13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:10:30.37 ID:RWLsOBnAO
和「…………」
紬は確実に強くなっている。
それも女帝の名を欲しいままにしてきた和と対等に渡り合えるほどに。
ここまでの決して多いとは言えない鍔競り合いの中で和はそれを嫌というほど理解していた。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:11:00.09 ID:RWLsOBnAO
和「ここまでの手品は全て理解したわ。今まで通り上手くいくとは思わない事ね」
和は桜花の刀身を指でなぞる。
指が通った部分は砂埃が綺麗に取れ、妖しい輝きを取り戻した。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:11:28.59 ID:RWLsOBnAO
そんな彼女の本質を知りながらにして紬は彼女の言葉を真直ぐに受け止めた。
薄っぺらな嘘などではない。ここから先、自分が優位に立つには一度のミスも許されないだろうと。
紬「……それでも、やれる事をやるだけだから」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:12:04.69 ID:RWLsOBnAO
紬「……っ!」
紬の足元が一瞬だけ煌めいたかと思うと、次の瞬間地を食い破って岩の槍が突き出してきた。
紬は身を翻してそれを躱し、闘気によって造り出された岩の槍を打ち消そうとする。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:12:41.44 ID:RWLsOBnAO
和「また人間道で私を叩き付けてみる? そしたらこの状況も打破出来るんじゃない?」
紬の眼前に皮肉めいた笑みを浮かべた和が迫っていた。
振りかぶった桜花の切っ先が妖しく輝く。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:13:11.15 ID:RWLsOBnAO
逆に地に叩き付けられた紬は息を詰まらせた。
ほんの一瞬だけだが脳が陥落しまう。
常人にとってのそのほんの一瞬は取るに足らないような時間だが、この二人にとっては勝敗を決し得る時間だ。
和「チェックメイトね」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:13:39.58 ID:RWLsOBnAO
和「認めないなら一つずつ説明する? 最初に放った鎌鼬には私を引き離す殺傷力は無い。あくまで目眩ましのようなものよね」
和は修羅道が発動された時、紬が緑の闘気に目覚めたのかと思ったが一度鎌鼬を受けてみてその考えを否定した。
風、大気を司る緑の闘気の能力者の技ならば真面に受けて掠り傷程度で済む筈が無いのだ。
紬から緑の闘気を感じられない事。初撃の威力の小ささ。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:14:20.42 ID:RWLsOBnAO
紬「…………」
紬は押し黙った。
発言の一つ一つから何を気取られるか分からないからがゆえに。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:15:03.99 ID:RWLsOBnAO
それだけならば偶然という線が濃厚だろう。
だがそれならば説明出来ない点が出てくる。
二度目の畜生道を使う前に紬は地から突き出た岩の槍に触れてそれをかき消した。
しかし普通に考えればその行動にメリットなど一つも無い。
危険はほぼ零と言って良い停止した岩の槍にわざわざ触れに行く時間。
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:15:32.11 ID:RWLsOBnAO
紬の肩がびくりと跳ねた。
一瞬だけ驚いたような表情を浮かべる。
和「人間道についても説明出来るわよ。あれは自分が地面に触れていないと──」
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/04/21(木) 23:16:08.93 ID:RWLsOBnAO
和も紬もどこか楽しそうな顔をしている。
互いが互いに自分の技の方が優れているという確信があった。
だからこそ戦況的には優劣があるものの、精神面ではどちらも劣っていない。
和「…………」
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