過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:45:00.48 ID:ooW4dNWwo
「あの」
 意を決したような口調で、ひたぎちゃんが言った。
「あの蟹は――今も私のそばにいますか?」
「そう。そこにいるし、どこにでもいる。ただし、ここに降りてきてもらうためには――手
順が必要だけどね」
以下略



52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:47:06.34 ID:ooW4dNWwo
 身が竦む。
 自然、構えてしまう。
 僕自身は無宗教、神道も仏教も、区別がつかない最近の若いやつだけれど、しかしそれで
も、こういう状況そのものに、反応する、本能的な何かが、心の中にある。
 状況。
以下略



53:すごいな。NGワードは自動で消されるのか……人識の決め台詞とかどうなるんだろう
2011/07/30(土) 10:49:52.07 ID:ooW4dNWwo
「もちろんただとは言わないわ」
「何かくれるの?」
「物理的な報酬を求めるとは、浅ましい。その情けない言葉一つに、あなたの人間性の全て
が集約されているよいっても過言ではないわね」
 絶対に過言だ。
以下略



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:51:46.49 ID:ooW4dNWwo
 忍野は供物のうちからお神酒を手にとって、それをひたぎちゃんに手渡した。
「え……なんですか?」
 戸惑った風のひたぎちゃん。
「お酒を飲むと、神様との距離を縮めることができる――そうだよ。ま、ちょっと気を楽に
してってくらいの意味で」
以下略



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:52:48.11 ID:ooW4dNWwo
 言うならば暗示に近い。
 催眠暗示。
 不快になるほどのそれらしさ。
 まず自意識を取っ払い、警戒心を緩め、そして、忍野との間に信頼関係を生じさせること
――それは、やり方は全然違えど、僕や翼ちゃんのときにも、必要だったことだ。信じる者
以下略



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:53:45.67 ID:ooW4dNWwo
「落ち着いた?」
「――はい」
「そう――じゃあ、質問に答えてみよう。きみは、僕の質問に、答えることにした。お嬢ち
ゃん、きみの名前は?」
「戦場ヶ原ひたぎ」
以下略



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:54:25.86 ID:ooW4dNWwo
「一番好きな小説家は?」
「夢野久作」
「子供の頃の失敗談を聞かせてくれる?」
「言いたくありません」
「好きな古典音楽は?」
以下略



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:56:02.95 ID:ooW4dNWwo
 財産を全て貢いで、借金まで背負って、家庭が崩壊するまでに至ったと。離婚した今でも、
 父親は、そのときの借金を返すために、夜も寝られないような生活を続けていると。
 それが―― 一番、辛かった思い出?
 己の重さが―― 失われたことより?
 ・ ・ ・ ・ ・ ・
以下略



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:57:20.22 ID:ooW4dNWwo
 そのあと。
 ひたぎちゃんは、下唇を強く噛む。
「う――うちに、その宗教団体の、幹部の人が、お母さんに連れられて、やってきて」
「幹部の人。幹部の人がやってきて、どうした?」
「じょ――浄化、だと言って」
以下略



60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/07/30(土) 10:58:28.32 ID:ooW4dNWwo
 不自然な形での貞操観念の強さや――
 警戒心の強さ。
 防衛意識の高さと攻撃意識の過敏さ。
 説明が――つく。
 素人のひたぎちゃんにしてみれば、神道もまた、宗教であることには――変わりない。
以下略



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