日付が変わる。
908 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:29:21.34 ID:4ARHoNco
召喚士「魔道士さん、改めておめでとうございます!」

戦士「祝、成人!!」

マジシャン「さぁ、酒も解禁だー!飲むぞー!!」

魔道士「はいっ!いただきますっ!!」

魔道士は赤紫に染まるグラスを傾け、液体を口内へと流し込む。

コクッコクッコクッ…

バーテン「どうだい…?酒の味は?」

魔道士「…っはぁ!……美味しいです!!」

召喚士「良かった…!!」

戦士「……お前は無理すんなよ?」

盗賊「……うぇ…苦い…っ」

魔道士「もう一杯頂いても…いいですかっ?」

召喚士「もちろんです!どんどん飲んで下さい!」

魔道士「ありがとうございますっ!エヘヘ!」

召喚士は魔道士のグラスへワインを注ぎ入れる。
909 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:29:49.00 ID:4ARHoNco


召喚士「魔道士さんはお酒強いんですね……」

魔道士「そうなんですかね…?ふふっ!」

盗賊「……くーっ…くーっ……」

占い師「すー……すーっ…」

召喚士「バーテンさん、手伝いましょうか?」

バーテン「あぁ?気にすんなぁ!」

バーテンは厨房から顔を出し、洗い物を進めながら大声で叫ぶ。

マジシャン「そこで…だ、こうグイッとだな……」

戦士「な、なるほど……。勉強になります…」

魔道士「あの二人はまだ…語ってるんですか?」

召喚士「みたいですね……。ははっ…」

魔道士「はーっ…楽しかったぁ…!」

召喚士「良かったです。楽しんで貰えて…」

魔道士「本当にありがとうございました…!召喚士さんっ」
910 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:30:15.98 ID:4ARHoNco
魔道士は屈託のない、満面の笑みで召喚士に微笑みかける。

召喚士「………」

魔道士「…召喚士さん?」

召喚士「えっ!?あ、ああ…すいませんっ!」

魔道士「……ふふっ!」

召喚士「そ、そうだ…!魔道士さんっ!」

魔道士「はいっ」

召喚士「ちょっと……外、行きませんか…?」

魔道士「外ですか…?いいですよっ」

召喚士「じゃ、じゃあ……」

魔道士「すみません、ちょっと外へ行ってきます!」

マジシャン「はーい。ごゆっくり〜」

戦士「何だ、下品な笑い方して……」

マジシャン「えー…だってよぉ…ウヒヒヒ!!」

戦士「……?」
911 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:31:00.38 ID:4ARHoNco
テクテクテク…

魔道士「んー!夜風が気持ちいいですねぇ!」

召喚士「本当ですね!」

魔道士「……私、ずーっとこの日を迎えたかったんです」

召喚士「そうなん…ですか?」

魔道士「だって…、私だけ未成年でしたもの…」

召喚士「そうでしたか…。すみません…気づきませんでして…」

魔道士「あ、いえいえっ。それは仕方ない事ですから…ふふっ」

召喚士「でも、やっと迎えられましたね…!」

魔道士「はいっ!それも最高の形で……」

魔道士は手を後ろで組みながら、夜空を見上げる。

魔道士「今まで…こうして祝って頂いた事なんて…なかったから…」

召喚士「…でも、自宅は大商家はわけですし…」

魔道士「それは…パーティーなんかもありますよ?ありますけど……」

召喚士「……」
912 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:32:11.28 ID:4ARHoNco
魔道士「見知らぬ人達に『お嬢様おめでとう』…なんて言われても…」

召喚士「そっかぁ……」

魔道士「ええ。嬉しい…ですけど、実感はないですし……」

召喚士「じゃあ尚更、今日はこうして祝う事が出来て…良かったです!」

魔道士「こちらこそ…っ。ありがとうございましたっ!」

召喚士「まだ最後のプレゼントが…」

魔道士「え…っ?……まだ…あるんですか!?」

召喚士「はい…」

魔道士「えっと…一体……」

召喚士「……行けっ!コカトリス!!」

魔道士「!?」

シュイィィンッ…

魔道士「コカトリス……さん!?」

コカトリス「…本当にやるのか?」

召喚士「……もちろん!」
913 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:32:56.92 ID:4ARHoNco
魔道士「あのっ…な、何を……」

召喚士「…30分はもつ…よね?」

コカトリス「……おそらくな」

召喚士「…・・魔道士さん」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「……どうぞ、乗って下さい」

魔道士「…………へっ!?」

召喚士「コカトリスの上へ、乗って下さい」

魔道士「の……乗る…んですか!?」

召喚士「ええ」

魔道士「乗るって…一体……何を…?」

召喚士「空の散歩へ行きましょう!」

魔道士「えぇ!?」

召喚士「大丈夫!任せて下さい!!」

コカトリス「……最初で最後だからな」
914 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 00:32:56.96 ID:taNiN1go
プレゼントは俺の石像です!
915 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:33:31.14 ID:4ARHoNco


魔道士「お、お邪魔…します」

魔道士は恐る恐る、コカトリスの背中へと登る。

コカトリス「振り落とされぬよう、しっかり掴まっておれ」

魔道士「は、はいっ!!」

召喚士「魔道士さんから魔力吸わないでよ?」

コカトリス「…召喚獣をこのような使い方した輩は…お前が初めてだ」

コカトリスは呆れた口調で声を漏らし、翼を大きく広げる。

コカトリス「さぁて……行くぞっ!!」

バサッ……バサッ…バサッ…ゴウッ!!

