過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
1- 20
61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:59:39.54 ID:ooW4dNWwo
「娘が幹部を傷つけたんだから――当然だね」
「はい。だから――財産。家も、土地も――借金までして――私の家族は、壊れたわ。完
全に壊れて――完全に壊れたのに、それなのに、まだ、その崩壊は、続いている。続いて
います」
「お母さんは、今、どうしている?」
以下略



62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:00:39.99 ID:ooW4dNWwo
                     ・ ・ ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・
「目を背けずに――目を開けて、正面切って、見てみよう」
 そして――
 忍野は目を開けた。
 ひたぎちゃんも、そっと――目を開けた。
以下略



63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:03:07.67 ID:ooW4dNWwo
                                   ・ ・ ・ ・ ・  ・ ・    ・ ・ ・
「み――見えます。あのときと同じ――あのときと同じ、大きな蟹が、蟹が――見える」


「そうかい。僕には全く見えないがね」
以下略



64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:06:49.76 ID:ooW4dNWwo
 それだけだろう。
 けれど、事情なんて関係ない。
 人間の事情なんて、関係ない。
 その瞬間――ひたぎちゃんは、後ろにふっとんだ。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
以下略



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:08:13.73 ID:ooW4dNWwo
「全く。壁になってやれって言っただろう、あ、阿良々木くん!」
 忍野が落胆したみたいにこんなことを言ったとき、僕はもう走り出していた。
 考えるよりも先に、走り出していた。
 蟹の鋏の根元――人間でいうと、肩にあたるのだろうか?――に手を伸ばし。
 無理やりに引き剥がす。
以下略



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:09:09.28 ID:ooW4dNWwo
007
 どうやら、僕と翼ちゃんはやはり全てを聞き出せていたわけじゃなかったようだ。
 まぁ、ほぼ初対面の人間に全てを話すほうが珍しいだろう。そこまで警戒心のない人間
が、今まで、誰にも気づかれないで暮らせるわけがないし。
「おもし蟹ってのはね、阿良々木くん。だからつまり、おもいし神ってことなんだよね」
以下略



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:10:14.29 ID:ooW4dNWwo
  ・ ・ ・ ・ ・ ・    ・ ・ ・ ・ ・
 心の拠り所を――求めたのだ。
 皮肉にも――母親と同じ――神様に――
「物々交換だよ。交換、等価交換。蟹ってのは、鎧を身に纏って、いかにも丈夫そうだろ
う? そういうイメージなんだろうね。外側に甲羅を持つ。外骨格で、包み込むように、
以下略



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:11:58.11 ID:ooW4dNWwo
                                         ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
しかしそれでも――そうでありながら、ひたぎちゃんは、そのことを、楽になってしまっ
・ ・ ・ ・
たことを、後悔しない日は、一日だって、なかったのだという。
 でも、周囲との不調和からではない。
以下略



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:13:18.17 ID:ooW4dNWwo
「人間は――弱いよ。特に、すぐつけ上がって、自分が何でもできると思い込んでいる人
なんかは、とっても弱い。不思議なことなんだけどね。弱ければ弱いほど、強いことがあ
る。強ければ強いほど、弱いことがある。」
 忍野は言う。
「おもし蟹は、重みを奪い、存在を奪う。けれど、吸血鬼の忍ちゃんや色ボケ猫とは訳が
以下略



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:13:56.98 ID:ooW4dNWwo
 何も変わらない、いや、むしろ悪くなったのかもしれないのだろうけれど。
「何も変わらないなんてことはないし、ましてや、悪くもなってないわ」
 赤く泣き腫らした目で、僕に向かって。
「それに、決して無駄でもなかったのよ。少なくとも、大切な友達が一人、できたのだか
ら」
以下略



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/07/30(土) 11:16:02.47 ID:ooW4dNWwo
008
 後日談というか、今回のオチ。
 翌日、いつものように二人の妹、火燐ちゃんと月火ちゃんに起こされ、(非常に礼儀の正
しい素晴らしい姉妹である。ご両親の育てがよいのだろう)学校へ行くと、教室は惨憺たる
様相だった。
以下略



94Res/88.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice