過去ログ - 女騎士「姫の自慰を目撃してしまった」
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42:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:37:41.06 ID:aYv84ioOo
上司は、再び巨躯を机に預けて続けた。

とはいえ、俺は、誰と誰がどんな関係を持とうと構わないと思っている。両者が仕合せである限りな。
人が人に一方的な欲望をぶつける場面を、俺は何度も見てきた。戦場や無法地帯には性別も年齢もない。
ただ弱い人間が強い人間の慰み物になる。それだけだ。
以下略



43:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:39:00.27 ID:aYv84ioOo
上司は空を手で払いのけながら答えた。
今までの功績に対する俺からの餞別だ。細かいことは気にするな。

はい、分かりました。
全く細かくはないだろうと思ったが、無駄なので追求しようとは考えなかった。
以下略



44:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:40:04.09 ID:aYv84ioOo
しかしな、自分を犠牲にして誰かを仕合せにしようとするのは、俺は好かん。もっと自分を
大事にしろ。お前にはその資格がある。

そうは思えません。上司も仰いましたが、私は汚泥です。姫の顔に泥を塗ったばかりか、御顔を
恥辱で汚しました。
以下略



45:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:50:55.63 ID:aYv84ioOo
その一言が私を引き止めた。

私は上司の部屋を出た後、そのまま街を出て僻遠の山間で自決をする代わりに、
雨に濡れながら下町の安酒場に行った。

以下略



46:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:52:14.29 ID:aYv84ioOo
今日、お前の姫様が産まれた。
私を施設から引き取ったその日、養父(ちち)は言った。
お前は、姫様のために生き、そして死ぬのだ。お前という人間は、今日生まれたのだから。
物心ついたばかりの私は思った。人は二度生まれるのだ、と。

以下略



47:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:56:33.78 ID:aYv84ioOo
いざ改まって向かい合うと、昨晩のようにはいかなかった。
私たちは気後れし、落ち着きなく身体をもじもじさせた。
始めるきっかけを掴むことができず、私も姫も顔を紅潮させ、ぎこちない雑談を交していた。
そんな間延びした状態が十数分続いた後、私は意を決して腕を伸ばし、姫の二の腕をがっちりと掴んだ。
口火を切らなければならないのは私だ。
以下略



48:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:57:06.77 ID:aYv84ioOo
『私は必死だっただけですよ』
口元は微笑んでいたが、眼には悲しみと怯えの色があった。
『私が何とかしなければならないと思って、体が勝手に動いていて、気がついたら剣を掴んでいて。
 今だって、時折思い出して恐怖に打ち震えるんですよ。私は結局、臆病者なのです。
 ただ、そんな私でも、人ひとり救えたのですから――』
以下略



49:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:57:49.72 ID:aYv84ioOo
女騎士様は恋人など、お作りには? 同輩のひとりが、私に突然話を振ってきた。
恋人……。
女騎士様ほどの美貌をお持ちならば、言い寄る男も多いでしょう。
同輩は上目づかいに軽口を叩いた。
朧気だが、私を慕っている云々と話しかけてきた連中がいた気もするな。印象には残っていないが。
以下略



50:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:58:29.04 ID:aYv84ioOo
『私には姫が全てです』
事が終わり、いつものように顔を向き合わせながら姫の髪を撫でていると、不意に思考が口から漏れた。
『急にどうしたのですか、女騎士?』
私の出し抜けな台詞に、姫はきょとんとした。
『いえ、すみません。妙なことを口走りました。忘れて下さい』
以下略



51:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 22:04:02.92 ID:aYv84ioOo
私は腰に差していた短剣を抜いて、青年の首を縦に割いた。
動脈を狙ったつもりだったが、手元がふらついてわずかに右に逸れたようだった。

青年は悲鳴を上げ、席から転がり落ちた。
私は青年に飛びかかって馬乗りになり、顔を五指で押さえつけると、
以下略



52:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 22:15:37.99 ID:aYv84ioOo
7.

語るべきことは殆どもう残ってはいない。

私は城内に戻り、自分の部屋で水を一杯だけ飲むと、ベッドに倒れ伏してそのまま泥のように眠った。
以下略



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