魔道士「きゃっ!!」

召喚士「大丈夫ですか!?」

魔道士「は、はいっ………うわぁ!!」

勢いよく飛び立ったコカトリスの背から、魔道士は小さくなる地面を見下ろす。

魔道士「高い……すごーい!!」
916 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:34:19.13 ID:4ARHoNco
ゴウッ!!……バサッ…バサッ…

魔道士「空から見る景色って……凄いんですね…!」

召喚士「ちょっと暗くて見辛いですけどね…ははっ」

魔道士「でもはっきり分かりますよ…!海に…空も凄く近い…」

召喚士「神秘的ですよね…普段は決して味わえない……」

魔道士「ええ…本当に……」

たなびく髪をかき上げ、魔道士はぽつりと呟く。

コカトリス「もうすぐ海上だ……!」

魔道士「…!!うわぁ、海が広がって……綺麗…」

召喚士「潮風が気持ちいいですねっ!」

魔道士「ええっ!それに波もキラキラ輝いて…」

グラァ…

コカトリス「…むっ!そろそろ…厳しいか?」

召喚士「ご、ごめん……」

コカトリス「……それでは、戻るとしようか」
917 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 00:35:24.55 ID:Q1hXWrgo
>>914
叩き割れってことですね…わかります
918 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:35:33.42 ID:4ARHoNco
ヒュウゥゥ……バサッ…バサッ………バサッ…

魔道士「到着ーっ!」

召喚士「…・・ふーっ」

コカトリス「…大丈夫か?」

召喚士「うん。ありがとうコカトリス」

魔道士「本当にありがとうございました!」

コカトリス「気にするな。……祝いの席だ」

シュイィィン…

召喚士「…流石に…疲れましたね…ははっ」

魔道士「あっちの砂浜で少し休みましょうか…?」

召喚士「すみません……」

二人はゆっくりと砂浜へと歩き、平らな岩に腰掛ける。

魔道士「はぁ〜!楽しかったぁ!!」

召喚士「良かったです…喜んで…貰え…て……」

魔道士「エヘヘッ!本当に楽しかったですよ!……?」
919 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:39:44.99 ID:4ARHoNco
召喚士「……すーっ……すーっ」

魔道士「召喚士…さん…?」

召喚士「……すー…っ…すーっ……」

ズルッ……ススッ…

魔道士「あっ!…ちょ、ちょっと…っ」

眠りにつく召喚士は魔道士に寄りかかり、そのままずるずると膝の上へと倒れ込む。

魔道士「…も、もうっ」

召喚士「…・・・すーっ…すー…・・すーっ」

魔道士「今日…だけ…ですからね…」

召喚士を乗せた足を前へ伸ばし、膝枕に乗る頭をそっと撫でる。

魔道士「ふふっ……」

ドキドキドキ…

魔道士「………」

ドキドキドキドキドキ…

魔道士は唇をそっと召喚士の唇へと近づける。
920 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 00:42:42.85 ID:Q1hXWrgo
あー、見てられないよ;;
921 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 00:44:16.85 ID:8XKVg1.o
むちゅ〜( ゚3゚)
922 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 00:46:22.69 ID:8FUCvkSO
>>914
召喚士「……30分は持つかな?」

スフィンクス「じっくりやれば大丈夫だよっ!」
923 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 00:51:03.90 ID:dViUNUQ0
>>922
スフィンクスドSすぎるwwwwwwwwwwww
924 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 00:52:30.60 ID:4ARHoNco
魔道士「………」

ソーッ

盗賊「あーいたぁ!!」

ビクッ!!

魔道士「っ!!」

盗賊「魔道士〜どこ行っちゃったかと思ったよぉ〜!」

ギュウウゥ

魔道士「と、盗賊さんっ!?」

盗賊「寂しかったんだからぁ〜」

スリスリッ

魔道士「もしかして…よ、酔ってます!?」

盗賊「酔ってません!酔ってませんよぉ〜」

テクテクテク

戦士「おぉーい…あ、いた。…あれ?魔道士と召喚士も一緒か」

魔道士「あ…戦士さん…!」
925 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/26(水) 00:57:55.89 ID:4ARHoNco
うー終わらなかった。すいません…寝ますです
あんまりニヤニヤ出来ない展開…ラブラブシーン下手だなぁ…ははっ
ご支援まことに感謝!それではおやすみなさい!ノシ

とりあえず5月26日が魔道士の誕生日になりました!
とりあえず魔道士さん、おめでとうございます
926 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 01:05:26.22 ID:A2dyZ/oo
魔道士おめでとうそしてどんまい
そして>>1
927 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 01:06:33.40 ID:oECOqbQo
俺の彼女と同じ誕生日になるとか
928 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 01:14:23.49 ID:plg0L6AO
>>1

あのラブラブなシーンでまさかのタイトルそのままのセリフですよ
ええ…お恥ずかしながら、勃起、しちゃいましたね…


召還士、お前の勝ちだ…魔導師ちゃんは諦めよう…俺が彼女を魔導師ちゃんと呼ぶのも今日が最後だ
さようなら、俺が愛した魔導師ちゃん




そしてこんにちは、盗賊ちゃん*^^*
929 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 01:31:51.42 ID:CTZ42AAO
予想してるやつあたりすぎててワロタ
930 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 01:39:00.47 ID:UJyhdfoo
不覚にもサラマンダーよりはやーいを思い出してしまった・・・・・・

これはあんな展開にはなりそうも無くて安心できるwwww
931 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 05:17:18.19 ID:/VhI5USO
やっぱ平和な話は和むなぁ
932 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 10:19:05.07 ID:rVFyQIDO
あまずっぺー
>>1さん、乙です。
933 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 17:56:55.15 ID:f1FqKG.o
戦士「悪いな…。目覚ましたら『魔道士がいない〜!』って急に飛び出して…」

魔道士「もう…盗賊さんたら……」

盗賊「だってぇ…魔道士が〜」

戦士「ほら、戻るぞ!」

盗賊「はぁい……むにゃ…」

戦士「そっちのは大丈夫か?」

魔道士「あ、あの…あのっこれは…えっとぉ…!」

戦士「なに焦ってんだよ…」

魔道士「も、戻りましょうか…っ!」

戦士「だな…」

戦士はしゃがみこみ、召喚士を背に担ぎ上げる。

魔道士「盗賊さんっ、行きますよ。立って下さい〜!」

盗賊「うぅー…ひっぱらないでぇ」

戦士「よ…っと。ほら、行くぞ…?」

魔道士「は、はい!…あ、あの……っ」
934 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 17:57:31.22 ID:f1FqKG.o
戦士「…?」

魔道士「今日は…本当にありがとうございました!」

戦士「…こいつが起きたら言ってやってくれ」

魔道士「……」

戦士「召喚士が言い出した事だから…」

魔道士「そう…だったんですか…」

戦士の背で眠る召喚士の顔を、魔道士はじっと見つめる。

戦士「さぁ、店に戻ろうぜ」

魔道士「は、はいっ」

テクテクテクテクテク…

戦士「たっだいまー」

バーテン「おーう…」

戦士「あれ…?二人は?」

バーテン「占い師をホテルへ送ってったよ」

厨房からバーテンの声と水の音が響く。
935 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 17:58:07.66 ID:f1FqKG.o
バーテン「そっちは平気かぁ?」

