高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「お互いを待つカフェで」
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4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:53:42.65 ID:i6ln0z2d0
加蓮『慌てなくていいよ?』


なんだかブラックなガムを噛んだ後のよう。想像だけどね。藍子にメッセージを送って、もうちょっと気の利いた言葉はないかなと思い返した。前に無愛想とか可愛くないとか言われたことあるし。
でも、ここでまた送信したら、藍子はスマフォに目を落とすよね。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:54:12.04 ID:i6ln0z2d0
音を立てないよう、ゆっくり、ゆっくり、ラテをかき混ぜて。右手ではテーブルにおいたスマフォを操作していく。
藍子の足を止めるのは気が引けるし、もしそれで藍子が30分よりも遅れてしまったらすごく申し訳ない顔をされるだろうけど、それでも何かメッセージを送ってみたかった。

そうだね……。でも、何を送ろうか。
伝えたい言葉も、話したい話題も、藍子の顔を見てからにしたい。スマフォのメッセージのやりとりってちょっと機械的過ぎて、嫌いじゃないけど好きでもないんだよね。当然使うことは使うけどさ。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:54:42.34 ID:i6ln0z2d0
そしてまたスマフォに目を落とす。藍子から返信が来ている。


藍子『時間を忘れて』

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:55:12.60 ID:i6ln0z2d0
加蓮『夢中になってた? 何かしてたの?』


藍子と一緒に長い時間を過ごした。これからもきっと、ずっと一緒にいられる。いたいって思ってる。
だけど私は藍子のことについてあまり自信がない。知っていることは知っている。知識があるのに不安――まるで学校の定期テストみたい。赤点を回避できればそれで十分。そんなことに悩まなくても私は楽しく過ごせているし、藍子だって笑っているんだから全然オッケー。もしかしたらその隣では80点とか90点とか取っている人がいるかもしれないけど、人と比べるなんて馬鹿馬鹿しいもんね。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:55:42.51 ID:i6ln0z2d0
カップを傾けようとして、抹茶ラテはさっき一気飲みしたことを思い出した。ちょっとくらい残しとけばよかった。
店員さんを目で追うけど、こういう時に限って店内にいない。たぶん他のお客さんの注文に対応する為にキッチンにいるんだと思う。
誰かに縋ろうとしたけど、今一番いてほしくて、そしていてほしくない人はここにいない。最近増えたお客さん2人も、今日はいない。
いっそ顔も名前も知らない人に話しかけてやろうか。……なんてね。さすがにそこまで人に飢えてない。

以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:56:12.68 ID:i6ln0z2d0
テーブルに突っ伏せてしまいそうになったけど、今視界を閉ざすのは危ないと思ったから、左手で頬杖を作って顔を支えた。
心地いい薪の音が聞こえてくる。……ちょっと落ち着こっか、私。
だってここは素敵な場所。心に浮かんだ不安も、疲れも、時間をかけて取り除ける場所。藍子の大好きなカフェ。

藍子から返信が来た。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:56:42.91 ID:i6ln0z2d0
何に不安を抱いているのか分からなくなっちゃった。
藍子のことが理解できているかどうか? 藍子の為に何かしてあげられるかどうか? ……思ったんだけど、どっちもなんていうか、馬鹿馬鹿しいよね。
藍子のことが分からないなら、今みたいに藍子から聞けばいい。藍子が何かしてほしいって言ってもないのに、余計なお節介を焼く必要もない。点数が足りないなら一緒に解答欄を直せばいいだけだよね。
藍子のことが好きだって胸を張って言えないのなら、たとえ真心じゃなくてもいい。「好き」って言い続ければいいだけのこと。点数の桁なんて私が勝手に増やしてしまえばいいんだ。

以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:57:42.78 ID:i6ln0z2d0
やがてカフェの出入り口が開く。早歩き気味でちょっと息を荒くした、私の大好きな子がやってくる。


藍子「お待たせしましたっ……ごめんなさい、加蓮ちゃんっ!」

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:58:16.06 ID:i6ln0z2d0
加蓮「はぁ? 怒りまくってるけど。目の前でポテトの最後の1本を取られた時の100倍くらいは怒ってるけど」

藍子「ぜんぜんそう見えないけれど……でも、はい。分かりました。お話しますねっ。私、お仕事の関係で雑貨屋さんに行っていたんですけれど――」


以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:58:43.03 ID:i6ln0z2d0

……。

…………。



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