90:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:02:17.67 ID:CGXDMCHp0
「…………」
「これ以上理不尽なことってありますか? ありませんよ、ええありませんとも! 法の鉄槌を下したくて、何が悪いんですか!」
女性の声がしばらく会議室に響き渡っていた。
91:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:03:18.28 ID:CGXDMCHp0
切り捨てられ、秋山は呆然とその場に立ち尽くした。
そこで議席の老人が咳払いをし、圭介を見た。
「高畑医師。口が過ぎる」
92:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:03:56.61 ID:CGXDMCHp0
「それでは、この子は一旦退席させます。秋山さん、マインドスイーパーに余計なことを吹き込もうとするのは、規定違反です。罰則を受けていただきます」
秋山が、一瞬間をおいてから、怒りで顔を真っ赤にする。
「何を……」
93:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:04:35.62 ID:CGXDMCHp0
*
会議室を出たところにある、中庭の隅で、汀は眠っていた。
木陰になっていて、爽やかな風が吹いてくる。
丁度日を避けられる場所に、圭介は車椅子を設置したのだった。
94:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:05:25.90 ID:CGXDMCHp0
*
汀は、ハワイの白いビーチに座っていた。
白い水着を着て、波打ち際で足をぶらぶらとさせている。
そこがハワイだ、と分かったのは、彼女が好きな女の子達のユニットが歌っている歌のPVを、事前に見ていたからだ。
95:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:06:29.76 ID:CGXDMCHp0
「そうだよね。一人でいると、不安だよね。私も、圭介がいてくれなきゃ、おかしくなってると思うんだ」
足元の砂を、ぐりぐりとつま先でほじり、汀は呟くように言った。
「圭介には、感謝してるんだ……」
96:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:07:07.53 ID:CGXDMCHp0
無限回廊のように立ち並ぶ椰子の木に、次々と炎がついていく。
次いで、空に浮かんでいた太陽が、ものすごい勢いで沈み、あたりが暗くなった。
空に、赤い光がともる。
しかしそれは太陽の光ではない。
何かが燃えている。
97:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:08:12.38 ID:CGXDMCHp0
「圭介!」
居もしない保護者の名前を呼んで、汀は泣きながら、はいつくばって逃げ始めた。
「やだ、来ないで! こっち来ないで!」
98:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:10:15.40 ID:CGXDMCHp0
そこでドクロマスクの男は、たいまつを脇に投げ捨て、チェーンソーを振りかぶって小白に切りかかった。
化け猫の眉間にチェーンソーが突き刺さり、回転する。
しかし、小白はそれに動じることもなく、額から血を噴出させながら、頭を振り、巨大な足で、男を吹き飛ばした。
人間一人が宙を舞い、燃えている椰子の木の群れに頭から突っ込む。
小白はニャーと鳴くと、震えて動けないでいる汀のことをくわえて持ち上げ、男と逆方向に走り始めた。
99:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:11:14.84 ID:CGXDMCHp0
*
「汀、起きろ。大丈夫か、おい、汀!」
切羽詰ったような圭介の声が聞こえる。
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