戦士「あー…、まぁ……」

バーテン「なんなら二階の部屋使っていいぞ」

戦士「うっす」

魔道士「盗賊さん、行きますよー?」

盗賊「う〜ん…」

戦士「仕方ねーなぁ…」

戦士は盗賊の身体を持ち上げ、抱きかかえる。

盗賊「戦士は頼もしいなぁ〜」

戦士「何言ってんだ…ったく…」

盗賊「んふふ〜」

戦士「ちょっとコイツ、上に置いてくるから召喚士見ててくれ」

魔道士「あ、はいっ」

盗賊「お願いしまふ〜。ふふ〜っ!」

戦士は盗賊を抱えたまま、階段を上って行った。
936 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 17:59:03.47 ID:f1FqKG.o
魔道士「………」

召喚士「すー…すーっ…すーっ…」

魔道士「召喚士さんが色々と考えて下さったんですね…」

召喚士「…すーっ…すーっ」

魔道士「さっきも…ロウソク消してくれましたよね…」

眠る召喚士の頬に、魔道士の細い指がそっと触れる。

魔道士「召喚士さんと一緒で…良かった…」

キョロキョロ…

魔道士「……」

ススッ…ソーッ…

魔道士「……ありがとう…召喚士さん」

魔道士の唇が、召喚士の頬にそっと触れる。

チュッ…

魔道士「………」

召喚士「…すーっ…むにゃむにゃ…」
937 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:00:07.34 ID:f1FqKG.o
トントントン…タッ…スタスタ…

魔道士「盗賊さん、大丈夫ですか?」

戦士「ああ。横になったらそのまま寝ちまった」

魔道士「そうですか……ふぁ…っ」

戦士「お前ももう休みな。召喚士は俺が見とくから」

魔道士「あ…はい。ありがとうございます」

戦士「ついでに上行って、介抱してやってくれ」

魔道士「はい…そうします。おやすみなさい…」

戦士「おう、おやすみー!」

バーテン「寝るのかぁ?おやすみー」

テウテクテク…トントントン…

バーテン「荷物も上にまとめてあるからなぁー」

カチャッ…パタン

盗賊「…くーっ…くーっ……」

魔道士は部屋の隅にまとめられた、荷物の前に座り込む。
938 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:00:54.96 ID:f1FqKG.o
ヘタッ…

魔道士「……ぐすっ…ひぐ…っ……ひっく…」

零れる涙を気にもせず、貰ったプレゼントを一つ一つ手に取る。

魔道士「うっく……ひぐっ……」

ギュッ…

魔道士「……ひっく……すん…」

盗賊「…うぅ…ん。……魔道士?」

魔道士「!?…あっ、起こしちゃいましたか…?ごめんなさい…」

盗賊「…ううん。……泣いてるの?」

魔道士「ち、違いますよっ。お化粧落として…お肌のケアです!」

盗賊「そっか……」

魔道士「盗賊さんもしないと駄目ですよぉ…?」

盗賊「…うぅん。眠いから明日ー…」

魔道士「もうっ…」

魔道士は顔を拭い、盗賊の元へ歩み寄る。
939 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:01:54.26 ID:f1FqKG.o
ゴシゴシ…スッ…テクテクテク

魔道士「はい…動かないで…」

ピチャピチャ…スッ…

盗賊「いいよぉ……」

魔道士「よくないですっ」

盗賊「うむぅ……くすぐったいー」

魔道士「じっとして下さいっ」

盗賊「はぁい……」

寝転びながら唸る盗賊の顔を、魔道士は丁寧に拭く。

盗賊「…ありがとぉ」

魔道士「……こちらこそ…ありがとうございます」

盗賊「んー…?」

魔道士「何でもないですっ。おやすみなさい…盗賊さん」

盗賊「うん……。おやすみ…魔道士…」

魔道士は足元に丸まった毛布を広げ、盗賊の上へ優しく被せた。
940 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:03:07.80 ID:f1FqKG.o


カチャッ…チリチリンッ

マジシャン「…おっ?みんな寝たのか?」

バーテン「ああ…」

バーテンは脇のソファーで眠る召喚士と戦士を目で合図する。

バーテン「二人は上で休んでるよ」

マジシャン「……はー、今日も飲んだ飲んだ」

バーテン「ああ…。束の間の平和ってやつかねぇ…」

マジシャン「………しかし、いい絵だ」

バーテン「…そうだな」

二人は二枚並んだ絵を眺め、しばし無言で見つめる。

バーテン「……似てんのかもなぁ」

マジシャン「あん…?あぁ、そういう事か…」

バーテン「一人息子が頑張ってんのに…何してんだか…」

マジシャン「俺も色々と回っちゃいるが、さっぱりだ…」

バーテン「国軍も動いてるみてぇだがなぁ…」
941 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:03:42.65 ID:f1FqKG.o
マジシャン「そうかい……」

バーテン「どいつもこいつもクソ親父だわな」

マジシャン「反面教師っつーんだよ、馬鹿野郎…」

バーテン「反面にもなっちゃいねぇよ…」

マジシャン「なんだとぉ…」

バーテン「お前もたまには……」

マジシャン「…どのツラ下げて会えっつーんだよ」

マジシャンは吐き捨て、円卓の上へ足を乗せる。

バーテン「……変な意地張りやがって。…全く」

マジシャン「うるせぇ。俺も寝るぞっ!」

ゴソゴソッ

バーテン「へいへい……」

マジシャン「……」

マジシャンは煙草を灰皿に押し付け、ランプに灯った火を消す。

窓からはぼんやりと明るみを見せ、新たな朝を迎えようとしていた。
942 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:04:39.00 ID:f1FqKG.o


召喚士「う…・・・ん…っ」

モゾッ…

バーテン「起きたか?…おはよう」

召喚士「あ…おはようございます」

マジシャン「ぐーっ…ぐぉー…っ」

ジャッジャッ…ジュワアァァッ

召喚士「……?」

魔道士「あっ、召喚士さん!おはようございます!」

召喚士「魔道士さん…!?」

厨房の奥からエプロン姿で顔を出す魔道士に驚きながら返答する。

召喚士「…お、おはようございます…っ」

魔道士「もうすぐ出来ますからっ、座って待ってて下さいー!」

バーテン「寝付けず早く起きちまったてんで、朝食をな…」

魔道士「昨晩は頂いてばかりだったので…」
943 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:05:59.66 ID:f1FqKG.o
召喚士「そんな…いいのに……」

バーテン「俺も…いいって言ったんだけどな…」

魔道士「気にしないで下さい!好きでやっている事ですから!」

魔道士が笑顔でかざす右手には、新品の包丁がキラリと光る。

魔道士「バーテンさん!そろそろコーヒー落として下さい!」

バーテン「おぉっと…すいません店長」

テクテク…ズルッ!!…ダンッ…ズダンッ!!…ドスンッ!!

