337:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 17:50:32.33 ID:CZrAexFF0
「唯……。
憂ちゃんでも、和でも……、無理なものは無理なんだ……。
何でも出来そうなあの二人だって……、こんな状況、どうにか出来るかよ……。
傍に居るはずだって信じたいけど……、でも、多分、三人はもう……。
だから……、これ以上の事を、私に言わせないでくれ……!」
338:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 17:51:00.04 ID:CZrAexFF0
「でも……?」
「探すのは前に泊まったホテルまでの道中だけだ。
見た感じ、この近辺に三人は居ないみたいだ。
339:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 18:04:18.01 ID:CZrAexFF0
不意に梓が何故か明るい声を出した。
「それなら先輩方、私、一ついい事を思い付いたんですけど……」
340:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 18:09:48.80 ID:CZrAexFF0
五人で手を繋ぎ、とりあえず私達は歩き始める。
ゆっくりと時間を掛けて、憂ちゃん達を探しながらホテルに向かった。
分かっていた事だけど、道中、憂ちゃん達の姿は全く見つからなかった。
それどころか誰の姿も、生き物の姿も見当たらない。
やっぱりこのロンドンに居るのは私達五人だけなんだろう。
341:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 18:10:14.19 ID:CZrAexFF0
◎
342:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 18:10:49.44 ID:CZrAexFF0
それは私に限った話じゃない。
澪だって、ムギだって、唯だって、大学生になってから色んな事を考えるようになってた。
本気で自分達の未来について目を向け始めた。
そんな感じになるまで、私は知らなかったんだよな。
未来に目を向けるって事は、過去にも目を向けなきゃいけないって事だったんだって。
343:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 18:15:28.45 ID:CZrAexFF0
「りっちゃん!」
不意にムギに肩を叩かれ、思考が現実に戻る。
途端、考えていたはずの重要な何かは、何処かに飛んで行ってしまった。
344:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 18:23:44.68 ID:CZrAexFF0
「じゃあ、他の階の倉庫も調べてみようぜ?」
出来る限りの笑顔を向けて、私は手に持ったロープを軽く引っ張った。
そのロープの端を握り締めながら、「うん」とムギが少しだけ笑う。
345:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 18:25:54.45 ID:CZrAexFF0
言って、私はムギの頭を撫でた。
普段、ムギは大人っぽいのに、色んな所で子供っぽい仕種を見せる事がある。
もしかしたら唯よりも天然で、子供っぽい所があるのかもって思うくらいだ。
どうも放っておけない……、そんな気にさせるんだよな、ムギは。
考えてみれば、この閉ざされた世界を一番怖がってるのはムギかもしれない。
346:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 18:33:10.57 ID:CZrAexFF0
だけど、やっぱり無理があったのかもしれない。
それから、ムギの笑顔はすぐに消えた。
ムギが悪いわけじゃない。
私だ。
私の選択が悪かったんだ。
347:にゃんこ[saga]
2012/04/20(金) 18:34:16.01 ID:CZrAexFF0
今回はここまでです。
あ、すみません。
序盤と言っても、内容は今半分くらい進んだ感じです。
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。