過去ログ - 女騎士「姫の自慰を目撃してしまった」
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『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 21:56:33.78 ID:aYv84ioOo
いざ改まって向かい合うと、昨晩のようにはいかなかった。
私たちは気後れし、落ち着きなく身体をもじもじさせた。
始めるきっかけを掴むことができず、私も姫も顔を紅潮させ、ぎこちない雑談を交していた。
そんな間延びした状態が十数分続いた後、私は意を決して腕を伸ばし、姫の二の腕をがっちりと掴んだ。
口火を切らなければならないのは私だ。
以下略
48
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 21:57:06.77 ID:aYv84ioOo
『私は必死だっただけですよ』
口元は微笑んでいたが、眼には悲しみと怯えの色があった。
『私が何とかしなければならないと思って、体が勝手に動いていて、気がついたら剣を掴んでいて。
今だって、時折思い出して恐怖に打ち震えるんですよ。私は結局、臆病者なのです。
ただ、そんな私でも、人ひとり救えたのですから――』
以下略
49
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 21:57:49.72 ID:aYv84ioOo
女騎士様は恋人など、お作りには? 同輩のひとりが、私に突然話を振ってきた。
恋人……。
女騎士様ほどの美貌をお持ちならば、言い寄る男も多いでしょう。
同輩は上目づかいに軽口を叩いた。
朧気だが、私を慕っている云々と話しかけてきた連中がいた気もするな。印象には残っていないが。
以下略
50
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 21:58:29.04 ID:aYv84ioOo
『私には姫が全てです』
事が終わり、いつものように顔を向き合わせながら姫の髪を撫でていると、不意に思考が口から漏れた。
『急にどうしたのですか、女騎士?』
私の出し抜けな台詞に、姫はきょとんとした。
『いえ、すみません。妙なことを口走りました。忘れて下さい』
以下略
51
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 22:04:02.92 ID:aYv84ioOo
私は腰に差していた短剣を抜いて、青年の首を縦に割いた。
動脈を狙ったつもりだったが、手元がふらついてわずかに右に逸れたようだった。
青年は悲鳴を上げ、席から転がり落ちた。
私は青年に飛びかかって馬乗りになり、顔を五指で押さえつけると、
以下略
52
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 22:15:37.99 ID:aYv84ioOo
7.
語るべきことは殆どもう残ってはいない。
私は城内に戻り、自分の部屋で水を一杯だけ飲むと、ベッドに倒れ伏してそのまま泥のように眠った。
以下略
53
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 22:18:56.62 ID:aYv84ioOo
私はそれだけ用を済ますと、すぐに街を出た。
私には、別れを告げるべき友人も家族もいなかったから、国を追放されるといっても、
それは殆ど、ただ城門をくぐるだけの作業でしかなかった。
外界に出ると、私は上司が言っていた国とは真逆の方向に歩を向けた。
以下略
54
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 22:20:32.76 ID:aYv84ioOo
遠い親類が見つかりましたので、私はそこで過ごします。
そう私は書いた。
もちろん、私にそんな人間はいないし、それは少し調べれば分かることだ。
しかし、ここで大切なのは真実ではない。重要なのは、可能性を提示することだ。
以下略
55
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 22:22:06.15 ID:aYv84ioOo
街を出てから、私は当てもなく、各地を幽霊のように彷徨い始めた。
順当にいけば、私はすでに己を野犬と虫の餌にしていた筈だった。
その結末を変えたのは、小さな容器に入った、使いかけの口紅だった。
関係を持ってから一ヶ月の記念として、私が姫に贈った髪飾り、その返礼として受け取った物。
以下略
56
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 22:30:50.96 ID:aYv84ioOo
その夜から何ヶ月、何年経ったのか、私にはもう分からない。
城にいた頃、金銭を殆ど使わなかったということもあり、持ち金は長旅に充分耐えうるほどあった。
そのため、旅費に困るということはなかったが、野盗が襲ってきた場合は、これを返り討ちにして
金品を奪いながら、私は各地を転々とした。
以下略
57
:
『Her Knight in Their Nights』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2011/10/21(金) 22:31:54.77 ID:aYv84ioOo
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物語はそこで、ぷっつりと途切れていた。
私は再びそれを二、三度読み返すと、「女騎士」が寝ていたであろうベッドに寝転がった。
以下略
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