召喚士「!?」

戦士「ん…?……な、なんだぁ…?」

召喚士「盗賊さん!?」

召喚士は階段から転げ落ちる盗賊の元へ、慌てて駆け寄る。

盗賊「……うぅ」

召喚士「だ、大丈夫ですか…!?」

盗賊「……お、おはよう…いっつ…ぅ!」

戦士「何の音…だ?……盗賊?」
944 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:07:52.19 ID:f1FqKG.o
バーテン「みんな起きたか。おはよう」

戦士「あ…おはようっす……」

戦士は寝ぼけた目を擦りながらソファーより起き上がる。

バーテン「そこの馬鹿も叩き起こしてくれ」

戦士「オッサン…おーい、朝だぞぉー!」

マジシャン「ぐがっ……んーむにゃむにゃ……」

魔道士「もうじき出来ますよー!」

バーテン「おら、テーブルの準備しろっ」

召喚士「は、はいっ」

戦士「……お、おう…?」

マジシャン「……ふあ…っ、あーなんだかいい匂い…」

バーテン「二日酔いか?水飲んどけ」

盗賊「…うぅーっ。……ありがとう…ございます」

魔道士「出来ましたー!運びますよーっ!」

召喚士「あっ、手伝います!」
945 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:11:23.85 ID:f1FqKG.o


マジシャン「うっひょう!美味そう〜!」

戦士「いっただきまーす!」

召喚士「盗賊さん…?」

盗賊「…私は…いい。…気持ち悪い」

バーテン「キレイな半熟卵だな。どうやって作るんだ?」

魔道士「あっ、これは沸騰したお湯を少し冷まして…」

マジシャン「いいよなーお前ら…。毎日こんな美味い物食えてさ…」

戦士「オッサンはパーティー組んでた時、どうしてたんだ?」

マジシャン「適当だよ。…適当」

召喚士「女性もいらしたし、師匠も上手いですよね?」

マジシャン「まぁなー。それでもここまでの物はなかったなぁ…」

戦士「あの…さ、オッサンのパーティーって、相当凄かったんだよな?」

マジシャン「…そうでもねーさ」

魔道士「『再来』と謳われた程だったんですよね?」
946 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:12:30.05 ID:f1FqKG.o
戦士「何で……みんなやられちまったんだ?」

召喚士「あっ、俺も気になります。師匠も結局教えてくれなかったし…」

マジシャン「知ったところでどーって事もねぇよ…」

バーテン「……」

戦士「でもよぉ……」

マジシャン「51年前…伝説がパズズの封印に成功した…」

召喚士「…え、ええ」

マジシャン「…26年前、コイツらがアンラ・マンユをあと一歩まで追い詰めた」

バーテン「……」

マジシャン「21年前は西で連合予定だったが…未遂に終わった」

戦士「そりゃまた何で…」

マジシャン「不参加だったからなぁ…。詳しくは知らん」

戦士「そ…っか」

マジシャン「んで16年前………」

召喚士「……」
947 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:13:17.23 ID:f1FqKG.o
マジシャン「16年前はサタンを討ち損ね…不本意な結果に終わった…」

盗賊「………」

バーテン「でもサタンの動きを封じたお陰で…魔王軍の動きは停滞した」

魔道士「あ…あのっ、それが一体何か……?」

マジシャン「共通点…分かるか?」

召喚士「………5年おき…ですね」

マジシャン「流石だな…。ご名答」

戦士「5年おきに…そ、そんな事が…!?」

マジシャン「5年に一度、起きる事…」

召喚士「…!!」

魔道士「そ、それって……」

召喚士「日蝕…っ」

マジシャン「そう…。満月が太陽を蝕す時…魔王の力が発揮されんのさ」

バーテン「次は4年後だ」

マジシャン「厳密に言やぁ、4年を既に切ってる…」
948 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:14:25.48 ID:f1FqKG.o
魔道士「そ…そんな事って…!」

戦士「今まで聞いた事もないぞ!?」

マジシャン「そりゃそうだ。国軍やワーカーでも全員が知るわけじゃない」

バーテン「一般人が知ったところで、どうこう出来るわけじゃないしな…」

盗賊「……」

召喚士「何故…俺達に?」

マジシャン「何故だと思う…?」

召喚士「………」

バーテン「ま、そういうこった。もう逃げる事は出来ないわな…」

戦士「…つもりもねぇ」

バーテン「…?」

戦士「毛頭逃げるつもりもねぇよ」

マジシャン「ハッハ!お前ならそういうと思ったぜ!」

大声を上げて笑うマジシャンは、一瞬で顔を引き締め、話を続ける。

マジシャン「だがな、生半可な覚悟で進むんじゃねぇぞ…?」
949 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:14:54.98 ID:f1FqKG.o
戦士「…っ!」

マジシャン「己が礎となり…絶対負けない気でこの道を進め。いいな!」

戦士「お……おうっ!」

マジシャン「……ハッハ!なぁに、まだ4年ある!」

召喚士「……」

マジシャン「焦らず…共に頑張ろうぜ!…なんてな!」

魔道士「は、はいっ!頑張ります!あっ…でも…」

盗賊「……」

魔道士「4年後も…何もないかもしれないんですよね…?」

マジシャン「そうかもしれないし…違うかもしれない…」

バーテン「近年の傾向からすると…可能性は低いな…」

マジシャン「いーや、そうとも言い切れんぜ?」

召喚士「…?」

マジシャン「さっきも言ったが、今の停滞はサタンの一部を封じた結果だ」

戦士「一部を封じた…?」
950 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:22:27.77 ID:f1FqKG.o
マジシャン「これに対しアイツら…とんでもねぇ裏技使ってきやがった…」

