102:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/01(水) 23:04:15.01 ID:Ecp6hAAO
後ろで構えていた男はその拍子に持っていた得物を手放してしまった。
澪という絶対的な強者を前にしてそんな隙を見せるという事は死に直結する。
「ひっ──!?」
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2010/12/01(水) 23:05:10.44 ID:Ecp6hAAO
澪「いつだってそうだ」
男の悲鳴にかき消されてしまうほどのか細い声で澪は呟く。
そして振り向きざまに刀を薙いだ。
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2010/12/01(水) 23:05:48.75 ID:Ecp6hAAO
澪「そして最後には思考停止。自爆を謀って殉職者気取り」
地面を転がる鉄の塊が小型の爆弾である事を、澪は振り向かずとも察知していた。
それは本来の役割を果たすことなく、ただ虚しく転がっている。
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2010/12/01(水) 23:06:46.81 ID:Ecp6hAAO
澪「ばか……」
震える声で涙目になりながら呟く澪は、どこから見ても年相応の少女だった。
力を手に入れ、揺るがない意志を持った。
情を捨て去り、どこまでも非情になれた。
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2010/12/01(水) 23:07:32.03 ID:Ecp6hAAO
澪「んっ……」
目を擦って何度か瞬きをすると、澪は刀を鞘へと収めた。
そして大きく伸びをして、血に染まって黒くなったパーカーを脱ぎ捨てる。
腰の手前まで伸びた艶やかな黒髪を払い、悠然と歩くその様からは先程の少女の一面は見られない。
107:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/01(水) 23:08:24.38 ID:Ecp6hAAO
電車の路線をなぞるように移動する事十分。
澪が敵襲を迎撃した地点から三駅分ほど離れたところに琴吹財閥の格納庫があった。
和「遅かったわね」
108:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/01(水) 23:09:13.46 ID:Ecp6hAAO
澪「それにしても凄いな。財閥の長までになると自家用ジェットなんかも買えるのか……」
流線型のフォルムに白を基調としたボディ。
軍用兵器や機械に疎い澪にはそのジェット機の価値は分からないものの、自分では一生掛かっても買える代物ではないとは直感していた。
109:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/01(水) 23:09:58.66 ID:Ecp6hAAO
澪は紅茶を啜り、ほっと一息ついた。
朝方の冷たい風に晒されて冷えた身体がすっと溶けてゆくのを感じた。
和「それにしても遅いわねあの子達。ムギが見た時はどうだった?」
110:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/01(水) 23:10:33.52 ID:Ecp6hAAO
しずか「出発までどれくらいかかる?」
紬「操縦はオートマティックだから乗り込み次第飛び立てるわ」
そう、と短く呟いてしずかはジェット機のドアを開いた。
111:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/01(水) 23:11:20.64 ID:Ecp6hAAO
澪「危なくなったら逃げて。そして隠れて。例えこの潜入が無駄になったとしても、木下さんが無事帰ってきてくれればそれで良いから……」
澪は言葉を区切り、一息つくと再び口を開いた。
澪「逃げる事を臆病だなんて思わないで。命さえ残っていれば、後は万事どうとでもなるからね」
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2010/12/01(水) 23:11:59.42 ID:Ecp6hAAO
姫子「私は大丈夫だよ。言いたい事はあの子が『帰ってきて』言うから」
無事帰ってこれる保証などない。
そんな事は嫌というほど理解している。
だがここで別れを惜しんだらしずかは永遠に帰って来ない。
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