24:>>1[saga]
2011/03/28(月) 22:42:11.53 ID:gJVBoKdj0
「二人ともやっているわね」
と、そこに春野さんがやってきた。ハーフだという彼女はその翠色の瞳と輝くような金の髪が印象的だ。
エネルギッシュで活動的な人で、先生やクラスメイトからの信頼も厚い。アネゴ体質というのがあるが、それを地でいっているのだ。
ただ、僕は彼女が苦手である。得てしてこの世は声の大きい人が強い世界なので僕が彼女のご機嫌を損ねたら社会的に抹殺されることうけあいだからだ。
ニートにはなりたくない。いや、生き残れない。生き残りたいのに。崖っぷちでいいから。
25:>>1[saga]
2011/03/28(月) 22:49:40.66 ID:gJVBoKdj0
では今日のところはこの辺りで。
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/28(月) 22:51:04.39 ID:3vXaF6R1o
乙!
いろいろ出しゃばっちゃってごめん。最終的には>>1のやりたいようにやってください
27:>>1[saga]
2011/03/29(火) 20:03:54.78 ID:NprJWFFv0
んでは今日の分投下します。
28:>>1[saga]
2011/03/29(火) 20:07:05.55 ID:NprJWFFv0
そんなこんなで、数時間が経過した。
日が長くなってきたとはいえ、いい加減暗くなってきた。まだ学校に残る生徒たちは運動部だけだろう。
もっとも、厳しいことで知られる陸上部はまだまだこれからが本番である。彼らの熱血に敬意を払いつつ、僕らは帰ることにした。
春野さんは僕らが帰るより結構前に帰っている。
彼女は一般の家より門限が厳しいだとかで、冬森さんを家に送っていきたいのはヤマヤマだがヒステリックな母親の声は聞きたくないということらしい。
29:>>1[saga]
2011/03/29(火) 20:08:41.02 ID:NprJWFFv0
「とりあえず、帰ろうか」
「あ、その。一緒に、というより、送ってくれるとか……」
「春野さんの言うことには従わなきゃね。彼女には恩もある」
「その、嫌ならいいんですよ?」
「そういうわけにもいかないよ。モラル的にも考えて」
30:>>1[saga]
2011/03/29(火) 20:11:43.20 ID:NprJWFFv0
そしてそれは冬森さんも同様らしく、花が咲いたような笑顔を浮かべてケーキが陳列されているケースに近づいていく。
目当てのものはチョコケーキだが、その前に目移りするのが彼女の決まりらしい。
僕は、一度決めたらそれにするのがそうなのだが。まぁ、そこは些細な違いだろう。
共通項だらけの僕らにとって、違うところは少しでも多いほうがいい。
あんまりに似通っている者同士の距離が近ければ、当然のように誤解がそこに発生することになるからだ。
31:>>1[saga]
2011/03/29(火) 20:13:01.86 ID:NprJWFFv0
「あ! 秋川君、私、大変なことに気づきました」
「大変なこと?」
「このケーキを包んでもらった箱……一つなんです」
「それは見ればわかる……け、ど……」
「一つというのは、問題です」
32:>>1[saga]
2011/03/29(火) 20:15:32.31 ID:NprJWFFv0
そんなわけで、僕らが向かったのは公園だった。
この公園はベンチとテーブルが設置されており、やろうと思えば食事なんかがそこで取れる休憩所のようになっている。
壁でもあればいいけど、生憎とあるのは屋根ぐらいなものだ。ここで二人してケーキを食べようというのだから、そりゃ恥ずかしい。
「飲み物も欲しいですよね」
33:>>1[saga]
2011/03/29(火) 20:18:23.66 ID:NprJWFFv0
「不思議と、秋川君は怖くないんですよ」
「え?」
心の中を読まれるのは、あまり気持ちいいことじゃないな。
「絵本が好きな人に、悪い人はいないと思うんです」
「僕にその考えが当てはまるかどうかは……」
34:>>1[saga]
2011/03/29(火) 20:21:08.24 ID:NprJWFFv0
では今日のところはこの辺りで。
明日は23時から投下します。
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