盗賊「……裏技?」

マジシャン「人間を利用して、結界を開放する気でいやがる」

バーテン「何だとぉ!?一体どういう……」

マジシャン「それは今、俺が追ってる。まだ完全にゃあ掴めてねぇ…」

召喚士「結界の封印を解く…?サ、サタンの一部…って?」

マジシャン「……頭部」

戦士「頭…部……?」

マジシャン「サタンの頭部を封印した」

召喚士「!!」

魔道士「えぇ!?」

マジシャン「悪いが俺は…この先、解放を阻止するのに全力で当たる」

盗賊「……」

マジシャン「もしこいつが再び、解放されるような事があれば…」

戦士「魔王軍の勢いが戻っちまうってわけか…!」
951 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:25:18.36 ID:f1FqKG.o
マジシャン「ああ。だからお前らにも現状を伝えさせて貰った」

バーテン「国軍の連中も、これを機にカタつけようってハラみたいだしな…」

マジシャン「ああ。次の日蝕で一気に決めようと下準備してるよ」

魔道士「一気に…って…」

マジシャン「7人の魔王を封印するって事さ」

召喚士「………」

戦士「で…出来るのかよ!?そんな事…っ!」

マジシャン「若い力次第ってとこかね…ハッハ!」

バーテン「笑い事じゃねーけどなぁ…」

マジシャン「力んだって仕方ねぇさ!」

戦士「勇敢と無謀を履き違えるな…って事だよな!」

バーテン「!?」

マジシャン「若い奴らにもちゃんと伝わってるぜ?大佐?」

バーテン「へっ…。そうらしいな……」

召喚士「はい…!もちろんですっ!」
952 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:27:18.49 ID:f1FqKG.o
マジシャン「まぁ、とにかく事を急ぐ必要はねぇぞ?」

盗賊「……ああ」

マジシャン「今後はここを拠点に逐一情報を交換しよう」

召喚士「分かりました」

マジシャン「構わねーよな…?」

バーテン「イヤだっつっても無駄なんだろ?」

バーテンは呆れ顔で煙草に火をつける。

マジシャン「そういう事!ハッハッハ!」

魔道士「が、頑張りましょうっ!!」

盗賊「…うん」

戦士「話が大きすぎて…ちょっと受け止めきれねーが…」

召喚士「聞いてしまったからには…後には引けない…!」

マジシャン「ほんと…最高だよ、お前ら」

魔道士「マジシャンさんこそ!カッコイイですよっ!えへへ!」

マジシャン「全く…嬉しさ通り越して涙が出ちゃうよ…。ハッハ!」
953 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:27:55.58 ID:f1FqKG.o


召喚士「それでは…また!」

マジシャン「おう、んじゃな!」

魔道士「次はどちらへ?」

マジシャン「さぁな〜。北には違いないけど…」

戦士「死ぬなよ…?オッサン」

マジシャン「俺を誰だと思ってやがる…」

盗賊「…じゃあ」

召喚士「気をつけて!」

マジシャン「おう、またな!!」

マジシャンは荷物を背負いあげ、バーテンの店を後にする。

バーテン「重いもん背負っちまったな…。アイツも…お前らも…」

召喚士「ええ…」

戦士「目標が出来て分かりやすいっ!前向きに進むさ!」

魔道士「そうですよねっ!」
954 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:28:24.45 ID:f1FqKG.o


戦士「大丈夫か?」

盗賊「…少し…クラクラする」

魔道士「お世話になりました!」

バーテン「次は何処に行くんだ?」

召喚士「はい。まずは鉱山の町へ…」

バーテン「鍛冶屋か?」

戦士「おう。ちょっとばかし考えがあってな…」

バーテン「ふぅん…。充分に気をつけてな」

魔道士「色々とありがとうございましたっ!」

バーテン「いつでも待ってるよ」

魔道士「はいっ!エヘヘッ!」

召喚士「では、失礼します…!」

盗賊「……さようなら」

四人はバーテンに別れを告げ、港へと向かった。
955 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/26(水) 18:36:01.35 ID:f1FqKG.o
〜港〜

召喚士「…いいですね!似合ってます!」

魔道士「本当ですか!?良かったぁ!」

魔道士はひらひらとローブをはためかせる。

戦士「本国経由だと時間が合わないから…直行便でいいよな?」

召喚士「うん。問題ないよ」

魔道士「盗賊さん…大丈夫ですか?」

盗賊「…うん。……問題ない…よ」

魔道士「鍛冶屋さん、久々ですねぇ…」

盗賊「………」

召喚士「何か新しい武器?」

戦士「いや、ちょっと改造ってとこかな」

召喚士「ついでに防具も補強しようか」

魔道士「私はもうバッチリですよ!エヘヘ!」

召喚士「そうですねっ…!あはは!」
956 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/26(水) 18:39:25.92 ID:f1FqKG.o
〜バーテンの店〜

カチャッ…チリチリン…

占い師「あら…?みんなもう行ったの!?」

バーテン「ああ。ついさっきな…」

占い師「そう……」

バーテン「お前には見えるか?」

占い師「え…?」

バーテン「あいつらの……」

占い師「そこまでは分からないわよっ。でも……」

バーテン「……」

占い師「彼らなら…きっと何かやってくれるんじゃないかしら?」

バーテン「占い師の勘か…?」

占い師「女の勘…かもね。うふふっ」

バーテンと占い師は互いの顔を見て笑い、ふと、壁の絵に目を向ける。

太陽の日差しが差し込み、純白のドレスを着た魔道士がキラキラと輝いていた…。
957 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/26(水) 18:42:45.31 ID:f1FqKG.o
〜第十六部、完〜


↑付け忘れました…すみません。休息って感じなので十六部は短めです

950過ぎてましたね…とりあえずここまでにて…!
十七部は次スレからいきましょうか…?
とりあえず失礼致します!ご支援感謝!!ノシ
958 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 18:47:33.29 ID:LVG0uXQo
>>1
四年後っていうことはまだ先は長いな
それに百部まで後八十六部だしな・・・
959 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 19:36:45.02 ID:OcJc0wYo
>>1おつ

16部は未だかつてない脅威だった
最後のほうはちゃんと読めたんだが途中挫折するかと思った
960 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 19:49:57.23 ID:2dVd4OI0
乙!
第1章完結まであと4年か
961 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 20:08:36.57 ID:/4GAG.DO
>>1乙!

