過去ログ - 男「だったら俺が悪いのかよ!」
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 17:45:11.57 ID:vDKXf2v5o

 彼が引き籠もりを始めたのは高一の春だった。入学式から一週間、まだ誰にも名前を覚えられていないような時期に、彼は本棚をドアノブに噛ませた。
 そうなったのにはさまざまな要因があったが、結局のところ、彼は新しい環境というものに上手く親和できなかったのだ。
 また、溶け込む努力をしなかった、という見方もできるかもしれない。それも的を射ている、と彼自身も思っていた。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 17:51:23.58 ID:vDKXf2v5o

 たとえば少し暇になって、コンビニに行くか、ということができない。
 自分を見る他人の目が気になって仕方なく、自分がおかしくないだろうか、何か変ではないかと、不安に思い、緊張してしまう。

 そのことに気付いてからはどうしようもなかった。明確に、自分が外に出ることをおそれていることに気付いたのだ。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 17:57:31.85 ID:vDKXf2v5o

 表面的には、彼は毎日、自堕落に、好き勝手に生きているようにも思えた。事実、大半の時間はそうやって消化されていた。
 けれどふとしたとき、たとえばネット上のニュースサイトで、学歴や無職などの記事を見つけると、そのたびに暗い思いがわき出してくる。 
 それらは日常のさまざまな時間を浸食しては、彼を責め立てた。

以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:07:42.17 ID:vDKXf2v5o

 とにかく彼の頭の中は、ごちゃごちゃと混沌としていて、理路整然としたものがひとつたりともなかった。
 不意にこれまでの人生を振り返ると、彼は言葉を失う。自分はなにひとつ、自分ひとりで決めたものを持たなかった。
 高校の進学も周囲がそうするから、そうするのが普通だからという理由でしかなかったし、高校も深く考えずに近い場所を選んだ。

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:16:59.66 ID:vDKXf2v5o

 医者は彼に、どうして薬を飲んだのかと聞いた。彼は嘘をついた。誤って飲んだんです。飲んだら、どうなるのか、知りたかったんです。
 医者はそれを信じなかったが、彼にはそんなことはどうでもよかった。あれは脳に作用する薬なので、二度とこのようなことはしていけない、と医者は言った。

 また、医者は彼に、カウンセラーに会ってみないかとも言った。
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:18:58.73 ID:vDKXf2v5o
一旦切る


16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:24:10.50 ID:S3WR3zbTo
まあ、一般的な学生には伝わるんじゃないかな
>>1てst乙


17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:41:40.46 ID:vDKXf2v5o

 それも誤りだった。彼は結局、そのまま停滞した日々を過ごした。多少外に出ることはあっても、結局一日の大半を部屋の中で過ごす引き籠もりに。
 そして実に二年近い歳月を、ただただ無為に消費し続けたのである。この事実を振り返るたびに、彼は重苦しい気持ちに襲われる。
 この二年で、自分と同じ歳のものはどんどんと先に進んだはずだ。その流れの横に、自分は置き去りにされている。

以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/08/28(日) 18:44:18.94 ID:28mS+GzAO
テストなら、乙がついても良いはずだよね

1乙。
内容についても触れてみる
この話の彼ほどじゃないけど軽く籠っていた経験のある人間には、ひどく見につまされる
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/28(日) 18:47:57.39 ID:vDKXf2v5o

 そんな屈折した思考にとらわれながら、彼はそれでも死のうとは思っていなかった。それどころか、どうすればいいかをひたすらに考え続けていた。
 思考が何ももたらさないと知っている人々は、まず行動を起こすことが肝要だと口々に言うが、彼はそう気付くには若く、幼すぎた。

 姉はバイトをすることを勧めた。とにかくなにかをはじめて見てはどうかと言うのだ。
以下略



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