【モバマス】P「土をかぶったプリンセス」
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9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:13:28.29 ID:+jykf0ly0
書類作業や事務処理に移る前に、軽くつまめるものでも買いに行こうと近場のコンビニへ向かった。
向かう途中、さっきまで見ていた小さな背中を見つけた。両手を目の前に広げ、見つめながらゆっくりと歩を進めている。
小走りに駆け寄り、肩を叩いた。

「うわっ。……あ、親方? ビビったー。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:14:49.23 ID:+jykf0ly0
3.

世の新卒社会人はおおよそ三年の間に三割ほどが職から離れるそうだ。それを嘆かわしいだなんだと叫ぶテレビ番組その他を幾度も見るが、自分としては人の勝手だ、ほっといてやれとしか思えない。

うちの職場の新人は一年以内でも三割どころかその倍ぐらいは辞めていくが、仕方ないと割り切っている。やりたくないものを押し付けるような傲慢は嫌いだ。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:15:32.37 ID:+jykf0ly0
研修を受け持つ身として、特に言うこともなかった。言ったことはきっちりやってくれるし、たまに間違うことを叱ればちゃんと飲み込んで反省する。
失礼な話ながら、思わぬ掘り出し物だな、なんて思ったことさえあった。

また、彼女とは仕事以外でもしばしば一緒の時間を過ごすことがあった。
家が近かったのだ。自分が住んでいるボロアパートから十分もしない距離に、彼女の家はあるらしい。帰り道を途中まで同じくすることも何度もあった。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:16:27.25 ID:+jykf0ly0
テンポよく次々と話題が飛び出す彼女は、話していて飽きることがない。これも一種の話術、才能なのかな、なんてふうに感心した。自分にはないものだ。

お互いの手にあるものがなくなった時点で、彼女とは別れるのが普段のならいだ。その時は二人ともコーヒーしか買っていなかったから、飲み干した時点でその場を後にした。
コンビニ前のゴミ箱は誰が何を捨てたのかえらくパンパンで、缶を押し込むのに少し苦労した。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:17:07.03 ID:+jykf0ly0
帰り道を足早に進む途中、ふと思い立って仕事には慣れたか、と尋ねた。

「バッチリ! いーい人ばっかだしー、みんな優しーし! 仕事はやさしくないけどっ」

それはよかった。ほっと息をついた。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:18:47.63 ID:+jykf0ly0
4.

工事現場の作業員に、いい印象を持っている人はたぶん少ないだろう。
基本的に工事はやかましい騒音を立てるし、道路をふさいだりもする。仕事なんだから仕方のないことなのだが、それでも時折クレームが入る。
こちらの不手際を責められるなら謝罪の言葉もすらすら出るが、仕事上のやむを得ないあれこれにいちゃもんをつけられるとどうにも敵わない。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:19:26.32 ID:+jykf0ly0
この現場には女性は一人しかいない。
老人の手を引く彼女の姿。なんとなく光景が想像できるようだった。

プレハブに彼女を呼び、電話があったことを伝えた。

以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:20:08.50 ID:+jykf0ly0
「アタシー、こーゆーのほっとけない系なんっすわー」

そう言ってテキパキと散らばるゴミを拾い集めた。
驚きで一瞬身を硬くしてから、後を追うように手伝った。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:43:36.89 ID:+eTeNEs7O
5.

晩夏。
八月も終わろうか、というのに、いまだしぶとい暑さが忌々しくしがみついてくる。空調に頼れない外での体力仕事は本当に参る。作業中は皮まで脱ぎたくなるほどだ。

以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:44:52.09 ID:+eTeNEs7O
通行人が多くなってきたから、重機の使用はそろそろ控えるべきか。交通整理の人員を増やして、ああ、あとは夜勤組に引き継ぎもしなければ。

段取りを組んでいると、作業服姿の男たちが荷物を抱えて数人こちらへ歩いてきた。先頭の年上の同僚が代表して申し訳なさそうに切り出した。

「……んじゃ、親方。悪いが俺らは先に帰らせてもらうぞ。あとは頼むな」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:45:36.76 ID:+eTeNEs7O

彼女の出身もこのあたりだったはずだ。
毎年行われるそれを見飽きたりしないのか、と尋ねた。

「んー、まぁ毎年だいたいおんなじだけど、アタシ的には見ときたいかなー。これ系のイベントってさ、いつ終わっちゃうかとかわかんないらしいし。来年はもーしません、とかもありえってぃかもじゃん?」
以下略 AAS



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