アニメ化はいつですか?
962 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/26(水) 21:16:52.91 ID:VH1pQEAO
>>1乙!

アニメは俺も見てみたいwwww
いや漫画でもいいんだ!
963 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 21:18:21.36 ID:BBI7pMSO
>>1乙!
964 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/26(水) 22:11:08.88 ID:j7VkZXw0
乙!
マジシャン子供いたのか…
なんかFE聖戦のレヴィンとセティ親子なイメージで固まってしまった
まだ子供が男か女かもわからんのに
965 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/26(水) 22:53:26.42 ID:1VanXKko
マジシャンのこどもって魔道士じゃね?
966 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/26(水) 23:16:52.27 ID:4ARHoNco
15スレ目になりました…これからも宜しくお願い致します!ノシ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/


>>958-960
百部ぐらいはなんとかなるかもしれませんが…
第1章は流石にネタが続かないっすww

>>961-962
こういうもので客観的に見てみたいってのはありますねー

>>964-965
はてさて…適当な伏線で放置かもしれませんよ…?

残りは雑談でも質問でも何でも…な感じでいいですかね?
オマケとかちょくちょく挟んで埋めていくとします
967 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 23:44:30.53 ID:fs1PwsIo
そんなことより20になった魔道士ちゃんのおっぱいのカップ数が上がったのかどうかが問題だ
参考:>>818-819
968 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/26(水) 23:57:24.29 ID:plg0L6AO
>>1

今までのどの戦闘よりも絶望感溢れる章だったぜ……さようなら、最愛の君
おどりゃ召還士めぇ…、召還士めぇええええええ


てか7人の魔王を一気に、ってのはいくらなんでもどんな考えなんだ国軍のやつは…残り4年足らずで強い召喚獣全属性揃えて黄金に光れば魔王なんて楽勝なのか…
今で初期召喚獣全属性喚んだら何分くらいもつんだろうな?これってトリビアになりませんか?
969 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/27(木) 01:23:17.86 ID:cjVrL6AO
>>1乙です

魔道士の誕生日が発覚したわけだが…
召喚士・戦士・盗賊の誕生日もあるんだろうか?
970 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 02:40:07.18 ID:XFstaMAO
>>1おつ乙!

バーテン寝てないのかよ…
バーテンも>>1もご自愛ください!
971 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 03:53:41.88 ID:.4.N2EAO
しばらく読んでなかったからまとめて読んだけど相変わらず面白いな!
1は頑張ってください!
972 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 04:47:05.16 ID:jsHvqISO
>>1
もはやここに来るのが日課になった。寝る前に読むのを楽しみに毎日働いてるwwww



…………あれ?俺寂しくね?
973 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 08:56:35.26 ID:Q/y.7MDO
>>972
俺も同じ感じだぜww
でも>>1の話が無かったときはもっと何もなかったんだぜ
974 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/27(木) 11:08:35.38 ID:Dydwj.Qo
オレは、早く出社して朝一で見てる。
それが楽しみだ。

オマエラとも永い付き合いだよなぁ。
ペニス頑張れって言ってた時が懐かしい。
975 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 15:00:31.46 ID:o/2yFgSO
毎日の楽しみ
いつから読み始めたか覚えてない
老化してる
976 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 15:50:03.44 ID:yhsN/0k0
残りレスさっさと埋めて新スレ移ろうぜ
977 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:46:07.87 ID:zfTOLE2o
ホーッ…ホーッ…

流れる雲の隙間から、ぼんやり浮かぶ三日月が、

ちらりちらりと見え隠れ、木々の隙間を照らし出す。

カサッ…ヒュバッ…タタタタタッ

闇夜に掛ける黒い影、人の姿を成すものの、

風か獣か物の怪か、疾風怒濤のものたるや。

スタッ…

名を、雷忍――。

雷忍「カカカッ!!」

〜都より西の山中〜

雷忍「本当に人が住んでるのかねぇ…」

真っ暗に染まる森を、ほぼ手探りで雷忍は進んでいく。

雷忍「あの村人……憚ったのではなかろうな…?」

ガサッ…ガ゙サッ…ガサッ…

しばし進むと、やがて森の隙間より塀のようなものが見え始める。
978 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:46:34.47 ID:zfTOLE2o
雷忍「ようやく……見つけた!」

スタッ

雷忍「こんな山中に…これまた随分立派なお屋敷だ事…」

カサッ

雷忍「!?」

背後の物音に、雷忍は慌てて距離を取り、腰の短刀をゆっくり抜く。

老人「…それは、藤蔵も同様ではないのかね…?」

雷忍「……カカカッ。それはご尤もにて」

老人「藤蔵が何の用じゃて…?」

雷忍「失礼だが、貴殿は…?」

老人「剣聖家を御守りする…使い番じゃ」

雷忍「ほほう。同業であったか…失礼をば」

雷忍は背筋を伸ばし、短刀を鞘へ納める。

老人「それで、一体どなた様の差し金かね…?」

雷忍「………」
979 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:47:01.98 ID:zfTOLE2o
〜数ヶ月前〜

御館様「…ふむ」

雷忍「…と、いうわけにて」

土忍「…急だな」

風忍「仕方あるまい…帝の護衛は火に任せよう」

水忍「城の警護は奴に代わり私が…」

侍女(この二人で大丈夫かしら…)

雷忍「では、しばし留守と致しまする」

御館様「頼んだぞ」

雷忍「ははっ!」

テクテクテク…

風忍「しかし…お主もすっかり帝の物だなぁ」

雷忍「そうか?カカカッ!」

水忍「何故そこまで尽くせるのだ?」

侍女「そりゃあ東方の頂点にいらっしゃる方ですもの。当たり前…」
980 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:47:33.68 ID:zfTOLE2o
雷忍「…んー、まぁ…それもあるがなぁ」

