千早「今日、母が私の家に来る」
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1:名無しNIPPER[sage]
2019/02/25(月) 23:23:16.39 ID:DLCtfiAX0
代理

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2:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:27:32.62 ID:MVMHgjBu0
代行ありがとうございます!


3:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:29:09.76 ID:MVMHgjBu0
人の流れを視界の端に捉えながら携帯電話を取り出し、メールを確認する。
間違いない、この時間だ。
ちょうど今電車が着いた頃だと思う。
顔を上げて改札の向こう側を見つめる。
するとすぐに、ホームからたくさんの人が流れて来た。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:30:35.51 ID:MVMHgjBu0
千種「誕生日おめでとう、千早」

第一声は淀みなく母の口から発せられた。
まるで強くそう決められていたみたいに。
けれど母の笑顔はとても自然で、私も同じように微笑む。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:33:04.85 ID:MVMHgjBu0
 『あなたの誕生日に、家に行ってもいい?』

ひと月前に母からそう連絡があった時には、少しだけ驚いた。
母が私の誕生日を覚えていたこと、それから、多分祝ってくれようとしていること。
嬉しいという気持ちはもちろんあったけれど、
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:35:41.92 ID:MVMHgjBu0
千種「それにしても……」

隣を歩く母が、ふと小さい声で言った。

千種「本当に、気付かれないものなのね。少し意外だわ」
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:36:58.29 ID:MVMHgjBu0
千種「千早?」

声をかけられて、自分がずっと黙っていたことに気付いた。
母は、心配そう……とまではいかないけれど、気掛かりな様子で私を見ていた。

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:39:30.03 ID:MVMHgjBu0
と、そこで母の言葉は止まった。
何か言いかけた言葉を飲み込んだ、そんなふうに。
けれどそのことを私が問う前に、

千種「遠慮しないで、言うのよ?」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:40:50.53 ID:MVMHgjBu0



千種「――選ぶの、上手なのね」

以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:43:12.14 ID:MVMHgjBu0
千種「料理も、お友達と一緒にすることがあるの?」

千早「多くはないけれど……オフが重なる日はほとんど無いから。でも、時々は」

千種「そうよね……。学校のお友達とは、そういうことはしないの?」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:45:34.90 ID:MVMHgjBu0
それでも、こうも質問攻めにされると、
なんとなくそういうものなのかなと考えてしまうのは、きっと仕方のないことだと思う。
とは言え質問されること自体は決して嫌ではない。
寧ろこうして滞ることなく会話を続けられていることに、私は安堵していた。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:47:04.11 ID:MVMHgjBu0
いや、きっと特別なんだろう。
私にとって、今日のこの出来事は「特別」。
だって……今日は私の誕生日なんだから。
誕生日という日は、「特別」でいいんだ。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:48:44.86 ID:MVMHgjBu0
それなりの値段になったはずだけど、代金はすべて母が支払ってくれた。
私が財布を探っている間に、カードで支払ってしまったのだ。
お会計が終わってからもちろんお金を渡そうとしたけれど、
母は『誕生日プレゼントの代わり』と、受け取ろうとしなかった。
そう言われると、私も折れるしかない。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:50:07.92 ID:MVMHgjBu0
私が違和感について考えるより前に、母は話題を変えた。
そのおかげで私はまた、それ以上違和感について考えることはなくなった。

千早「ケーキって、もしかして……」

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:51:10.12 ID:MVMHgjBu0



日が暮れかかった頃。
私と母は、二人並んでキッチンに立っていた。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:53:15.10 ID:MVMHgjBu0
千早「包丁、もう使わないわよね? ボウルも」

千種「ええ」

千早「お醤油はまだ使う? お塩は?」
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:54:56.92 ID:MVMHgjBu0
千早「それじゃあ……いただきます」

千種「いただきます」

二人手を合わせて、まず最初にお味噌汁に口を付ける。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:56:39.99 ID:MVMHgjBu0



食事を終えたら、母は冷蔵庫からケーキを持ってきた。
私と母とで一つずつ。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:57:54.57 ID:MVMHgjBu0
このケーキのことだけじゃない。
今日一日、ずっとそうだった。

誕生日は特別なもの。
そう思えるようにはなってきたけれど、それでも今日は、あまりに特別過ぎたように思う。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:59:13.88 ID:MVMHgjBu0
そんな「夢のような時間」は、その日の夜まで続いた。
ケーキを食べ終えたら、後片付けをして。
それからテレビを見ながら、番組の話やアイドル活動の話、他にも色々な話をした。
母の質問に私が答える、それは相変わらずだったけれど。
そんな風に緩やかに時間は流れて、寝る時間になった。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 00:01:15.11 ID:GpBkfE9j0



千早「……ん……」

以下略 AAS



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