アルコ&ピース平子「夏の概念と夢の国」
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9: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:36:46.43 ID:qUczw4Pjo



そんな事実を聞かされても、まだ理解できていなかった。なんだ、芸人特有のリップサービス?いわゆる、面白くなると思って喋ったこと、なのだろう?それが、今の俺とどうつながると言うのだ。そもそも、俺はお前が言っている平子という人物は知らないし、そんな話をした覚えなどは一切無いのだから。
と、こちらから語っても説得しても酒井は折れず、未だ真剣な顔をしてこちらを見ていた。この時点で誰か呼んだり、警察にでも通報すればよかったのだが、なぜかそんな気は起きなかった。
以下略 AAS



10: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:37:45.30 ID:qUczw4Pjo
狂人ではないはずの男のあまりの狂った論説に、本来の夏を取り戻したかのように、俺の体は発熱していた。混乱、恐怖、愕然としたまま酒井を見る。何もかもが現実味がないまま進んでいる。
としまえんに、なった?は?はぁ?
俺の相方と名乗った男は、酒井は、あまりにも真剣に……真面目に、どこまでもめちゃくちゃなことを言っている。なんだ、どこまでが本当で、どこまでが嘘なんだ?
一度頭を抱え、言葉を整理しながらも酒井は続ける。

以下略 AAS



11: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:39:12.19 ID:qUczw4Pjo



8月31日もやっぱり暑かった。今年も結局、日中は最高気温35度をマークした非常に暑い日だった。こういう時には、室内での仕事が多い自分の現在をありがたく思うことがある。
実際のところ、もっと厳しい体当たりな現場も多数存在しており、この8月もあらゆるところで体を張ったり汗まみれになったりはしていたのだが、それでもたまにはとは言えどこんな太陽の上った暑い時間帯を涼しいスタジオで過ごせるのはツイている。夏の長所であり短所でもある熱射には弱い。
以下略 AAS



12: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:41:15.01 ID:qUczw4Pjo
ブラックアウト。突然の沈黙。息をするのも忘れそうになり、眼球がぎょろんと忙しなくあちこちを見ようとした。

「……は!?」

車のエンジンが唐突に切れ、車内の明かりと言う明かりが途絶える。あの唸り声も突然無くなって、エアコンも動かないのかなんの音もしないし、計器類を照らした光も無くなった。
以下略 AAS



13: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:43:49.24 ID:qUczw4Pjo



頭がごちゃごちゃだった。

以下略 AAS



14: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:46:50.92 ID:qUczw4Pjo
酒井はスマートフォンを見せてくる。

画面に映る、自分らしき誰かが。
見せたことのない笑顔を向けている写真がある。

以下略 AAS



15: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:49:10.26 ID:qUczw4Pjo



学生時代は、暗黒だった。

以下略 AAS



16: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:54:17.86 ID:qUczw4Pjo
子供みたいな疑問が胸中渦巻いて、けれど言葉にすることは、返事が、言葉が帰ってくるのが恐ろしくてどうしようもなくて黙り込む。

だけど、だけどさぁ。
本当に?
ここは俺のための楽園?
以下略 AAS



17: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:56:48.94 ID:qUczw4Pjo



気付けば俺は、酒井を助手席に乗せて車を走らせていた。なぜだか分からないが、そうしなければ行けないような気がしてしまったからだ。
失われたとしまえんと俺の記憶、そしてそれを取りに行かなければいけないと義務感が生まれだしているようだった。気持ち悪いが、胸中動き出した衝動性を止める力もない。
以下略 AAS



18: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:59:32.05 ID:qUczw4Pjo
ずっと走っていった先に、突然開けた場所が出てきた。まるで広場か何かのように見える。
地面が不自然にごろごろとした岩ばかりになり、車も多少揺れながら走っていくほどである。万一のことを考えて道を塞がないよう少し車を走らせ、広場の中央辺りに車を停める。
周りにはおかしなものは何もないように思えたし、特段変わったことはなさそうだ。それでも、なんだか全身がざわついた。車を降りると8月にしては寒すぎる風が吹き、酒井が寒そうに二の腕を擦った。8月とは思えない風なのは仕方がない、だって今の世界には夏がないんだから。
だったら取り戻さないと。

以下略 AAS



19: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/27(木) 00:02:32.27 ID:b25Vyfuyo



次に目を覚ましたのは石畳の上だった。俺と酒井は一緒のエリアで伸びていたようだ。
突然のことで全身が重い石になってしまったようで、ぐったりしながらだがなんとか体を起こす。やけに周りが騒音だらけだなと不審に思いながらも、それでも優先すべきはこちらだろうと感じ、瞼を閉じた酒井の肩をとんとん叩いて起こしてやる。
以下略 AAS



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