土忍「……」

雷忍「…好き、なんじゃないかな?カカカッ!」

水忍「………」

土忍「……」

風忍「そういう趣味か…」

雷忍「うぉい!そうじゃなくってぇ…」

風忍「いや良かった。姫に対する候補が一人減った」

水忍「雷忍。衆道に走り候補から脱落…と……」

雷忍「だから違うっ!あのなぁ……」

土忍「……頑張れよ」

風忍「こちらの事は我ら四人で…」

水忍「東方一の使い手…。どのような者なのか…」

侍女「ご武運を…っ!」

雷忍「…ま、いいか。行ってくらぁ!カカカカッ!!」
981 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:48:24.86 ID:zfTOLE2o
その後、雷忍は都にて『剣聖』なる人物の情報を得る。

雷忍「剣聖…?」

茶屋「ええ。何でも先の帝より『国士無双』の称号を賜ったとか…」

雷忍「…ほぉ。して、その者どちらに…?」

茶屋「さぁ…。そこまでは……」

主人「この2間先にある、庄屋の旦那がお詳しいですぞ?」

雷忍「そいつは助かる…!ありがとよ」

テクテクテク…

茶屋「今の行商、何なんでしょうね?」

主人「さぁ…?」



庄屋「剣聖…で、ございますか…」

雷忍「ご存知と伺いまして。して…所在は…?」

庄屋「私めも…都でしかお会いした事は御座いませぬ故…」

雷忍「……そうか」
982 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:48:55.13 ID:zfTOLE2o
庄屋「御住まいは西とは伺っておりますが…」

雷忍「西…。有難う御座る…かたじけない」

庄屋「いえいえ、滅相も。お役に立てず…」

雷忍「では…失礼……」

雷忍は深く頭を下げ、笠を被り、庄屋を後にする。

庄屋「………剣聖…ね」

〜西の街〜

街人「剣聖…?聞いた事も在りませぬなぁ」

〜西の町〜

町人「……さぁ、知りませんなぁ」

〜西の港〜

漁師「剣聖?誰だいそりゃ…?」

雷忍「あぁ!くそぉ…。どうなってんだ…」

苛立ちながら、手にする地図を見つめる。

雷忍「残るは山あいにある小さな村…か」
983 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:49:22.98 ID:zfTOLE2o
〜西の村〜

村人「剣聖…?」

雷忍「ああ。知らんよなぁ…」

村人「知ってるだ」

雷忍「やっぱりなぁ…あんがとよ…カカッ!?」

村人「剣聖様、知ってるだ」

雷忍「ほっ、本当か!?一体どちらに…!?」

村人「あそこに住んどる…」

村人は正面にそびえる山を指差す。

雷忍「あ・・・あんな山中に…!?」

村人「んだ」

雷忍「…そうか。カカッ!ありがとうよ!」

ギュッ…ジャラジャラッ

村人「…?」

走り去る雷忍を見つめた村人の手には、押し付けられた小判が溢れていた。
984 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:49:48.35 ID:zfTOLE2o
〜現在〜

老人「成程…。左様であったか」

雷忍「早速、剣聖様にお目通りを願いたい」

老人「……構わんよ」

雷忍「カカッ!…話が早いっ!」

老人「付いて参られよ」

ザッ

雷忍「…?お、おいっ…そっち…」

屋敷の脇を進む老人を、慌てて雷忍が追いかける。

テクテクテクテクテク…

老人「………剣聖様じゃ」

雷忍「……!?」

老人は小さな石碑の前で足を止める。

雷忍「……そん…な」

雷忍は石碑…剣聖の墓前に屈み、がくりと肩を落とした。
985 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:50:44.14 ID:zfTOLE2o


老人「もう、何年経つかのう…」

雷忍「……」

老人「都に於いて、大規模な賊の襲撃があってのぅ…」

雷忍「ああ…聞いた事あるなぁ」

老人「その首領が……剣聖様であった…」

雷忍「はぁ!?そんなはず…」

老人「無論、断じて違う!しかし……」

雷忍「……」

老人「襲撃された庄屋が顔を見たと…」

雷忍「……庄屋?…待てよ…?」

老人「それが……剣聖様であったと…」

雷忍「完全に濡れ衣ではないか…!」

老人「じゃが…剣聖様と庄屋は懇意にしておってな…」

雷忍「……」
986 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:51:22.52 ID:zfTOLE2o
老人「結局疑惑も晴れず、切腹を仰せつかったのじゃ…」

雷忍「でも、何もそこまで…」

老人「剣聖様には男子が居らずのぅ…」

雷忍「まさか…御家断絶…か!」

老人は無言でこくりと頷く。

雷忍「東方一と謳われた者だったのだろう!?何故そのような…」

老人「分からん…。しかし断絶やら奉公構やらも多々あったからのう」

雷忍「……」

老人「先帝が無くなられ…老中が君臨してからというもの…」

雷忍「安心しな…」

老人「…?」

雷忍「もうそんな思いはしなくて済む」

老人「そうだと…良いがのう…」

雷忍「帝がきっと……」

雷忍は言いかけた言葉を飲み込み、剣聖の墓前に両手を合わせ目を瞑った。
987 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:51:49.22 ID:zfTOLE2o
雷忍「…さて、結局振り出しに戻ってしまったか…」

老人「……」

雷忍「剣聖は一人身だったのかね?」

老人「いや…奥方は早くに亡くなり…ご息女が二人…」

雷忍「娘じゃ仕方ないわな…」

老人「元気になされておるだろうか……」

雷忍「今はどちらに居られるのか?」

老人「東方には住めず、二人で大陸へ…」

雷忍「そうかい…。女手じゃあ大変だろうね」

老人「お二人とも剣の腕は一流じゃ…。その辺りは心配ないのだが…」

雷忍「……剣の腕は…一流…!?」

老人「あ、ああ…。そりゃあ剣聖の跡を継げるぐらいに……」

雷忍「……名は!?」

雷忍は老人の両肩を掴み、顔を近づける。

老人「お、女侍様…と、女剣士様…じゃっ」
988 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:52:23.20 ID:zfTOLE2o


老人「どうか、お二人に何卒…!」

雷忍「ああ!」

老人「ありがとう…本当に…!」

雷忍「こちらこそ…。世話をかけた!」

深く頭を垂れる老人に一礼し、雷忍はその場を後にする。

雷忍「……庄屋…ねぇ」

その後、雷忍は本国へと渡り、女侍と女剣士の捜索に費やす。

女侍には断られたものの、女剣士の元を訪れた雷忍は事の顛末を伝えた。

女剣士「……そう」

雷忍「…了承頂けますかな?」

女剣士「金…」

雷忍「は、はぁ…」

女剣士「それと…父上の名誉回復。それが条件だ」

雷忍「……カカカッ!毛頭そのつもりで御座る!」
989 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:53:14.99 ID:zfTOLE2o
〜東方、都〜

ザッザッザ…

雷忍「よう!元気でやってるかい?」

鬼「ん〜……雷忍!雷忍だ!」

雷忍「当たりっ!やっと覚えたか!」

鬼「ガハハハ!同じ雷使いだかんな!」

雷忍「そうか!カカカッ!」

鬼「後はあのデカイ奴しか分からん。土忍だったかなぁ…」

雷忍「早く五人覚えろよー?」

女剣士「…ま、魔物!?」

鬼「魔物じゃねぇ!!鬼だ!!」

雷忍「あ…悪い、後でちょっくら手伝ってくれないかい?」

鬼「…後でいいのか?」

雷忍「ああ…。さて…帝がお待ちです。行きましょう」

女剣士「鬼とは…。都も変わったものだ…」
990 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:53:56.65 ID:zfTOLE2o


家老「……」

帝「………」

雷忍「…と、いうわけで。こちらがご息女の女剣士様に御座いまする」

女剣士「この度は重大な任を仰せ仕り…恐悦至極にて…」

帝「うむ…。こちらこそ宜しく頼むぞ」

女剣士「…ははっ!」

帝「では、下がれ。明日改めて決めようぞ」

家老「さぁ、お部屋へ案内致しまする」

女剣士「はい」

ススッ…テクテクテク…

帝「……雷」

雷忍「はっ」

帝「ご苦労であった。礼を申すぞ」

雷忍「…カカカッ。帝の為に御座いますれば…」
991 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:54:24.91 ID:zfTOLE2o
帝「そうじゃ、褒美を取らそう。何が良いか…」

雷忍「…さすれば、一つ」

帝「申してみい」

雷忍「接吻を」

帝「接吻…?」

雷忍「帝より接吻を賜りたいと…」

帝「……阿呆か己は」

雷忍「世は広しと言えど、帝の接吻を賜った者など居らぬでしょう」

帝「そ、それはそうだが……」

雷忍「ですので、是非にて」

帝「………そんなもので良いのか?」

雷忍「ちと高価すぎますかね…カカカッ」

帝「……近う寄れ」

雷忍「失礼致しまする」

ススッ
992 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:55:05.84 ID:zfTOLE2o
帝「………」

雷忍「……」

帝「しかし…いざとなると…照れてしまうものだな」

雷忍「ならば…」

雷忍は右手を帝の前へと差し出す。

帝「…?」

雷忍「本国などでは手の甲に接吻する儀式があるそうです」

帝「儀式?」

雷忍「挨拶…と言ったところでしょうか」

帝「…う、うむ。それならば」

スッ…チュッ…

帝「こ、これで良いのか?」

雷忍「有難き幸せ!力も溢れまする!」

帝「そんなものか…?」

雷忍「そんなものに御座いまする!カカカカッ!」
993 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:55:38.11 ID:zfTOLE2o
〜都〜

鬼「んで、なんだってんだい?」

雷忍「今から一仕事かます。外を見張っててくれ」

鬼「おうっ!」

雷忍「誰も近づけるな。そして他言無用」

鬼「分かった。任せておけ!」

雷忍は庄屋の塀を飛び越え、屋敷の中へと姿を消す。

ヒュッ…スタッ…

雷忍「……」

寝室とおぼしき部屋の襖を開けると、一人の男が床に就いている。

雷忍「……」

ザッ

庄屋「……んん?」

雷忍「お目覚めですかな…?」

庄屋「な、何者…っ!むぐっ!」
994 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:56:09.14 ID:zfTOLE2o
雷忍「お静かに…」

雷忍は左手で庄屋の口を塞ぎ、ゆっくりと右手を腰の短刀へ回す。

雷忍「貴様の屋敷を襲ったと言われる賊の襲撃…」

庄屋「…っ!!」

雷忍「懇意ながらも、賄賂を断った剣聖を口封じにし…」

庄屋「…んんーっ!」

雷忍「己が地位を築くと共に、財を失ったと吹聴し…」

庄屋「……ん…っぐ!」

雷忍「その借り入れを帳消しとした。老中を通してな…」

チャキッ…

雷忍「お間違いなかろう?大罪人…?」

庄屋「…んっ……んんーっ!!」

雷忍「明朝、追って沙汰があるが…貴様には自ら命を絶って頂く」

庄屋「…うぅ…む…ぐぅ!!」

雷忍「……御免!」
995 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/05/27(木) 17:58:27.84 ID:zfTOLE2o


鬼「おーう、終わったか?」

雷忍「……いやはや助かった」

鬼「血生臭いと色々面倒じゃないのか?」

雷忍「すぐ風呂に入るよ」

鬼「じゃあ俺は戻るぜ!またなっ!」

雷忍「おう。カカカッ」

スタスタスタ…

雷忍「どちらが鬼…なのかねぇ…」

流れる雲の隙間から、ぼんやり浮かぶ三日月が、

ちらりちらりと見え隠れ、木々の隙間を照らし出す。

雷忍「……カカカッ!」

闇夜に掛ける黒い影、人の姿を成すものの、

風か獣か物の怪か、疾風怒濤のものたるや。

名を、雷忍――。
996 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 18:03:46.39 ID:ze.5G.SO
鬼って鬼丸の事?
997 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 18:05:58.45 ID:ZHaWQVco
アッーーーー!!
998 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 18:08:25.46 ID:/Jixw9so
何故か車窓忍者思い出した
999 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/27(木) 18:11:29.49 ID:jsHvqISO
>>1
ギリギリまで使ったなww
1000 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/05/27(木) 18:14:21.41 ID:zfTOLE2o
やべえ…鬼丸でした!ごめんね、鬼丸…

日課にして頂いている方が結構いらっしゃるようで、
嬉しい限りで御座いますねぇ!

>>972
寂しいなどおっしゃらず!毎日書いてる奴がいると思えば気も楽…あれ?

では次スレも引き続きよろしくお願い致します!
ありがとうございました!感謝!ノシ

1000ゲット!!
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